そらのおとしもの 焼肉戦争 |
鳳凰院家とのモニターゲームを終え、秋山のおごりで焼肉を食べることになった。
「さてと今回は俺のおごりだ。じゃんじゃん食べていいぞ」
焼肉屋でそれなりの大人数が座れる席に座る智樹達。
その席周りはぶっちゃけた話、智樹、イカロス、ニンフ、アストレア、そはら、守形、美香子、カオスのいつもの円の並び順に日和と秋山を加えたものであった。
「それで何を頼んでもいいのか?」
「普通なら限度無しと言ったら、俺の財布がピンチ……だが大丈夫だ。
今回ばかりは金を出しておくからな」
秋山が札束を召喚する。
「いぇ〜い!」
「これでお肉食べ放題ってことですよね?」
アストレアがよだれを流しながら尋ねる。
「ああそうだ」
「おまたせしました〜」
店員が肉を乗せた皿を持ってくる。
「あ、どうも」
秋山が皿を受け取る。
「それじゃあ……」
『いっただっきま〜す!』
そらのおとしもの 焼肉戦争
「時は来た。参加する者達は9人。彼らは生肉を焼いて育て上げ、焼き上げられた肉をめぐって奪い合う。
それが……焼肉戦争」
「なにぶつぶつ言いながら肉を焼いてるのよ?」
ニンフにツッコまれる秋山。
「面白くするならこうした方がいいだろ。
事実、焼肉はこういう団体だと奪い合うものだ」
「確かにそうだな」
守形と美香子の目が変わっていた。
「先輩…」
「会長……」
余談だがアストレアもよだれを流しながら目の色が変わっていた。(イカロスみたいに物理的ではなく)
「もうそろそろかな」
「いや、まだだな」
カオスが肉の一つを取ろうとしたが、秋山が止める。
しかし……。
「いっただき〜♪」
アストレアが秋山の育てようとした肉を取ろうとする。
だが……。
「Artemis」
「ぎゃああああああ!!」
イカロスのArtemisの餌食となり、倒れた。
「いただきます」
イカロスの箸には肉があり、イカロスは肉を食べる。
「バカねデルタ。アルファーが狙ってることに気づかなかったなんて…」
「これ、私大丈夫ですか?」
日和が心配する。
「死ぬことはないだろ。あいつは別だけど」
秋山が智樹を指差す。
「俺!?」
「お前はギャグパートだと死ぬ確率は高いからな。この話はギャグパートだ。死ぬこと前提でこの焼肉戦争に臨め」
「臨めるかーーーーーーー!!」
「しかしニンフの言うことをそのまま肯定するわけではないが、お前達は愚かだな」
『え?』
秋山の愚か発言に一同が注目する。
「どんなものでも肉はおかずにしかすぎん。ご飯が来るまで食べるべからずだ」
「それ、あんたの持論でしょ?」
「そうだ。押し付けるとまでは言わんが、ご飯があれば焼肉もうま味を増す」
「ご飯をお待ちのお客様、お待たせしました〜」
秋山の所にご飯が運ばれる。
「さてとこれで俺も食べれるぞ」
そうは言いながらもきちんと新しく肉を焼き続ける秋山。
その間に復活するアストレア。
網の上に置かれた肉は既に100枚と言う大量であった。
「随分多いわね」
「これだけあれば争うことはないだろ」
「そうだよね」
智樹とそはらはたかをくくっていた。
「それじゃあいただき……」
智樹とそはらが普通に自分の目の前にある焼肉を取ろうとした瞬間に目の前の肉がなくなってることに気づく。
「あれ?」
「に、肉が消えた……」
肉が消えた理由、それは守形や美香子、それにイカロスとカオスが中心となって肉を奪いあっていた。
「この肉は英君だろうと譲れないわよ!」
「それはこちらのセリフだ、美香子!」
二人の箸と箸がぶつかり合って火花が散るほど。
だがイカロスとカオスはそれ以上のことをしてた。
「Artemis」
イカロスがArtemisをカオスに向かって撃つが、カオスは羽を尖らせてArtemisを迎撃。
それと同時にイカロスと箸と箸のぶつけ合いをしていた。
アストレアは肉を取ろうとしたらイカロスとカオスの戦いの余波に巻き込まれて倒れていた。
「いただ……」
ニンフは漁夫の利を得ようと、箸を伸ばすも箸が破壊されてしまう。
「なんて戦いよ。肉が取れない」
「これじゃあお肉が焦げちゃうよ〜」
戦っている者以外が嘆いているのをよそに……。
「ふむふむ……」
秋山が普通に肉とご飯を食べていた。
しかも自分が取った肉を日和にも分けていた。
「すみません、秋山先生」
「本当なら自分で取るのが至高だがな」
「ちょっと秋山! あんたどうやって取ってるんだ!?」
智樹が秋山に尋ねた。
「あいつらの戦いが激しいのは分かるがよく見てみろ。あいつらでも視認できてない部分は必ず存在する」
秋山が網の方に箸を伸ばす。
そして秋山の箸は肉に一つを取る。
肉はそのまま秋山の皿に乗せられた。
「す、すごい…」
「先輩達に気づかれずに肉を取るなんて……」
「これに必要なのは洞察力だな。まあ俺の場合は失敗して、腕が吹っ飛んでも問題ないがな」
秋山はさらりと怖いことを言う。
「とにかく何もしないよりは挑戦だ。
よく言うだろ。何もしないは何にも変わらない。何かをすれば変わる可能性は生まれる。
戦いにおいては黙って殺されるくらいなら抵抗して死ぬ。
抵抗すれば自分も死ぬかもしれないが、相手を倒せる可能性があるからな」
秋山はかなり意味深なことを言って、智樹達を奮い立たせた。
「何もしないくらいなら……」
「何かしろ……」
智樹達は焼肉の位置を確認しながら、守形達の視線に注意を向ける。
(先輩と会長は戦いながらも隙あらば肉を狙っては取っている。
イカロスとカオスもだ)
(だけど四人とも見てない場所がある……)
(それは……)
三人がある焼肉地帯を見る。
(((ここだーーーーーーーー!!!)))
