加奈子の・・・その3 |
「絶対お前、何も考えてなかっただろ……」
マネージャーがジト目であたしを睨んでくる。
「そんなことないっての。最初から加奈子の家で遊ぶ予定だったし」
「本当かよ……」
嘘だけど本当ということにしておこう。
今日は最初から加奈子の部屋で遊ぶ予定だった……うん、間違いなくその予定だった。
「この加奈子様の部屋にあがれるんだから、もっと嬉しそうな顔をしろっての」
ピチピチの女子中学生の部屋にあがれるんだぞ? 普通の男なら泣いて喜ぶところでしょ?
「はいはい。最高に嬉しいですよ加奈子様」
「全然、心がこもってねー!」
なんだよ、その適当な返事は。マジで少しくらいはドキドキしてくれてもいいじゃんかよ。
あたしはこんなにもドキドキしてんだぞ。それなのにマネージャーは緊張してないってい
うのかよ。それだとあたしがバカみたいじゃんか。
一応、部屋に男を入れるのはマネージャーが初めてなんだから……緊張だってするだろ。
「それで、お前の部屋で何をして遊ぶんだ?」
「うぐ……っ、そ、それは――」
な、何か――何かいいモノはないかな? 何か遊べるモノは――
「加奈子……お前やっぱり――」
「な、名前! マネージャーの名前を教えてよ!」
「はぁ? 俺の名前?」
「そ、そう! いつまでもマネージャーじゃ変だしな。きちんと名前で呼んでやんよ」
マネージャーの気を逸らせるためにとっさに出た台詞。ま、まぁ……マネージャーの
名前を知りたいって思ってたのは事実だし……
「前に教えただろ」
「昔のことなんて忘れたっての」
あん時はマネージャーに興味なかったし、名前を覚えようとは思っていなかった。
だから今回は――って、これじゃあたしがマネージャーに興味津々みたいじゃんか。
ち、違うかんね。言っておくけど、あたしはマネージャーのことなんてなんとも……
「急に顔を赤くしてどうしたんだ?」
「――っ、何でもない! いいから名前を教えろよ!」
「わ、分かったよ。つーか何急にキレてんだよ」
「う、うっさい!」
マネージャーが余計なことを言うのが悪いんだろ。あたしは顔なんか赤くしてない
っていうのに……別にマネージャーのことなんて考えてないっていうのに。
「ちょっ、ぶつぶつ呟くのは止めろよ。言ってることも聞き取れないし、怖いんだが」
「ぶつぶつ呟いてなんかねーし。いいから、とっとと名前を教えろよ」
「……ほんと、お前は相変わらずだな。まぁいいか。俺の名前は……京介だ」
「……京介。京介ね……」
うん、きちんと覚えた。もう忘れることはないはず。
「じゃ、京介。何して遊ぶよ?」
「早速名前で呼ぶんだな……てか、それを考えるのはお前の役割だろ」
「た、確かに加奈子が誘ったけど、京介が考えてくれてもいいじゃんか」
男なら女をきちんとリードしろよな。
「メチャクチャだなお前は……」
「にひひ、だって加奈子様だからな」
「へいへい。俺が考えればいいんだな」
「おう」
なんだかんだ文句を言いつつもあたしに付き合ってくれる。これだよ、この反応
が欲しかったんだよあたしは。
「にひひ〜♪」
「おわっ、急に笑うなよ気持ち悪い」
「な――っ!? 女に対して気持ち悪いはねーだろ京介!」
さすがにそれは傷つくかんな。
「悪い。加奈子相手だとつい余計なことを言ってしまうな。なんつーか、余計な気を
遣わなくてもいいっていうか……気が緩んでしまうな」
「加奈子が相手だと気が緩む……」
「安心出来るっていうか……バカを言い合えるって感じかな」
「京介……」
まさか京介があたしと同じことを考えてたとは驚きだ。
京介があたしと同じ……
「にゃははっ♪ 京介〜♪」
「うわっ!? だじゃら急に飛びついてくんなって!」
「だ、だって――」
京介が嬉しいことを言うのが悪いんだかんな。嬉しいことばかり言ってくれるから
つい抱きついちゃうんだよ。
「お、おまっ、こんなところ誰かに見られたらどうするんだよ?」
アタフタと焦る京介。なんか妙に可愛い……
「大丈夫だっての。ここはあたしの部屋なんだし、誰にも見られないって」
それに見られても困ることは何一つないんだから。
「で、でもな……」
「何? もしかして京介ってば、そういうことを期待してんの?」
「ば――バカっ! そんなわけないだろ!」
「そうなんだ? 期待してたら、その期待に応えてやったのに……」
「え……?」
「なーんて、冗談に決まってんだろ。この加奈子様はそんな安い女じゃないっての」
確かに京介のことは気に入ってるけど、あたしから動いたら負けた気分になんじゃん。
こういうのは相手から動いてもらわないとね。
「ま、加奈子が気になるんなら、頑張って落とす努力をしな」
どんどん、あたしの我儘を聞いて。どんどん、あたしに付き合って。
ずっと側に居たらあたしは京介に……
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ほんとに言葉使いが分からなくなってきてるよぉ・・・ でも、このまま進みますよ。 |
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 来栖加奈子 高坂京介 | ||
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