真・恋姫無双 三人の天の御使い外伝 二喬伝 其の二 |
一
(小喬turn)
今日はあたしとお姉ちゃんが緑一刀さまを起こす当番になってた。
昨日の華淋さまと紫一刀さまがあたしとお姉ちゃんは幸せいっぱいにしていただけたので、今日は朝から顔が緩んじゃう♪
「さあ、お姉ちゃん。緑一刀さまを起こしに行こう♪」
「うん、小喬ちゃん♪」
緑一刀さまの御寝所に来て中をのぞいてみると寝台でお眠りになってる。
昨日詠さまに不用意に近づくなって言われたけど、近づかなきゃ起こせないよね。
「どうしよう小喬ちゃん・・・」
「とりあえずお声をかけよ。」
あたしたちは枕元に近づいて声で起こしてみることにした。
「緑一刀さま、朝ですよ〜。」
「起きてください、緑一刀さま〜。」
「ぐう・・・」
いびきで返事されちゃった・・・。
「・・・とりあえず普通に起こしてみようよ。」
「そ、そうだね・・・。」
あたしたちは一刀さまを揺すってみた。
「「一刀さま〜。」」
「う〜ん・・・ぐう・・・」
やっぱりだめか。
そういえば昨日詠さまは布団をはぎ取ろうとして抱きつかれてたっけ・・・・・・むふふ♪
「お姉ちゃん、布団はぎ取っちゃおうよ♪」
「え?でも昨日詠さまは・・・・・・やろうか?」
「うん、じゃあいくよお姉ちゃん!」
「うん、せ〜の。」
あたしたちは勢い良く布団をはぎ取った・・・・・・・けど、一刀さまは眠ったまんまだった。
「ええ〜〜〜!?どうして〜!?」
「うぅ、ちょと期待したのに・・・」
「あ、お姉ちゃん。ほらほら、一刀さまのが朝勃ちしてるぅ。」
「あぅ、ほんとだ・・・すごい・・・」
「せっかくだから起きてるほうの一刀さまにごあいさつを・・・」
「い、いいのかなぁ・・・でも、わたしも・・・」
「眠っている俺のちOこにイタズラする悪い子はお仕置きだぁ!」
「「ひやああああっ!」」
あたしたちは起き上がった一刀さまにつかまり寝台の上に押し倒されちゃった♪
「お仕置きされんのはあんたよっ!!この性欲魔人っ!!」
ゴスッ!という音が一刀さまの頭頂部から聞こえたあと、倒れた一刀さまの影から踵落しを決めた詠さまの姿が現れた。
ちぇ〜、あと少しだったのに・・・。
「あ〜、おはよう。大喬、小喬、詠。」
「「おはようございます。緑一刀さま。」」
「まったく、あんたらは蹴られなきゃ起きらんないわけ!?」
「スマン、自覚がないもんだからなんとも・・・それより、今朝は月と一緒じゃないのか?」
「月は緊急会議の準備よ。ボクはこの二人が心配だから視に来たの!ボクもすぐ月の手伝いに行くんだから。大喬、小喬、朝ごはんが終わったら二人も会議に参加するように華淋から要請があったわ。」
「かいぎ・・・ああ、そうだった、そうだった。議題は華雄のことだったな。」
「あんた忘れてたわね・・・はぁ、それだけじゃなく、大喬と小喬のことも議題にするって、華琳が言ってきたわ。」
「「あ、あたしたちのことですか!?」」
「ああ、心配しなくても大丈夫よ、『先生』役を正式に決めたいって話らしいから。」
「え?華琳さま、先生してくれないんですか?」
「それは絶対に無いから大丈夫!」
一刀さまが力強く言ってくれた。
「なんであんたがそんなに確信を持てるのか知りたいわ・・・きっと、自分以外にも先生を付けても大丈夫って認められたのよ。」
あたしたちは手を取り合ってお互いの顔を見詰め合ってから笑顔で答えた。
「「はい♪」」
(大喬turn)
朝食を緑一刀さまと一緒にいただいているとき、一刀さまがおっしゃいました。
「今日の会議は午前中だけの予定だから午後から買い物に行かないか?」
「はい、わたしたちで良ければお供いたします。」
「いや、大喬と小喬じゃなきゃ意味がないんだ。二人が頑張ってるから俺から・・・いや、俺たちからの応援ってことで何か買ってあげたくてさ。」
「いいんですか?一刀さま!?」
「小喬ちゃんはしたないよぅ。それに、他のみなさんの手前・・・」
「大丈夫だって、みんなだって街で俺たち見かけたらご飯だ、お菓子だ、服だって、たかって来るんだ。そんな高いモンは買ってあげられないけど・・・俺たちの懐具合のもあるし・・・まあ、そういうことだから。」
「は、はい。ありがとうございます、一刀さま。」
「ありがとうございます、一刀さま!えへへ、何買ってもらおうかなぁ。」
そうしてわたしたちは朝食を終えたあと会議場へ向かいました。
「それではこれから緊急御前会議をはじめます。議題は華雄さんと大喬ちゃん、小喬ちゃんの今後についてです。」
朱里ちゃんが進行役で会議が始まりました。
会議場には三人の一刀さまと、魏から華琳さまと風さま、呉から雪蓮様、蓮華様、冥琳様、祭様、蜀から桃香さま、朱里ちゃん、雛里ちゃん、後、月さまと詠さま。
