母香炉女学園の謎 MEIKO vs GUMI! 最終話 決戦、そして… |
<#9末文より>
MEIKO:待たせたな。ではこれから、私の分析結果を話す。それでも攻撃するのなら、正々堂々と攻撃を受けようぞ
テト:いいだろう。聞いてやる、オマエの最後の戯言、“分析結果”とやらを
(2010年4月11日(4日目)・夜・時計塔最上階・造成の間)
空中に浮いているテトとMEIKOは、にらみ合い、対峙していた。
MEIKO:まず、オマエは“借り物の体”を使い続けて、元になった最初のマギカントの肉体が滅んでからも生き続けた。そして、一番最初のマギカントの創造者はとっくに死んでいる
テト:そうだ。この体は借り物、言ってみれば私本体は“寄生マギカント”ということだな
MEIKO:しかし、マギカントである以上、最低限の必要構成物質は存在しなければいけない。“ベースマテリアル”、これはどうなったかわからないが、肉体に寄生出来るということから考えると、これは最初のマギカント製造には必要無かったのかもしれない
テト:ほぉ。なかなか冷静な分析だ
MEIKO:次に“髪の毛などの遺伝子情報”、これはあったのだろう。そして間違いなく使われた。腐ることがないため、寄生の際にも移動してきたのだろう。だが、寄生先の肉体であるテトの外観が、オマエの元から想像できる“古代人”ではないので、今は外見を変えられる程、遺伝子情報は残っていない。違うか?
テト:その通りだ。劣化しないが、寄生の際にある程度、損失を伴うため、少しずつだが減っている
MEIKO:最後に、コア宝石。これが私が言いたい最大の用件であり、そしてオマエが“一番知られたくない”内容だろう。
テト:・・・・・・・言葉に気をつけながら話さなければ行けないことは、わかっているな
MEIKO:勿論。ではここからは少し丁寧に発言する。私は戦闘中、ネルに“広範囲でのサーチ”を続けさせていました。そして、ダーク・マターの情報だけでなく、あなたのサーチもやっていたのです。その結果、こちらのマギカントの情報とは食い違う結果が出ました。あなたは存在しているのに、“コア宝石”、がその肉体にない。あなた本体はコア宝石が必要ないマギカントなのか、同じ肉体にコア宝石を内在させていなくてもある程度は肉体を保持できるマギカント、つまり特別なマギカントなのか、どれかです
テト:・・・・・
MEIKO:遺伝子情報だけで寄生出来るとは考えにくい、よって、あなたは“後者のマギカント”だと判断しました。そして、こんな学園の1女子生徒の肉体を借りて生き続けるという“おかしな行動”の裏を読むことにしたのです。貴方は、最初に言っていた“歴史の証人”を続けるためだけに、テトの肉体を借りていたのではない、ちゃんとした“目的”があったから、テトの肉体を選んでいた。違いますか?
テト:・・・・・
MEIKO:学園に来る前から、時々だが自分でいろいろな肉体から意識を出して、“ある物”をずっと探していた。そしてやっと、この学園にあることを突き止めたから、テトの体を借りて学園探索をしていた。しかし、見つからなかった
テト:・・・・・。
MEIKO:あなただけしか知らないことでしょうが、見つけた“石板”は、各地に存在する一般的な物だったのだろうから詳しくは調べていなかった。結局、情報はガセと判断せざるを得なかった。だから、“つきあう余興がつまらなければここの全てを吹き飛ばして他の場所に行く”発言をしていたということ。どうですか?
テト:・・・そう、私は“歴史の証人になる“という目的以外に、コア宝石の探索の目的もあった。しかし、それがなんだというのだ?。実際にこの学園では、私のコア宝石“水晶髑髏”は見つからなかった。あげくに私は、テト自身の叫びが鍵になり、無理矢理この体から引っぱり出されたため、不安定になっている。正直、早くここから移動して、別のところで新しい借り物を探し、新規に水晶髑髏の探索を続けたいのだが?。もう余興には十分つきあってやったはずだ
MEIKO:今の話を聞いて不確かさが確定に変わりました。あなた、ここを吹き飛ばしたり、別の場所に行かなくて良かったと思った方がいいわ。あったのよ、この学園に。その大事なコア宝石が
テト:な!!!! 何!!!!!
