テト：そういうわけだ。おまえ達二人には、１体の人間、１体の愛玩用マギカント以外に、戦闘用マギカントという“仲間”が多数加わったわけだ。それだけいれば、十分に楽しませてくれるだろう。ダーク・マターの制御しか行わない私と、おまえ達、これなら“イーブン”と言ってもいいのではないか？

MEIKO：力の均衡とか関係ないわ。“オマエを楽しませながら勝つこと”、それしか考えない！

テト：よくわかっているではないか。なら、戦闘再開といこうか

GUMI：今度はこちらがイニシアチブを握る！

テト：面白い！　なら本格戦闘の挨拶をしなければいかんな

テトは今度は腕で十字を切った。

テト：クロスフレア！

ダーク・マター：グオ！　グオオオ！

ダーク・マターはその場でとどまりながら、今度は火炎を縦に吐いた後、横にも吐き、十字架型の火炎を飛ばしてきた！　今度は“弾”ではなく、もろに“炎”だった。

MEIKO：うわ！　これで挨拶なの！

GUMI：回避！

MEIKOとGUMIはとにかく回避に専念し、十字架の炎から遠ざかった。

カイ子：ブリザード！

カイ子は腕を右から左になぎ払い、冷気の風を起こし、火炎を鎮めようとした、が、火炎の威力の方が強かった！

カイ子：な！　あっちが上か！

リン、レン子：波動障壁！

リンとレン子は一緒に下から上に腕を払って、波動の壁を作った。風には弱かったのか、壁に当たった火炎は消えてしまった。

MEIKO、GUMI：ありがとう

カイ子：助かった！

リン：今度こそ“全員攻撃”しないと話にならないようね

学歩：そういうことだ！

学歩は高く飛び上がり、日本刀を構えてダーク・マターにつっこんでいった！

テト：ほぉ、面白い。物理パワーも試してみるか。“テイルスタンピング！”

ダーク・マター：グオン！！！

ダーク・マターはしっぽを前方へ振り、学歩をしっぽでたたき落とそうとした！

学歩：斬り落とす！！

ガキン！！

学歩：な！　固い！

日本刀で斬りかかった学歩は、逆にはじき飛ばされて後ろの壁に激突した！

ハク：ヒーリング！！

ハクの白い波動が学歩を包み、学歩の傷は、幾分かは治療されたようだ。

学歩：す、すまぬ。くっ！　みんな！　あいつの表皮への物理攻撃は効かん！　たぶん、効果があるのは冷気だけかもしれん！

テト：それはどうかな？　ブリザードブレス！

ダーク・マターは思いっきり頭部を振り回し、白い冷気のブレスを吐き出した！　MEIKO達の方向に円弧状に広がる冷気！

学歩：な！　火炎属性ではないのか！

ルカ：火炎召還！

ルカは後方の壁に寄りかかりながら、あらかじめ描いておいた魔法造成陣に、火炎を意味する言霊を速記し、ライターの炎をベースに火炎流を召還した！

火炎流は冷気を飲み込み、ダーク・マターをも包んだが、どうやら本体に火炎属性、冷気属性、どちらもないらしく、ケロっとしていた。

ルカ：な・・・属性魔法すら効かない・・・・

カイ子：確かに防御は出来ると思う。しかし、それではテトの心証を損ねてしまう・・・・

MEIKO：結局、派手に立ち回れる効果のある攻撃を与えないと、だめってことね

GUMI：ど、どうしましょう。私たちのハンドガンでは話にならないし・・・・

テト：あらあら、データ取りの攻撃だから、今回はいいけど、むやみに“同じ攻撃”を繰り返すだけしか手がないのなら、ここを爆破して幕を引いてもいいんですよ。つまらないから

ルカ：・・・ミクちゃん、“歌”って効果あると思う？

ミク：今のターゲットは“自律行動できないダーク・マター”。思考とか感情がない相手では全く効果ないと思います。特に封印もないし

MEIKO：・・・・そろそろ見つかった？　ネルちゃん？

ネル：今の攻撃でようやっと全体の表面スキャンが出来たので、サーチしました。コア宝石の反応は・・・さっきの造成で見たとおり“頭部”にあります。でも、表面に剥き出しにはなってません。内部です

MEIKO：くっ、突き破れない表面に包まれた内部・・・・。困ったな・・・・

GUMI：・・・・・・口・・・・・

MEIKO：え？

GUMI：火炎とか冷気とか吐き出す“口“は、人間と同じように”内蔵の１つ“。あそこだけが唯一”内部に表皮を介さずに繋がっている・・・

MEIKO：でも、あの牙、火炎冷気、動きの俊敏さ、飛行している、これらから考えて、あそこにヒットさせる方法が思いつかない・・・。ハンドガンじゃ・・・・・・・ハンドガン・・・・・

GUMI：どうしたの？

MEIKO：ルカさん、ハンドガンの弾丸に瞬時に“属性”を付与する事って、出来る？　例えばゲームみたいに“火炎弾”とか“凍結弾“とか

ルカ：瞬時は無理だけど、あらかじめ魔法造成陣に弾丸を置いて、それをベースにして私が新しく造成するのなら、出来るわ

MEIKOは自分の所持残り弾を全部、ルカに渡した。

MEIKO：それをベースにして、１発を残して、その半分を凍結弾、半分を火炎弾を造成してくれる？

ルカ：じゃあ、残り１発は、何を造ればいいの？

MEIKO：あいつのコア宝石は黒いダイヤモンドだった・・・・・。ルカさんが思う“絶対に効果がある切り札の弾丸”を１個、造って欲しいの

テト：ほぉ、造成弾丸で口狙いか。良かろう、実に面白い。まずはやってみろ。造成の時間をやろう

ルカは必死で、小型の魔法造成陣と言霊を描き、赤色の“火炎弾”１０発を造成した。続いて、言霊を変え、青色の“凍結弾”１０発を造成した。そして、ルカは暫し無言で考え、思いついた弾丸用の言霊に描き直し、白い弾丸を１発造成した。

ルカ：はぁ・・・はぁ・・・で、出来たわ。火炎弾１０発、凍結弾１０発、そして、秘密の弾丸１発よ

ルカはふらふらしながら、MEIKOにできあがった弾丸を手渡した。

MEIKO：GUMIさん、あなたのハンドガンも貸してくれる？　属性２つを割り振りたいの

GUMI：OK！

GUMIはハンドガンを手渡した。MEIKOは火炎弾を自分の方に、凍結弾をGUMIの方に装填した。

MEIKO：ありがとう。私だけが攻撃手になる。カイ子さんはクロスフレアとクリムゾンフレアが来たときに、さっきの攻撃で支援してください。リンちゃんレン子ちゃんは、火炎ブレスが来たときにさっきので防御して。ルカさんはブリザードブレスが来たときにお願いします。基本的に私は止まって射撃に集中します。新しい攻撃が来たら、私も回避に専念します。ダメージはハクちゃんがお願い！　ネルちゃんはあいつらのサーチを続けていて。そのほかのメンバーは、後ろで待機していてください

メンバー全員：了解！

テト：では、その“属性弾丸による口狙い”、やってみるがいい。できるものなら・・・・・クリムゾンフレア！

カイ子：ブリザード！

クリムゾンフレアは前と同じように凍結して、軌道からはずれて落ちた。

MEIKO：いまだ！

MEIKOは同じ属性の火炎弾が装填されている自分のハンドガンの引き金を引いた。

ダン！ダン！

テト：甘い！

なんとダーク・マターの口から次に吐かれたのは、逆属性のブリザードブレスだった！　テトは手をダーク・マターの頭部にかざして、“直接”脳波で命令していたのだった！

MEIKO：！！！！

火炎弾２発は当然、凍結して床に転がった。しかし問題は“防御”だった。

ルカ：え！　か、火炎召還！

MEIKO：間に合わない！　か、回避！

しかし、完全には回避出来なかった。MEIKOは左足先に凍傷を負ってしまった！

MEIKO：くっ！

ハク：ヒ、ヒーリング！！

ルカ：えっと、ウォーミング！

MEIKOの凍傷は程なくして沈静化した。

学歩は自分の服を破いて、MEIKOの凍傷が残っている患部に包帯として巻いた。

MEIKO：ありがとう・・・。ぐっ・・・・・攻撃を途中で変えてくるなんて・・・・

テト：甘いな。逆属性に瞬時に変えられるのだから、そんな攻撃意味無いよ

MEIKO：ぐ・・・、弾丸は全部で１８発あるわ

テト：ほぉ、“下手な鉄砲も“ってやつか。いいだろう。やってみるがいい！！

MEIKOは両方のハンドガンを構えて、二丁拳銃の準備をした。

MEIKO：両方交互に撃てば、どちらかの属性は生き残るわ！　くたばれ！！！！

ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！

テト：ダークストーム！

ダーク・マターの頭部に添えられたテトの左手経由で、ダーク・マターの口から“闇属性”の岩石が大量に発射された！

テト：こっちも物量物理攻撃なのだよ！

確かにMEIKOが撃った弾丸は、ダーク・マターが吐いた黒い岩石に阻まれ、岩石に埋もれて無効化されてしまった！

ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！ダン！カチ！カチ！

MEIKO：く！　弾切れか・・・

MEIKOはGUMIのハンドガンだけGUMIの方に投げ捨てた。

テト：これはなかなか効果のあるスキルだったな。面倒だから、次もこれでいくか。どうせ向こうは弾切れ。にしても自分の相棒だけは弾切れでも捨てないのだな

MEIKO：お世話になっているから、最後の時まで、一緒にいるのよ

テト：なかなか引き際が言いようだな。宜しい。これでフィニッシュにしてやろう

GUMI：MEIKOさん！！！！！！

MEIKO：ごめん、あとは、頼むわ・・・・

テト：くたばれ！　ダークストーム！

MEIKO：弾は一発あれば十分なんだよ

テト：？

MEIKO：もう一発残っていたんだよ！