寂しがり屋の女の子の為に…… 拾玖話
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「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

やばい、沈黙と視線が痛い……

今は、反董卓連合の集合場所へと向かっている。

別にそれに問題は無いんだ。

問題は俺と一緒に馬に乗っている人が居るということだ。

最近俺は一人と仲良くしようとすると皆嫉妬の視線を向けてくる。

だから、誰かと馬に乗るだなんてことは禁忌に等しい。

それで誰とその禁忌を行っているかと言うと……

曹孟徳こと、俺の伴侶の華琳だ。

 

「♪〜〜♪〜〜〜♪〜♪♪〜〜♪〜〜」

 

機嫌良さそうに鼻歌なんて歌っちゃってさ〜……

俺が嫉妬の視線を受けていることだなんてお構いなし。

まぁ、自分の愛する人が上機嫌ならこれ以上嬉しいことはない。

だけど、嫉妬の視線を向けられるのは嫌だ。

でも、降りろだなんて言える訳が無い。

無いんだけど視線が痛い……

 

「う〜……」

 

そんな風に唸っていると

 

「華琳、袁紹の陣地が見えたぞ。

他の諸侯の旗も多く見える」

 

夜月がそう言った。

俺を方を見て微笑みながら。

ああ……夜月、お前だけが俺の味方だ……

 

「曹操様!ようこそいらっしゃいました!」

 

そう言いながら顔良が微笑みながらこちらに近づいてきた。

これは営業スマイルと言う奴だな。

 

「顔良か、久しいわね。文醜は元気?」

 

いやな、華琳、他の諸侯の将の前何だから降りてくれないか?

ちょっと顔良が顔を赤らめながら見てるから。

 

「は、はい。元気過ぎるくらいですよ」

 

「結構なことね。……それで、私達はどこに陣を張れば良いのかしら?

案内してちょうだい」

 

華琳、全て分かってる様な笑みを浮かべるなよ……

顔良が可哀想だろう……

 

「了解しました。それから曹操様、麗羽様がすぐに軍議を開くとのことですので本陣までおいで頂けますか?」

 

あ、復活した。

 

「分かったわ、凪、沙和、真桜、夜月、顔良の指示に従って陣を張っておきなさい。

それから桂花と美蓮はどこの諸侯が来ているのか早急に調べておきなさい」

 

「「御意(じーーー)」」

「分かったの(じーーー)」

 

見られてる……思いっきり見られてる……

 

「私は麗羽の所に行ってくるわ。

春蘭、秋蘭、それから一刀は付いてきなさい」

 

「はっ!」

 

「了解です」

 

「……俺もか?」

 

俺は凪達を率いて陣を張った方が良いと思うんだけどな……

 

「あなたは剣神劉郷なのだから付いてきなさい」

 

「どんな理由だ……まぁ、良いけどな」

 

もし、この時華琳から殺気が放たれていなかったら俺は何があっても付いて行かなかっただろう。

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本陣

 

「おーっほっほっほ!おーっほっほっほ!」

 

「な、何だ……!?」

 

顔良に本陣着いた瞬間そんな笑い声が聞こえた。

何と言うか少し耳障りだ。

 

「……久しぶりに聞いたわね。その耳障りな笑い声。

……麗羽」

 

麗羽って確か袁紹の真名(らしき物)だよな?

ってことはあの耳障りな笑いをしてるのが袁紹か。

 

「華琳さん、良く来てくださいましたわ」

 

耳障りな笑い声と言うところは無視か。

まぁ、そんなことはどうでも良いがな。

 

「さーて、これで主要な諸侯は揃ったようですわね。

華琳さんがびりけつですわよ、びりけつ」

 

おいおい、そんなこと言ったら……

 

「……はいはい」

 

あれ?流した?

あ、そうか、袁紹の方が官位が高いのか。

 

「それでは最初の軍議を始めますわ。知らない顔も多いでしょうからまず、そちらから名乗って頂けますこと?

ああ、華琳さんはびりっけつですから一番最後で結構ですわよ。おーっほっほっほ!」

 

俺の好きな人がここまで言われるのは少し良い気分にはなれないな……

ここが反董卓連合なんて所じゃなかったら俺は恐らく斬り殺してるな。

実際に今俺、斬鬼に手を伸ばそうとしてるところを春蘭に掴まれてるし。

 

「……幽州の公孫賛だ。よろしく頼む」

 

「平原郡から来た劉備です。こちらは私の軍師の諸葛亮」

 

「よろしくお願いします」

 

あれが劉備と諸葛亮!?

どう見てもただのほんわか少女と小〇生にしか見えないぞ!?

それにこの時期にはまだ三顧の礼は済んでない筈だけど……

やっぱり俺の知ってる歴史とは全然違うんだな。

そんなことを思っていると次の諸侯の代表が立ちあがった。

 

「涼州の馬騰です。よろしくお願いします」

 

牡丹も来たのか。

いや〜久しぶりに会えて良かった〜

でも、話す機会は無いだろうなぁ……

 

「袁術じゃ、河北を治めておる。まぁ、皆知っておろうがの!

ほっほっほ!」

 

これが、悲惨な最期を遂げる袁術?

いや、こんな子が口から血を吐いて死ぬだなんて考えられないんだけど。

俺の知ってる歴史はもう役立たないってことにしとくか。

 

「私は美羽様の補佐をさせていただいています。

張勲と申しますー。こちらは客将の孫策さん」

 

孫策は立ち上がると黙礼を一つしただけでそのまま座ってしまった。

 

「次、びりけつの華琳さん、よろしくお願いしますわ」

 

「……典軍校尉の曹操よ。それからこちらは夏候惇と夏候淵……それから、劉郷」

 

華琳が俺を紹介した瞬間場がざわめいた。

ああ、俺が剣神劉郷だからか。

因みに俺が劉宏陛下の義理の息子だって言う設定は伏せてもらってる。

 

「あーら、その貧相なのが剣神劉郷とか言う輩なんですの?

どこかの下男かと思いましたわ」

 

「「「っ!」」」

 

おいおい、俺を罵倒した瞬間華琳、春蘭、秋蘭が武器に手をかけたぞ。

俺が目で制さなかったら斬りかかってたな。

 

「さて、それでは……最後はこの私、袁本初ですわね!」

 

そうださっき華琳の悪口を言ったから仕返しをしよう。

 

「袁紹殿、それは皆知っているから良いでしょう。

あなたは有名人なのですから」

 

「そ、それはそうですけれども……!」

 

「軍議を円滑に進める為の名乗りなのでしょう?

ならば、必要無いでしょう」

 

「うぅ……三日三晩考えた名乗りですのに……

まぁ、仕方ありませんわね。有名人なのですもの、私の事は皆、とっくに熟知しているということで」

 

たかだか名乗りの為だけに三日三晩考えたのか。

馬鹿だな……

 

「では、軍議を始めさせて頂きますわ!僭越ながらこの私!このわ、た、『早くしてください』さ、さて、

最初の議題ですけれど……このわ『まだ無駄話をするおつもりで?』げ、現状と目的の確認ですわ!」

 

「都で暴政を働いている董卓を討伐と言うことで構いませんね?

誰か董卓のことを詳しく知っているお方はいらっしゃいませんか?」

 

俺がそう尋ねると皆、首を横に振った。

 

「では、董卓の情報は逐次情報を集めると言うことにしましょう」

 

「つ、次は……都までどうやって行くかですわ!」

 

流石にこれ以上場を乱すのはまずいと思って俺は引込んだ。

 

「それは後クジか何かで決めましょう。

どうせ戦闘になれば配置を変えるのですから」

 

「良いのでなくて?経路は?」

 

「七乃、どう言う道程になるのじゃ?

皆に説明してたもれ」

 

「………」

 

袁紹め、そう言うの調べてなかったな。

 

「はい。この大人数ですから街道に沿った移動になりますねー

間の関所は氾水関と虎牢関ですからこの辺り、もしくはこの前後で戦闘が起こると予測されまーす」

 

何でだろう、この人にはバスガイドが向いている様な気がする。

 

「そ、そうですわね、恐らくその辺りで戦闘がありますわ。

それで……」

 

「関所の将は?」

 

「氾水関には華雄、虎牢関には呂布と張遼と報告が入ってますね。

ただ、この連合が出来る前の報告ですから改めて情報を集める必要があると思いますけど……」

 

呂布かぁ……戦ってみたいな……

って俺もすっかり武人になっちまったな。

もう『北郷一刀』としての常識まくなっちまったか。

あの飛将軍呂布と戦いたくなるだなんて……

 

「あのね白蓮ちゃん、調査くらいなら私達がやるよ?朱里ちゃんが、まずはこの辺りの小さな任務を引き受けて

様子を見た方が良いって言ってるし……」

 

「そうだな、それじゃ氾水関の調査は私の所でやろう。

機動力が高い兵も居るしな」

 

「なら氾水関の調査は公孫賛達で良いわね。

さしあたり必要なのは、そんなものかしら」

 

確かにもう、どうやって行くのかとか経路とかはもう決めたからもう他に決めることは……

 

「まだ大切な議題が残ってますわ!」

 

え?あるのか?何だろう?

 

「誰がこの連合をとりまとめ、仕切るかですわ!」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

呆れて物も言えないとはこのことか。

すごくどうでも良いと言うか……

この連携も何も無い一団を率いたい奴だなんて……

 

「私はする気は無いのですけれど……

家柄や地位を考えたら候補はおのずと絞られるのではないかしら、と思ったりしなくもないのですけれど……

でも、わーたーくーしーは、あくまでも……」

 

居たよ……でも多分、こいつだけだと……

 

「なら、妾が……っ!」

 

前言撤回……もう一人居た……

 

「はいはい。麗羽で良いわよ」

 

「もう何でも良いよ。他にやりたい奴は居るか?」

 

「妾が……っ!」

 

「なら決まりね。麗羽、あなたがやれば?」

 

軽いなぁ……

まぁ、どうでも良いけど。

 

「な、なら仕方ありませんわね、不祥この私、袁本初めがお引き受けしますわ!」

 

「なら、軍議も終わったことだし解散で良いわね?」

 

「そうですわね、なら、かい『解散!』」

 

春蘭の号令で解散となった。

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その後は俺達にはあまり関係ないから文章のみの説明することにする。

軍議の後、先鋒は劉備軍と公孫賛軍がなって氾水関を落とした。

その時劉備達が退いた隙を突いて一気に突破したのに袁紹が目を付けて因縁を付けて来たが劉備の仲介で

そこら辺は何とかなった。

何とかなったが虎牢関での攻略の指揮権を俺達が引き受けることになった。

まぁ、それも美蓮と桂花の策略だった訳だけど……

 

「予定通り、虎牢関の指揮権は引き受けて来たわよ。

これで良いのよね、桂花、美蓮」

 

「はい、ここで呂布と張遼を破れば、華琳様の名は一気に高まるでしょう。

それは華雄ごときの比ではありません」

 

「ただその分強敵なのです。

呂布さんの武勇は天下無双。

張遼さんの用兵は神出鬼没と聞きますです。

恐らく董卓軍最強の二人なのです」

 

あ、何だか嫌な予感……

 

「欲しいわね、その強さ」

 

当たったよ……

 

「華琳の悪い癖だな……

だが、天下無双の呂布に敵う者などこの陣営には……」

 

おい夜月、何で俺を見て黙る?

 

「まぁ、戦ってみたかったから呂布は俺が当たるよ。

張遼は……春蘭、やれるか?」

 

「はい、勿論です!

張遼の一人や二人!容易く連れて参りましょう!」

 

大丈夫かねぇ、春蘭調子に乗るとヘマしそうだし……

 

「っ!」

 

何だ、この頭痛は……!

 

「一刀、大丈夫?顔色が悪いわよ?」

 

「っぁ……ぐっ!」

 

「「「一刀(師匠)(劉郷さん)(劉郷)!?」」」

 

頭が割れる……!

喋ろうとしても何も言えない!

 

『ふふ……!楽しいなぁ、やっぱ本気で戦える相手っちゅうのは血が滾るわ!』

 

こいつは、誰だ?

 

『うむ!貴様程の使い手を制したとあらば、華琳様もお喜び下さるだろう!はーっはっはっは!』

 

成程、春蘭が戦っているということは張遼か。

だが、何故俺はここに居る?

俺は呂布と戦う筈だ。

張遼じゃない。

それ以前に俺はさっきまで華琳達の所に居た筈。

 

『姉者!』

 

『おう、秋蘭か!見よ、もうすぐ華琳様の前にこ奴を連れて行けそうだぞ!』

 

『そうか。なら、周りの敵は私が対処しよう。姉者は張遼を頼む』

 

『応っ!』

 

『気をつけてな』

 

『……すまん、待たせたか?』

 

『ええで。それよりあんた、あとどのくらい戦えそうや?』

 

『ふんっ。貴様の倍は合数を重ねてみせるわ!そんなこと気にせず、掛かってこい!』

 

『ええなぁ……それ、良過ぎるわ……!なら、遠慮なく行くで!』

 

『おう!来るなら……』

 

『姉者!』

 

秋蘭はそう言って春蘭を呼ぶ。

秋蘭が向いている方には矢を番えている兵士。

 

「くそ!」

 

俺は斬鬼を抜いてその兵士に近づこうとする。

だが、

 

「何で動けないんだ!」

 

足を動かすどころか斬鬼を鞘から抜けない。

こうしている間にも兵士は春蘭に向かって矢を放った。

 

「春蘭!避けろ!春蘭!」

 

俺が叫んでも春蘭は体を動かさない。

そして

 

『……ぐ……くぅぅ……っ!』

 

春蘭の目にに当たってしまった。

 

「春蘭!大丈夫か!」

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「春蘭!」

 

春蘭の名前を呼びながら起き上がる。

俺はどうやら眠っていたらしい。

華琳達が心配そうな顔をしている。

 

「一刀、大丈夫?」

 

「ああ、少し嫌な夢を見たけどな……

それより、戦況はどうなった?」

 

「ええ、最初は虎牢関を落とせそうになったのだけど途中、呂布が来て失敗したの。

その後また攻めようとしたら虎牢関は無人だったの」

 

「はぁ?」

 

何でそんなことに……

 

「どうしてかは分からないけど美蓮は董卓に何かあったんじゃないかと言っていたわ」

 

董卓に……まさか董卓も女で董卓よりもに手を出そうとした奴が居たのか?

それで誰かが董卓軍の将に始末させた。

と言う感じなら納得できそうだ。

 

「それで今、美蓮の立てた策で都を攻略しようとしているわ。

それで敵の抵抗が大人しかったから今日明日中に決戦を仕掛けてくる筈よ」

 

「そうか……なら俺もそろそろ起きるか。

こうしてる間にも決戦が始まるかもしれないし」

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫だよ」

 

俺はそう言って立ち上がる。

そして、夜月の肩に手を置いて夜月にしか聞こえないように耳打ちした。

 

「頼めるか?」

 

「良いだろう、お前の言うことならば信じてやる」

 

俺はその返事を聞いて微笑んだ。

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第三者視点

 

洛陽の街

 

洛陽の街に何とも形容し難い一人の形容し難い筋肉だるまが居た。

 

「ふぅ……結構負担が大きかったわね〜」

 

筋肉だるまは顔にある汗を手で拭った。

 

「まぁ、これで何とかなるでしょう」

 

そう言って筋肉だるまは歩き出した。

 

「どっふぅぅぅっ、ご主人様と会えるだなんて楽しみだわ〜

と、その前に〜」

 

筋肉だるまは拳を構えて真面目な顔になった。

 

「乙女の恋路を邪魔する子達にお仕置きをしないとね」

 

筋肉だるまがそう言った瞬間白装束を纏った者達が現れた。

 

「かかってきなさ〜い!」

 

筋肉だるまはそう言って拳を振った。

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一刀side

 

「報告っ!城の正門が開きました!」

 

戦場で少し居ると凪がそう報告してきた。

敵はもう決戦を行う覚悟をしたらしい。

 

「見えているわ!皆の者、聞きなさい!

ここが正念場!この戦いに勝てば、長い遠征ももうお終いよ!

けれど、もし奴等をあの城の中に押し戻してしまったら、この遠征は永劫に続いてしまうでしょう!

この戦いばかりの日々を終わらせるのよ!

総員、突撃準備!」

 

華琳がそう言った瞬間敵が突撃してきた。

 

「門より敵部隊出撃!突撃してきます!」

 

「……さぁ、最初は誰が相手をしてくれるのかしらね……春蘭!」

 

「はっ!総員、突撃ぃっ!」

 

春蘭の号令で戦闘が始まった。

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第三者視点

 

剣神劉郷

 

彼がそう呼ばれたのはその強さもあるが一番の理由はその剣の舞の美しさにあるだろう。

敵味方限らずに魅了するその舞いは芸術を分からぬ者であっても美しいと感じる。

それゆえに剣神劉郷と呼ばれた。

では、飛将軍呂布は何故飛将軍と呼ばれたのか。

それは圧倒的な強さ。

その圧倒的な強さに敵は恐怖し逃げ惑う。

武において飛将軍と肩を並べられる者はほんの一握りだろう。

ならば剣神劉郷と飛将軍呂布がどちらが強いか。

それが今、分かろうとしていた。

 

「………」

 

「………」

 

辺りの空気は戦場とは思えぬほど静か。

董卓軍も連合軍も全く動かず二人を見ている。

その二人の対決の間に入ることが出来る者は居ない。

そう理解しているのだ。

 

「そろそろ始めるぞ。観客を待たせる訳にはいかない」

 

「……ん」

 

そのやり取りを聞いてその場の緊張感が一気に膨れ上がった。

 

「劉喬契……参る!」

 

「……呂奉先、参る……!」

 

ドガァァァァッン!

 

武器同士がぶつかったとは思えない音があたりに響いた。

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ドガァァァァッン!

 

剣神と飛将軍の戦いが始まった音は魏武の大剣と神速の張遼にも聞こえていた。

 

「何や、あの音!」

 

「あちらには確か師匠が……

張遼!あっちには誰が居る!?」

 

「あっちには恋……呂布が居るわ!

ってまさか、この音は……呂布が全力で戦ってる音か!?

でも、相手は誰が……まさか……」

 

「間違い無い、わが師、剣神劉郷だ!」

 

「そうやったな、そっちには剣神劉郷が居るの忘れとったわ。

でも……今はそんなこと関係ないわ」

 

そう言いながら張遼は武器を構える。

それを見て春蘭も構える。

 

「行くぞ!だぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「でりゃぁぁぁぁぁぁっ!」

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場所は戻り剣神と飛将軍の対決の場

 

「はぁっ!」

 

「……ふっ!」

 

ドガァァァァァァッン!

 

尋常では無い音が鳴り響き二人は距離を取る。

 

「はぁ……はぁ……流石飛将軍だな……」

 

「はぁ……はぁ……強い……」

 

優勢なのは一刀でだが気絶させようとしても呂布は野性の勘からかここぞと言う全て攻撃が防がれる。

このままでは呂布を気絶させられたとしてもその後気絶して討ち取られてしまう。

 

「やれやれ……奥の手だからこれはあんまりしたくないんだけどな……」

 

一刀はそう言うと刀を構える。

 

「本来は二刀流でやる技を一刀流でやるから威力は半分だから安心しろ」

 

一刀がそう言った瞬間不殺に白い靄がかかる。

それを見て呂布は構える。

 

「行くぜ?『白天龍牙』」

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ドガァァァァァァァァッン!

 

「な、何だ!先程の音よりも大きいぞ!」

 

「何かあったんか!?」

 

先程の音よりも明らかに大きい音を聞いて春蘭と張遼は音のした方を向く。

 

「な、何やねんありゃ……」

 

「私に聞かれても困る……あんな物見たこと無い……」

 

そこには白い光が天に向かって上って行く光景があった。

 

「姉者!気を抜くな!」

 

光の反対から秋蘭が走って春蘭に警告する。

 

「おう!そうだったなすまん。

このままでは師匠に怒られるところだったぞ」

 

「全く……周囲の敵は私が処理する」

 

「分かった、頼む」

 

春蘭はそう言って張遼の方を向く。

 

「すまん、待たせたな」

 

「ええで。それよりあんた、あとどのくらい戦えそうや?」

 

「ふんっ。貴様の倍は合数を重ねてみせるわ!そんなこと気にせず、掛かってこい!」

 

「ええなぁ……それ、良過ぎるわ……!なら、遠慮なく行くで!」

 

だが、二人は気付いていなかった。

春蘭に向かって矢を番えている兵が居ることに。

秋蘭もそれに気付かずに周りの敵を倒している。

 

「おう!来るなら……」

 

「姉者!」

 

秋蘭が春蘭を呼んだ瞬間矢を番えている兵士は矢を放った。

そして、その矢は春蘭に向かって飛びそして……

 

 

 

 

 

 

その途中で落ちた。

いや、正確には切り落とされたのだ。

張遼と春蘭の間に居る者によって。

その者は顔を俯かせているが春蘭と秋蘭には誰だかすぐに分かった。

 

「な……」

 

「何故……」

 

その者はゆっくりと顔を上げその顔を明らかにしていく。

その者は彼の剣神劉郷と共に異民族を滅ぼし剣神劉郷の剣と言われた。

 

「「夜月!?」」

 

「二人共、気を抜き過ぎだぞ」

 

そう言った瞬間夜月は地面を蹴って矢を放った兵士に斬りかかる。

 

「ぐはぁっ!」

 

敵が倒れたのを確認し夜月はこう言った。

 

「水を刺してすまんな、後はたっぷりと楽しむと良い。

では、失礼する」

 

夜月はそう言ってその場から立ち去った。

 

「今回ばかりは夜月に感謝しなければな。

おい張遼!続きをするぞ!」

 

「おう!まだ終わらせん!」

 

二人は武器を振った。

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洛陽の街

 

「はぁ……はぁ……急がなければ……」

 

息を切らしながら洛陽の街を走っている少年が居た。

一刀だ。一刀は呂布と呂布を助けようとした陳宮を華琳の天幕に運んだ後華琳に洛陽の偵察の許可を取った。

その理由は一刀の妹、劉協と会う為だった。

 

「協、すぐに行くからな……」

 

すると、前に白装束を纏った者達が現れた。

 

「お前は達はあの時の……!」

 

一刀は余計なことを考えるのをやめて斬鬼を抜く。

すると

 

「どっふぅぅぅぅっ!」

 

ドガァァッン!

 

「!?」

 

白装束が筋肉だるまに吹き飛ばされた。

 

「ご主人様〜!会いたかったわ〜!」

 

「うっ!」

 

一刀は筋肉だるまの姿を見た瞬間吐き気がしたが何とか耐える。

 

「お前が貂蝉か?」

 

「ええ、そうよ〜。

急いでいるんでしょ〜?

手伝ってあげるわ〜」

 

貂蝉はそう言いながら一刀に近づき一刀を抱える。

 

「は?おい、ちょっと待て!」

 

「行くわよ〜!」

 

貂蝉はそう言って白装束達の中心に向かって走り出した。

 

「わぁぁぁぁぁぁっ!」

 

貂蝉は白装束達を殴り飛ばしながら走った。

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一刀side

 

洛陽の城

 

「はぁ……はぁ……お前何考えてんだ!殺す気か!」

 

早く城の中に入れたのは感謝するがすげえ空気抵抗だった。

途中何度気絶しかけたことか……

 

「そんな事考えて無いわよ〜

それより早く妹ちゃんを探しましょう」

 

「ああ、それよりお前には聞くことが山ほどあるからな」

 

「ええ、分かってるわ」

 

そう言って俺達は協を探し始めた。

 

「居ないな……協は一体どこに『きゃぁぁぁっ!』!」

 

叫び声のする方を向くとそこには三人の少女が居た。

三人の視線の先には……

 

「貂蝉!お前の所為で怖がらせてるだろうが!」

 

「あら?私のあまりの美しさに見惚れてるのね〜」

 

違う、全然違う……

 

「こいつがすまないな。

見た目とは正反対で悪い奴じゃないんだ。

ところで劉協陛下と董卓を知らないか?

探しているんだ」

 

「し、知りません。私達は『その声……協?』!?」

 

「やっぱりだ!協、俺だ!劉弁だ!」

 

「そ、そんな……兄上?」

 

俺は首にかかっている首飾りを見せる。

その瞬間、協は驚愕の表情を浮かべて俺にすぐ抱き付いてきた。

 

「兄上!」

 

「ごめんな、父上が死んだ時にこれなくて……」

 

「良いんです!兄上が生きててくれて……本当に良かった……!」

 

協は少し経って顔を赤らめながらも俺から離れた。

 

「協、本当に董卓達を知らないのか?」

 

「それは……」

 

そう言って二人の少女の前に立つ協。

成程この二人のどちらかが董卓と言う訳か……

 

「そうか、全部俺に任せろ。

上手くやってやる」

 

「え?」

 

「協は俺に合わせろよ?」

 

「はい!」

 

すると貂蝉が俺に耳打ちしてきた。

 

「良いの?」

 

「良いんだよ、董卓は暴政を働いていなかった。

それを裁くのはあまりにも酷だろう?

それに……」

 

俺はそこで一旦きって微笑みこう言った。

 

「協を悲しませることを俺が出来る訳が無いだろう?」

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いい兄ちゃんだ・・・(泣)(伝説の勇者)
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