きみがキッチンに立つまぼろしを見た |
「燐は将来素敵なお嫁さんになれるね」
そう、燐の胸に爆弾を放った本人――杜山しえみは、シチューのスプーンを口に運び、ほっぺたに手を当てて「美味しい」と連呼している。
一方の燐はタイミング悪く水を飲んでいたところで、吹き出しそうになるのを必死にこらえた。
げほげほとむせていれば「大丈夫、燐?」と尋ねてくる。
お前の頭が大丈夫かよ――という言葉は飲み込んで、テーブルの向こう側の相手を見据える。
「普通そこはお婿さんだろ……!」
「ご、ごめん! ……でも、とっても美味しくて…………」
もじもじしながらもごもご言う。
突っかかっているつもりはないが、それにしてもお嫁さんはない。断じてない。
「私、お料理あんまりできないし。特に洋物のことはよくわからないから……燐はやっぱりすごいよ」
ま、当然。
燐が鼻の下を伸ばしかけた時、
「そうだ、私がお味噌を作るから燐はそれでお味噌汁作ってよ! 」
「は、はあ!?」
超展開に燐はついていけない。
けれど、しえみの方は瞳をきらきらさせて、
「燐の美味しいお味噌汁が毎朝食べれたらすてき!」
本当は作り方も教わりたいんだけど、そこまで迷惑かけれないし――うんたらかんたら。
燐の美味しいお味噌汁が、毎朝、毎朝、毎朝食べられたらすてき!
しえみの言葉が頭をかけめぐり、心臓がヒートアップする。何故だかわからないがスプーンを握る手が震えているし、椅子に座っているのに膝が笑っている。
「お前、意味分かって言ってんのか?」
妙な緊張感に襲われながら、恐る恐る訊いてみた。
うん、勢いよくかぶりを縦に振ってしえみは言う。
「そういうの、
ぎぶあんどていく≠チて言うんでしょう?」
楽しみにしててね、燐。
蕩ける笑顔を浮かべるしえみに燐は頭を抱えた。
どうしてか目頭が熱かった。
2011*8/10
天然キラーなんだけどしえみちゃんここまで鈍くはないかな。何が書きたかって、辟易するかわいい燐君をだよ(爆)
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タイトルは変身様よりお借りしました。初燐しえです | ||
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二次創作 青の祓魔師 燐しえ 杜山しえみ 奥村燐 | ||
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