檻の少女
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自由と平和に囲まれた大地の最果ての奥にある地。

そこには大地に唯一あった牢獄に入れられた少女が居ました。

誰がどうやって入れたのか分からないが、鍵穴も扉も無く、誰も開けることの叶わない強固な檻でした。

少女は何時からか、心が失ったように言葉を無くし、言葉を無くしました。

ある日、そんな最果ての地へ一人の少年がやって来ました。

少年は少女へ問いました。

「どうしてそんなところへ閉じ込められているの?」と。

けれど少女は少年を見ることすら無くただしゃがんだ格好で固まって下を見ていました。

少年はそんな姿の少女を外の世界へ出してあげようと降りを開けることにしました。

少年は一日、檻を開けるよう努めました。

けれど少女は動きもせず、檻は決して開かれることはありませんでした。

少年は三日、檻を開けるよう努めました。

檻は依然として開かれることはなく、少年は諦めようかと思いました。

ふと少年は少女を見てみると、下へ俯いていた少女は少年をそっと見ていました。

少年は諦めることを止めました。

それから一週間が経ちました。

それでも檻を開く術は見出されることはありませんでした。

けれど少女は少年の姿を見ながらそっと微笑むようになりました。

少年はその少女の笑を見て再び頑張りました。

一ヶ月が経ちました。

多くの方法を用いて少年は檻を開けようとしたり、壊そうとしたりしました。

けれど檻は開かれることはありませんでした。

しかし何時からか、少女は少年へ言葉を語りかけるようになっていました。

その言葉は話しというには物足りない短なものだったけれど、「ありがとう」とか「頑張って」、「ごめんなさい」と短なものだったけれど。

そんな少女を見て少年も多くの言葉を語りかけました。

そして半年が経ちました。

檻はそれでも開きませんでした。

しかし少女は少年と多くの言葉を交わすようになっていました。

少年と少女は多くの言葉を交わし、それは何時しか大切な時間となっていました。

少年は少女へ一つの約束をしました。

「絶対、ここから出してあげるからね」

少女は大きく頷き、少年は少女を檻から出す約束を、少女は少年に檻から出してもらう約束をしました。

一年経ったある日のことでした。

少年はついに腕を壊してしまいました。

どうすることも出来なく、少年は嘆き悲しみました。

「自分はたった一人の少女も檻から出してあげることはできないのかと」

そんな姿の少年へ少女はこう言いました。

「もう無理をしないで、私はもう檻から出られなくていいから。私はこうしてあなたと話をできれば幸せだから」

少女は悲しみながらも少年を励まし続けました。

 

それから二ヶ月が立ったある日のことでした。

そこへ牢獄を作った門番がやって来ました。

少女はその門番へ怒鳴りました。

「どうして私は閉じ込められているの? どうしてこんな檻を作ったの!? あなたがこんな檻を作らなければ彼はこんな事にはならなかったのに」

その問へ門番はこう言いました。

「お嬢さん、君はそこから出たいかい?」

少女は少し考えた末に頷きました。

出ることが出来ればもう彼に悲しい思いはさせることは無いし、彼のふれあえるとそう思ったから。

「ならその檻に触れてご覧なさい」

少女は檻へ触れました。すると檻はポロポロと崩れは締めました。

少女は泣きながらどうしてと問いました。

今まで何度も檻へ触れることはあったけれど、崩れることは一度もなかったのだから。

「その檻はお嬢さんが作ったものだ。その檻はお嬢さんが自分を閉じ込めるために作ったものだ。だからお嬢さんが誰かに出してもらうのではなく自分で出ようと思えば簡単に出ることはできたんだよ」

その言葉と同時に檻は全て崩れ消えました。

少女は泣きながら喜び、少年は少女をそっと抱きました。

少年は少女へ約束をしました。

「もう、二度と自分を閉じ込めてしまわないで」

 

それから幾年が経った頃、その場所へ度々閉じ込められた人を出してあげようと訪れる男女の姿がありました。  

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短編 オリジナル 檻の少女 

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