テトの表情が初めて一変した。その顔は初めてみせる“驚愕”の表情だった。
MEIKO:貴方のサーチ能力はそれほど強力ではなかったらしいですね。その能力に長けていた“ネル”だけが見つけ出せたのよ。先ほどの戦闘中に無線でやりとりしていたのだが、ある場所に埋もれていたのですよ。表面に出てこられない所に
テト:お、教えろ! 早く!
MEIKO:貴方にとっては“一般的”だからスルーしていた場所。“石板の中心部分”だ。そこに“古代の水晶”カテゴリーの“コア宝石”の反応がありました。形は“小さい髑髏”に近い物
テト:どけ! おまえら! 一刻も早く取り戻し、皮膚に接触させて安定化させねば!
MEIKO:話にはまだ続きがある
テト:なんだ! 手早くしろ!
MEIKO:その水晶髑髏、すでに私たちの手中にある
MEIKOは階段出口を指さした。息を切らしながらも、小さい髑髏型のクリスタルを持っているルカと、刀を突きつけて横に立っている学歩がいた。
テト:な!!! い、いつのまに・・・・ま、まさか!
MEIKO:そう、あの連絡で、ルカさんと学歩さんにお願いしていたのよ。こっそり抜け出して、ここのB1Fにある石板に行って反応があったポイントの周りを刀で切断とか掘削して、掘り出し、そしてレーダー障壁で包んでこっそり持ってきて、と。そして・・・
学歩:オマエの行動次第では、この宝石を私の刀で砕く
MEIKO:これは立派な取引だ。この宝石を渡す前に、テトの体の傷害0%の状態で、無理なく出てきて、テトを返して貰う!
テト:く・・・どうしてもこの体を奪い返すわけだな
MEIKO:その通り。“借り物は耳を揃えてきっちり返す”、これは人間の間の約束だ。おまえは擬似マギカントであっても、人間の体を間借りしているのだ。その約束には従って貰う
テト:・・・・いいだろう。どうせこの体との融和性は、もう0に近い。捨てるつもりだったからな。だが、1つだけ分析不足だったな
MEIKO:何?
突然、テトは気を失って、その場から落下していった!
???:私の“寄生”は瞬時に行われる事を!
シュ!
学歩:ぐ・・・ぉぉぉ
パリーン!
刀を突きつけていた学歩は、誰かにコア宝石を破砕され、全身が宝石に変わって、ベースマテリアルの茄子1個を残して、砕けて消えてしまった!
MEIKO:学歩さん!!!!
???:どけ!
ルカ:きゃ!
???:取り戻したぞ! 次は!
シュッ!
???:ハンドガンをいただく!
GUMI:うわ!!!
学歩を破壊し、ルカを手で押しどけ、水晶髑髏を奪い取り、GUMIを突き飛ばして、あらかじめ弾丸を装填し直してあった“GUMIのハンドガン”を拾い上げ、MEIKO達と距離を取って、高々と笑っている人物がいた。それは、最初のマギカントに寄生されたマギカントGUMIだった。
M・GUMI:はーはっはっ! まだまだ甘いな。戦術は2,3手先を読む物だ! それにしても今回の体はさすがにいいな! 戦闘用マギカントであり、私の水晶髑髏のパワーだけでなく、もう1つコア宝石が増えて、基本パワーが2倍に上がってくれたわ! 水晶髑髏、やっと“取り戻して”やったわ! これで借り物をしなくて済む!
MEIKO:な、なぜその体を!
M・GUMI:水晶髑髏を持っていたルカは人間で造成者。マギカントになってしまうと、造成者の全ての力が失われる。それでは話にならない。学歩は私の寄生照合試験で不可。リンとレン子はコンビネーションが基本になっているため、単体では攻撃力が低すぎる。MEIKO、GUMI、ネル、ハク、カイ子は論外。結局、マギカント・GUMIが一番適任だったのだよ
MEIKO:き・・・・きさま・・・・・
M・GUMI:オマエラとて、卑怯な取引をしたではないか! 自業自得だ!
ルカは目の前に転がっている学歩のコア宝石のカケラを見つめていた。
ルカ:が、学歩さん・・・・
M・GUMI:さて、露呈されたとはいえ、捜し物も終わった。残りはここを爆破し、別の場所で新しい生活の準備をするだけだ。・・・だが、その前にやることがある
チャキ
M・GUMIはGUMIのハンドガンを構えた。銃口はMEIKOに向けられていた。
M・GUMI:私の寄生生活は想像以上に長い。その歴史の中で、私から水晶髑髏を奪い去った人物、そして、MEIKO、この二人だけだ、私に驚愕の表情を浮かべさせたのは
カチッ
M・GUMI:水晶髑髏を奪い去った人間は結局見つける事が出来ずに終わった。人間の寿命から考えてとっくに死んでいたのだろう。そこからが長かった。“コア宝石を見つけだす旅”・・・・。おまえらには想像すらできんだろう。歴史の証人になることはともかく、水晶髑髏を見つけだす旅まで余計に付与されてしまった私の生きた歴史を!。そして、本来必要がなかった“何千年も無数の人間の体を間借りして”生き続けてきた事を!
カチャ
M・GUMI:私はコア宝石を皮膚に接触させて所持していない場合、肉体は人間の寿命の通りに老いていく。最初の肉体であるマギカントの創造者の体は、水晶髑髏を奪われたために失ってしまう事になった。だから寄生の力を使ってきたのだ
MEIKO:・・・・
M・GUMI:奪った人間を見つけだす事を結局出来なかった。だが、オマエは、今そこにいる。私に対峙し不当な取引を強行して追いつめた唯一の人間。オマエだけは、この私の手で葬らなければ、オマエの苦悶の顔を目に焼き付けなければ、気が済まない!。だから、私はここでオマエを始末する!
MEIKO:やったらどう? もう私のハンドガンの残弾は0。貴方の能力を見せつけられたここの全員が貴方に攻撃を加える事はできないわ
M・GUMI:言われなくても、やってやるわ!!!!! くたばれ!
ダン!
MEIKOは微動だにしなかった。しかし、弾はMEIKOの左頬をかすめただけだった。頬には線上の裂傷が出来、血が流れていた
M・GUMI:な!!! そ、そんな馬鹿な・・・・こんな距離で外すはずは・・・・
MEIKO:それで終わり? かすっただけよ?
M・GUMI:う、うるさい!!!!
ダン!ダン!
同じくMEIKO動かず。しかし、弾は今度はかすりもせずにMEIKOの体の周りを通過していった。
MEIKO:そのマギカント・GUMIはね。元のGUMIのスキルを継承せず、刀専門のマギカントとして造られたのよ。当然ハンドガンなど使った事がない。あの3発は“初めて撃つ”弾だったのよ。そんな人物に“人に弾を当てる”事ができて?
M・GUMI:う・・・・こ、こんな物いらんわ!!
M・GUMIは前方にハンドガンを投げ捨てた。
M・GUMI:だがいいことを教わった。刀なのだな? 所持しているぞ! 愛刀を! これで切り裂く!!
M・GUMIは抜刀してすぐ、前傾姿勢で刀を構えてMEIKOの方に襲いかかってきた!。しかしそれと同時にMEIKOも前傾姿勢でM・GUMIに向かっていった!
M・GUMI:くたばれー!
MEIKO:銃はね、「残弾確認」は必須なのよ!!!!
MEIKOはM・GUMIが捨てたハンドガンを素早く掴み、今度は体をひねって構えた銃の銃口を上にして、背面飛びの状態になった!
M・GUMIの刀は、刃先がMEIKOの左胸を軽く追加した程度だった。服に大きい切れ目が入ったが、そこから覗いた物は左胸ではなく、“曲面の鉄板”だった。
M・GUMI:何!
MEIKO:さらばだ
ダン!
MEIKOが構えたハンドガンから、“GUMIの残弾1発”が発射され、肉体外に所持しなければ行けないマギカント・GUMIのコア宝石“水晶髑髏”の中心を貫通していった。無数のひびが瞬時に入り、そして、砕け散った!
それぞれ反対の位置に移動した二人だが、その状況は違っていた、曲面の鉄板が左胸からずれて落ちたことで、左胸があらわになりかけたのでMEIKOは両手で胸を隠した。残弾0のハンドガンはもう捨てていた。
そして、コア宝石を砕かれたため、体がクリスタルの宝石に変化していき、すでに虫の息になっていたのは、言わずもがな、マギカント・GUMIだった。
M・GUMI:そ・・・・そんな・・・・ばかな・・・・・
MEIKO:た、例え得意な刀であっても、寄生した後、すぐに自分が修得できるはずがなかろう。それより、元のマギカント・GUMIさん、学歩さんと同じく、貴方まで犠牲にしちゃって・・・・。ごめんなさい
M・GUMI:・・・み・・ん・・な・・・はや・・・く・・・にげて・・・こいつ・・・・とんでもない・・・ことを・・・
MEIKO:え!?