三人はその焼肉地帯の焼肉を見事にゲット。
そして肉をほおばった。
「うっま〜い」
「これが肉だよな♪」
「ほんとほんと」
「ニンフ先輩達、ずる〜い!」
アストレアが目を覚まして文句を言う。
「私だって焼肉食べた……きゃーーーー!」
先ほどまでの安全地帯は既に危険地帯へと化していたのにも関わらずアストレアは箸を伸ばしてしまったためにイカロス達の攻撃の餌食となり、再び倒れた。
「アストレアさん……」
「やっぱりバカね、デルタ」
「アストレアさん………でも私も頑張らないと…」
日和が先ほど秋山に言われたこともあって、何とか自分で取ろうとする。
(安全な場所は……)
日和は何とか安全地帯を見つけて箸を伸ばした。
しかし……。
「え?」
安全地帯は途中で危険地帯へと変わり、四人の攻撃の余波が日和を襲おうとする。
「風音、危ない!」
智樹が日和を庇い、攻撃の余波をくらった。
「ぐはっ!」
「桜井君!」
日和が吹っ飛ばされた智樹の所に駆け寄る。
「桜井君、大丈夫?」
「風音、無事か?」
「私は大丈夫」
「智ちゃん!」
「トモキ!」
そはらとニンフも駆け寄って来た。
そしていつの間にか全員(アストレア除く)が智樹の所にいた。
「マスター!」
「お兄ちゃん!」
「大丈夫かしら、桜井君」
「焼肉……もっと食べたかったな…」
智樹は意識を失った。
『智樹(智ちゃん)(桜井君)(マスター)(お兄ちゃん)!!』
「食事中は静かにしろ」
秋山は平然と焼肉を食べていた。
そして帰り道。
「結局1枚も食べれなかった〜」
アストレアは焼肉を1枚も食べれずに終了。一番食べたのは戦いながらも焼肉をゲットしていた守形と美香子が同率。
その次が秋山、イカロス、カオスの順番で食べた数が多かった。
そはら、ニンフ、日和は5枚以下と言う結果であった。
「お腹すいた! お腹すいた!」
アストレアが駄々っ子のように手をじたばたさせる。
「ほらよ」
秋山が肉まんを召喚する。
「わぁ〜い♪ 肉まんだ〜♪」
アストレアが秋山の手から肉まんを取ろうとしたら……。
「おらあああああ!!!」
秋山は遥か空へと肉まんを投げ飛ばした。
「待ってーーーーーー!!」
アストレアは飛んで行った肉まんを追って飛んで行った。
「これで静かになった」
「あんた、思ったより鬼ね」
「たまにはな……」
秋山は夜空へと飛んで行ったアストレアの方を見る。
「とりあえず帰るぞ」
こうして一同はアストレアを無視して帰るのであった。
終わり
説明 | ||
今回の話は「そらのおとしもの 電脳世界の不可思議(モニタリング)」の後日談となっています。 http://www.tinami.com/view/341254 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1222 | 1202 | 2 |
コメント | ||
つまり、日和みたいに慎ましくしていればアスなんとかさんも焼肉を食べられたのでしょうかね?(枡久野恭(ますくのきょー)) …で、聖杯(焼き肉)をゲットできなかったアストレアは次回の聖肉戦争でも戦い続けると。一応セイバー(剣)ですしね、仕方ないですね。(tk) |
||
タグ | ||
そらのおとしもの 桜井智樹 秋山総司郎 イカロス カオス 守形英四郎 五月田根美香子 焼肉 | ||
BLACKさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |