壱の太刀 |
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四尾の待宵── 室町時代後期、難所麻績峠における開拓・交易を良しとし土民と妖怪双方に益を齎した神狐である。 九尾を経て四尾に至るまでの期間が極めて短い事から、江戸時代に創られた『玉藻前』の伝説に関連性を見出されているが、 出生には謎が多く、台頭の余地が無いほど強力な妖怪が跋扈した時代に出世を重ねられたかは不明な点が多い。 中央神話における化生の発生は根源的な『欲』にまつわる話が多いため強大な神妖も多いが、 土着神話はある種地域独特の『念』が関わる。中央や族長等に対する憎悪・嫉妬などにより禍々しい存在が多く見られる。 他方で戦時などの特殊環境下において困窮の果てに願ったものが平穏や豊穣であったとして、 土地神として管轄の自治に尽くしたという例は上野の綾高に代表されるようにある程度存在したようである。 (※ただし綾高は強大な中央神の台頭により遅くとも第一次妖怪大淘汰の際に姿を消したとされる) 話を戻すが、待宵の土地神在位期間は驚異的ですらある。 亜米利加のギネスブックというのに掲載されても何ら不思議ではないだろう。 兎妖に乗っ取られた食堂と言い、種正とはげに奇々怪々で面白い町である。 桐島藤吉著『現代人妖新考』 川相書房 ISBN 430968184X 桐島藤吉(1890-1978):民俗学者、著書に『籠』・『現代人妖新考』など |
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