M・GUMI:こうなれば、死なばもろともだ! 時計塔の組成物! 小石に分解しろ!!!!! はーーーーはっはっはっ・・・・
M・GUMIの体は粉々に砕けてしまった。
ゴゴゴゴゴゴゴ
MEIKO:みんな! 私がテトを抱えるから。全員、全速力で塔から降ります!!!!
全員:ラジャー!!
破いた服の一部を巻くことで服の左胸の裂け目を補修したMEIKOはすぐに倒れているテトを背負い、ルカはミクを背負って、全員が急いで塔から降りていった!
(時計塔・裏4F・実験の間)
MEIKO:はぁはぁ・・・・みんないる!?
全員:います!
MEIKO:ダッシュよ!!
最上階は置いてある物、煉瓦が小石に変わって崩壊していた。4F全体にもその影響が出始めていた。
(時計塔・裏3F・切断の間)
MEIKO:みんなー! 大丈夫!?
全員:大丈夫です!
MEIKO:一気に行くわよ!
4Fはすでに小石の集団に変わっており、潰れていた。程なく3Fにもその影響は及んでくるだろう。
(時計塔・裏2F・水滴の間)
MEIKO:後少しよ! 頑張って!
全員:了解!
MEIKO:後少し! 後少し!
3Fはすでに小石に飲み込まれて崩壊してしまった。
(時計塔・裏1F・ロゼワインの間)
MEIKO:ここの下のB1Fをくぐって、破壊の及ばない時計塔の外に出ます!
全員:はい!
MEIKO:ここが一番の難所!
(時計塔・B1F・物置)
MEIKO:全員、最後は、廊下に飛び込むつもりでダッシュして! ここだけ小石の大群に襲われるわ!
全員:わかりました!
ゴゴゴゴゴゴ!!!!
物置の天井から小石が多数降ってきた!
カイ子:後少し!
レン子:猛ダッシュ!!
(時計塔・1F・廊下)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーーーン!!!!!!
小石の大群は、ほんのわずかの差で足下をかすめてB1Fより下の地下室へ流れ込み、時計塔は完全に崩壊した。
MEIKO:はぁはぁ・・・・全員、生きてる? MEIKOとテト、無事だよ!
GUMI:GUMI、無事です!
ルカ:ルカとミク、OKです
リン:リンとレン子、無事!
カイ子:カイ子、なんとか生きてます!
ネル、ハク:ネルとハク、生きてます!
MEIKO:はぁはぁ・・・なんとか、無事生還出来たわね
コロコロ・・・・カツン
MEIKOの足下にあのハンドガン二丁が転がってきた。
MEIKO:ふふっ、あなた達も、無事生還なのね、おめでと! はい、GUMI、相棒よ
MEIKOはGUMIに彼女のハンドガンを渡した。
GUMI:ありがとうございます
MEIKO:とりあえず学校関係者に見つかるのはやばいわ! すぐに学校を出て、私に付いてきて!
一行はボロボロの状態だったが、必死でMEIKOを追いかけていった。
(2010年4月11日(4日目)・夜・喫茶LEO)
店内は運良く誰も客がいなかった。
ウェイトレス:皆さん大丈夫ですか? 席つなげますから、そこに寝かせてください
MEIKO:ごめんなさいね。あ、全員アイスコーヒーをお願いします
ウェイトレス:か、かしこまりました
MEIKOは動かないテトを繋げたソファに寝かせた。ルカは疲れ果てているミクを座らせた。
ルカ:ミクちゃん大丈夫?
ミク:は、はい。大丈夫です。それよりテトちゃんが・・・
MEIKOはテトの左胸に右耳を当てて、心音を聞いた。
トクン・・・・トクン・・・・
MEIKO:大丈夫、ショックで気絶しているだけ。頭部にちょっとだけコブが出来ているけど、問題ないわ
ウェイトレス:はい、アイスコーヒーです。それとこれをどうぞ
ウェイトレスが別に持ってきたのは、冷たいおしぼりと氷のうだった。
ウェイトレス:これでその方の頭を冷やしてください
MEIKO:サンキュー♪
MEIKO:・・・さて、テトちゃんが寝ているうちに、“仕込み”をしないといけないのよね。まず、ミクちゃん、リンちゃん、レン子ちゃん、カイ子さんは、そっちの目立たないテーブルで見えないようにしていてね。これ以降の会話の内容は、“あなた達の本人”、は知らないから、会話に食い違いが出てきてしまうから
ミク、リン、レン子、カイ子:はい
4人は遠目の席にアイスコーヒーを持って移動し、様子を伺っていた。
MEIKO:それと、たぶんテトちゃんの記憶は生徒会室で拉致られて、気絶した時で止まっていると思うのよ
ハク:申し訳ないです。捕まえた時、腹部にパンチを入れて、テトちゃんを気絶させました
ルカ:なるほど。ところでマギカントの記憶、あそこで記憶が止まっている場合、現状には2つケースがあるのよね。ヤツの消失でマギカントに関する記憶が全て消滅しているか、気絶した所までの記憶を受け継いでいるか
MEIKO:2つ回答を用意しておきましょう。記憶が消えていたら、あえてつっこまないで置きましょう。消えてなかったら、完璧に“事実の隠蔽”をしましょう。マギカントは単なる噂だった。学園長に脅されたハクさんが気絶させて学園長がさらっていったけど途中で、“時計塔の老朽化”に伴う倒壊に巻き込まれた。そのとき戻ってきた私たちが、巧く救助した
GUMI:それでOKね
ハク:私は素直に謝りますね
MEIKO:よし! それで行きましょう
テト:う・・・・・・う〜ん・・・・・・
テトが目を覚ました。さて、どちらのケースなのか!
ルカ:大丈夫?
テト:う・・・あ、ルカさん・・・・は、はい、大丈夫です・・・・・あの・・・・ところでそちらの皆様は“どちら様”でしょうか?
MEIKO:え!?
テト:あ、お会いしたことのある方々でしたでしょうか!? ご、ごめんなさい、本当に、その、記憶にないんですが・・・
MEIKO:(こ、これは想定外・・。とりあえずマギカントの事はOKだけど、ルカさんの事以外覚えていないって、どういうこと??)
ルカ:あのね、テトちゃん、貴方は時計台1Fの廊下を歩いていたの。でもね、その時計台が老朽化で突然倒壊してきたのよ。そのとき私と一緒に歩いていたのが、この方たちなのよ。私達はすぐに貴方の救助に向かったの。学校に行けばわかると思うけど、時計台、倒壊して無くなっているの。運良く、私たちも貴方も助かったんだけど、あなた、ちょっと怪我しているのよ。コブ、痛いでしょ?
テト:え、あ・・・・あたた、ほんとだ、コブ・・・
ルカ:救急とか警察が来なくて、現場も危なかったから、一時的にこのメイコさんって人の知っているココに搬送したんだけど、生徒会長として、私が責任を持って、あなたをこれから病院に連れていきます。とにかく治療して貰いましょう
テト:は、はい。ありがとうございます
ルカ:これからこの人達に連絡するから、ちょっとそこで待っていてね
テト:はい
ルカはネル、ハク、MEIKO、GUMIと一緒に席を離れ、話し合う事にした。
ルカ:なんとか話を繋げたわ。ちょっと違和感あったけど、気づいてないみたい
MEIKO:とりあえずテトちゃんの事をお願いします。でも、私とGUMIちゃん以外の事、どうする? マギカントでしょ?
GUMI:本人がいますからねー
ルカ:大丈夫、これまでマギカントと生活していたエリアで、これまで通り生活します
MEIKO:え・・・あの地下?
ルカ:違う違う! 私の関係でそういう所があるのよ。数的にはネルちゃんとハクちゃんの二人が増えるけどね
GUMI:うわー、結局最後は秘密組織で黒なんですね〜
ネル:お手間取らせます・・・。私たち、もう行くところないし・・・
ハク:宜しくお願いします
MEIKO:それと・・・その・・・あの二人の事だけど・・・
ルカ:・・マギカントGUMIさんとマギカントの学歩さんの事ね。消滅しちゃったからどうしようもないのよ・・・。でも施設の片隅に、グミキャンディーと茄子で作ったお墓をたてて置くわ。だって私たちの仲間だったもんね
GUMI:ありがとうございます・・・
ルカ:そうそう、GUMIさんのお兄さんである本物の学歩さんだけど、学子さんから元に戻して、あなたの家に連れて行くわ。住所はあそこでいいわね?
GUMI:はい。お願いします。両親、いませんけどね
ルカ:今更で申し訳ないけど・・・、これまでごめんなさい。その償いはちゃんとするわ
GUMI:ありがとう
MEIKO:じゃあ、なんかこれからの事、ルカさんに任せきりにしちゃう事になるけど・・・その、大丈夫?
