雑学王(rap/室?青)
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 仕事明けだから半日だけど、二人で正月を過ごせるっていうのは、俺たちの職業を考えると、かなりの贅沢だ。

室井さんと一緒に選んだ百貨店のおせちは、見た目も豪華で美味そう。こんなの昔は無かったもんな〜。良い時代だな〜。御節でテンションあがるなんて、生まれて初めてかも。

 で、おとそを飲んでイザと思っていたら、俺が箸をつまむ度、室井さんの雑学講座が始まった。

「田作り。豊作を願って食べられていた」

 イワシか・・・最近食べてないな。

「黒豆。まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせること願った」

 黒には魔よけの力があるとされてるって言うけど、じゃあ、魔女ってどうなんだ?

「伊達巻。巻物(書物)に似た形から、知識が増えることを願う縁起物だ」

 そういえば昔、名前の由来は伊達政宗の派手好きから由来してるって聞いたけど本当かな。

「昆布まき。『よろこぶ』の語呂合わせからなる」

 うわ、単純。

「紅白のかまぼこ。祝儀用として目出度い彩りからで、元は赤米白米を模した物だそうだ」

 そういえば、最近紅白饅頭見てないな。まあ、別に食べたいとは思わないけど。

「鯛の焼き物。まあ、めでたいの語呂合わせ」

 またオヤジギャグ。室井さんが言ってると思うと、笑えてくるな。

「えびの焼き物。ひげが長く腰が曲がってる様子が老人を連想させる事から、長寿を祈願したもの」

「あ、じゃあ室井さんどうぞ」と言ったら、眉間にしわ寄せちゃった。

「レンコン。孔が空いてることから。遠くが見える、先見性のある一年の祈願」

 あると良いなあ〜。

「栗金団。黄金の団子という意味で、見た目の豪華さから定番にたったようだ」

 何にもかかってないんだっ。騙されてた!

「数の子と里芋は、子孫繁栄と、子宝を願うものだ」

 あ、それ知ってる。ていうか・・・

「非生産的な俺たちには、無縁ですね」

「・・・・・・良いから、食え」

 この台詞は聞き捨てならないぞ。

「室井さん。御節ぐらい普通に食べれないんすか。んな知識より、普通に食べるのを楽しみましょうよ」

 これは、すみれさんでなくても通る主張のはずだ。

「お前が年の割りに知らないから、これを機に教えてやってるんだ」

「教えてやってる〜?別に頼んだ覚えなんてありませんっ」

「お前、俺の親切を無碍にするのか?」

「それを、小さな親切大きなお世話、っていうんです」

「何ぃ?!」

 とりあえず年明け早々初喧嘩をしちゃったけど、長引くのも問題だと分かってるので、妥協しつつ今日中に仲直りをした。

 全く、室井さんの融通の利かなさと頑固さには、今更だけど嫌んなるな〜。そりゃ、ま、本気で嫌ってる訳じゃないけどさ。むしろそんな不器用なとこも、気に入っちゃってるんだけど。

 う〜ん、これって俺の方が折れてる気がする。ま、いっか。御節もおとそも、雑煮も美味いし。

 

 

 そして数日後。

「青島、明日は七草粥を食うぞ」

 俺はその一言に、天を仰いだ。もう、勘弁してよ。

 

説明
ただのおせちネタ。カプである必要はないけど、一緒に食してますので。
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