わたしたちも含めると十六人です。
「まず、華雄さんですが本人のお話では過去の遺恨は既に無く、月さんを助けかくまったことを感謝していました。」
「うん、俺が昨日会ったときも最初はすげぇ睨まれたけど、話し合ってるうちにわだかまりも無くなった。俺が感じた華雄本人の印象は仁義のかたまりだったな。」
緑一刀さま、わたしたちがお料理とかしているときそんな大変な仕事をなさってたなんて・・・なんか申し訳ないです・・・。
「そこで俺からの意見として、華雄に月の護衛を頼もうかと思うんだが・・・どうだろう?」
「いいんじゃない?私は賛成よ。」
「わ、私も賛成でーす!」
華琳さまと桃香さまが早速賛成されました。
「それは早計過ぎではないのか?華雄は董卓軍では有名な武将だ。月の側にいつもいるのでは月が董卓だと言っているようなものではないか?」
冥琳様が反論をされました。なるほど、確かにそれはあるなとわたしも思います。
「でもそれを言ったら恋ちゃんや霞ちゃん、ねねちゃんもおんなじですしぃ、ぶっちゃけ袁家の人たちが気にしなければ問題が無いわけで、あの人たちが華雄ちゃんを覚えてるとはとても思えないんですけどねぇ。」
風さま・・・身もふたも無いなぁ・・・でも、あの美羽ちゃんなら・・・覚えてないだろうなぁ。
「ならば私は冥琳の意見を参考に、袁家を今まで通り警戒する事を前提で賛成にする。」
蓮華様はなにかいつも張り詰めた感じがするけど・・・。
「俺も蓮華と同じだな、賛成。」
「俺も特に問題ないと思う、賛成。」
赤一刀さまと紫一刀さまも賛成された。これで承認なのかな?
「それでは皇帝陛下と三国の王が了承されましたが意見の在る方がいらっしゃれば挙手をお願いします。」
朱里ちゃんが会議場を見渡しますが挙手した人はいないようです。
「では華雄さんには月さんの護衛の任に付いてもらう事に決定いたします。」
「ありがとう。それじゃ詠、華雄には適当な役職名つけといて。」
「了解、まあ北郷隊くらいの地位でいいでしょ。」
「みなさん今回は華雄のためご迷惑をお掛けした事、お詫びいたします。並びに華雄のためご尽力頂いた事、大変感謝いたします。」
月さまが会議場に集まった人たちに頭を下げてこの件は終わりになったようです。次はいよいよわたしたちの『先生』を決める会議です。
「それでは次の議題。大喬ちゃん小喬ちゃんの教師を選抜します。まずは華琳さんからお話がありますのでお聞きください。」
「では・・・昨日私と紫一刀で二喬の知力、体力、その他調べたわ。知力はなかなか大したものよ、昨日まで私は自分が時間の有る時に教えるだけのつもりだったけどそれでは勿体ないわ。最低でもあと二人、教師が欲しいわね。」
「大喬ちゃんと小喬ちゃん、そんなに有望なんですか!?」
桃香さまが驚いてるけど、わたしは華琳さまにそんなにほめられて恥ずかしくてしかたありません・・・うぅ、顔熱いよぅ。
「ええ、基礎に問題はないわ。しっかり勉強すれば一刀たちの補佐が充分以上できるようになると私は見ている。」
「ちょっと祭!私そんなの聞いてないわよ!」
「い、いや策殿、儂も二人がそこまでできるとは聞いていないんじゃ。喬玄のやつに謀られたわ。」
今まで黙っていた雪蓮様が激昂されてる・・・お母さまは祭様になんて言ってたんだろう・・・気になるなぁ・・・。
「ふふ雪蓮、今更遅いわよ。もう二喬は一刀たちの預かりとなっているのだから諦めなさい。」
「なんか無性に悔しいぃっ!・・・あ、そうだ!冥琳、あなたが二喬の教師になりなさい!」
「「「いっ!?」」」
「ん?どうした北郷、三人揃って・・・」
冥琳様が不思議そうに一刀さまたちを見ました。
「「「い、いやぁ・・・べつに・・・」」」
「ふむ・・・そうだな、私も療養の身だが北郷を補佐する傍ら教鞭を取るのも悪くないかもしれん。」
孫呉の誇る頭脳、『美周郎』冥琳様が・・・わたしたちに?
「ですってよ一刀・・・どうしたの?三人ともそんなに汗を掻いて・・・」
華琳さまも怪訝そうに一刀さまたちを見ました。
「「「な、なんでもありません!」」」
(ね、ねえ、お姉ちゃん。なんか大事になってきてない?)
(う、うん。とりあえずこのまま様子をみてよぅ。それより一刀さまのご様子・・・お加減が悪いんじゃ・・・)
(う〜ん・・・あれ以上顔色が悪くなるようなら進言してみよう。)
(・・・そうだね。)
「では、他に候補はいないかしら?多くて困ることは無いのだから。」
「魏が華琳さんで呉が冥琳さんだから、うちはやっぱり朱里ちゃんと雛里ちゃんにお願いしちゃおっかなぁ!」
えええええ!?伏龍、鳳雛と呼ばれた二人までえ!?