ルカ:これでも生徒会って組織のボスだったのよ。コレくらいなんともないわ。あと、テトちゃんの記憶の具合から考えて、たぶん先生からもマギカント関係の記憶は消えていると考えられるわ。そこら辺もやっておくわ
MEIKO:ついでで申し訳ないけど、私とGUMIさんの学生登録の抹消、お願いしますね
ルカ:うん、わかっている。しっかりやっておくわ。あ、その制服、あなた達にあげるね。もう、ここのメンバーがもう一度全員揃う事はないはずだから。私たちのチームは、ここで“解散”、いいよね
MEIKOとGUMIはルカと握手した。
MEIKO:大変な事件だったけど、お互い、敵対して、助けて、そして助けられたわね
GUMI:本当にありがとう。マギカント達にも宜しくお願いね
ルカ:うん、じゃあね!。これからもお元気で!
MEIKO:元気は私のトレードマークよ♪
こうしてルカはテトの席に戻り、MEIKOとGUMIが用事で帰宅する事を告げ、これからの事をざっと説明し始めた。MEIKOはアイスコーヒー代を全員分支払って、GUMIはマギカント達にこっそり挨拶して、お店を出た。
(2010年4月11日(4日目)・夜・喫茶LEO前)
MEIKO:結局最後の最後は私たちだけでのさよならイベント・・・か
GUMI:そうですね。事情が事情だから、もう会うことはないでしょうね
MEIKO:そうね。忘れかけていたけど、私たち、探偵なのよね・・・
GUMI:なんか凄いことの連続で、忘れてました・・・
MEIKOはGUMIの手を握った。
MEIKO:お兄さんと一緒に、これから頑張ってね
GUMI:ありがとう。兄と私、二人だけだけど、兄妹水入らずで頑張るわ! あなたも頑張ってね、メイコ先輩!
MEIKO:ははは、懐かしいな、そのフレーズ。頑張れよ! 後輩のめぐみちゃん!
GUMI:はい!
こうして、二人はそれぞれの事務所に戻っていった。だが、1つだけ二人とも忘れていた物があった。
MEIKO、GUMI:あーーーーーーーー!!!!!!! ギャラ貰ってなかった!!!!!!
<後日談>
(数日後・母香炉女学園)
倒壊した時計塔は、“KEEP OUT”の黄色いテープで囲まれ、まだ警察関係者が出入りしていたが、ルカの取り計らいで、それほど大きな騒ぎにならずに済んでいた。警察関係者や当初押し掛けた報道陣へのルカの対応は見事だった。学園長が時計塔の補修を怠っていたのは事実だったため、その証明書面を提出するだけで大分事態をクリアにできた。
そして当然だが、学園長は、時計塔の残骸からも見つからなかったのだが、学園長の執務室の状態が“どこかに行ってしまう”状態になっていたことや、マギカントを知らない人には何を書いているのか全く不明の“去りゆく書き置き”が置いてあったのも決め手だった。学園長は、
“謎の失踪”
扱いに決まり、学園外での失踪届けが出される形になり、学園内での学園長の捜索はうち切られた。
また、時計塔に存在したマギカント関係の物品や部屋の抗生物質だが、最初のマギカントが最後に“時計塔の構成物質を小石にしてバラバラにしてくれた”ため、怪しい器具類、部屋の物品、宝石類は、一切見つからなかった。全て“一般的”な小石になっていたのだ。
学園は基本“休校”になっていたが、教師と生徒会関係者だけは、事情徴収や警察への協力などの理由から、登校していた。ただ勿論だが授業は行われていない。
***
(同日・母香炉女学園・生徒会室)
ルカ:テトちゃんの治療終了、学子さんの洗脳解除と学生登録抹消、そしてGUMIさん宅への搬送終了。MEIKOさん、GUMIさん、ネルちゃん、ハクちゃんの学生登録抹消終了。教師のマギカントの記憶、消滅確認。生徒会室の改造終了。警察への情報提供終了。マギカントの痕跡消去終了。あと、あれとこれと・・・・全部終わったわね・・・・・・ふぅ・・・んーーーーーーーーーーー
ルカは椅子に座りながら、ちょっと背伸びをした。
ルカ:さっすがに大変だったわね。石板もご丁寧に小石の状態で木っ端みじんになってくれたから・・・たぶん、これ以上はマギカントの造成とか、無理っぽいわよね、やっぱり
そこへ慌ただしく女生徒が一人入ってきた。
カイ子:ルカさーん! 学子さんとメイコさんとめぐみさん、やめちゃったんですか〜!
