外史異聞譚〜幕ノ四十九〜
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≪漢中鎮守府/典奉然視点≫

 

枷を嵌められ、引きずられるようにして連れていかれる文謙さんを、私は伯珪さまの服の裾を掴んで飛び出したいのを堪えながら見送っていました

 

それは伯珪さまや曼成さんも同じみたいで、特に曼成さんは泣きそうになりながら歯を食いしばっていてとても可哀想です

 

 

どうして私が一緒にいるのかというと、それは本当に偶然からでした

 

今日は特別な催しがあるとかで、厨房の人間はそのほとんどが朝餉の支度を終えたところで半日の休暇となり、できるなら城門前で行われる公布式典を観にいってほしい、という通達があったからです

 

公布式典とはいっても今日は宴席を設けたりすることはなく、公布の三日後に行われる“民衆投票”の時にはそれに近しいものは執り行うということで、その日には全員が仕事になるからという事で急遽得られた休暇でした

 

漢中に来て日が浅い私には色々と戸惑う事も多かったんですけど、3日後には忙しくなるからという事で手の空く役人は全員半休と一時金が支給されて、このような感じになったんです

 

そこで私は、漢中で馴染みとなっていた会場近くの菜館のおじさんのところに行き、午後からは店を開けて忙しくなるだろうというお話を聞いたので、公布を聞きながらお手伝いをしていたんです

 

この区画に立ち並ぶ菜館や酒家は割と高級店が多いんですが、おじさんは

「料理なんてもんは、程々の値段で人様の口に入るようじゃねえといけねえんだ!」

などという頑固ぶりで、流石に屋台のような安さではないですが、それでもいつも賑わっているお店です

私はこれも何故か妙に気に入られてしまいまして、鎮守府の料理、わけても天の御使いさまがおじさんが作っているような庶民的で安価な料理ばかり食べているというのに大笑いしながらお互い料理について話すという、なんか友達みたいな感じになっています

 

「なるほどなあ、天の御使い樣は変わったお方だっていうのは俺達も知ってはいたが、口になさるものまで家常菜(家庭料理)みたいなもんだとはなあ…」

 

そう言って頷くおじさんの話を聞きながら、料理のコツや下拵えの方法なんかを聞いたりしているのが、時間が空いた時の私の楽しみのひとつだったりします

 

こうしていつものようにおじさん達と話しながら仕込みを手伝っていると、正午にになって銅鑼が鳴り、それを合図に私達は店の入口に顔を出しました

 

他のお店の方達も同じで、遠目ですが壮麗な衣装に身を包んだ天譴軍の人達や来賓として来ている驃騎将軍さまのお姿も見えて、みんな口々にその勇姿を称えています

 

「うわあ、すっごいなあ…」

 

「ああ、これが他の土地ならいざ知らず、御使い樣達は俺達には誇りだぜ」

 

そう嬉しそうに呟くおじさんがなんだかとっても誇らしげです

 

広場には人がぎっしりと詰めかけていて、その熱気や興奮は私達にも伝わってきます

 

残念ながら私達のいるところまでは声は届かなかったのですが、それでも前の方の聴衆から伝播してくる内容でそれが判るようになっています

 

おじさんが言うには、なんでもこういう時には内容の伝達を専門に行う役人の方がいるんだそうで、警備とは別に配置されているんだそうです

 

「本当に色々と考えて下さるお方だよ」

 

うんうん、と頷きながらおじさんも目を輝かせています

 

(おじさんもなんだか子供みたいだなあ…)

 

そんな事を思いながら会場を見ていた私ですが、それは次の銅鑼が鳴ったときに起こりました

 

どこからともなく鉄の塊が飛んできたかと思うと、何か光る球のようなものが飛んできてぶつかり、城壁を吹き飛ばしたんです

壊れた城壁は会場に詰めかけていたみんなの頭上に降り注ぎ、それから逃げようとした人達やその周囲にいた人達を巻き込んでものすごい混乱を引き起こしました

 

「………え?」

 

「…………こ、こいつはえれえこった!!」

 

会場は既に人が折り重なって逃げ惑う、なんというか地獄絵図で、私は一体何が起こったのか理解できませんでした

 

そんな中、おじさんは近くにいた役人の人に声をかけています

 

「おい役人さん!

 もしよかったら店を開けるからよ!

 よかったら何かに使ってくれ!!」

 

おじさんのその言葉を機に、周囲の店の人達も口々に店の提供を申し出ています

 

役人さんは一瞬戸惑っていたようですが、会場の方で天譴軍の人達が即時事態の収拾をはじめたらしく、そこから来る伝達を聞いて頷いています

 

「協力感謝する!

 すぐに司法隊と五斗米道の者達がやってくるだろうから、皆には緊急避難所として店の提供を頼む!!

 できるだけ多くの布と清潔な水、それと蒸留酒を用意して、湯を沸かしておいてくれ!!」

 

そう叫んだのは五斗米道の救急医療兵の方で、なぜ私にもそれが理解できたかというと、天譴軍の軍装は所属が色で見分けられるようになっていて、医療兵は白地に緑と決まっているからです

 

司法隊は緑の下地、五行軍はそれぞれ北から時計回りに黒・青・赤・白・黄色、こんな感じで基本となる下地があって色々と細かい法則がある、と近衛の方が言っていました

一見医療兵と白虎軍が同じように思えるんですが、これは肩当てや鎧・縁どりの意匠が全く違っていて、私には区別はまだつかないんですが、同じ所属でも階級や部隊で意匠に違いがあるので兵隊さん達には一目で区別がつくんだそうです

 

口々に返事をして店に駆け込むみんなを見ながら私もおじさんに声をかけます

 

「おじさん!

 私も鎮守府に戻らないと!」

 

「ああ!

 ここはいいから奉然ちゃんも急いで戻りな!

 あっちも人手が足りないだろうからよ!!」

 

「はいっ!!」

 

急ぎ鎮守府へ戻ろうと挨拶もそこそこに駆け出した私ですけど、すぐに人とぶつかりそうになりました

 

「おおっと!

 すまんすまん、ぶつかってないか?」

 

「あ、はい、大丈夫です

 ご心配かけて……

 って…」

 

えっと、確か鎮守府での夕餉の席とかでよく見かける人で、名前が確か、えーっと…えーっとぉ……

 

その人は、何かを諦めたように溜息をつくと、しょんぼりとしながら教えてくれます

 

「お前、鎮守府の料理人で給仕も担当してる典奉然だよな?

 覚えてないか?

 あたしは北平太守の公孫伯珪なんだけど…」

 

そういえば、そんな人もいたような…

おかしいなあ、私、人の顔覚えたりとか得意なはずなんだけど…

 

「あ、あはは…

 なんとなくだけど覚えてます

 なんかごめんなさい…」

 

「いや、なんていうか慣れてるからさ、構わないよ…」

 

あ、ものすごく目が遠い…

 

って!

そんな場合じゃないよ!!

 

「あの、すみません!

 私急いで戻らないと!」

 

そう言って再び駆け出そうとしたんですけど、なぜか引き止められました

 

「ちょっと待った!

 すまんがこっちも急ぎなんだ、できれば手伝ってもらえないか?」

 

ええっ!?

こんな時に他に急ぐことなんてあるんですか?

 

私はそう思ったんだけど、伯珪さまは強い眼差しで答えます

 

「ああ、ちょっと色々あってな

 これをおこした犯人にあたしは心当たりがあって、どうしてもそいつらをあたし達で捕まえたいんだ

 だけど3人じゃ人手が足りなさ過ぎる

 それに、できるだけ役人の手を借りるのは避けたいんだ」

 

なんだかおかしな事を言ってる気がするんだけど、伯珪さまの表情は必死です

 

「詳しいことは探しながら説明するから、頼む!」

 

拝むように手を合わせる伯珪さまの後ろに、見覚えのない人がふたりいて、困ったような落ち込んだような顔をして私を見ていました

 

それを見て私は頷きます

 

「わかりました!

 とりあえずお手伝いさせていただきます!」

 

「恩にきる!」

 

こうして走りながら説明されたんですけど、この二人は季衣の同僚で現在曹孟徳さまに仕えている楽文謙と李曼成という人だという事

 

鉄塊を投げたのは袁本初さまに仕えていた文季徳と顔叔敬ってひとらしく、それを防ごうと光の球を飛ばしたのが、この楽文謙さんだって事

 

御使いさまへの直撃は防げたけど、その結果がものすごい事になっちゃったので、慌ててその場を離れたけど立場が説明できないので、そのふたりを捕まえて釈明をしようと考えたという事

 

なるほど、なんか納得できました

 

なんというか、季衣の友達なら、私も助けてあげないといけないかな

 

そう思いながら伯珪さまに聞いたふたりの風貌を探して走っていると、文謙さんが急に弾けたように私達から距離をとりました

 

「どないしたん?」

「どうした楽文謙」

「どうかしたんですか?」

 

異口同音に同じことを尋ねる私達に、文謙さんは強ばった表情で告げます

 

「……みなさん、今から私を追う振りをしてください」

 

「………誰か来たのか?」

 

一瞬訝しげな顔をした伯珪さんですが、すぐに表情を引き締めて文謙さんに問いかけます

 

「はい

 正確には来たというより向かう先ですが、非常に強い“気”を感じます

 なので私は囮になりますので、みなさんはそのまま搜索を続けてください

 恐らく相手にはもう気付かれています

 このまま逃げることはできないでしょう

 では!」

 

「ちょ!

 文謙お前!?」

 

曼成さんが慌てて止めようとしますが、文謙さんはそのまま飛び出していきました

 

 

そしてそこには、黄色を基調とし龍の刺繍を施された壮麗な礼服にその身を包んだ、女性がひとり、近衛の人達を背に立っていました

 

 

天譴軍黄龍将軍・?令明さま

 

 

鎮守府で接する近衛の人達や役人のみんなが異口同音に“天譴軍最強”と謳い誇るその人が、超然とそこに佇んでいました

 

令明さまは心持ち顔を上げると、すうっとその目を開きます

 

「これは、私にとっては僥倖と言うべきか、北平太守の功を横取りすることになりかねぬのを恥じるべきか、悩ましいところではあるな」

 

私達から離れるように飛び出して拳を構える文謙さんに顔を向けながら、令明さまは私達に告げます

 

「すまぬな、太守殿

 どうもあの娘は賊らしい

 捕縛の功を横取りすることになりそうだ」

 

突然の事に何も言えないままの私達に目を向ける事無く、令明さまは文謙さんに向かって呟くように話しかけます

 

「さて、そこの娘

 どうやら賊のようだが、私はそれほど優しくはないぞ

 刺客であるなら今のうちに天にでも祈っておけ」

 

それに答えずに緊張を顕にする文謙さんを、私達はただ見ていることしかできませんでした

 

 

そして必然であったかのように闘いがはじまり、たったの一撃で打ち倒され連れられていく文謙さんを、私達はただ見送る事しかできなかったのです

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≪漢中鎮守府/李曼成視点≫

 

(そ、そんなアホな…)

 

ウチには信じられんかった

 

そりゃあ確かに、春蘭樣や秋蘭樣なんかと比べたらやけど、凪は強い方やない

そやかて、それは比べる相手が悪すぎるちゅうだけの話で、素手でやりあうんなら春蘭樣や秋蘭樣にだって凪は負けてへん

 

ウチはずーっとそう思っとった

 

ごめん、ちょっと嘘ついた

あの春蘭樣なら勝ってまうかも…

なにしろムチャクチャやからなあ、春蘭樣

 

ともかく、こと格闘と限るなら、凪に勝てる奴なんかそうそうおらん

少なくとも一方的になんてことは絶対にあらんへん

ウチはそう信じて疑ってなかったんや

 

そらあ、今の凪は十全とはとても言えへん

咄嗟になんやろけど、守る必要もないはずの天譴軍の連中を守ろうとした結果、沢山の人を巻き込んでしもたんやし

 

まあ、たまに目の前のことしか見えへんようになって、街ごと賊をブチのめした、なんて事もやらかしたりもするんやけど、それでも賊以外が怪我したりしたことはなくて…

あの光景に一番衝撃を受けたのは間違いなく凪や

 

そういう意味では伯珪様にはウチ、感謝しとる

 

あの場にウチらだけでも凪は同じ事をしたやろし、もしあのままやったら凪はおかしくなってまったかも知れん

無理やりとも言えるけど、目の前に目標を作ってくれて立ち直るきっかけをくれたのは本当に有難いことや

 

伯珪樣はウチらになんの義理もないのにな

 

同じように、季衣の友達やっちゅう奉然ちゃんにも感謝せなあかん

 

季衣の知り合いやっちゅうだけで、必死にウチらを手伝ってくれたんやから

 

 

ほんで、恐らく凪が考えたのはこういう筋書きや

 

追われた振りをして凪が飛び出す

そんでもって相手とバチンとやり合う

ウチらは追ってた訳やから、そこで頃合を見て手伝う振りをして、ええ塩梅で凪が降伏なりして、その時に相手のお偉いさんに事情を伯珪樣に説明してもらう

 

ちょっと苦しいかもやけど、伯珪樣の口添えがあれば、みんなはそう悪い事にはならん

 

凪の事やから、自分の事はどうでもええとか、そんな事考えよったんや

 

 

この事からも、凪の奴がどんだけ冷静さを欠いてたか判ろうってもんや

 

ただ、それでも凪は武闘家や

 

いくらなんでもここまで一方的に、しかも一撃でやられるなんて、ウチは想像すらしてへんかった

 

 

連れて行かれる凪に、ウチは思わず飛びつきそうになったんやけど、伯珪樣と奉然ちゃんがウチの手を握ってそれを止めてくれた

 

「ウチ…

 ウチは…」

 

そう呟くことしかできへんウチに、伯珪樣は歯を食いしばって頷いてくれる

 

その目はこう言ってくれてはった

「あたしにできる事はするから、ここは我慢してくれ」

そう強く言ってくれてはった

 

「あ、あの、私も!」

 

ありがとなあ、奉然ちゃん

凪のために、ありがとなあ…

 

泣きたいけど、ここで泣く訳にはいかん

 

ここで泣いてまったら、あそこで身体を張ってくれた凪の覚悟を全部無駄にする事になる

 

ウチは小声で凪に向かって呟く

 

「必ずや、必ずやで

 ウチが絶対、助けたるよってな…」

 

 

華琳樣、すんまへん

ウチ、ご命令を無視する事になるかと思います

 

紗和、堪忍なあ

やっぱりウチ、凪だけ置いて戻れへん

 

みんな、許したってや

それでもやっぱり、凪を犠牲にしたままなのは、ウチには無理や

 

 

そしてウチは、同じく泣きそうな顔になっている奉然ちゃんにお願いをする事にする

 

「奉然ちゃん、もしまだ天譴軍に仕官しとらんかったらなんやけど…」

 

 

今のウチ、多分最低の事を言うとるんやろなあ…

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≪漢中鎮守府/公孫伯珪視点≫

 

あたしは、李曼成が奉然ちゃんにつっかえながら呟くようにしている“お願い”に、少し考えている

 

確かにあたしは天譴軍に義理はないし、個人的な気持ちを言えば好きになれない部分も多々ある

特に天の御使いとやらは好きになれない

 

いや、玄徳に向けたあの笑顔は一瞬ドキッとしたんだけどさ

 

どうしてこの二人が漢中にいたのかは、その“お願い”とやらでなんとなく想像がついてしまった

 

(あ〜あ…

 こりゃ、あたしも腹を括らないとならないかな…)

 

ともかく、二人共周囲が見えていない状況だから、あたしがこの場はなんとかしてやらないとね

 

 

そしてあたしは、天譴軍の近衛に挨拶をする

 

「賊を追ってたところで?将軍と鉢合わせたのは助かったよ

 あのままじゃ逃げられるところだったからね」

 

「いえ、公孫太守樣もご助力に感謝致します」

 

隊長らしい男が礼を取って返事をしてくれる

 

「ところで、あの方々は?

 ひとりは鎮守府で見た覚えがありますが…」

 

やっぱり来たな、まあ当然だろうけどさ

あたしはそれに“なんでもない”という風で答える

 

「ああ、小さい方は知ってるだろ?

 最近厨房に勤めはじめたっていう典奉然さ

 その隣にいる胸のおっきいのが李寿成っていうらしい

 なんでも奉然の知り合いだとかで、漢中に科挙を受けにきたんだとさ

 趣味が絡繰だとかでさ、確かそういうのに向けた科挙を大体的にやってたろ?

 なんで受けにきてみたんだそうな」

 

「は、はあ…」

 

男達は曼成の方を見て、その胸に釘付けになっている

ちくしょう、これだから男ってやつは…

あたしだってな、大きさは普通かも知れないが、形になら少しは自信があるんだぞ!

 

「で、たまたまここで顔を合わせて、あたしが賊らしいのをおっかけてたとこに鉢合わせして、奉然ちゃんの知り合いみたいだったんで、一緒に追っかけてもらったって訳さ」

 

「なるほど、そういう事でしたか」

 

「ま、そういう訳なんでな、口説くなら落ち着いてからにしてやってくれ」

 

男の兵士には、基本こういう軽口を混ぜた方法が有効なのは、自分で白馬義従を仕切ってるからよく解ってる

あたしの目論見通り、男達は笑いながら軽く受け答えすることで、その関心を別の方向に向け始めていた

 

そしてあたしは、ゆっくりと曼成に近付くと、そっと耳打ちする

 

「あんたは今から、漢中にいる間は“李寿成”だ

 覚えておきな」

 

「は?

 伯珪樣、そりゃいったい……」

 

あたしは、自分で似合わないなあ、と思いながら、軽く片目を瞑ってみせる

 

「今ここにいるのは、賊の知り合いではなく奉然ちゃんの友達で科挙を受けに来た“李寿成”って絡繰好きの女の子ってことさ

 ただし、これ以上は手伝ってやれないけどな」

 

「伯珪樣……

 おおきに

 ホンマおおきに……」

 

くしゃくしゃになっていく曼成の顔を思わず両手で挟み込んでぐちゃっと潰す

 

「ばか!

 ここで泣いたら全部おかしくなるだろうが!!」

 

「ひゅ、ひゅんまふぇん…」

 

なんともいえない面白い顔になった曼成を見て、奉然ちゃんがくすっと笑った

 

「あの……

 伯珪さま?

 もしかしてよくみんなから“おひとよし”とか、言われませんか?」

 

はいはい、そうですよ

どうせあたしは“おひとよし”ですよ

 

だけど仕方ないだろ?

 

こんなの見せられちゃあ、ほっとけないんだからさ

 

「ああ、よく言われるよ

 でも、奉然ちゃんも十分そうだとあたしは思うけどな」

 

「まあ、仲康と付き合ってるとそうなるっていうか…」

 

にんまり笑って顔を覗き込みながら言ってやると、奉然ちゃんも照れて視線をずらしながらそう呟く

 

「二人とも、ホンマおおきに…

 でもって伯珪さま、無茶言うてるかも知れへんけど…」

 

あたしはみなまで言わせないよう、人差し指でその唇を塞ぐ

 

「できる事はやってやるよ

 まあ、なんの約束もできないけどな」

 

再びくしゃくしゃになる曼成の顔を見て、その頭を乱暴に撫でながら、あたしは少し離れたところにいる孫家の連中に軽く礼をする

 

(今は下手に触らない方がいいだろうな

 とはいえ早いうちに話す必要はあるか…)

 

 

そしてあたしは考える

 

なるほど、仲徳が言ってたのはこういう事かも知れないよな

 

あたしができる事にはこうやって手を貸して、できない事は頼めばいいんだよな

 

あたしにこの状況をどうにかするような知恵はない

 

だったらどうすればいいか

 

(うん、素直に仲徳に相談してみよう)

 

 

なんとなく雲が晴れたような気分で、あたしは二人の頭を撫でながら天を仰いだ

説明
拙作の作風が知りたい方は
『http://www.tinami.com/view/315935』
より視読をお願い致します

また、作品説明にはご注意いただくようお願い致します

当作品は“敢えていうなら”一刀ルートです

本作品は「恋姫†無双」「真・恋姫†無双」「真・恋姫無双〜萌将伝」
の二次創作物となります

これらの事柄に注意した上でご視読をお願い致します

その上でお楽しみいただけるようであれば、作者にとっては他に望む事もない幸福です

コラボ作家「那月ゆう」樣のプロフィール
『http://www.tinami.com/creator/profile/34603』
機会がありましたら是非ご覧になってください
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コメント
shituzhiさま>ようやく「普通」になった、と作者は思ってますが、でも白蓮だからなあ・・・(ぇ(小笠原 樹)
しゅうさま>んー・・・どうなるんだろうか(笑)(小笠原 樹)
陸奥守さま>幸福も連鎖するなら不幸も連鎖しますしねー・・・(小笠原 樹)
零式さま&田吾作さま>誤字指摘感謝です。コピペでさぼるとやっぱダメねorz(小笠原 樹)
jonmanjirouhyouryukiさま>犯罪者予備軍って(笑)(小笠原 樹)
kentaさま>確執・・・なるほど、そういう見方もありますな(小笠原 樹)
通り(ry の名無しさま>えーっとぉ・・・作者に対するハードルあげてどうするんだ、おのれえ(笑)(小笠原 樹)
田吾作さま>これが残念クオリティ?(マテ(小笠原 樹)
shirouさま>何を頼んだのかはまだ秘密で(笑)(小笠原 樹)
huyuさま>まあ、こうでない白蓮とか、多分誰も見たがらないんじゃなかろうか(笑)(小笠原 樹)
一皮向けた白蓮が今後どのように化けるのか見ものです(shituzhi)
白蓮、どうなるんだろうか・・・しでかしたことがバレたときの処遇が楽しみですね。(しゅう)
連鎖反応で色々な人が不幸になっていくなあ。対応間違えたら天遣軍も不幸になるかも。(陸奥守)
田吾作さん、その通りでした。誤字の誤字申し訳ありません。(零式)
横レス失礼  零式さん>典曼成ではなく李曼成では?(田吾作)
すいません誤字を一つ。二頁目、典奉然視点となっていますが典曼成視点なのでは?(零式)
公孫賛と天譴軍の確執がハッキリして来ましたね。桃香が一刀の影響を色濃く受け始めてる辺り、そちらとも別離を迎えるか。ひょっとすると劉備旗下の将からも袂を分かつ者が出るかも?(kenta)
凪が生きる可能性があるにせよ、最低でも今の名は捨てないとどうにもなるまいし。つまりは対外的にはどう足掻いても死ぬわけで。と書きつつ、ITSUKIさんのことだ、きっと何かあっと驚く為五郎ぐらいのことをさらっとやりそうだ(ちらちらっ(通り(ry の七篠権兵衛)
流石恋姫屈指の都合のい……ゲフンゲフン、もといお人よしの公孫伯珪。李曼成を庇い、楽文謙を助けようと動きましたか。しかもここで仲間を頼る、という発想が出てきた辺り一皮向けるのは早いのやもしれませんね。でも、ここで彼女の厚意が裏目に出るようですが。どうなるやら。(田吾作)
うーん、白蓮さんそれバレた時非常にヤバくないかい?それと真桜は魏に仕えてくれってこと言ってるかもしれないけどそれを許す一刀かなぁ?次回も期待しております。(shirou)
うーん、以前の話を読んでいると、現状の希望的観測が切ない。特に白蓮さん。魏の二人は自業自得な面があるからまだいいとして、白蓮さんは完全な善意だからなぁ(為政者としてはどうなの? って面はありますが)。(huyu)
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