「それはいいっ!是非そうしようっ!!」
「はわわ!ご、ご主人さま、興奮しすぎですぅ。」
「あわわ・・・私は上手に教えてあげられる自信が無いですぅ。」
「そこはほら!年も近いんだし一緒に勉強するような感じでやれば!」
「そうだ!大喬と小喬は昨日華琳からあの厨房の使用許可が出てるんだ。まずは一緒に料理とかして親睦を深めれば教えやすくなるんじゃないか?」
「ねえ一刀。なんか必死だけどどうしたの?」
「華琳、今ここでは言えない。後で説明する。」
一刀さまたち急に元気になったけど、どうしたんだろ?
「あのぅ、ご主人さま。」
「月?な、なにかな?」
「私は詠ちゃんを推薦します。」
「ええ!?ボクぅ!?」
「きっとこれから先一緒にお仕事することになると思うんです。それなら詠ちゃんもお勉強を見てあげたほうがきっといい結果が出ると思いますよ。」
「それは確かに!詠、お願いできる?」
「ボク、他人に勉強を教えたことって無いから自信ないよ・・・」
「きっと詠ちゃんにもいい経験になると思うよ。」
「ゆ、月がそこまで言うならやってもいいけど・・・大喬、小喬、あんまりいい教師じゃないと思うけどよろしくね。」
「そ、そんなことないです!こちらこそお願いいたしますっ!」
「詠さま!あたしたち一生懸命がんばるからお願いします!」
「うん、ありがとう。大喬、小喬。」
詠さまの笑顔ってあんまり見ないけど、かわいい笑顔だな。
「ねえ華琳。魏からはあなたの他に教師は出さないの?」
「そうね、普通なら桂花と凜にやらせるところだけど・・・今回はさすがに空気を読むわ。そっちはどうなの蓮華?」
「亞莎はまだ修行中の身だし、教師の面子を考えたらむしろ一緒に勉強させたいぐらい。あと穏は・・・・・・絶対勉強にならないと思うわ・・・」
「まあこれだけ居れば大丈夫でしょう。とりあえず教師役も揃ったから次に体力面の話だけど、柔軟性と持久力はあるけど決定的に腕力が無いわ。」
「あのう華琳さん、軍師候補だったら体力は別に無理しなくても・・・」
「桃香、あなたの所は特にそう、軍師だって自分の身を守れるくらいはできるようにさせなさい。まあ、私の所も偉そうに言えたものではないけど・・・その点呉は羨ましいわね・・・」
「あら、華琳からそんな言葉が聴けるなんて、どういう風の吹き回し?」
雪蓮様がさっきとは反対にすごい嬉しそう。
「私は事実を言ったまでよ。」
桃香さまが少し考えてから手を上げました。
「えっと、穏さんもですか?」
「あら、知らないの?あの子、一刀並にはやるのよ。」
「ええ!?そうなんですかぁ!?うぅ、私知力は無理でも武力ならって思ってたのにそっちも穏さんに負けてるんですね・・・」
「魏で武力と知力を兼ね備えてるのは秋蘭と霞くらいだし、私が愛紗にこだわる理由、分かってもらえるかしら?」
「わ、わかりましたけど、愛紗ちゃんはあげませんよっ!!」
「はいはい、とにかくそう言う訳でこちらのほうも師をつけてあげたいのだけど、どうかしら?」
今度は蓮華様が手を上げられました。
「新兵の訓練なら北郷隊が得意なのではないの?」
「却下!蓮華はあの子達の訓練方法を見たことないの?」
「え、ええ。近々見に行くつもりなのだけど・・・」
「あの子たちにまかせて二人が下品になってはかなわないから絶対だめよ。」
「それ聞いたらあの三人泣くぞ。」
紫一刀さまが苦笑してます。そして桃香さまが今度は笑顔で手を上げています。
「ねえねえ、華琳さん、蓮華さん、お勉強は最高の先生が揃ったんだから、武術の方も強い人たちみんなでっていうのはダメかな?」
「と、桃香・・・もう少し考えてから発言したほうがいいと思うわよ・・・」
「・・・蓮華の言う通りね。桃香、仮にあなたが愛紗、鈴々、翠に鍛えられたらどうなるか想像してみた?」
「えっとぉ・・・・・・・スミマセン、逃げ出します・・・・」
それまで黙って聞いていた一刀さまたちが何か思いついたみたいで話し合っています・・・あ、どうやら代表で緑一刀さまがお話になるようです。
「なあ、今の話いいんじゃないか?」
「は?何言い出すのよ、あなたたち大喬と小喬を殺す気?」
華琳さまがすかさず反論してくれました。
「いやそこじゃなくて桃香を鍛えるって方。」
「ご、ご主人さま!わ、わたしが死んじゃうぅ!!」
「いやいや、桃香が自分を鍛えるつもりで選んだ師なら二人にもちょうどいいんじゃないかと思うんだ。」
緑一刀さまの言葉に蓮華様もうなずいています。
「なるほど、それはいい考えね。いっその事本当に桃香も一緒に鍛錬をしてみてはどう?」
「そうね・・・それなら魏と蜀の軍師たちをまとめて鍛錬してはどうかしら。普段から肩が凝ったの腰が痛いだのと言ってるけど、運動不足なのは明らかなのだし。」
武術の鍛錬ということだったので心配だったけど、桃香さまや他のみなさんと一緒にできるならなんだか楽しそう。
「あはは・・・実は最近また胸が重くなって肩と腰にきちゃって・・・」
あれ?急に会議場の気温が下がったような・・・。
「それが運動不足のせいよ!」
雪蓮様なんだかすごく嬉しそうな表情・・・一刀さまたちは逆に引きつってる・・・。
「私なんかちゃんと身体動かしてるから全然凝ってないわよ〜〜〜〜。」
・・・あ、あからさまに華琳さまを挑発してるぅ・・・。
「へえぇ、そうなんですか?私、卓とか机に着いたらついのっけちゃって・・・」
あああ、桃香さま!空気読んでぇ!
(・・・取れちゃえばいいのに・・・)
(・・・もげやがれですぅ・・・)
きゃあ!朱里ちゃんと雛里ちゃんがぁ!
「今はそんな乳自慢はいいからっ!早く誰が武術の師にいいか言いなさいっ!」
「ひやあっ!」
あぁ・・・華琳さまキレちゃった・・・。
「そ、そうですねぇ・・・う〜ん、うちだと紫苑さんと焔耶ちゃん、あと蒲公英ちゃんかな?」
「紫苑はなんとなく分かるが・・・焔耶も?」
緑一刀さまが何か疑問視してます。
「うん、焔耶ちゃんも優しく教えてくれそうでしょ!」
「・・・それは桃香だから・・・あと蒲公英かぁ・・・まあ結論は置いとくとして・・・じゃあ魏では?」
「う〜ん・・・秋蘭さんと凪ちゃん!」
「秋蘭も分かりやすいな、凪はどうして?結構きびしいと思うぞ。」
紫一刀さまが質問しました。
「あの手がブワ〜っと光るの、できるようになったらすごいなって思って!」
?手がぶわ〜?ひかる?どういうことでしょう?
「そ、そうだな・・・できるといいな・・・・・・・それじゃあ呉は?」
緑一刀さま、また引きつってる・・・。
「う〜ん・・・蓮華さん・・・」
「わ、わたし!?」
「うん!蓮華さんが剣を振っているときってカッコイイから、それに真剣に教えて貰えそう!」
「そ、それは、確かにまかされたら真剣に教えるけど・・・そんな、カッコイイだなんて・・・」
「もう、蓮華ったら何照れてんのよ!ねえねえ桃香、他には!?」
雪蓮様が身を乗り出して先を促します。
「え、えっと・・・冥琳さん・・・?」
「ん?こっちも私が見るのか?」
「冥琳さんも結構強いって聞いてますし、なによりすごく理に適った鍛錬法を知ってそうなので・・・」
「うむ、確かに知っているぞ。そうだな、忙しい軍師たちを鍛えるのだから効率よくやるためにも私が見たほうがいいのか・・・」
冥琳様、あごに手を当てて思案しています。
「ね、ねえ桃香・・・他には?」
雪蓮様が更に訊きました。
「え、ええとぉ、さ、祭さん・・・」
「儂か!?儂は厳しいぞ。それでもいいのか?」
祭様笑ってらっしゃる。ふふ、実は結構喜んでるのわかりますよ。
「あはは、赤ご主人さまから聞いてるので知ってますけど・・・大喬ちゃんと小喬ちゃん、二人が一番安心できるかなぁって・・・」
桃香さま・・・。
「劉備殿・・・お心遣い痛み入る。そう言われてはお断りできん、やらせて戴きましょう。」
「ちょ、ちょっと桃香!なんで私には頼まないのよぅ!!」
雪蓮様さっきからそれで・・・。
「あはは、は・・・その・・・」
桃香さまは視線をそらされて、
「雪蓮さん・・・お酒飲んで寝ちゃいそうなんで・・・」
「ぷっ!」
あ、華琳さまが・・・
「ぷくくっ、だ、だそうよ、ぷぷっ、しぇ、雪蓮。」
「くぅ〜〜〜〜っ!」
雪蓮様顔まっ赤にして目まで潤んでる・・・。
「姉様、これは私も否定できません・・・普段の生活態度を改めてください・・・」
「そうだな、桃香も見るべき所は見ているということだ。諦めろ雪蓮。」
「蓮華も冥琳もひどい〜っ!」
「まあ酒飲みの戯言は放って置いて。朱里、明日一回目の鍛錬を行うから皆の予定を合わせるよう通達しなさい。」
「は、はいっ!」
「あ、ちょっと待った!朱里、俺たちも参加したいんだけどいいか?」
「はわわ!ご主人さま、お三人ともですか!?」
「ああ、昨日華琳からももっと鍛錬しろって言われてるし、みんなでやれば楽しそうだしな。」
紫一刀さまがお答えになりました。
「は、はい。ご主人さまがご一緒してくださるなら私たちもがんばれます!」
「ありがとうございます、ご主人さま。」
朱里ちゃんと雛里ちゃん、一刀さまがご一緒だってわかったらすごいうれしそう。
「ところでな、明日のその鍛錬用に特別な服を用意してあるんだ。参加者全員に渡してもらえるかな?」
「「はい?」」
「さあ、会議も終わったし、街に出掛けようか。」
緑一刀さまがお声をかけてくださいます。
「「はい!」」
「あ、ご主人さま!私も行っていいかな?」
「私もついてくわ。護衛役が必要でしょ。」
桃香さまと雪蓮様がご一緒してくださるみたいです。
「よし行こう桃香、ありがとう雪蓮、他にはいない?」
「私たちはこの後、明日の打ち合わせをするから行けないわ。大喬、小喬、楽しんでらっしゃい。」
華琳さまをはじめみなさんが送り出してくれました。
「「はい、それでは行ってきます。」」
(小喬turn)
午前の会議が予想より早く終わったのでお昼ご飯にはまだ少し早い時間。
あたしとお姉ちゃん、緑一刀さま、それに桃香さまと雪蓮様の五人は街にくりだし、あたしとお姉ちゃんは案内してもらってます。
「あそこの本屋は朱里と雛里が懇意にしてる店なんだ。二人も特別に欲しい本が有ったらあそこに頼むといいぞ。」
「へえ、きっとすごい難しい本とか置いてるんだろうなぁ。」
「そ、そうだな。(でもきっとあの二人と話の合う本があるとおもうなぁ・・・)」
「?ごめんなさい、よく聞き取れなかったんですけど・・・」
「い、いや。なんでもない。」
「でも良かったねぇご主人さま。こうして街に来てもちゃんと女の人が出てきてくれるようになって。」
桃香さまが街の様子を見回して言いました。
「いや、それが・・・」
「あら、桃香。今日は私と桃香がいるからよ。それに二喬もいるしね♪この状況なら一刀も他の女に手を出せないって思われてるのよ。」
「一刀さま・・・色々と申し訳ありません、わたしたちの所為で・・・」
お姉ちゃんが一刀さまに謝ってる・・・でも、あたしもそうだけどみんなもこの結果は歓迎していた。
やっぱりこれ以上一刀さまのお相手する女の子は増えてほしくないもんね。
「はは、だ、大丈夫。気にするなって、これでも前より良くなった方だから。」
「一刀さま、お淋しいときはいつでも言って下さいね。あたしとお姉ちゃんで慰めてあげますから。」
そう言ってあたしが手を抱きしめてあげると一刀さまったら顔を赤くして照れてる。
こういうところがかわいいのよね一刀さま?
「ホント懐かれてるわねぇ、このスケコマシィ。」
「あのなぁ雪蓮・・・」
「ご主人さまは反論できないぃ!」
「桃香まで・・・分かりました。受け入れますよ、俺はスケコマシの鬼畜野郎だよ、どうせ!」
「あはははは、拗ねない拗ねない。」
「えへへ、ごめんなさいご主人さま。それじゃぁどこに行こうか・・・」
『あー!一刀発見っ!』
通りの向こうから聞こえてきたその声の主がこっちに走ってくる。
あれは小蓮さまっ!
「雪蓮お姉ちゃんに桃香!それに大喬小喬まで!何してるのよこんな所で!?朝から会議だって言うから我慢してたのに!ずーるーいーっ!!」
「しゃ、シャオちゃん、会議は・・・」
「会議はもう終わりました!あたしたちはこれから食事をしたあと、一刀さまにご褒美を買っていただくんですぅ!!」
言いかけた桃香さまをさえぎってあたしは小蓮さまに言い返す。
「ちょ、ちょっと小喬ちゃん・・・」
「ご褒美・・・?」
「一刀さまが今朝約束してくださったんです。あたしとお姉ちゃんが頑張ってるからって、現に華琳さまも認めてくださいましたし!」
「し、小喬!あんた江東の人間でしょ!華琳に認められたって何よ!?孫呉を裏切る気!?」
「あっれぇ?今は一刀さまが皇帝で、それは三国の王が請いたもの、その王の一人華琳さまが認めたってことは、蓮華様や桃香さま、ひいては雪蓮様に認められたのと同じくらいの価値がある、って言いたかったんですけど?まさか小蓮様は今のこの国のあり方を認めない、なんてことを言わないですよねぇ!」
「くう〜〜〜〜っ!・・・・・・わ、分かったわ、今の言葉は訂正する・・・でも、そのつかんでる一刀の腕は離しなさいよ!」
(あらら、自分の過ちを素直に認めたのは褒めてあげたいけど、攻撃方法がいきなり女の子になっちゃたわねぇ。)
(あはは、でもシャオちゃんらしくていいじゃないですか。)
「ふ〜ん・・・じゃあ、はい。腕は離すけど・・・えいっ!」
「ああああああっ!!こ、腰にしがみつくなんて!ちょ、ちょっと!どこに頬ずりしてるのよっ!!」
「へへぇ、見ての通り。あたしとお姉ちゃんは爪先から髪の毛の先までぜ〜んぶ一刀さまの物だからいつどこでもお望みならお相手できるって意思表示よ!」
「そんなのシャオだって同じ、いえ、シャオの方がもっと思ってるんだからっ!!」
「うわっ!シャオ、引っ張らないで!脱げる!ズボンが脱げるぅっ!」
「ほらほら一刀ぉ、早く事態を収拾しないとまた悪い噂が広まるわよぉ。」
「しぇ、雪蓮!くそぅ、シャオを止める気無しかよっ!ちょ、シャオ!話聞くから引っ張るのヤメーッ!!」
「わかった・・・でも離さないからねっ!」
「な、なあシャオ、大喬と小喬は頑張ってるから応援の意味も込めて褒美をあげるんだ。だからシャオも勉強と鍛錬を頑張ってるなら褒美として何か買ってあげる。どうだ?」
「う、うん。鍛錬はしてるわよ!鍛錬は・・・」
「そういえば今の時間って勉強の時間じゃなかったかしら?シャオ。」
「しぇ、雪蓮お姉ちゃん!シーッ!シーッ!!」
「抜け出して来たのか・・・」
「・・・ごめんなさい、一刀ぉ・・・」
「う〜ん、そうだなぁ・・・・・・なあシャオ、もしかして一人で勉強してるから飽きるのかな?」
「え?ま、まあそれはあるかも・・・」
「それじゃあ小喬たちと一緒に勉強しないか?もしやるんだったら応援ってことでシャオにも何か買ってあげよう。」
「ホント!?」
「因みに先生は華琳、冥琳、朱里、雛里、詠の五人よ。大丈夫?」
「うっ・・・その面子は・・・で、でも・・・・・・やるっ!シャオも一緒に勉強するわっ!」
「よし!それじゃあ約束だ。買ってあげる。」
「ご主人さまぁ・・・私も一緒に勉強するから・・・」
「はいはい・・・桃香も買ってあげるから。」
「ありがとうご主人さま!えへへ。」
「一刀ぉ・・・私も一緒に」「雪蓮は天才だからもう勉強する必要ありません!」
「えぇ〜、一刀のいけずぅ〜。ぶぅぶぅ。」
「・・・感謝の印ってことで、ちゃんと買うから!」
「わ〜い♪だから一刀って好きよ〜♪」
「うぅ、後で赤と紫から苦情が来そうだ・・・。」
なんか黙って聞いてたら変な雲行きになってきちゃった・・・これは買ってもらうものの印象で差をつけないと!
あたしは周囲のお店に目を走らせ、何かないかと探してみた。
すると或る物が目に止まり閃いた。
さらに組み合わせるのにもう一つ。
これも見つけた!
「一刀さま!あたし決めました!ちょっと待っててください。お姉ちゃん一緒に来て!」
「え?小喬ちゃん、ちょっと待って・・・」
あたしはお姉ちゃんの手を引いて服屋さんに入り、目当ての物を手に取りお店の人に説明してから店を出る。
「お姉ちゃん!次はこっち!」
「こ、これだけじゃダメなの?」
次のお店に入りお店の人に頼んで服屋さんで手に入れた物と組み合わせてもらった。
「小喬ちゃん・・・これって・・・」
「どう?お姉ちゃん。これなら他のみんなに差をつけられると思うんだけど!」
「う、うん・・・」
あたしとお姉ちゃんは出来上がった物を身に着けて一刀さまのところに戻った。
「一刀さま!どうですか?」
「小喬!それに大喬も・・・・・・その首輪・・・」
「あ、あの・・・ちょっと恥ずかしいですけど・・・」
「へえ・・・そう来たか。」
「大喬ちゃんも小喬ちゃんも首輪に鎖って・・・」
「あたしたちが一刀さまの所有物である証です♪」
「な、なによそれ!あ、あ、あんたたち・・・・・」
むふふ、小蓮さま焦ってる。どうです?あたしたちの覚悟は。
「・・・う〜ん、やっぱり首輪ってデフォなのか・・・?」
「一刀さま・・・・・・あの、似合いませんか?」
「に、似合ってる・・・・・ぞ・・・」
「ふ〜ん、一刀ったら女の子にこんな格好させて喜ぶんだ。華琳の影響じゃないの?」
「むしろ冥り・・・いやいや、とにかく二人はそれでいいの?」
「「はい。」」
「・・・ご主人さまが好きならわたしも・・・」
「・・・シャオも買っちゃおうかな・・・」
「あんたたち今日の所は負けを認めなさい。(欲しかったら後でこっそり買いに来なさい、曲りなりにも一国の王に姫なんだから・・・)」
桃香さまと小蓮さまが雪蓮様に何か言われて首を縦に振っていた。うふふ、これであたしとお姉ちゃん、一刀さまに好印象バッチリよね!
(大喬turn)
「さてと、そろそろ昼飯にしようと思うんだけど・・・雪蓮オススメの店とか屋台が無いかな?」
「そうねぇ・・・屋台でいいところがあるからそこにしましょう。」
わたしたちは雪蓮様に連れられ、市に近い屋台街に来ました。
「行商人の出入りが日増しに増えて市はすごいことになってきてるわ。ここを区画整理で広げるか、他の場所にも市を開けるようにしないとあふれ出すのは時間の問題よ、一刀。」
「報告書で知ってはいたけどここまでとは・・・やっぱり自分の目で見て確認するのが一番だな・・・出来るだけ早く対処するよ。」
一刀さま、こんなときもお仕事されるんですね・・・・・。
わたしたちも早くお役に立てるようにならないと!