ルカ:あー、家庭の事情で急遽、自主退学したのよ。いろいろあるのよ、3人とも
カイ子:え、だって、まだ1週間も経ってなかったのに
ルカ:私は事務処理を教師側に連絡しただけだから、事情は知らないわよ
カイ子:せーーーーっかく、アイス同好会の調査で見つけた、美味しいアイスのお店に誘おうと思ったのに!
ルカ:(それにしても、あのカイ子とこのカイ子の違いようは・・・・・)
また駆け込んできた生徒がいた。
リン:せんぱーい! 大丈夫ですか〜!
レン子:凄い大変って聞きましたが〜!
ルカ:ええ、大変だったけど、これまで来た分は、全部処理したわよ
リン:それにしても、生徒会のメンバー、突然3人欠員が出ましたね
レン子:どうなさるんですか?
ルカ:一応、風紀関係は剣道部顧問のアル先生に代行を頼んでいるわ。適任がまだいないのよ。諜報委員の二人分は、もうやめようと思うのよね。私が必要に応じてPCを使うことにしようと思って
リン:あ! それと、2年A組のテト先輩から言づてがありました
「軽音楽部で同じのミクさんが最近、変わった歌を口ずさんでいます。タイトルを訊いたら「巡り還る不滅のチカラ」なんだそうです。作詞はミクさんで、元気になれる曲を、と思って大分前に作った曲なんだそうです。」
ルカ:(ギク!)
そこへもう一人生徒が入ってきた。
ミク:♪ 大いなる チカラを秘めてー 静かに眠る海ー ♪
ルカ:ミ、ミクちゃん!
ミク:♪ Darkness time is finished. And blue sky is coming in your heart. ♪、あ! 先輩! どうですか? この曲? 伴奏つけて、今度の学園祭の軽音楽部の発表曲にしようと思うんです
ルカ:うん、凄くいい曲だよ! 頑張ってね!
ミク:はい!
***
(同日・母香炉女学園・夕方・生徒会室)
生徒会室にはルカだけが残っていた。戸棚には“茄子に割り箸が4本刺さったナスノヨイチ”と、大きめのグミキャンディ1個が置いてあった。
ルカはコーヒーを飲みながら、まったりとそれを眺めていた。
ルカ:GUMIさんに、学歩さん・・・あの時はありがとね。お墓はだめだったから、こんな形であなた達を生徒会室に置くことになったわ・・・・これからも宜しくね
ナスノヨイチ:(こちらこそ宜しくでござる)
グミキャンディ:(宜しくです)
ルカ:え!?
ナスノヨイチ:(・・・・・)
グミキャンディ:(・・・・・)
ルカ:ふっ、ちょっと疲れちゃったかも。今日は帰ろうかな。じゃあ、お二人さん、さよなら
パチ
生徒会室は暗くなり、施錠され、ルカはマギカント達が待つ家へ帰っていった。
***
(数日後・橙緑探偵事務所(兼、勇気家)
勇気学歩:うーむ、さすが茄子の油炒めは美味しいでござる!
勇気めぐみ:お兄ちゃんの好物だもんね。でも、ご飯食べ終わったら書類整理、お願いね〜。所長、今いないけど、帰ってくる前に終わってないとだめだから
学歩:わかったでござる
めぐみ:その口調、治らない?
学歩:うむ。どうしてだか、自然に出てしまうでござる
めぐみ:ま、まぁいいけど・・・(ルカさん〜治療が不完全だったよ〜)
(夕方)
事務所にはめぐみ一人だけが、ノートPCで書類を作っていた。
パコパコパコ・・・ピコ・・・
パタン。
めぐみはノートPCのふたを閉じた。
めぐみ:はぁ〜これで今回の事件の書類、全部終わったわ。ごまかすの難しかった〜。マギカント情報を0にして、さらに時計塔は倒壊だもんね。生徒会の内容も大分変えたし・・・はぁ
めぐみは壁に掛けてある学生服を眺め、そして近づいていった。
めぐみ:あれで戦ったのよね。ついこの前。全くめちゃくちゃな案件だったわね〜
キラッ
めぐみ:? あれ? 胸のリボンになんか光っているものがあるわね?
めぐみはリボンを調べた。すると、そこには、あのブラックダイヤモンドのカケラが1つ挟まっていた!
