一年
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一年なんていうものは本当にあっという間だ。

としみじみ感じる様になった。

特にこちらに来てからはあちらにいたときよりも早く感じる。

こちらにきて、こちらの年数でもう20年くらいになるだろうか?

 

もうあの時の事は曖昧な記憶でしかない。

子供たちが大きくなるにつれ、その成長を喜び、分かち合い、没頭し

さらには日々の案件に頭を悩ませ、愛する人達と語り合い。

国を守り、強くするために毎日働いていたせいなのかも知れないが

あの時の事は、たまに酒の席であがるだけとなってしまった。

いまでは、子供たちの自慢話を話すのがもっぱら、酒の席での常である。

 

そんな所為か最近では、あちらの年数では何年たっているのだろうか?

もしかしたら1秒もたっていないのかもしれない。

それこそ、華琳のいうように胡蝶の夢かな?なんて考えることも同じ様に

日々の変化の中で考えなくなっていった。

そう、今となってはもうどうでもよくなってしまったのだ。

 

そして何故、今になってこんなことを思い出したかといえば、話は去年に遡る。

三国が正式に平定してから、去年で十五年となった。

十五年、子供たちは立派に成長し、今では大人顔負けの働きをするまでに成長していた。

そんな姿を見ていてポツリと誰かが酒の席で

「もうあの子らに世代交代をするべきかも知れない」

なんてつぶやいたのがきっかけだった。誰だったか?

結局あの日は皆が感じていた子離れの寂しさがその一言で爆発してしまい城中の酒を飲みすだけでは飽き足らず、町中の酒といっても過言では無い量の酒が城下からも消えたのだ。あのときの出費は三国平定以来最大の出費だったことも記憶している。その日はあの華琳や軍師たちまでもが二日酔いとなり、次の日には完全に潰れてしまい、その日の仕事を子供たちにまかせて君主、武将、軍師までもが一日中うなっていた記憶がある。

 

そのときの事だ、たった一日とはいえ子供たちは立派に内政をやってのけたのだ。

そして、それがきっかけとなったのは間違いないことで、世代交代が行われることが皆の中で決まった事だった。

そう、今まで一線でがんばってきた自分たち、群雄割拠の時代の人間は、その職を退くことに満場一致で心の中でも、閣議でも決定した。

 

現状から言えば、無事に世代交代は終わるだろう。

仕事の引継ぎは、常に親の背中を見て育った子供らが中心に、若い世代から抜擢され行われることとなり、向こう3年間は自分たちが補佐につき、それを過ぎれば各部門での元最高責任者たちが各部門の相談役となり世代交代は完了する。

自分の跡継ぎには唯一の男の子が選ばれることとなった。

きっとあの子達なら上手くやるだろう。

 

 

 

今日は一年の始まりの日。

この国にとっても新しい始まりの年だ。

こうして一線を退いてしまえば時間が余ってしかたない。

そんな時だ、余った時間をどうしようかと考えていた所にに振って沸いた事件がある。

彼女らが記録していたあのときの記録が一切無くなっていたのだ。

これが明るみに出て騒ぎになったのはつい先日のことだ。

皆補佐となってはいるが実際にはほとんど仕事が無いに等しい、ちょうどいい機会だ。

明日皆に話を持ちかけてみることにしよう。

「皆で思い出しながらはじめから記録し直さない?」と

 

説明
どうも、あけましておめでとうございます。
今回も恋姫の短編書かせていただきました。

よかったら、どうぞ!
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コメント
これはどう言うストーリーなんだろう?続きが楽しみです!(タケダム)
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