LyricalGENERATION 1st 第二話 |
第二話「交錯する閃光」
シンがプレシア達に保護(拉致?)されてから2日後、彼はフェイトに連れられて彼女達が第97管理外世界と呼んでいる世界の日本の遠見市というところにやってきていた。
これからジュエルシードを集めるための拠点であるマンションがそこにあるからである。
「へー、街並みはオーブと変わらないんだ、なんか意外だなー」
「…………」
物珍しそうに辺りを見回すシン、一方のフェイトは何も言わずツカツカと彼の前を歩いて行った。
(うーん、なんかこの子とっつきにくいだな……避けられているのかな?)
二人の間に重苦しい空気が流れる、そんな空気を変えるためシンはフェイトにある話題をふっかける。
「そ、そういえばフェイトちゃん……今日は普通の服装だよね、黒が好きなの?」
「この服がですか? そうですけどそれが何か?」
「あ、うん……それだけです」
「…………」
会話終了。
(会話が続かねえー!)
(苦労していますねえ主)
するとシンの背負っているヴィアから支給された生活用品が入っているリュックの隙間からデスティニーが顔を覗かせた。
(デスティニー……なんでフェイトちゃん、あんなに冷たいんだろう……?俺嫌われているのかな?)
(ヴィアさんから聞いた話なのですが、フェイトさんは長い間自分の使い魔とプレシア、そして彼女の使い魔と4人だけで暮らしていたそうなのです、だから突然現れた主にどう接していいかわからないのでしょう、ファーストコンタクトもあんなのだったでしょう?)
(う、うん……)
シンはオーブでフェイトと初めて出会った時、彼女に電流をお見舞いされたことを思い出した。
(でもなあ……これからどれだけ一緒にいるかわからないし、フェイトちゃんとは仲良くしたいんだよなあ、こんな調子じゃそのうち息が詰まっちゃうよ)
(災難でしたね……でもご安心ください、何があろうと私は主を守りますので)
(ありがとうデスティニー)
そして数分後、シン達は遠見市にあるとても高級そうなマンションにやってきた。
「ここが私たちのアジトになります」
「うわー、うちより高級だー」
シンは関心しながらフェイトに連れられて、彼女達のアジトであるマンションの一室にやってきた。そしてそこで……。
「おお! お帰りフェイト〜!」
「うわあああああ!? 犬がしゃべった!?」
シン達の身の丈を軽々と越える大きさの巨大な犬らしき生き物が、人間の言葉をしゃべりながら彼らを出迎えたのだ。
「ああん!? 私はオオカミだよ!失礼なガキだね!」
巨大な生き物はシンに犬と呼ばれ、牙をむき出しにして怒りを露にする、フェイトはそんな生き物をなだめるように優しく声を掛けた。
「アルフ……シンさんを怖がらせちゃだめだよ」
「へいへい、怖がらせなきゃいいんだね。」
そう言ってアルフと呼ばれたオオカミはにやりと笑うと、発光と共に犬耳をはやした16歳ぐらいの腰まで伸ばしたオレンジ髪の少女に変身した。
「えええええ!?人間になった!?」
「主、あれが使い魔です、使い魔は人間と動物、両方の姿に変身することができるのですよ」
「ああん?なんだいこのちみっちゃいの?」
リュックから出て使い魔に関する説明するデスティニーを見て、アルフは首を傾げる。
「ヴィアさんが作ったデバイスなんだって、仲良くしてあげてね」
「ふん!」
アルフはつまらなさそうにシン達に背を向けると、そのまま寝室へ向かって行った……。
「嫌われているな……」
「ごめんなさい、後で叱っておきますから……」
「主、とりあえずフェイトさん達のジュエルシード探索開始までまだ時間があります、その間に魔法の使い方を勉強しましょう」
さらに数分後、シンはデスティニーとフェイトと共にマンションの屋上にやってきた。
「それではまずバリアジャケットの装着から始めましょう、私が前に立ちますので主は『デスティニー セットアップ』と唱えてください」
デスティニーはふよふよとシンの目の前で浮きながら彼に合図を送る。
「う、うん……『デスティニー、セットアップ』」
その瞬間シンは光に包まれ、身にまとっていたものすべてが光となって散ったあと、上から順に深紅のローブが彼の身に纏われていった。そして両腕にはロボットのように機械的な青い籠手が装着された。
「な、なんか少女漫画の変身みたいで恥ずかしい……」
変身を終えたシンは先ほどの変身する自分の姿を思い出し赤面する。一方その光景を傍から見ていたフェイトは少し驚いていた。
(すごい……この子、長い詠唱も無しに変身した……)
「主、次はもっと変身ヒーローっぽく魂込めて言ってみましょうね」
「ええー!? やだよ!恥ずかしいよ!」
「んじゃバリアジャケットも着たことですし、次に魔法の使い方を勉強しましょう、そこにいるフェイトさんが使っているバルディッシュは、杖を様々な形に変形させるタイプなのですが……私のはちょっと特別なのです」
そう言ってデスティニーは自分の目の前に魔法陣を展開し、そこから様々な武器を出してきた。
「うわ!なんだこれ……?」
「これはビームライフル、威力もそこそこの光線を出す銃です、この二対の剣はフラッシュエッジ、投げればブーメランにもなります、この深緑色の筒は大型ビーム砲、ビームライフルより太いビームが撃てます、その水色は大剣アロンダイト、主にはまだ早いかもしれませんね、そして……」
武器の説明を一通り終えたデスティニーは、指をパチンと鳴らす、するとシンの背中に赤く光る透明な翼が生えてきた。
「うわ!何これ!?」
「その翼があれば主は自由に空を飛べますよ、試しにやってみます?」
「う、うん!」
シンはそう言って背中に生えた翼をパタパタと羽ばたかせる、するとシンの体は少しずつ空中に浮きだした。
「すごい!僕飛んでいる!」
「このように私に言っていただければ主の望む武器を取り出すことができます、あと……主の腕に付いているその籠手のことなのですが……それはシールドとして使用すること以外お勧めできません」
「え? なんで?」
シンは両腕に装着されている籠手を見つめながらデスティニーに質問する。
「その籠手……パルマフィオキーナは威力が高い分、その反動が腕にダイレクトに伝わってしまうのです、下手をしたら腕の骨がグチャグチャになる可能性も……」
「うえ!? あ、危ないねそれ! わかったよ、なるべく使わないようにするよ……」
「それでは今度は回復魔法の勉強をしましょう、フェイトさん手伝ってください」
そしてデスティニーの魔法講座は夕方まで続いた……。
それから一時間後、空もすっかり暗くなった頃……シンとフェイトはバリアジャケットに身を包んでジュエルシード探索の為マンションの屋上に来ていた。
「この感じ……フェイト」
「うん、ジュエルシードがこの近くにある」
広域探査の魔法を発動させながら、アルフは狼形態のままフェイトと話合う。
「すげー……何言っているのか全然解んねー」
「私達完全に蚊帳の外ですね」
一方話について行けないシンとデスティニーは一歩離れた位置で2人のやりとりを見学していた。
「あのー……僕らに何かできる事は……」
「ああん!? アンタらに出来る事なんて何もないよ! 大人しく後ろで見ていな!」
シンはいたたまれず協力を申し出るが、アルフに鬱陶しそうに拒否されてしまう。
「ううう……やっぱり嫌われている……」
「とにかく急ごう、あの子が出てくる前に……」
そう言ってフェイトはアルフと共に飛行魔法を使って夜空に飛び出していった。
「ああ待って!デスティニー翼を!」
「はいはーい」
数分後、アルフと並行して飛翔するフェイトは彼女に話し掛ける。
「アルフ……さっきのは良くないと思うな、シン君がかわいそうだよ」
「だって……」
初めて会った数日前までは魔法など一切知らず、狼形態のアルフが喋ったことにとても驚いていたような子供が、この一日でフェイトに迫る程の魔法の技術を身に着けてしまったシンに対し、アルフは少なからず畏怖の気持ちを抱いていた。
「確かにこの状況になったのは私達にも責任があるよ、でもジュエルシード集めを手伝わせなくても……私達だけで十分じゃないか!」
「でも私達が集めるのが遅いのは事実だし……」
「そんなの!あの女がわがまま言っているようなもんじゃないか!それに……フェイトだってあいつとはあまり話出来ていないじゃないか」
「うっ……」
痛いところを突かれフェイトは顔をしかめる。 「だって……」
「だって?」
「私……男の人となんて話したことないんだもん、どうすればいいかわからないよ……」
今までフェイトの周りにいた人間はフェイトが覚えているだけで女ばかりで、いわばシンはフェイトにとって初めて会う男なのだ。
しばらく沈黙したあと、二人は深くため息をつく。
「とりあえず後で謝ろう、さすがにかわいそうだよ」
「わかったよフェイト……とにかく今はジュエルシードが最優先だ」
そして二人は後ろからシンが付いて来ているのを確認し、ジュエルシードの反応があった方角に向かって行った。
そして数分後、三人は夜の繁華街にやってきた。
「結界が張られている……フェイト、この感じは……」
「うん、あの子も来ている」
「あの子って?」
「私達と同じようにジュエルシードを集めている子がいるんだ。今近くに来ている」
そして三人はジュエルシードを目視で確認できるところまでやって来た。
「いくよバルディッシュ、ジュエルシード封印!!」
ジュエルシードに向けフェイトの持つバルディッシュから黄色く細長い光が放たれる、だが反対方向から何者かが桜色の光線を放ち、フェイトの放った光線とぶつかりあい封印を阻止されてしまった。
「封印できなかった!?」
「やっぱりあの子か!?」
すると桜色の光がきた方角から白い服を着た少女が飛来してきた。
「フェイトちゃん!」
「あの子がさっき言っていた子?」
「ああ、名前は……アレ?」
「そういえば聞いてなかったね」
「知らないの!?」
思わず2人にツッコミを入れるシン。
「なのはだよ。」
するとシン達の話を聞いていた白い服を着た少女が自ら名乗る。
「この前は自己紹介できなかったけど、私高町なのは、私立聖祥大附属小学校三年生!」
次々と自分の事を話すなのは、だがフェイトは何も応えずバルディッシュを構える。
「フェイトちゃん!?」
「シン君はジュエルシードをお願い、私達は急がなきゃいけないんだ」
「わ……わかったよ」
ジュエルシードに向かうシン、だが突然シンは何も無いところでころんでしまう。
「うわあっ!? 何この輪っか!?」
「バインド!? アイツの使い魔か!」
シンの体に複数の光の輪が巻きついており、動きが封じられていた。
「まったく、足引っ張ってんじゃないよ!」
「ここは私にお任せを、アルフさんは術者を探してください」
「私に命令するんじゃない!」
そう言ってシンに魔法を掛けた術者を探しに何処かへ去っていくアルフに対し、フェイトはこくんと頷いてなのはの方へ飛んで行く。
「くそっ! はずれない……!」
「落ちついてください主、今外す方法を探します」
地面でじたばたともがくシン、だがバインドが外れることはなかった。
「フェイトちゃん!」
上空で対峙するフェイトとなのは。
「話し合うだけじゃなにも伝わらないって言ってたけど、言葉にしなきゃきっと伝わらないこともあるよ、奪い合ったり、競い合ったりするのは、それは仕方の無い事かもしれないけど。だけど!」
無表情でバルディッシュを構えるフェイトに対し、必死に自分の思いを訴えかけるなのは。
「何もわからないままぶつかり合うのは私、嫌だ !私がジュエルシードを集めているのはユーノ君のお手伝いのため!でも今は自分の意思でジュエルシードを集めている、自分の周りの人達に危険が降りかかるのがいやだから!」
一呼吸おいて
「これが私の理由! フェイトちゃんは!?」
「私は……」
なのはの言葉を受けて、フェイトの心に少しばかり迷いが生じる。
「フェイト!答えなくていい!!」
すると二人の会話に術者を追いかけていたアルフが横槍を入れる。
「私達の最優先事項はジュエルシードの鹵獲だよ!優しくしてくれる人達のところでぬくぬく暮らしているガキンチョになんか、何も答えなくていい!!」
フェイトはその言葉に答えるようにバルディッシュを構える、そんな彼女を、なのはは悲しそうに見つめていた。
「…ごめんなさい」
そういってフェイトはジュエルシードへ向かう。
「やらせない!!」
後からなのはも追う。そしてなのはのレイジングハートとバルディッシュがジュエルシードの上で交差し、ピシッピシッとヒビが入る。
「「!?」」
次の瞬間、ジュエルシードから放出された魔力の光が衝撃波となって辺りに広がった。
「きゃあああああ〜!」
「くっ……!」
一方いまだに縛られたままのシンと、彼を助け出そうと奮闘するデスティニーは、フェイト達を襲った異変を感じ取った。
「なんだよこの光……!?フェイトちゃん……!」
「主、どうか冷静に」 このままじゃフェイトが危ない、だが自分は動けずなにも出来ない、そんな歯痒さがシンをイラつかせた。
「こんなことで……こんな事でー!」
その時、シンの頭の中に種が割れるイメージが浮かんだ……。
「主……!?まさかあの力を!?」
光が晴れ、二人は数十メートルジュエルシードから距離を置くフェイトとなのは。
「ごめんねバルディッシュ、戻って」
フェイトは傷だらけになったバルディッシュを待機状態に戻し、今だに宙に浮くジュエルシードを目で捕える。
「ジュエルシードを……!」
フェイトはジュエルシードのもとへ飛びつき、両手でそれを包み込んだ。
「フェイト!!」
「!!」
するとフェイトの指の隙間から大量の光が漏れだした、ジュエルシードが暴走しかかっていたのだ。
「止まれ……!!」
だが光は収まらない。
「フェイト! 無茶だよ!」
アルフの声が辺りに響く。
「止まって……!」
それでも光は収まらず、フェイトは膝を着いてしまう。
「止まれ……! 止まれ……! 止まれ……! 止まれ……!」
グローブが裂け、血しぶきが飛ぶ。
「くっ……!」
このままじゃフェイトの体が持たない、そう思いアルフが駆け寄ろうとしたその時、横に凄まじいスピードで何かが通り過ぎた。
「いまのは……シン!?」
「フェイトちゃん! 大丈夫!?」
「シン君!? その目は……!?」
フェイトの目の前にはバインドで縛られていたはずのシンがいた、彼は傷だらけのフェイトの手を自分の手で包み込む。そして、
「止まれーーーーー!!!」
力の限り、気持ちを込めて叫んだ、するとジュエルシードは徐々に光を弱め、やがて沈黙した。
「や……やった」
息を切らしながらフェイトのほうを見るシン、だが
「うっ……」
「シ……シン君……」
二人とも力を使い果たし、その場で倒れてしまった。
「フェイト! シン!」
「アルフさん! 2人を抱えて撤退を! ジュエルシードは私が!」
デスティニーとアルフは二人の下に駆け寄り、なのはを一瞥したあと二人を抱えその場から撤退していった。
「なのは! 大丈夫!?」
一人その場に残ったなのはのもとに一匹の喋るフェレットが近づいてくる。
「私は大丈夫だよ、それよりもレイジングハートが……」
「これぐらいなら自己修復機能で明日には治っているはずだよ」
「よかった……でもあの男の子、一体なんだったの?」
なのははフェイト達と一緒にいた見知らぬ男の子のことを思い出していた。
「さあ?でも油断しないほうがいい、さっきの力……なんだか得体が知れない、魔法とは違う何かが……」
「シン君って言っていたっけ?なんだったんだろうあの子……?」
それから数時間後、シンはアジトのベッドの上で目を覚ました。
「あれ……? いつの間に眠って……」
「目を覚ましましたか」
するとそこに絞ったタオルを持ったデスティニーがやって来た。
「デスティニー、僕は一体どうしたの?」
「あのジュエルシードが暴走した際、主とフェイトさんが力ずくで抑えたのです、そして力を使いすぎて……」
「そうだったんだ」
そしてシンはふと、自分の掌を見つめながら先程の出来事を思い出す。
(さっきのあの力……何だったんだろう? あれもジュエルシードの力なのかな?)
その時、シン達のいる部屋の扉がバンと開かれ、そこから人型のアルフとフェイトが入って来た。
「シン!目が覚めたのかい!?」
「アルフさ……わぶっ!?」
そしてアルフはシンが起きていると解るや否や、彼に飛びついて思いっきり抱きしめたのだ。
「ありがとー!フェイトを助けてくれてありがとー!あんためっちゃいい奴だったんだね!つれない態度とってごめんよー!」
「あ、アルフさん……苦しい……!」
シンはアルフの豊満な胸に顔を覆われ、息ができない状態だった、そしてその様子に気付いたフェイトはアルフを慌ててシンから引き剥がす。
「アルフ、それじゃシン君が息出来ないよ」
「ああ、ごめんごめん」
「ぷはっ!死ぬかと思った……」
アルフの胸から開放され九死に一生を得るシン、そしてそんな彼にフェイトは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめんなさいシンさん、私が不甲斐ないばっかりにアナタを危険な目に遭わせて……」
「そんな、謝らなくていいよ、僕はただフェイトちゃんを助けたかっただけなんだから」
そしてシンはフェイトの手に包帯がグルグルと巻かれている事に気付いた。
「フェイトちゃん……もしかして手を怪我しているの!?」
「あ、いや……」
フェイトはばつが悪そうに自分の手を背中に隠した。
「どうして……どうしてそこまで無理をするの!?そこまでやる必要なんてないじゃん!ジュエルシードがどこまで重要な物か知らないけど、君がそこまでやる必要なんて……!」
「……!」
するとフェイトは少し興奮したように声を荒げてシンに反論した。
「それでも……それでも私は母さんの為にやり遂げなきゃいけないんです!」
「フェイトちゃん……」
普段大人しいフェイトが声を荒げた事に驚くシン、一方のフェイトは何も言わず俯いてしまい、アルフはどうすればいいか解らずオロオロしデスティニーは黙って様子を見ていた。
「…………はあ、フェイトちゃんって本当頑固なんだね……」
そう言ってシンは突如、俯いているフェイトの頭を優しく撫でた。
「し、シンさん!?」
突然の事に動揺するフェイト、そしてそんな彼女はお構いなしにシンは話を続けた。
「フェイトちゃんがそうやって我儘を言うんだったら……こっちだって無理にでも君に協力するよ」
「え?でもそれじゃシンさんが危険な目に……」
するとシンはフェイトの言葉を遮るように彼女の唇に自分の人差指を添えた。
「目の前で女の子が危ない目に遭っているのに、何もしないなんてカッコ悪いじゃん、だから……ね?」
「わ、わかりました……」
そしてシンはある事を思い付いたようにフェイトにある提案をする。
「そうだ!僕もどれだけここにいるか解らないし……お互い協力しあう仲なんだしもうお互い他人行儀で呼び合うのはやめにしない?僕の事はシンって呼び捨てでいいよ!僕もフェイトって呼ぶから!」
「え?えっと……」
フェイトは完全にシンのペースに圧されていた、そして今まで2人の様子を窺っていたアルフとデスティニーからも意見される。
「いいじゃんフェイト!シンは強い子だし、仲良くしておいて損はないと思うよ!」
「私からもお願いしますフェイトさん……」
周りからの意見で完全に逃げ場を失ったフェイトは、恥ずかしそうに顔を赤くしながら、ぼそぼそとシンの名前を呼んだ。
「そ、それじゃぁ……シン、これからもよろしくね……」
「うん!こちらこそよろしく……フェイト!」
その日、シンとフェイトとの距離が少しだけ縮まったのだった……。
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