めぐみ:! だ、大丈夫・・・・・みたいね。しかしなんでここに・・・・。あ! そうか! あの時、逃げる前に引っかかって、私の位置と同じ所で移動していたから、小石にならなかったんだ。こ、これは、“戦利品”でいいわよね・・・・。今回ギャラ0だったから・・・これは個人売却で・・・いいわよね
めぐみはそのカケラを自分の財布に入れた。ブラックダイヤモンドは希少宝石。こんな小さなカケラでもかなりの額になる。
めぐみ:一部はルカさんから後で送られてきたギャラにして、残りは・・・・アパート借りる資金にしようっと♪ 兄さん、ここじゃ大変だもんね。ラッキー☆
どうやら、最後に小判が降ってきたようだった。
***
(数日後・赤井探偵事務所・夕方)
パコパコパコパコ・・・・・
所長の赤井:MEIKOさん、お疲れ。今回は災難だったわね。学園長が失踪中で、あんな事故に巻き込まれたのに、補償もギャラもないなんて・・・
MEIKO:いえ、いいんです。とりあえず私、ここに無事でいますから
赤井:いや、それならいいけど。とりあえず次のオファー、まだ入ってないから、体は休めて置いてね
MEIKO:はい
パコパコパコパコ・・ピコ・・・ブーーーン
MEIKOは書類ファイルをセーブし、PCの電源を切った。
MEIKO:・・・・さて、書類は明日で完成かな。でもって、今日は残り私だけか
カチャ
MEIKOはポケットに入っていた小さな箱を開けた。その中には、あの時、使われずに破壊されなかった“ブラッディダイヤモンド”が1こ、そのまま入っていた。
MEIKO:落ちていたから逃げる間際に、一応ポケットに入れて置いたんだけど、私と一緒に移動したから、今でも小石にならないのね
MEIKOは指でつまんで、いろいろ回転させていた。
MEIKO:これ、絶対、高価売却できるわよね。でも、ギャラに廻したら、私の場合、逆に怪しいわよね。しかも売って、突然成金ってのもおかしいし・・・・。まぁ、なにかあったときの切り札アイテムとして、保管しておこうかしらね
MEIKOは箱に戻してふたをし、自分の鞄にしまった。
MEIKO:さて、今日はおしまい! 帰ろ!
MEIKOは身支度して、鞄を持って、退室した。
バタン
PCモニター:ジジジ・・・・次のオファーだ・・・学園の・・・・そこを・・・・
(了)
CAST
咲音メイコ(MEIKO):MEIKO
勇気めぐみ(GUMI)&マギカント・GUMI(&最初のマギカントの声):GUMI
生徒会長・巡音ルカ:巡音ルカ
初音ミク&マギカント・初音ミク:初音ミク
リン&マギカント・リン:鏡音リン
レン子&マギカント・レン子:鏡音レン
勇気学歩&マギカント・学歩:神威がくぽ
カイ子&マギカント・カイ子:KAITO
亞北ネル:亞北ネル
弱音ハク:弱音ハク
重音テト(&最初のマギカントの声):重音テト
ウェイトレス、赤井所長:エキストラの皆さん
***
<学級委員長と生徒のクラス割>
学園長:黒井木之子
1年A組:委員長・勇気めぐみ、生徒・亞北ネルと弱音ハク、先生・レオン
1年B組:委員長・鏡音リン
1年C組:委員長・鏡音レン子
2年A組:委員長・初音ミク、生徒・重音テト
2年B組:
2年C組:
3年A組:委員長・工藤カイ子
3年B組:委員長・咲音メイコ、先生・プリマ
3年C組:委員長・神威学子
3年D組:委員長・巡音ルカ
<部活動>
剣道部:部長・神威学子
軽音楽部:部長・初音ミク、部員・重音テト
アイス同好会:会長・工藤カイ子
説明 | ||
○ボーカロイド小説シリーズ第5作目の”母香炉女学園の謎 MEIKO vs GUMI!“シリーズの最終話です。 ☆ジュブナイル探偵SFファンタジーモノ(?)です! ○今回はMEIKOさんとGUMIさんのダブル主役です。 ○pixivで人気の良かったシリーズです。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
498 | 498 | 0 |
タグ | ||
Vocaloid ボカロ小説 MEIKO KAITO GUMI 巡音ルカ 鏡音姉弟 初音ミク 神威がくぽ 亜種 | ||
enarinさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |