織斑一夏の無限の可能性34 |
Episode34:学年別トーナメントF―絆は永遠に―
【鈴side】
起床を告げる目覚まし時計の電子音にあたしは意識を覚醒させる。 寝ぼけ眼な目を擦りながら、時計に視線を向け、スイッチを切る。 そのままベッドから起き上がり、閉めていたカーテンを両手で広げる。
「ふぁ、今日もいい天気ね」
もうすぐ六月、初夏ともいえるこの季節は照りつける太陽の陽射しも日に日に強くなってきている。
今日は金曜日―――学年別トーナメントももう残すところ、今日と明日だけとなった。 そう、今日はあたし、凰鈴音とそのパートナーであるティナ・ハミルトンの三回戦の日である。
一夏、シャルルペアが順調に二回戦突破を果たした後、あたし達も難なく二回戦を突破した。 箒、セシリアペアにラウラ、清香ペアも同様に二回戦を突破している。
視線をもう一つのベッドに向けると、ティナはまだ夢の中の様で布団に包まりながら幸せそうな表情をしている。
「あぁん、やはり責めるシエルに受けのセバスチャン......いい......その執事、半狂乱......」
朝から不純な夢を見ているようだ。
変な頭痛までしてくる。
「......朝っぱらから......変な夢見てるんじゃなぁぁぁぁぁい!」
そんなティナを目の前にあたしは右手を大きく振りかぶり、ティナの頭目掛けてチョップを叩きこむ。
「へぶっ!!」
頭を抱えうずくまるティナ。 彼女は何度も言うが、容姿は綺麗な部類に入る。 アジア系の日本人では有り得ないほどに金色に輝く髪、そして白く透き通る程に美しい肌、碧く煌めく瞳。 その目尻に涙を溜め、恨みがましくあたしを見る。
「朝から何するのよ、鈴っ」
「朝から変な寝言聞かされるあたしの身にもなってよねっ」
「鈴には分からないのっ! 大人びた容姿をもつ黒髪で綺麗な容姿を持つ悪魔執事セバスチャンを、かっこいいというよりも可愛い部類に入ってしまうけど、言動は大人びてるご主人様シエルが責めるというこのシチュエーションっ! この萌えを、このM・O・Eを、鈴は理解できないというのっ!!」
何であたしのルームメイトは頭がおかしいんだろう?
どうして、あたしはティナをパートナーに選んでしまったんだろう?
どこであたしは道を間違えたというの?
「鈴、何か失礼なこと考えてるでしょう?」
「あはは、そんなまさか」
しかし、このティナは同じ年なのに、胸の大きさではあたしなんて足元にも及ばないサイズを誇っている。 今朝も寝間着の隙間から見える胸の谷間が妬ましい。 手や足、それに腰も基本ほっそりしているくせに胸だけは規格外だ。
あたしと同じ年なはずなのに......
自身の胸を見下ろすと垂直落下式だ。 ふふふ、もう自分でも何を言ってるか分からないや......。 あはは......。
一夏は無類の女性の胸好きだ。
一夏は大きくても小さくても構わないって言ってるけど、不安になる。 私自身、この小さい胸はコンプレックスだったりする。
やっぱり小さい胸より大きい胸の方が一夏もいいのかな......?
「おーい、鈴。 急に呆けちゃって、どうしたの?」
「なんでもないっ! そんな事よりも今日は三回戦よ。 いつまでも寝ぼけてないで早く準備してよね」
「はいはい」
「はい、は一回っ」
「もう。 そんなに小うるさいと愛しの織斑君に嫌われちゃうぞ?」
「っ!!」
不意に一夏の事をからかわれ、顔が赤くなるのを感じる。
「ティナっ!」
「あはは、ごめんごめーん」
洗面台へ向かうティナを見送り、私も寝間着を脱いで着替え始める。
織斑一夏。
―――あたしの好きな人。 あたしの大事な人。
前に一度、キスをしただけで、それ以降関係が進展したわけじゃない。 あの優柔不断男は自分に好意を寄せてくる箒やセシリア、ラウラに清香を受け入れている。
しかも、一回戦二回戦で一夏と対戦した一夏のクラスメイトもこのトーナメントに参加している他の女子にもあいつに好意を寄せている子が多い。
中学時代もあいつは密かにモテていたのだが、あたしが常にあいつの傍にいたおかげで諦める子が多かった。 そしてあいつがモテていると自覚させないように、毎日毎日「一夏はモテないよね〜」と繰り返したおかげで一夏は自分がモテるなんて露程も感じなかった。
そのまま、将来はなし崩し的に「仕方ないからあたしがモテない一夏のお嫁さんになってあげるわよ」作戦は成功するかに思われたのだが、両親の離婚により、あたしの親権が母親が持つ事になったおかげで中国に帰らなくてはいけなくなってしまった。
そして二年、IS操縦者となり、代表候補生にまで上りつめ、日本に帰ってくれば、いつの間にか一夏に好意を寄せる子が増えていた。
今までの唯一の障害は弾の愚妹だけだったはずなのに......。
でも、あたしは負けない。
今日の試合、一夏に勝って、一夏のお嫁さんにはこのあたしがなるんだからっ!
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*
今日の試合が行われる第三アリーナ。
会場にはこれまでと比べて、格段に多くなった観客の数にひしめきあっていた。
一夏に対する注目度の高さと中国・アメリカの代表候補生ペアとの対戦という事で多くの人の関心を集めているようだ。 ティナも専用機こそ持っていないが、それでも代表候補生、実力はかなり高い。
一夏以外の誰もが各国の代表候補生という今日の試合を一目見ようと朝も早くから人が集まるのは当然の事だった。
「あら? 鈴、緊張してるの?」
「あたしを誰だと思ってるの? 中国代表候補生、凰鈴音よ。 緊張なんてしてるわけないでしょ」
ISスーツを着たティナが会場入りしてから一言も喋ってないあたしに気を使ってか声を掛けてきた。
ISスーツはボディーラインが出る。 おかげではち切れんばかりのティナの胸が憎たらしい。 同じ年のはずのあたしの胸は心なしか少し膨らんでいるだけで、立派な胸とは言えない。
ついつい「はぁ......」と溜息を溢してしまう。
「鈴、大丈夫よ。 愛しの織斑君は胸の大小だけで判断するような人じゃないでしょう?」
「〜っ! うるさいっ!」
胸が大きい子には分からないのよ、胸が小さい事に悩むあたしの気持ちなんて。
何しろ、あの一夏だ。
中学時代はムッツリな感じで、あそこまで酷くなかったはずなのに......。 中学生の頃の一夏は女性の胸に対して年相応に興味があるだけで、あそこまで病的じゃなかったはず。
考えられる要因としては、千冬さん?
でも、千冬さんは一夏の姉だし......。
あたしの頭の中で一夏の周りの女性を思い浮かべてみる......。
そこで気付く。
一夏の周りにいる牛女共を。
箒は言わずもがな、セシリアもスタイルはいいし、胸もそこそこにある。 女のあたしから見てもきれいな形をしていると思う。
そして一夏のクラスの副担任が箒以上に爆乳だったという事をっ!!
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*
【真耶side】
「へっくちっ!」
「相変わらず、変なくしゃみだな、山田先生は」
管制室で作業していたら、急に鼻がむず痒くなって、くしゃみをしてしまった私に織斑先生が後ろから視線を向けてきてた。
「ん〜、風邪でしょうかぁ?」
「安心しろ、馬鹿は風邪などひかん」
「えー、私、馬鹿なんかじゃないですよぉ〜」
涙目になりながらも、上目遣いで苦笑交じりに皮肉を告げる織斑先生をキッ! と睨む。
確かに普段は抜けてるかもしれないけど、教師として、一人の大人の女性として、決めるべきところはきちんと決めている......と私は信じたい......。
「ふふん、そんな事言っててもいいんですかぁ〜? 私、知ってるんですからね」
「ふん、何を知ってると言うのだ?」
IS操縦者として世界一にもなった織斑先生。 代表候補生の頃から、ううん、織斑先生の雄姿をテレビで見た瞬間から、私の憧れだった人。
IS学園の教師になる事が決まって不安だった就任初日、織斑先生もIS学園の教師として招かれたと知って、どんなに安心しただろう、それくらい私にとっても心強く頼れる存在。
傍から見ても完全無欠の完璧超人のような人だが、そんな人にも弱点が存在したのだっ!
そう......重度のブラコンである。
クラス対抗戦の時も、今回の学年別トーナメントの一回戦、そして二回戦、織斑くんの公式試合全てを記録し、お持ち帰りしている事実を私は知っているのだ。
その記録を見ながら、織斑先生がナニをしているのかは知らないけど。
確かに織斑くんは普段は女性の胸ばっかり見てるような困ったさんですけど、試合の時や決めるべきところはしっかりと決めてくれる。
それに男の子はエッチな方が自然だとも思いますし、前に授業の際に胸を揉まれてしまったあの感触は今でも忘れない。
初めて異性に触れられた。 そして揉まれたあの感覚を。
織斑くんの手が、指が私の胸を蹂躙する度に体に電撃が走ったかのように、心地よい刺激が体を襲った。
このまま身を任せてしまいたい、そんな衝動を抑えるのにどれだけ必死だったか。 あれから、そういう機会は全くないんですけどね、いずれは......ふふふ。
まぁ、今はこの重度のブラコンである織斑先生に仕返しをするのが先です。
たまには私も攻勢に立たせてもらいますからねっ。
「私、知ってるんですよ......織斑くんのこれまでの公式の試合全ての記録を......」
私の仕返しは呆気なく、織斑先生のアイアンクローにより沈黙させられた。
「何を言っているのだ? 山田先生は」
ぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎち、と発してはいけない音が聞こえるくらいに織斑先生は私の頭を掴む右手の握力を強めていく。
「いっ! いたたたたたたたたたたたたたたたた」
「全く。 先輩として、後輩の躾はしっかりせねばな」
指の隙間から覗く織斑先生の口端が吊り上る。 まるで三日月の形をしているかのように。
思わず、私の頭を掴む織斑先生の右手を、ギブアップを宣言する為にぱんぱんと叩く。
「ギブっ! ギブですっ、織斑先生っ! ギブっ! ギブギブギブギブギブギブギブギブギブブブブ......ぶべらっ!!」
「ははは、どうやら、耳の聞こえが悪くなったようだ。 何も聞こえん」
闇に沈む私が最後に見たのは 指の隙間越しに嗤う織斑先生の姿だった......。
............
.........
......
...
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*
【鈴side】
「?」
「鈴、どうしたの?」
「いや、どこかで悲鳴が聞こえたような気がしたんだけど......気のせいだったみたい」
確かに悲鳴のような、断末魔の叫びみたいなものが聞こえた気がしたんだけどな。 まぁ、そんな事あるわけないか、ここはIS学園。 ISの操縦者育成を目的とした教育機関であり、世界各国から生徒が集まる。 よって、セキュリティーも万全なのだから。
「そんな事よりももうすぐ試合開始よ。 ティナ、そろそろ準備して」
「分かってるわよ」
ティナはそのまま鎮座しているラファール・リヴァイブに乗り込むと、ティナの体にISが装着されている。
基本的に量産機はその場で装着するようになっている。
あたしや他の代表候補生のISは専用機でもあるため、大体アクセサリーに形を変え、身に着けている。 あたしの甲龍の待機状態はブレスレット。 ISが展開されるのをイメージし、心の中で呟く―――来て、甲龍。
その刹那、あたしのブレスレットから一際強く光が発せられたかと思うと、光の粒子はそのままあたしを包み込み、IS本体を形成する。
ふわりと体が軽くなる。 各種センサーが意識に接続され、目の前にはISと自分の状態を示すデータが次々と空間投影モニターに映し出され、全てが正常である事を表示している。
「やっぱり、いいわね。 専用機持ちは」
代表候補生になったとはいえ、誰でも専用機を持たされるわけではない。 各国の代表ともなれば、専用機は与えられるが、ISのコアは限られている。 いくらエリートである代表候補生に選ばれたからと言って全員に専用機が用意されるわけではないのだ。
実際、アメリカで専用機を持っているのは公式発表では二名だけだ。
「仕方ないでしょ、こればっかりは。 そんな事よりも今日は頼むから、真面目にやってよね」
「分かってるって。 噂の織斑君にフランスの代表候補生でしょ。 真面目にやらなきゃ、勝てないからね」
そう、私のパートナーであるティナは度々、ISに乗るたびにどこかのパイロットになったかのように変なセリフを発する。 一回戦、二回戦がそうだったように......。
でも、今日は実力もある対戦相手だ。 余裕はないのだ。
「いくわよ、ティナ」
「OK」
ティナの返答を合図にスラスターを吹かし、ゲートの開いたピットから今日の試合会場であるアリーナまで飛び上がる。
瞼を閉じ、浮かぶのはあの日の情景―――
あれはあたしがまだ小学五年生だった頃―――
この頃はまだ両親の仲も良かった。 長年の夢が叶い、自分の店を持つ事ができた父。 その父を支えるべく、あたしと母はこの国に来た。
初めての日本。 転校した小学校に一夏はいた。
「凰鈴音です。 よろしく」
女性の担任から紹介され、クラスメイト達の前で自己紹介。 父が日本人のおかげで幼い頃から日本語は喋れた。 クラスメイトにとっては初めての異国の一人の人間。 あたしからしたら、全員が異国の人間。 慣れ親しんだ母国の人間が一人もいない空間であたしは心細かったのかもしれない。
「それじゃ、凰さんはあそこの空いてる席に座ってくれる?」
担任に促され、空いてる席に向かおうとする。 しかし初めての異国の地の学校生活という事であたしも緊張していたのかもしれない。 足をもつれさせ、思いっ切り転んでしまった。
「凰さん、大丈夫?」
担任の先生は盛大に転んでしまったあたしを心配し、声をかけてくれるが、クラスメイトの大半は大笑いだった。
恥ずかしかった。
顔が恥ずかしさという熱に真っ赤になってるのが分かる。
しかし悲劇はそれだけで終わらなかった。
「へぇ〜、可愛いパンツ穿いてるな」
その時のあたしの服装はスカートだった。 やけに下半身がスースーすると思い、下半身の方に視線を向けるとスカートが捲れ上がっていたのだ。
そんなあたしに視線を向け、あたしの下着を実況解説していたのが、あたしの隣の席になる一人の男の子だった。
「でも、もう小学五年生なんだから、パンダのパンツはないと―――」
その男の子が最後まで言い終わるのを待つことなく、「ヘンタイっ!」と叫びながら、あたしはその男の子の顔面目掛けて、グーパンチを繰り出していた。
ゴン!
鈍い音を立てたのち、鼻血を噴水のようにぴゅーっと吹き出しながら、後ろに倒れる男の子。
座ってた椅子ごと倒れる男の子。
肩で息をしながら、いきり立つあたし。
あれだけ騒がしかった教室が、しーーーん、と静まり返る。
「いってぇー! なにすんだ、この暴力女っ!」
鼻を抑えながら、あたしに突っかかってくる男の子を相手に、あたしも売り言葉に買い言葉の如く、吠えた。
「なによ! このヘンタイっ!」
これがあたしと一夏の出会い―――。
あたしにとって織斑一夏に対しての第一印象は決していいものではなかった。 でも、そこからお互いにいがみ合いながらも隣にいる事が当たり前になっていった。
小学五年生から中学二年生までいつも隣にいた一夏。 中学校に上がった頃、弾に数馬と知り合い、四人でよく馬鹿をやった。 弾の妹が一夏に一目惚れした事を知り、焦燥感に捉われた。
この頃から一夏を一人の異性として意識し出すようになった。
これからも一夏が当然のようにあたしの傍にいる、これが当たり前の日常だと思っていた。 でも、そんな日々も終わりが来てしまう―――あたしの両親の離婚。 あたしの親権を母親が持った事で、あたしは中国に帰る事になってしまった。
日本から離れたくない、一夏のいない日常なんて耐えられない、それでも子供のあたしがいくら我儘を言ったところで、決まってしまった事実は覆る事もなく、あたしは中国へと帰らざるをえなかった。
だから、最後の我儘で一夏との絆が欲しかった。 どんな形でもいい、一夏と繋がっていられるという絆が。
転校前日、教室に残っていたのはあたしと一夏だけ。 あたしの気持ちを知る弾や数馬が協力して、二人っきりになれるように他のクラスメイトを教室から離してくれた。
あたしは抑える事の出来ない一夏への想いを、一夏に伝えようとした。
でも、どうしてもうまく言葉にできなくて。
「好き」というたった二文字の単語を言葉にする事ができなくて。
結局、言葉に出来たのは料理の腕が上がったら一夏に毎日酢豚を作ってあげる、というプロポーズのようにも思えてしまう言葉だった。
当時、中学生だったあたしにとって、ただの口約束に過ぎない事も一夏との絆のように思えた。
離れていたのは一年間だけかもしれない。 でも、その一年間は小学五年生から中学二年生までを過ごした四年間よりも長く感じた。
一夏が傍にいない日々は苦痛でしかなかった。 それでも頑張ってこれたのは一夏との約束があったからだ。
一夏と再会した後、約束の事を確認してみれば、ものの見事に言葉通りの意味でしか受け取っていなかった事実に軽く殺意を覚えたりもしたけど。
でも、ファーストキスは一夏とできた。 惜しむらくは一夏にとってはファーストキスではなかった事だけど。
今回の学年別トーナメント優勝は中学生の頃から一夏を好きだったあたしにとって、絶対に逃せない。
一夏に勝ってみせる―――決意を胸にアリーナ会場に飛び出ると、既に会場には白式を纏った一夏とラファール・リヴァイヴ・カスタムIIを纏ったシャルルがいた。
今日、第三アリーナで行われる三回戦、あたし&ティナペアと対峙するのは一夏&シャルルペアだ。 近距離主体の一夏と中・遠距離主体のシャルル、あたしとティナのペアのようにバランスの取れたペアと言える。
「一夏、覚悟はいい? 今日は勝たせてもらうからね」
一夏との公式の試合は今日で二回目。 しかし前回のクラス対抗戦は乱入者のおかげで決着着かず。 今日は一夏に勝って、一夏の一番はあたしが貰うっ!
「俺だって負けるつもりはない。 勝つのは俺だ」
『それでは両ペア、既定の位置まで移動して下さい』
アナウンスに促されて、あたし達は一夏達と距離を開けて、対峙する。 その距離は五メートル。
「代表候補生の力、思い知らせてあげるわ」
右手に光の粒子が結集し、その姿を両刃の青竜刀―――双天牙月を形成する。 バトンのように振り回し、後ろ手に構える。
「鈴、俺は負けられないんだ。 (主に俺の貞操のために) 絶対に勝ってみせるっ」
一夏も瞬時に展開した雪片弐型を正面に構える。
ティナとシャルルもそれぞれに最も得意とする武装を展開し、試合開始の合図を待つ。
『試合開始まで後五秒―――』
試合開始のカウントダウンが始まる。 カウントダウンのアナウンスが流れ、会場はしん、と静まり返る。 会場にいる誰もが試合開始の瞬間を見逃さないように、誰も言葉を発さない。
『四―――、三―――、二―――、一―――、試合開始』
試合開始の合図と共に一夏とシャルルを即座にロックし、肩部に装備されている二門の衝撃砲を瞬時に展開、見えない砲弾の連射を浴びせる。
「ぐぅ! いきなりかっ」
一夏自身、あたしがすぐに近接戦に持ち込むと思っていたのだろう。 今までのあたしならきっとそうしていた。 でも、あたしの甲龍の武装は双天牙月だけではない。 勝つために全ての武装を使って、有利な状況を作り出す。 あたしは一夏に勝ちたい。 勝って、一夏に一番はこのあたし、凰鈴音と認めさせてやるんだっ!
試合開始同時に仕掛けた衝撃砲〈龍咆〉の連射に一夏とシャルルは躱す事に精一杯でこちらに近付く事は出来ない。
さらに的確に援護射撃を仕掛けてくれるティナによって、一夏もシャルルも思うように攻撃に移れない。
【一夏side】
試合開始と同時の衝撃砲の連射には肝を冷やしたが、即座に回避行動に移ったおかげで、直撃は避けられたが、思うように近づけない。
衝撃砲の連射を縫うようにハミルトンさんが射撃を行ってくるおかげで、回避するのに精一杯だ。 何より、ハミルトンさんの見事な巨乳に俺の視線は釘付けだ! クソッ、なんてこった。 自身の欲望に忠実な余り、試合に集中できないなんてっ! くっ、全てはあの魔乳がいけないんだっ!
それに俺の白式は雪片弐型しか武装がないため、近接戦しかできない。 距離を取られたらお終いなのだ。 ここは無理をしてでも、近付く必要があるな。
まずは執拗な射撃を行ってくるハミルトンさんを黙らせる必要があるな。 個人間秘匿通信《プライベート・チャネル》でシャルルに回線を繋げる。
「シャルル、俺が突破口を開く。 だから、ハミルトンさんを頼むな」
「了解、一夏」
通信を終えると同時に瞬時加速《イグニッション・ブースト》でハミルトンさん目掛けて突撃を仕掛ける。 もちろんハミルトンさんも慌てず、俺に照準を合わせ迎撃態勢を取る。
「甘いわよ、織斑君」
―警告! 敵IS、射撃体勢にに移行―
加速中に俺にロックされた事を告げる警告と表示されたモニター。
しかし、お構いなしにさらにスラスター出力を全開まで開ける。 瞬時加速《イグニッション・ブースト》中にさらに加速させた事でいくらISを装備しているとはいえ、Gがかかる。
「なっ!? 加速した?」
さらにロックを外すように俺は前方へ向けて吹かしていたスラスターを下方向へ吹かし、急激な上昇を行う。
「ぐぅぅぅっ!」
相手からすれば、加速に次ぐ加速、そしてさらに加速された事でターゲットを一瞬ロストしてしまったかのような印象を与えたはずだ。
そのままハミルトンさんの背後に回り込むように接近するも、相手もさすがは代表候補生。 直ぐに体勢を立て直し、前方に構えていたショットガンを回り込んだ俺に向ける。
さらに言えば、俺に気を取られ過ぎたせいで、自分に迫るシャルルの存在に気付けなかった。 俺に気を取られ過ぎた所為で射撃がひるんだ隙にシャルルはハミルトンさんに近付いたのだ。
敵ISの接近を告げるモニターに気付き、ハミルトンさんが振り返った瞬間にラファール・リヴァイヴ・カスタムIIの盾の中に隠してあった第二世代型最強と謳われた灰色の鱗殻《グレースケール》を展開させる。
盾の装甲がはじけ飛び、中からリボルバーと杭が融合した装備が露出する。 六九口径パイルバンカー。 通称『盾殺し《シールド・ピアーズ》』。
杭がハミルトンさんの腹部に突き刺すかのように思えた瞬間―――
「させないわよっ」
投擲された双天牙月に攻撃を中断させられる。 そのまま弧を描くように双天牙月は鈴の手に戻り、スラスターを吹かし加速したと思った瞬間、そのまま俺に下段からの斬撃を放ってくる。 俺は雪片弐型を上段から斬り下ろし、鍔迫り合いの状態に。
「鈴っ!」
「一夏ぁぁぁああああっ!」
獅子の咆哮の如く、鈴の気迫が俺に伝わってくる。 心の底から『相手を倒す』という信念を持った眼光で俺を射抜く鈴を前に俺の体は震える。 それは強者を前にした武者震いのように―――俺も吠える。
互いの刃が交差し、相手の死角を狙うかのように、斬撃と刺突を織り交ぜ、斬り結ぶ。
一歩も譲らぬ攻防戦にアリーナに集まった観客は歓声を上げるも、今の俺には何も届かない。 目の前の鈴に勝つために、俺は神経を集中させる。
上段から渾身の力を込め、斬り下ろしの斬撃を放つも鈴は双天牙月を盾にし、防ぐ―――しかし、その威力までは殺しきれてず、斬り下ろしの斬撃による衝撃に後退する。
「くぅぅぅぅぅぅぅ」
歯を食いしばりながらも俺の渾身の力を込めた斬撃を防ぎ切る鈴。 ―――だが、まだ終わらない。
俺は直ぐに雪片弐型を腰に据え、一瞬の溜めを作った後、瞬時にスラスターを吹かし、瞬時加速《イグニッション・ブースト》で距離の開いた鈴に接近する。
俺がよく使う御剣一刀流抜刀術である。 本来であれば、腰に添えたまま瞬時に斬り放つ。 この速度なら衝撃砲を展開する準備もないはずだ。
鞘から抜き放つかのように渾身の力を込め、雪片弐型を一閃―――そのまま勝負を決めるつもりだった。
鈴は双天牙月の連結を解いて、二刀を交差させ、俺の斬撃を完璧に受け止める。
「っ!」
「いつまでも負けてなんからんないのよっ!」
そのまま俺の雪片弐型を跳ね除けるように鈴は二刀にした双天牙月を振り抜き、巧みに左右からの斬撃を放ってくる。 一方を防御用に、一方を攻撃用に。
距離を取ろうとすれば、即座に龍咆を展開し、なかなか隙がつかめない。 さらに俺達から離れた場所ではシャルとティナが派手に戦っている。
近接ブレードの雪片弐型しかない俺の今の状態はとても不利だ。 だが、白式には単一仕様能力《ワンオフ・アビリティー》、零迅雷光《れいじんらいこう》がある。 バリアー無効化だけでなく、白式の性能自体を跳ね上げる能力だ。 唯一の弱点としては尋常ではないエネルギー消費だ。 ただでさえ、白式は燃費がいい方ではない。 だから使い勝手が難しいのが難点であるが。
だが、迷ってる時間はない。
なら―――。
俺は鈴に勝つ―――。
―――単一仕様能力、零迅雷光、発動―――
俺の想いに応えるかのように空間投影モニターに単一仕様能力、零迅雷光の発動を告げる表示が映し出される。
瞬間、俺を包む白式の肩部、腕部、脚部、胸部、スラスターの各装甲が展開し、露出した内部装甲が赤く発光し出し、雪片弐型のエネルギー状の刃も赤白く発光する。
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*
【楯無side】
「あれが白式の単一仕様能力、零迅雷光......」
今日は全学年が三回戦を行う。 三年生、二年生も同様だが、私の試合はもう少し後だったから、こうして一夏君の試合を観戦する事ができた。
これまでの一夏君ペアの対戦相手は普通の学園生だったため、単一仕様能力を発動しなくても勝つ事ができた。 でも、今日の対戦相手は代表候補生ペア。 面白いものが見れるかもしれないという興味本位での観戦は思わぬ収穫となった。
単一仕様能力―――ISが操縦者と最高状態の相性になったときに自然発生する固有の特殊能力であり、本来であれば第二形態から発現するのがこれまでの常識だった。 しかも第二形態になったからとはいえ、必ずしも発動する訳ではない。 でも、一夏君は第一形態のISで単一仕様能力の発動をさせた。 しかも初めて発動させたのは白式初搭乗時だ。
私のIS―――霧纏の淑女、ミステリアス・レイディですら単一仕様能力の発動には至っていない。
アリーナ会場にいる観客は滅多に見る事のできないISの単一仕様能力の発動に騒然としていた。 当然だ。 第二形態に移行しても必ず発動する訳ではない。 各国の代表でも単一仕様能力を発動できるのは一握りなのが現状である。 それを一介の学生が発動させたのだから。
「ふふふ、彼への興味は本当に尽きないわね」
「またお嬢様の悪い癖が......」
私の傍に控えるのはIS学園の3年生、生徒会では会計の立場で眼鏡に三つ編みといういかにもお堅い感じのしっかり者という印象を受ける布仏虚である。 彼女は代々更識家に仕えてきた布仏家の出であり、幼い頃から勝手知ったる仲である。
「もう、お嬢様はやめてよ」
ぷくっと頬を膨らませ、傍にいる虚に抗議する。
「失礼しました。 つい癖で」
「それに悪い癖って、なぁに〜?」
「獲物を狙う目をしてましたよ、会長」
私の抗議を訴える視線も物ともせず、飄々とした態度をする虚。
「えー、そんな目してた?」
「えぇ、してましたよ。 獲物を前にした獅子のように」
「ぶぅぅ、そんな狂暴じゃないもーん」
「でも、確かに彼は興味深いですね。 IS男性操縦者としても異例なのに、第一形態のISで単一仕様能力の発動をさせるなんて」
「でしょう。 でも彼には私が先に目を付けたんだからね。 虚にはあげないよ」
「はいはい」
単一仕様能力の発動により、熱気冷めやまぬ会場。 その会場の中央で零迅雷光を発動させた一夏君の白式は赤白い光の粒子を撒き散らしながら、相手の中国代表候補生、凰鈴音を攻めたてている。
凰鈴音のパートナーであるアメリカの代表候補生、ティナ・ハミルトンは援護に回ろうにも一夏君のパートナーであるフランスの代表候補生、シャルロット......じゃなくて今はシャルル・デュノアか......彼女が上手く立ち回り、援護に向かわせないようにしている。
操縦者の技量としては、同じようなものだが、専用機と量産機―――ISの性能差でティナ・ハミルトンが不利のようだ。
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*
【ティナside】
フランスの代表候補生、シャルル・デュノア。 彼は強い。 今まで私が試合形式で負けた事があるのは代表操縦者であるイーリス・コーリング、そしてテスト操縦者であるナターシャ・ファイルスだけ。
さすが代表候補生なだけあるわ。 私を楽しませてくれる。
「そうそう好きにはさせないわよ」
動きにフェイントを入れながら、相手の隙を狙い、ショットガンでの連射を叩きこむ。 しかし、その射撃はなかなか相手を捉える事ができない。
「くっ......!」
その時だった。 観客席が盛大に湧いたのだ。
何?
どういう事?
まさか織斑君と鈴の方で決着でも着いたというの?
視線を鈴の方向へと向け、私の視界に入ってきたのは赤白い光の粒子を撒き散らしながら内部装甲を剥き出しにした白式だった。
あれが―――噂で聞いた白式の単一仕様能力、零迅雷光。
その姿を視界に収めた瞬間、感じたのは戦慄。
白式を捉えるモニターでもその性能の上昇さは異常を物語っていた。 通常時の瞬時加速《イグニッション・ブースト》以上の加速を持って、鈴を攻めたてていく。
あれはマズイ。 直ぐに鈴の援護に回らないと―――
「いかせないよ」
鈴の援護へと回ろうとした私に超高速の影が突撃をしてくる。
「なっ......!?」
一瞬で超高速状態へと移ったシャルル・デュノアが近接ブレードを構え、突撃してきたのだ。 今の加速は瞬時加速《イグニッション・ブースト》。 織斑君の得意とする戦法の一つだが、事前に見たデータにはシャルル・デュノアが瞬時加速《イグニッション・ブースト》を使えるとは書いていなかったし、実際にこれまでの試合で使っていなかった。
「初めて使ったけど、うまくいってよかった」
器用といえるレベルではない。 目で見て、実践する―――それがどれだけ難しいことか。 目の前の対戦相手の能力に驚愕するしかなかった。 でも―――
「でも私も負けてるつもりはないわっ!」
瞬時に近接ブレードを展開し、近接戦で応戦する。
「さすが代表候補生だね。 でも僕にも負けられない理由があるっ!」
近接ブレードからショットガンへ瞬時に武装を変換する。 シャルル・デュノアの技能でもある高速切替《ラピッド・スイッチ》―――通常一〜二秒かかる量子構成をほとんど一瞬で、それも照準を合わせるのと同時に行う。 事前に呼び出しを行わなくても戦闘状況に合わせて最適な武器を使用できる。と同時に、弾薬の供給も高速で可能にしてしまう。
零距離からのショットガンの六連射に思わず、防御態勢を取るも、その隙を突かれ、一瞬で距離を詰められてしまった。
「この距離なら今度こそ外さない」
六九口径パイルバンカー―――通称『盾殺し《シールド・ピアーズ》』―――第二世代型最強と謳われた装備。
右手でこちらが離れないように掴む。 目の前のシャルル・デュノアは左手拳をきつく握りしめ、叩き込むように突き出す。
ズガンッ!!
腹部にパイルバンカーの一撃が叩き込まれる。 ISのシールドエネルギーが集中して絶対防御を発動して防ぐものの一撃ごとにエネルギー残量を大幅に削り取られる。 しかも相殺しきれない衝撃が体を貫く。 苦悶に顔を歪めてしまう。
「ふふふ、一夏を惑わす魔乳に鉄槌をっ!」
一瞬、シャルル・デュノアの顔に笑みが浮かぶ。 その笑みは悪魔のようにも見える。
ズガンッ!!
止めの一撃とばかりに重い衝撃についにエネルギー残量は0になってしまった。
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*
【一夏side】
見えない砲弾であるはずの龍咆も零迅雷光発動時の白式を捉える事は出来ない。 当たらない攻撃に鈴は次第に苛立ちを募らせるかのように下唇を噛む。
「もうっ! 何で当たらないのよっ!」
当たるか、馬鹿。 唯でさえ、零迅雷光を発動させてるおかげで尋常じゃないほどのスピードでエネルギーが減ってるんだ。 こんな状態で攻撃を受けたら勝てるものも勝てなくなる。
単一仕様能力、零迅雷光の発動により、大幅な性能アップと引き換えにエネルギー消費は半端ない。 だからこそ決着は早々に着けなければならない。
鈴、俺にとって二人目の幼馴染でもあり、俺を好きだと言ってくれる大事な存在の一人。
初めて顔を合わせた時はグーパンチされ、ケンカしてしまったが、鈴が転校するまでの間、常に俺の傍には鈴がいた。 親の都合で一年間離れ離れになったけど、またこうして俺の傍にいてくれる鈴。 おっぱいは小さいけど、その小さな胸の膨らみが愛しい。 鈴の想いが真剣だからこそ、俺も真剣になる。
「鈴」
「なによ!」
「これで終わらせる」
まっすぐに鈴を見る。 俺の気概に押されたのか、鈴は曖昧な表情を一瞬浮かべたが、すぐに表情を引き締める。
「な、なによ......あ、あたしだって負けるつもりなんてないんだからっ! 一夏に勝って、トーナメントで優勝するのはこのあたし、凰鈴音なんだから!」
ガキン! と両手に持つ青竜刀を連結させ、バトンのように両刃の青竜刀―――双天牙月を一回転させ構え直す。
一瞬の静寂―――。
瞬間、空間を爆ぜるように鈴はスラスターを全開で吹かし、急加速による突撃をしてくる。
「一夏ぁぁぁあああああああっ!」
―――いくぞ、白式。
俺の想いに応えるかのように、露出された内部装甲が一際眩く発光し、鈴に対抗するように俺も加速態勢に入る。
零迅雷光の発動により、その性能を大幅に上昇させる白式による瞬時加速《イグニッション・ブースト》。 急激なGに意識がブラックアウトしそうになるのをISの操縦者保護機能が防ぐ。
瞬時加速《イグニッション・ブースト》、出しどころさえ間違わなければ代表候補生クラスとも渡り合える技能。 ISの後部スラスター翼からエネルギーを放出、その内部に一度取り込み、圧縮して放出する。 その際に得られる慣性エネルギーをして爆発的に加速するこの技を零迅雷光で飛躍的に性能を上げた白式で使う事で従来以上の爆発的超加速が実現した。
「なっ! 消えた!?」
あまりの加速に対峙していた鈴は俺を見失っていた。
「オオオオオオオオッ!」
右手の雪片弐型の中心の溝から展開されているエネルギー状の刃が強く光を放つ。
白式と俺の神経が完全に一体化したような感覚。 研ぎ澄まされる五感に、集中力は数十倍にも跳ね上がったかのように、全身から湧き立つような力を感じる。
上段から振り下ろした俺の斬撃は鈴のシールドエネルギーを0にした。
一瞬の間。
そして試合終了を告げるアナウンスが会場に響き渡る。
―――『試合終了。 勝者―――織斑一夏、シャルル・デュノア』
試合終了のアナウンスが終わるや否や、割れんばかりの歓声が会場を支配した。
「はぁ、負けちゃった......」
シールドエネルギーが底を尽きた甲龍を解除した状態で鈴は溜息交じりに言った。 でも、その表情はどこか晴れ晴れとしていた。
「さすがにここまで完璧にやられちゃうとね。 でも、次は負けないんだからね」
「ああ、望むところだ。 次も返り討ちだ」
お互いに拳を突き出し、コツンと合わせる。
「でも、一夏。 あたしに勝ったんだから絶対にトーナメント優勝しないと許さないんだからね」
「もちろん優勝してみせるさ」
じゃなきゃ、俺の貞操が危ないからな―――。
「今回は優勝を逃がしちゃったけど、いずれ一夏の初めてはあたしが......」
小声で何か呟く鈴。
「え? なんだって?」
「うぇ? な、なんでもないわよっ」
聞き取れなかったから聞き返してみたら怒鳴られた。
本当、鈴は変わらない。
勝ち気で意地っ張りで胸の大きさを密かに気にしてる俺の幼馴染。
いつも俺の隣にいた鈴。
これからも俺の隣にいてくれるだろう、鈴。
「鈴、これからもよろしくな」
「ふん! よろしくされてやるわよ」
―――腕を組んでそっぽを向いた鈴は耳まで真っ赤にしていた。
説明 | ||
第34話です。 前話より二週間以上もあけてしまいましたが、今回は15000文字近く。 さらに一話を長くしてみました。 これまでは大体5000から8000くらいの文字数だったのですが、従来の2話分以上の長さにしてみました。 前回よりギャグ成分は低いかもしれませんが、楽しんで読んでいただければ幸いです。 |
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