「ねえ一刀!向こうで何か騒ぎが起きてる!」
小蓮さまが指差した方を見るとかなりの人数のいさかいを数人の兵隊さんが治めようとしてるようでした。
「これは私の出番みたいね。ちょっと行って来るわ、シャオついてらっしゃいっ!」
「うん、お姉ちゃん!」
「俺たちも様子を見に行こう!」
「うん、ご主人さま!」
「「はい、一刀さま!」」
騒ぎの様子を見てみるとすでに殴り合いの喧嘩を始めています。
あの兵隊さんの人数じゃとても抑えられないのは明らかでした。
「全員止まりなさいっ!!この喧嘩!孫策伯符が買ったっ!!」
ものすごい「気」が雪蓮様から発せられ、周囲は一瞬で静まり返りました。
わたしは足がすくんでその場にへたりこんでしまいます・・・。
「雪蓮、そこは『買う』じゃなく『預かる』ところだぞ。」
一刀さまのつぶやきは遠くにいる雪蓮様にはさすがに届きません。
でも一刀さま、あの裂帛の気を受けても平然としています。
桃香さまと小喬ちゃんはわたしと同じで地面に座り込んでいました。
小蓮さまは雪蓮様の隣で騒ぎを起こしていた男の人たちを睨みつけています。
「大丈夫か?桃香、大喬、小喬・・・あまり大丈夫じゃなさそうだな。」
一刀さま笑ってるぅ、ひどいです・・・。
「うぅ・・・おしっこちびるかと思った・・・」
桃香さま・・・あまりそういうことは言わない方が・・・。
「お、警備隊も到着したな。あれは真桜か、おーい!真桜!!」
「あ、そないなとこにおったんですか・・・って、桃香さまと二喬ちゃんも雪蓮様の『気』にやられてしもたんですか?」
「ああ、それで何人か護衛をまわしてほしいんだ。俺も騒ぎの経緯とか聞きたいし。」
「りょうか〜い。お〜い!五、六人こっちきて桃香さまと二喬ちゃんの護衛ってそんなに来んでもええわっ!どあほう!全員こっちきたら誰が向こうを片付けんねん!!」
なんか周りが兵隊さんだらけになっちゃった・・・。
「みんなありがとう、しばらくお願いするね。」
桃香さまが笑いかけると、
「お任せください!命に代えましてもお守りいたしますっ!」
「兄ィずるい!また抜け駆けっス!お、俺も命がけでお守りするっス!」
「我々もです!なあ兄者!」
「お任せください!なあ弟者!」
兵隊さんたちは真っ赤になって敬礼してます。
みなさん軍装が違うけど仲が良いみたい。
「呉軍の方もいらっしゃるんですね。どちらの出身なんですか?」
わたしも桃香さまをならって話しかけました。
「け、建業です!『江東の宝玉』と詠われたお二人にお会いできるなんて夢のようですっ!」
「わ、わたくしは蜀の兵ですがお二人のお噂は兼ねがね聞き及んでおりました!」
「こら!オレが話しているのに!やっぱりお前は・・・」
「そういうあなたは孫権様派だったはずではないですか!」
「そ、それとこれとは話が別、このお二人には建業でもお目に掛かれなくて!」
「やめないかお前たち!申し訳ありませんこの者たちがとんだ無作法を・・・」
「い、いえ。話しかけたのはわたしの方ですし、気になさらないで下さい。」
「お心遣いありがとうございま・・・す・・・・・・あの・・・」
兵隊さんが頭を上げると少し驚いた顔であたしと小喬ちゃんを見ました。
「・・・その首輪・・・いえ、首飾りは・・・」
「これは・・・」
「これはさっき一刀さまに買っていただいたの!」
わたしが答える前に小喬ちゃんが嬉しそうに答えます。
(あれはどう見ても首輪だよな。)
(北郷様ついにそこまで・・・)
(なんてうらやましい・・・いや、いかがわしい。)
(鬼畜だ・・・鬼畜の所業だ。)
丁度そこに一刀さまが戻って来ました。
「お待たせ。あれ?兄ぃにみんなが護衛についてくれてた・・・え?どうしたのみんな・・・」
「北郷様。お話があります・・・」
「ちょっとあっちに行くっス・・・」
「詳しく話をお聞かせ願いましょう・・・」
一刀さまが兵隊さんたちに引きずられるように連れて行かれてしまいました・・・。
「うぅ、酷い目にあった・・・あいつらにも奢る約束させられちまった・・・」
「あの兵たちっていつも一刀たちと一緒にいる連中よね。」
雪蓮様と小蓮さまも戻ってこられました。
「一刀さまは兵隊さん方にも気を配っておいでなんですね。素晴らしいです。」
わたしがそう言うと一刀さまは何故か遠い目をしてしまいました。
「あいつらは俺たちとは同じ魂を持つ兄弟・・・話せば分かってくれるよな・・・」
「ご、ご主人さま。ほら、お腹すいたでしょ。ご飯食べに行こう・・・あはは。」
(小喬turn)
あたしたちは雪蓮様に連れられ屋台のひとつにやってきた。
「こんにちは、親父さん。繁盛してるわね♪」
「これは孫策様!おかげさまでこの通りでさぁ。」
あ、この香・・・この親父さんもしかして・・・。
「んふふ♪二人は気が付いたみたいね。この親父さんも建業から来た人でね、二人に故郷の料理をご馳走しようと思って。」
雪蓮様・・・あたしたちにそこまで気を使って・・・。
「「ありがとうございます。雪蓮様。」」
「ふふ、親父さん、『江東の二喬』を連れてきたわよ。料理はおまかせするからお願いね。」
「おぉ!噂の『二喬』ちゃんかい!?こりゃあ腕の奮いがいがあるってもんだ!」
あたしたちは屋台の前に置かれた簡単な食卓についてお料理が来るのを待つ事に、その前に雪蓮様にはお酒が出されていたけど。
「・・・・・・・・・ご主人さま見つけた。」
え?
「れ、恋!?いつの間に・・・」
振り返ると恋さまが立ってました。
全員、恋さまが声を掛けるまで気が付いていなかったみたい。
「私も気が付かなかったわ・・・・・恋、なんで気配を消して近づいて来たの?」
「・・・詠に言われた・・・ご主人さまの気配を街で感じたらこっそり近づいて声を掛けなさいって。」
気配を感じたら?こっそりで雪蓮様が気付けないほど気配を消すの?
「それから護衛に付くようにって事かな?」
桃香さまが驚きながらも恋さまに訊かれた。
「・・・うん。」
「そ、そうなんだ・・・とりあえず恋もご飯食べようか?」
「うん。ご主人さま。」
「恋さま、あたしと小喬ちゃんの間にどうぞ。」
お姉ちゃんが恋さまに席を勧めると、恋さまは首をかしげてあたしたちを見ました。
「・・・首輪・・・?」
「あ、これですか?さっき一刀さまに買っていただいたんです。」
気が付いてもらえたのが嬉しくて笑顔で言うと恋さまは困った顔に・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・いじめ?」
「ち、ちがいますっ!これはあたしたちが自分で選んで一刀さまに買っていただきました!」
「・・・・・・ごめん。」
そう言うと恋さまはあたしたちの頭をなでてくれました。ふわあ、やさしいなでかた・・・。
そのとき遠くで恋さまを呼ぶ声が聞こえてきました。
『恋どの〜、どこにいかれたのですか〜?』
「・・・あ、ねね。」
全員が恋さまの視線の先を追いました。通りの向こうにねねの帽子が通行人の中で見え隠れしています。
「ねねちゃーーーん!こっちこっちっ!」
桃香さまが立ち上がって手を振るとねねも気が付きこっちに走ってきました。
「はぁ、はぁ、さ、探しましたぞ・・・恋どの、はぁ、やっぱり、おまえが、はぁ、一緒に、いるですね、はぁ。」
「うん、まあ・・・それよりねね、お前そんなに息を切らして大丈夫か?」
「ここにも運動不足発見ね。」
雪蓮様が苦笑して杯に口をつけてました。
ねねも加えた八人でお昼ご飯を食べ終えて・・・・・・恋さまはまだ食べてるけど・・・一息ついたところでねねが一刀さまに話しかけました。
「そういえばさっき朱里から明日は仕事を休みにして鍛錬をするから集合するように連絡が来たですけど、またお前らのたくらみではないですか?」
ジト目で一刀さまをにらんでる。
「企みって・・・別にそう言う訳じゃなくてだな・・・」
一刀さまが説明すると小蓮さまが口をはさんできた。
「なにそれ?そんなことならシャオ、そっちも参加したい!」
「う〜ん、でもシャオちゃんには物足りない鍛錬じゃないかな?」
桃香さまは思案顔ですが一刀さまは笑って了承しました。
「それぞれ自分に合った鍛錬をすればいいんだから気にしなくても大丈夫さ。」
「まったく・・・そんなにこの男が用意する『運動着』が気になるですか?それともこいつらが三人とも参加するからなのか、とにかくねねにはその気が知れないのです。」
「ちょっと、ねね!さっきからあんた一刀さまをないがしろにしすぎ!」
あたしはついに切れて言っちゃいました。
「そういう小喬はこいつにベタベタしすぎなのです!もっと周りの事を考えろなのです!!」
「しょ、小喬ちゃん喧嘩しないで・・・」
「シャオ、参加しなくていいのぉ?」
「どっちの言う事にも賛成だからどう入って行っていいか・・・」
「ね、ねねちゃんも小喬ちゃんも落ち着いて・・・」
「しょ、小喬、気持ちは嬉しいけどもう少し穏便に・・・」
「お前は黙っていろなのですっ!」
「ま、またぁ!もうゆるさないんだからっ!」
「二人とも・・・・・・・・・・・・静かにする。」
うっ・・・・・・恋さまからすごい気迫が・・・・・・怒られる?
かと思ったら恋さま、手に持っていた肉まんをふたつに割って・・・・。
「・・・・・・・・・・・はい。」
あたしとねねに半分づつ差し出した。
あたちたちが呆然と受け取るとあたまをなではじめた。
「・・・・・・・・・いいこ・・・なかよくする。」
恋さまにそんなやさしい笑顔で言われたらもうなにも言えません。
「・・・・・・はい。」
「・・・・はいなのです。」
「あらら、一刀。いいとこを恋にもっていかれちゃってるじゃない。」
(雪蓮、俺じつはコレに似た状況を前に見たことあるのを思い出した。)
(?それで?)
(恋はこれと同じ方法で子犬の喧嘩をやめさせてた・・・。)
(・・・・・・・ぷっ)
「どうしたんですか?雪蓮さん、ご主人さま。」
「ぷぷっ、と、桃香には後で教えてあげるわ、ぷふっ。」
なぜか必死に笑いをこらえる雪蓮様をあたしたちは恋さまにあたまをなでられながら見ていました。
このあとあたしたちは買い物で午後をすごしました。
楽しく買い物ができたんですが・・・・・・途中で一刀さまの財布が底を付いたようでお城に請求書をまわしてもらっていたみたい・・・・・・。
説明 | ||
外伝 『二喬伝』 其の二をお送りします。 其の一の翌日のお話です。 前半が会議編、後半はお出かけ編 前回のあとがき的な事 残念キャラとして有名な華雄ですがこの外史では『格好いい華雄』を目指して行きたいと思います。 小喬がデレデレ過ぎて無印の小喬のイメージがほとんど無くなっていますが、今はまだ周りに遠慮している状態ですので今後は一刀以外のキャラに対して次第に化けの皮が剥がれて行くと思いますよ。 次回は第四部其の一になります。おバカな話を予定しておりますね。 |
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コメント | ||
↓解らなかった方への補足説明 二喬とねねの中の人が同じなためこんな事に。狙ってやりましたw(雷起) アルヤ様 書いている最中私も同じ状態になりましたwww(雷起) 声を脳内再生してたら最後のほうがごっちゃになりそうだったwww(アルヤ) |
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