新訳 真紅の鬼神 第十鬼〜勃発!反董卓連合軍!泗水関戦前夜〜
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「殿、総員出陣用意出来ました」

「分かった。でわ月、詠・・・行ってくる」

「はい・・・どうかご武運を」

「頼むわよ」

 

そんな二人の言葉に俺は少し頬を緩める。

そして再び顔を引き締め、赤兎に跨る。

 

「全軍進軍せよ!!」

 

6万の軍勢が虎牢関へと進軍を開始する。

 

何故進軍しなければならなくなったのかというと・・・・

 

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一月前、皇帝陛下である後漢12代皇帝劉宏様が没す。

それと同時に、反董卓連合軍が組まれ各諸侯が大軍を持って迫っていると情報が入ってきたのだ。

 

「なぜ月様が討たれなければならんのだ!!」

「ちょ落ち着きぃや」

「霞の言うとおりだ。華雄、月を討たせないようにするために軍議を開いてるんだろうが」

「ぐっ・・・すまなかった」

 

俺達はこの状況をなんとかすべく緊急に軍議を開く事になった。

劉宏様が亡くなり、現在は劉宏様のご息女である劉協様が幼いながらも皇帝へとなっている。

張譲共は今はまだ大人しいがいつ動き出すか分からん。

 

「皆さん、私のせいでごめんなさい」

「月、悪くない」

「そうよ!月はなんにも悪くないから!」

 

涙目になりながら謝ってくる俺達の主である月。

決して月のせいでは無いのだが彼女の性格からして原因は自分にあると思ったのだろう。

改めて現状を見直すと、まず此方は涼州から連れてきた董卓軍10万しか動かせない。

何故か?それは今回の『反董卓連合軍』は皇帝を董卓の手から救い出すという大義名分を得ているため洛陽の兵などは使えないのだ。

そして董卓軍10万に対して連合軍は少なくとも今分かっている数で30万を越えているらしい。

行軍途中で続々と諸侯が加わる筈だから更に兵数は増えるだろう。

 

「それで、何か策はあるのか?」

「えぇ、まずこの泗水関、虎牢関で連合軍を止めて貰うは出来るだけ長く。そうすれば私たちの勝ちよ」

「どういうことや?」

「つまり、連合軍の兵糧が無くなるのを待てば良いと言うことなのです」

「へぇ・・・」

 

ほぉ・・・ねねも成長しているのだな。

詠も感心したように目を細める。

しかし詠の策は理解できる。

連合軍は多い。その分兵糧は多く減る。いくら多く持ってこようと日数を重ねる事に無くなるのは当たり前、要はこの二つの関を守り抜けばいいのだ。

 

「ふむ、ならば関を守ればいいんだな?」

「そうよ、先に言っておくけど相手に何を言われようが何をされようが打って出たら駄目だからね」

「そんあ事分かっている!」

 

怪しい、華雄なら余裕で突撃しようだ。

 

「華雄と霞には4万を率いて泗水関に行ってもらうわ」

「えー!ほなウチは華雄のお守りかいな」

「霞!お守りとはどういうことだ!!」

「二人共、そのくらいにしておけ。」

 

まったく、二人共今はそんな事をしている場合ではないだろうに

 

「むぅ・・・すまん」

「堪忍な〜」

「それで、俺は虎牢関に行けばいいのか?」

「えぇ、霞と華雄には直ぐに用意してもらって準備出来しだい出陣してもらうわ」

「ほな、ウチは早速準備に移るわ」

「えぇ」

 

霞が部屋を出ていくと華雄も無言で立ち、月に礼をして出ていく。

 

「それじゃ俺達も用意すっかな」

「・・・・・(コク)」

「はいですぞ!」

 

俺たちも隊の奴等に言いにいかなくちゃいけねぇしな。

 

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と言うことで、俺達は虎牢関へと進軍を開始したのだ。

泗水関には既に霞と華雄が到着している頃だろう。

 

「一刀も参加してるんだろうな」

 

洛陽の民はそうではないだろうが大陸の民は董卓は悪、連合軍を善と信じきっているので一刀達もこの連合に参加せざる得ない。

しかし、一刀と殺り合えるのか・・・

黄巾の時に一緒に戦った時の武も凄まじいモノだったが、あれは本気じゃない。

あいつの強さは底知れない。

一刀と戦うのは嫌だが、心のどこかで戦いたいと願う俺がいる。

 

「・・・・焔?」

「なんでもないよ」

 

少し、顔に出てたかな?

恋の頭を撫で、前を見る。

虎牢関は今日中に着く。色々と用意をしなければならないからせめて5日は欲しい所だ。

まぁ華雄が馬鹿をしない限りは5日程度では泗水関は落ちやしない。

 

「霞、華雄・・・武運を祈るぞ」

 

泗水関へと配置された友へと俺は武運を祈るのであった。

 

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泗水関

 

「武器と食糧の点検をしろ!」

「城壁の点検もしときぃ!何か破損してる所があったら修復や!」

 

焔達よりも先に洛陽を出陣し、華雄、霞率いる4万の軍勢が泗水関へと到着し防衛戦の準備を始める。

兵は自身の配置される場所へと動き、城壁の損傷部分や武器・食糧などの用意を始める。

 

「ここいらに連合軍の偵察部隊がいないか回るぞ!」

「「「応ッ!!!」」」

「ちょ!華雄!勝手な行動すんなや!!ってもうおらんし・・・はぁ」

 

だから華雄のお守りは嫌なんや・・・

 

「張遼将軍!」

「どないしたんや?」

 

華雄の行動に溜息をついていた所へ兵士が駆け寄ってくる。

 

「ハッ!呂布将軍からの使者が来ております!」

「焔から?なんやろな・・・連れてきてくれへんか?」

「ハッ!」

 

兵はその使者がいる所まで走る。

しばらくすると、兵と共に呂布軍特有の黒に金の線が入った鎧を着用した男がいた。

 

「我が主より将軍へ文を届けるようにと・・・どうぞ」

 

兵から文を受け取り開く。

しばらく文を読み霞は兵に告げる。

 

「なるほどな、焔に分かったちゅぅとってくれへんか?」

「ハッ・・・失礼ながらなんと書かれていたのですか?」

「う〜ん。簡単に言うとやな華雄が暴走して突撃したら直ぐに泗水関を放棄し虎牢関へと退却しろ華雄右は救っても救わなくても良い。ちゅー感じやな」

 

霞が言うと兵は苦笑いをし答える。

 

「はぁ・・・殿らしい言葉で、しかし現実になりそうで怖いですね」

「まったくや、今も勝手に出ていった所やしな」

 

深い溜息をし額に手を当てる。

その姿に兵は苦笑いをするしか出来ず、少し話したあと虎牢関へと戻っていった。

 

「ふぅ」

 

泗水関に用意された自分の部屋に入り本日何度目かになる溜息をする。

 

「なんか、今日一日で幸せが大分逃げだ感じがすんなぁ〜」

 

バフっと寝台へと飛び込む。

ゴロンと仰向きに寝転がる。

 

「・・・・・」

 

連合軍がどれくらいの規模まで膨れ上がっているかは分からんけど、此方より兵力が上なのは確実だ。

 

「もって10日やな」

 

この10日も華雄が暴走しなかったらの話や。

あとは兵の疲労や食糧等の問題もある。

 

「ホンマ・・・面倒やわ」

 

そう呟いた後、睡魔に身を委ねた。

 

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その頃、一刀達は反董卓連合軍へと参加すべく連合軍の駐屯している場所へと進軍中だった。

 

「ねぇご主人様・・・」

「どうしたんだ桃香?」

 

一刀の隣に馬を寄せ桃香が話しかける。

 

「董卓さんって本当に悪政をしてるのかなか?」

「・・・・・」

 

桃香の質問に一刀は少し表情を曇らせるが直ぐに笑顔になり

 

「前に焔の結婚式で董卓さんに合って話しをする機会があったけど、実際に話して分かるけどあの子はそんな事をするような子じゃない」

「なら、私達は董卓さんの味方になった方がいいんじゃないのかな?」

「それは無理なんです。桃香様」

 

桃香の発言に小さな少女が言う。

 

「朱里ちゃんどういうこと?」

「はい。えっとですね今回の連合軍では董卓さんの悪政から皇帝陛下を救う。という大義名分の元に構成されており、大陸の民は董卓さんが悪、連合軍が善と認識してるんです」

「それじゃぁ」

「はい。私達がもし董卓さんに味方すれば大陸中の民から見放されるでしょう。」

 

目に見えて落ち込んでいる桃香に一刀は苦笑してその頭を優しく撫でる。

 

「董卓さんを俺たちが救おう」

「え?でも無理なんじゃ」

「別に董卓さんの元に馳せ参じる訳じゃないさ、連合軍には参加する。そこから焔と上手く連絡がついたら可能なはずだ。」

「本当!?」

「あぁ・・・朱里はどう思う?」

 

いきなり話を振られた朱里は驚き、慌てながら答える。

 

「はわわ!そこで私に振りましゅか・・・はい。可能性は低いですけど不可能ではないと思いましゅ」

 

あっ噛んだ。

しかし、朱里の噛み癖は凄いな・・・あっ雛里もか

 

「ご主人様ー!桃香様ー!!」

「愛紗?」

 

俺達の方へ馬に乗った愛紗が向かってくる。

 

「どうした?」

「連合軍の駐屯場が見えてきました!」

「ようやくか、行こうか皆」

「「「応ッ!!!」」」

 

連合軍の駐屯上へと向かうと、金ピカの鎧を着た兵士が話しかけてきた。

どうやら、俺たちが何処の軍かを知りたいのだろう。

 

「幽州啄県の県令の劉備です」

「劉備殿ですね。兵数は?」

「5千です」

 

兵は書簡に書き込む。

 

「でわ、軍議が始まるので、中央の大天幕へとお越しください。」

「ん?総大将は誰なんだ?」

「それが・・・まだ決まっておらず・・・」

「はぁ・・・」

 

見る限り俺たちが最後のようだけど・・・・

兵が走っていったのを見送る。

 

「とにかく陣営を立てましょう」

「それもそうだな・・・桃香と朱里はついてきて、他の皆は陣営立てて武器と食糧の点検な」

「「「ハッ!!!」」」

 

愛紗が兵を先導して行く。

 

「よし、行くか」

「うん!}

「はいでしゅ!」

 

二人を連れて天幕へと歩いていく。

こうして見ると本当に未来から来んだなと思う。

様々な旗が揚がっており、その中には『曹』『孫』『馬』『袁』『公孫』などと有名どころの旗がチラホラ見える。

 

「ん?桃香に北郷じゃないか」

「あー!白蓮ちゃん!」

「久しぶりだな白蓮」

 

黄巾の乱の時お世話になった桃香の親友の公孫讚がいた。

 

「本当に久しぶりだな!噂は聞いてるぞ!県令になったんだって?」

「うん!白蓮ちゃんのおかげだよ〜」

「私は何もしてないさ」

「いや、あそこで白蓮が俺たちを雇ってくれなかったら県令になるどころか野たれ死んでたかもしないからな。本当に感謝してるよ」

「そこまで言われるとなんだか照れるな・・・ところでそこの子は?」

 

白蓮は朱里を見ながら言う。

そう言えばあの時はまだ居なかったもんな

 

「あぁこの子は俺達の軍師で」

「諸葛孔明でしゅ!」

「だ、大丈夫か?」

「あぅ〜噛んじゃいました」

 

朱里が物凄い勢いで噛んだのを見て白蓮は驚いていた。

 

「私は幽州で太守をしている公孫讚だ。そこの桃香とは昔からの友だりでな。よろしく」

「こちらこそよろしくお願いしましゅ!あぅ〜また噛んじゃった」

「大丈夫?朱里ちゃん」

「はい〜」

 

大丈夫と言いながらも少し血が口から出ている。

それを俺は手拭いで拭ってあげる

 

「白蓮も軍議か?」

「あぁ・・もう二回も出ているがな」

「二回もしてるのか?」

「総大将决めのな・・・」

 

嘘だろ・・・ここにいる奴らはずっと総大将を決める為の軍議をしてたのか

 

「呆れるなと言う方が無理だよな、まぁ見れば分かるさ」

 

そういって歩く白蓮の後ろを俺達は追いかける。

 

「入るぞ」

 

白蓮が天幕へと入り、俺たちも続いて中へ入るとその場にいる全員の視線が此方に向いた。

桃香と朱里は驚いて俺の裾や服を握る。

そんな中で俺は周りを見渡し、一礼をしてから空いている席へと向かい座る。

 

「劉備玄徳と言います。よ、よろしくお願いします!」

「はわわ・・私は諸葛亮でしゅ」

 

二人の緊張しまくった自己紹介に苦笑いをしながら俺も自己紹介をする。

 

「俺は北郷一刀。一応、天の御使いと呼ばれている。」

 

俺の自己紹介が終わると周りが騒がしくなる。

 

「あれが御使い・・・若いな」

「いや、若いが相当な武を持っているらしいぞ」

「へ〜意外と格好良いわね」

「コラ、雪蓮。思っても口に出すな」

 

様々な言葉が聞こえてくる中、ジッと一言も発せずに見つめてくる視線が一つ。

曹操孟徳。

黄巾の乱の時に共同戦線した事があり、戦のなどで兵の指揮など多くを学ばせてもらった。

目が合うと笑顔を向けられるが、つい目を逸らしてしまう。

普通の笑顔ならすごく綺麗で可愛いんだろうが、今の笑顔は口は笑っているが目が笑っていない。しかもその目は獲物を狙う猛禽類の目そのものだ・・・

 

「さて、自己紹介も終わったことですし、早速決めますわよ!」

 

俺が席に座ると同時に金髪でクルクル頭の女性が高い声で言う。

 

「朱里、あれは?」

「えと、あの人は今回の連合の発案者の袁紹さんです。」

「なんか物凄く金ピカで目が痛いんだが・・・」

「袁紹さんは名門袁家の当主ですから」

 

あっ。そうか確か凄い家の人なんだよな・・・

しっかし・・・本当に総大将を決める為に軍議開いてるのか・・・

てか、明らかに袁紹は総大将したがってるだろ!多分それは此処にいる全員が思っている。

と言っても誰かが推薦するわけでもない。

 

「まず総大将を務めるには地位、兵力、財力が全て兼ね備えていないといけませんわ!」

 

それを全て持っているのは今の所お前一人だろうが・・・

はぁ・・・なんか一気に疲れた・・・

そんな俺の心情に気付いたのか朱里が苦笑いを浮かべる。

そんなやり取りがずっと続きそろそろ本気で出ていこうかなと思っていた時、

 

「あ、あの!今は泗水関攻略の軍議を早く開いた方が良いと思います!」

「ですから、その攻略の前に総大将を決めなくてはなりませんのよ」

「なら、もう袁紹さんがすればいいしゃないですか」

 

桃香の言葉に次ぐつぎと賛同の声が聞こえる。

 

「あら、そこまで言うのでしたらこの名門袁家の当主であるこの私、袁本初が総大将の任をお受けしますわ!お−ほっほっほっ」

 

甲高く耳に残る高笑いが天幕に響く。

 

「それで麗羽、総大将になったんだ。早く泗水関攻略の軍議を始めてくれよ」

「あら、白蓮さんいたんですの?」

「最初からいたよ!」

 

ふむ。白蓮と袁紹は知り合いか・・・

しかし、桃香が袁紹を推薦したことで、ちょっと不味い方向にいくかな?

 

「作戦は後ほど伝えますわ。まずは泗水関の先陣ですが・・・劉備さん、貴方にやってもらいますわ」

「えぇ!!」

 

ほら、やっぱり

 

「名誉ある先陣。私を推薦してくださった劉備さんに差し上げますわ。まさか断るなんていいませんわよね?おーほっほっほっ」

「そ、そんな」

 

まったく、普通に考えて俺達だけだなんて無理だろ。

マシな装備も出来てないし攻城戦用の兵器もない俺たちに先陣なんて死にに行くようなものだ。

 

「わかりました。しかし、先陣にあたるにして援助をしていただけませんか?」

 

朱里が立ち上がり袁紹に発言する。

うん。ここは朱里に任せよう。

 

「私達は恥ずかしながら十分な兵力と装備はおろか、攻城戦用の兵器などは持ち合わせていません。ですので兵を5千と装備、食糧を援助していただけませんか?これは名門

 

で!美しく!賢い!袁紹様しか出来ないのです!」

 

朱里の演技がかった言葉に袁紹は俯き

 

「名門、美しい、賢い・・・おーほっほっほっ!いいですわ!すぐに用意させまわ!この名門で美しく賢い袁本初が!」

 

すっかりと機嫌が良くなった袁紹は朱里の発案を引き受けた。

その時、朱里は俺の方を向いて

 

「計画通り・・・です」

 

というような顔をした。

正直驚いた。

 

「決まったようね」

 

曹操が呟き席を立つ。

 

「それじゃ麗羽、私は失礼するわ」

 

一人また一人と天幕を出ていく。

 

「俺たちも行くか」

「うん・・・」

「はい」

 

天幕を出て少し歩いたところで桃香が突然止まった。

 

「どうした桃香?」

「ご主人様・・ごめんね」

「ん?」

「私が余計なこと言ったから先陣にされちゃって」

 

なんだそんな事か・・・

 

「良いんだよ。もしあそこで桃香が行ってなかったらずっと決まらなかっただろすい、朱里のおかげで一応戦えるようになったしね」

 

ニコッと笑い二人の頭を順に撫でる。

 

「えへへ///」

「はぅ〜///」

「さっあまり遅いと皆が心配するから戻ろう」

 

一刀達は自陣へと戻どり、皆に軍議の詳細を伝え、泗水関の攻略を考えていた。

そこへ、袁紹からの使者がやってきた。

 

「して袁紹殿からなんと?」

「ハハハ・・・雄々しく、勇ましく、華麗に攻撃!だそうだ」

「はっはっはっまた主も面白い冗談を・・・なんと」

 

星が俺から作戦が書かれた書簡を奪い見る。

そこに書かれた字をみて言葉を失っているが・・・

 

「袁紹って奴は馬鹿なのだ」

「これでは策自体を貶しているな」

 

正直俺も思うよ。

朱里や雛里とか見てご覧よ。

笑ってるつもりなんだろうけど顔が引きってて上手く笑えてないから

 

「まぁ、他に指示とかはきてないから後は各自自由に動いていいってことだろ?」

「そこまで考えてるとは思いませんが・・・」

「まぁ、これは俺たちにとっても動きやすいからいいだろ」

 

無駄に作戦があったら焔とも連絡取れないし

 

「でわ、私は軍議が長引きそうなので兵達に休む様に言っておきます」

「あっ、よろしく愛紗」

「ハッ!」

 

愛紗が天幕を出ていったのを見送り、皆に向き合う。

 

「さて、俺たちも軍議の用意をしようか」

 

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「でわ、ゆっくりと休み英気を養うこと」

「「「応ッ!!!」」」

 

兵達の返事を聞いた後に私は踵を返しご主人様達がいる陣営へと歩を進める。

しかし・・・ご主人様は本当に何者なのだろう?

類い稀なる武と軍師並みの智。正に知勇兼備とはご主人様の様な人を言うのだろう。

そして何よりも民の事を思い動く姿勢は特に素晴らしい!

しかし、あの少々助け平な所がなければ・・・

 

「はぁ、私もご主人様の為に桃香様の大望の為にもっと励まなければ・・・ん?」

 

なんだ?陣営の入口が騒がしいな・・・

 

「騒がしいなどうした?」

「関羽将軍!その・・・御使い様に面会を求めている者が・・・」

「なに?」

 

ご主人様に面会?

陣営の入口に行くと二人の女性が立っていた。

 

「私は関羽と言う。其方は?」

「ふ〜ん。貴方が黒髪の山賊狩りね〜・・・私は孫策よ」

「私は周瑜と言う」

 

孫策・・・江東の麒麟児と名高いあの孫策殿か

 

「して、、その孫策殿が我が陣営に何の御用か?」

「此処の陣営にいる御使い君にちょっと用事があるのよね〜」

 

それは分かっているが、ご主人様に危害を加える可能性がある限り合わせる訳にはいかない。

 

「いや、ご主人様は今多忙の身な為、私が要件をきこう」

「控えろ下郎が・・・」

「なにッ」

「控えろと言っている!!私は呉の誇り高き王!孫策伯符!王が貴様の主に会うと言っているのだ!家臣である貴様は黙って取次げばいい!」

「なんだと!言わせておけば!!」

 

つい頭に血がのぼり偃月刀を構える。

 

「雪蓮様!」

「やはり、二人だけではなかったか・・・ご主人様には一歩も触れさせはせんぞ!」

「調子にのるなよ!」

 

互いに地面を蹴り間合いを詰める。

そして互いに一撃を入れようとした瞬間、二人の間合いに何かが割り込んできた。

 

「遅いから何かあったかと思ったら・・・何をしてるんだ?」

 

其処には私の偃月刀を手で掴み、相手の曲刀を指二本で止めているご主人様がいた。

 

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まったく、遅いから見に来てみれば・・・

あれ?前にもこんな事あったくないか?

あっ焔の時か・・・なんかデジャブだ

 

「二人共、矛を納めるんだ。」

「ですが!」

「愛紗、矛を納めるんだ。」

「うっ・・・分かりました」

 

愛紗はもう少し柔らかくなったほうが良いな。

融通の効かないところが玉に傷だ・・・・本当に

 

「さて、君も納めてくれないかな?」

 

指を離し、目の前にいるツリ目の女の子を見る。

 

「・・・」

「ねぇ君達は俺に用があるんだろ?すまないけど少しだけ話は聞かせて貰ったよ。」

 

まだ刃を収めないツリ目の女の子を睨む。

 

「確かに、君は王だろう。少なくと俺達よりは位は上だろうね。だけどそれを理由に今さっきみたいに無理やり面会を求めるのはどうかと思うよ・・・例えそれが『本心』で

 

ないとしてもだ」

 

俺は明確な殺意と共に愛刀『白椿』を鞘から抜き三人を威圧する。

白椿は月の光を反射し怪しく光っていた。

 

「其方が矛を収めないのなら、俺も仲間を護るために相手になるよ」

「くっ・・・」

 

俺は斬るつもりで一歩踏み出す。

 

「思春、納めなさい」

「雪蓮様!?」

「納めなさい。でないと・・・殺されるわよ」

 

へぇ〜もうこの距離が俺の間合いって分かってるんだ〜

流石は小覇王と呼ばれるようになるだけあるね。

 

「くっ」

 

孫策の言葉で渋々といった表情で納める。

俺も白椿を鞘へと納める。

 

「ごめんなさいね。改めて、私は孫策よ」

「別に良いさ、本気じゃないってことくらい分かってたし」

「へぇ〜」

「言い方が悪いかもだけど、君みたいな女の子は王族とか民とかの身分の違いとか関係なく接してそうだしね」

 

ニコッと微笑みを向ける。

 

「やっぱり君いいね。どう私たちの所にきてみない?」

「なっ!?」

 

孫策の言葉に愛紗が驚愕する。

 

「あははっ嬉しい誘いだけど、断らせてもらうよ。俺には皆と掲げた夢が大望があるからね」

「ご主人様・・・」

 

愛紗が妙に熱を帯びた視線を向けてくる。

 

「さて、なにか要件があるんだろ?ここで話すのもなんだから、天幕へ案内するよ」

 

愛紗を連れて皆の元へと戻る。

後ろからは二人の足音、どうやらツリ目の女の子は帰ったようだ。

 

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「それで、要件って?」

 

天幕へと戻り、皆に説明をした後に孫策と周瑜に話を促す。

 

「それはねぇ〜冥琳お願い♪」

「はぁ、お前はめんどくさいだけだろう?」

「その通り!」

「はぁ・・・分かった。」

 

おい、いいのかそれで!

 

「劉備殿、単刀直入に言おう。我等が呉と同盟を組まないか?」

「へ?」

 

いきなりの提案に桃香は混乱する。

それもそうだろう、いきなり同盟の提案を持ち出されたのだ驚かないはずない。

 

「えっと・・・理由を聞いても?」

「ふむ。失礼だが、いくら袁紹の兵を借りる事になろうともあの泗水関を落すことは限りなく難しいだろう」

「そんなことないのだ!!」

「鈴々、落ち着け。今は周瑜殿の話を聞け」

 

鈴々が周瑜の話を遮り大声で言う。

それを星が嗜める。

 

「コホン・・・そこでだ、我らも劉備殿に加勢しようと思ったのだ。少なくとも我が軍には攻城兵器なども揃っている。」

 

周瑜の言うことは正しい。

いくら袁紹に兵を借りるとしても、泗水関を落とすのはかなり難しいだろう。

俺達の軍は5千。袁紹の兵を入れても1万。

対して董卓軍は4万。普通は攻城戦となると相手の倍の兵力で挑まないといけないのだ。

正に絶望的と言っていいだろう。

 

「でも、私たちに味方して孫策さん達になんの得があるのですか?」

「いえ、桃香様。得はありますよ」

「え?」

 

朱里の言うとおりだ。

少なくとも、俺には一応策がある。

これが成功すれば泗水関を占領することは可能だろう。

 

「孫呉は今、袁術の元で客将をしています。しかし孫策さんが何時までも客将をしているなどありえません。しかも袁術の元などではさらに」

「だから、孫策さんは独立するためにも何としても今回の連合で戦功を立て名声を得なければなりません」

 

朱里の言葉を雛里が続ける。

周瑜と孫策は神妙な顔をして朱里と雛里を見ている。

二人はその視線に気づき俺の後ろへと隠れる。

 

「大丈夫だよ」

「はわわ・・・」

「あわわ・・・」

 

二人の頭を撫でてあげ、孫策達と向き直る。

 

「俺は構わないよ・・・だけど、俺達に君達から同盟を申込んでくるとは何か策でもあるのかい?いや、あるからだろうね。普通に考えたら俺達みたいな弱小勢力に申し込む

 

はずない。」

「ほぉ・・・(武だけではなく智もあるか)」

「で、どうなんだ?」

「あるには、ある。まず、華雄は先代様、孫堅様がご健在の頃一度戦った事がある。」

「へぇ〜」

「奴は一言で言うと猪突猛進だ。そのこくせして己の武に絶対の自身と誇りを持っている。」

 

なるほど、其処を付くわけか。

朱里と雛里も分かったようだね。

 

「そこで、我らと共に奴を誘き出して欲しい」

「分かった。だけど、華雄は俺達が頂くよ、其の変わり関は孫呉に譲ろう」

「なっご主人様!?」

「いいんだよ愛紗。どうだい?決して孫呉・・・君たちには悪くない条件だろ?」

 

俺の言葉に周瑜はしばらく考える素振りを見せる。

 

「分かった。いいな雪蓮?」

「いいわよ。私は特に異議はないわ」

「そういうことだ・・・よろしく頼むぞ御使い殿」

「あぁそちらもよろしく頼むよ」

 

孫策と周瑜の後ろ姿を見送り俺は皆に顔を合わせる。

 

「ご主人様!何故、関を譲るのですか!?」

「愛紗さん。私たちの目的はなんですか?」

「目的?・・・あっ」

「そういうことだよ愛紗」

 

俺達の目的は董卓の保護だ。

其の為にはなんとかして董卓軍の将と合う必要がある。

それに華雄程の者を倒せば名声も得られるだろう。

 

「愛紗。華雄は君に任せるよ」

「ッ!御意!!お任せ下さい!この関雲長必ずやご主人様の期待に答えてみせます!!」

「うん。期待してるよ」

 

さて、これでなんとか先が見えてきた。

あとは、明日の戦いで上手く事が運ぶ事を祈るだけだな・・・

説明
今年最後の投稿!!
今回からは主に一刀視点で書かれます。
まぁいつものように文章能力が低いですが、宜しくお願いします。
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コメント
玉に傷ず・・・・・(・‘ω・´;)ゴクリ(とん!)
というか、乱世の時点で主人公に子供が生まれる話は初めてです。続きが気になるので宜しくお願いします。(ハーデス)
骸骨様、気づきませんでした^^;直ぐに書き直します!(リンドウ)
はたして張遼は挑発された華雄を抑えられるのかw 5p「董卓さんの見方に」→「董卓さんの味方に」、「すっかりと期限が良くなった」→「すっかりと機嫌が良くなった」、8p「特に意義はないわ」→「特に異議はないわ」では?(量産型第一次強化式骸骨)
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