ミルキィ同人小説「激情版MH 小衣チェイス」試し読み |
「いやぁ、やっぱりココロちゃんは可愛いですよね。たまらないですよ」
机上の真新しい新聞をうっとりと眺めて、僕は言う。
上司はあからさまに顔を曇らせた。
「あのクソ生意気な小娘がか? 相変わらずお前の趣味はわからんな。……まあいい。そのロリコン魂で 取材の方もよろしくな。期待してるぜ、稼ぎ頭」
「はいはい。なんてったって、僕のIQは1300ですからね」
「やめろ……あの金切り声を思い出す」
上司は頭を抱えてみせる。
「クセになりますよね!」僕、満面の笑み。
「いいから行け」しっしっ、と上司は悪態をついた。
僕は新聞記者として、後に〈トイズの眠る夜〉と呼ばれることになる、ある事件に深く関わった。何の因果か、僕はこの事件をもっとも近くで見ていたことになる。
そして今回、その事件の顛末を詳細に記述しつつ、かつ大胆に脚色をしたテレビ番組「密着24時! 警察オペラ アケチィココロ」の制作が決定した。制作はもちろん超ヨコハマ放送局だ。早くも「ヨコハマ1のおもしろ番組!」という触れ込みで続々と広告を打っている。社運賭けすぎじゃないか? まだ制作にとりかかってもいないというのに、色々と大丈夫なのだろうかと不安になってしまう。
さておき、当然のように僕はその事件の情報を提供することになった。それと同時に、僕の方としても、その制作の様子を取材して新聞記事にしてしまおうという魂胆だった。世の中、持ちつ持たれつだ。
しかし、その前に重要な取材が入っていた。「密着24時! 警察オペラ アケチィココロ」の元ネタである実際にあった事件〈トイズの眠る夜〉の立役者である超ヒロイン・明智小衣に、事件が終わった現在の心境を赤裸々に語ってもらうのだ。彼女のエキセントリックな言動に僕は釘付けで、今から話を聞けるのが楽しみでならない。
僕はデスクの上に散乱したペンを数本と、小さなノートを一冊、ICレコーダー、そして一眼レフカメラを肩掛け鞄に突っ込んだ。
「たぶん夕方には戻ります」
上司は「あいよー」と気のない感じでひらひらと手を振っている。
それを背後に感じながら、僕は社を後にした。
??寂びれた地域新聞社の隅っこにある僕の小汚いデスクに、刷り上がって間もない、綺麗な新聞が無造作に置かれている。一面トップには、かっちりとした制服を着て、恥じらいなのか怒りなのかわからないほどに顔を赤くした金色の巻髪の美少女の写真が載っていた。モノクロでもその顔が赤いことがわかるほどだ。
その新聞の見出しにはこうあった?「明智小衣はひどく赤面した」
いずれにせよ、それは何かを成し遂げた人間にのみ許される表情だった。
これから語るのは、ヨコハマの探偵と怪盗、そして市民をあらゆる意味で震撼させた〈トイズの夜〉から、ヨコハマの探偵と怪盗を驚愕させた〈トイズの眠る夜〉へと至る、たった二日間の物語だ。僕がこの事件について知り得るすべてだ。
ともあれ始めるとしよう。与えられた劇場ではなく、いまここにある激情を。
説明 | ||
冬コミ2日目東ポ-57b サークル「超ヨコハマ新聞」から発売されるバトル長編小説「激情版MH 小衣チェイス」の試し読みです。「第〇章 捕物語 小衣フェイス」のみを無料公開します! 続きは紙で! |
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