テキスト練習2
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何気ない所ほど気になってしまう。

ついつい流し気味のあるあるを切り取っていく……。

裕太「今日の議題は『家族で飯食ってる時にお色気シーンが流れた時のあの気まずさ』、

   を取り上げるっ!」

時紀「ど、どうしたのさっ!?」

やはり驚いているなっ、時紀……。

しかし、俺はどうしてもこの話をしなければならないのだ。

裕太「時紀はこんな経験、ないか?」

時紀「あ、あるけどさ……」

時紀は困惑が続いている。

何があったかまだ理解できていないようだな。

裕太「俺は昨日飯を食っていた……」

その情報だけで時紀は察したようだった。

時紀「なるほどね……」

裕太「わかってくれたか?」

時紀「要するに昨日、そうなったワケだ」

裕太「その通り! 流石、時紀」

時紀「いつになく子供っぽいねぇ」

おいやめろその冷めた視線。

裕太「……で、時紀もあるならわかるだろ?

   この意図してない気まずさが」

時紀「まぁ、わかるけどさぁ……でも気にしたって……」

裕太「しかし! この話には続きがある!」

時紀「っ!?」

急に大声を出したので、時紀がビクリ! と反応した。

裕太「その気まずさもそうだが、

   そこから性生活的な話題に発展する場合が、ある」

そう。母親は思春期男子である俺に、訪ねやがったのだ。

裕太「俺に『アンタもこんなことしてんの?』と」

時紀「ぶぅーーーーーーーーーーっ!」

ゆっくり飲んでいた牛乳を吐き出した。

裕太「うわ汚ぇっ!」

時紀「ごほっ、ごほっ……」

驚いて吹いたのなら許すが、

笑って吹いたのなら罰が必要になるぞ時紀。

時紀「……んっ……んぁいっ変わらずだね裕太のお母さんは……」

まだ飲み物が気管に残っているようだった。

裕太「お前……笑って吹いたのか?」

ジロリ、と睨みつけた。

時紀「い、いや……笑ってない笑ってない」

裕太「本当に?」

時紀「ホントホント」

裕太「微妙に片言になってないか?」

時紀「なってないなってない……。

   って、それより話したい事あるんでしょ?」

裕太「今回だけは許してやろう……」

時紀「ありがとうございますっ」

裕太「ふん。調子のいい奴め」

時紀「ごほっごほっ……で、お母さんに訊かれた訳ね」

裕太「ああ。その通りだ」

時紀「それでそんな喋り方なのね」

裕太「…………」

俺の切れ長の目で見つめる。

時紀「……ううん、何も言ってない言ってない」

裕太「勉強ばかりで貧相な体も、今の俺にかかれば真っ二つだ」

中途半端に鍛えた手でリンゴを砕くような仕草をしてみせる。

時紀「ごめんってばっ」

裕太「いいな?」

時紀「了解〜」

こいつのいらないツッコミのせいで脱線してしまった……。

裕太「話題を戻す。……そう母に訊かれたという本題に」

時紀「で、その事に腹を立ててるワケ?」

裕太「普通聞かなくていいだろ……。

   居間でエロシーンが流れるハプニングがあった後だぞ?」

ただでさえ、その年頃にとってはデリケートな問題なのに……。

時紀「逆にそんなときぐらいしか聞けないでしょ」

裕太「…………」

時紀「…………」

時紀は両手を広げ、どう? みたいな仕草をした。

裕太「……まぁ……確かにな……」

時紀の言うことも一理あるかもしれないが……。

裕太「でもやっぱ聞くのはナシだろ〜」

時紀「わかるけど、もう聞かれちゃったんでしょ?」

裕太「ああ。根掘り葉掘りな……」

時紀「前も思ったけど、

   裕太のお母さんって結構大胆に踏み込んでくるよね……」

裕太「そういや、

   お前が家に来た時にも彼女がどうとか訊かれたよな」

時紀「ああ、あったねぇ」

裕太「あれは本当にひどかった。

   彼女の話題はもちろん、俺よりも先行ってるとか何とか……」

時紀「そうそうっ」

裕太「あの後、お前が帰ってからも俺に訊いてくるんだぜ?」

時紀「あ、そうだったの!?」

裕太「ああ。まぁ、何も言ってはいないけどよ」

時紀「いやそれはいいんだけどさ……」

裕太「もう知らんっつーのって感じで」

時紀「まぁ僕の事を時紀に聞いても仕方ないよね」

裕太「本当だよったく……」

時紀「でも、ああいう知りたがりな所とか裕太にソックリだよ?」

裕太「おいおい……」

時紀「ホントにないって言い切れる〜?」

時紀のぱっちり目がジト目になって俺を詰問する。

裕太「た、確かにないとは言えない……と、お、思う……っ」

時紀「でしょ? 問い詰め系は間違いなくお母さんの遺伝だよね」

裕太「そうかなぁ……」

時紀「間違いなくそうでしょ」

裕太「う〜ん……」

時紀「そんなに嫌なんだ……」

裕太「そりゃあそこまでデリカシーないとさぁ……」

時紀「裕太だってそんなにデリカシーないでしょ?」

(性に関しては)紳士な俺を捕まえてなんて事を。

時紀「それって何? ナンパ師ってこと?」

裕太「だから俺の心読むのやめろって!」

時紀「得意の八の字眉げだからね」

困り眉毛を撫でながら、

裕太「そんなに眉毛に出るのか……?」

時紀「わっかりやすいぐらいにね」

裕太「んな事言われるんのお前くらいになんだけどなあ」

時紀「ふふん、まぁ僕くらいだよね裕太の表情が読めるのは」

裕太「まぁ実際そうなんだが……」

悔しいがそこは間違っていない。

時紀にはなぜか心を読まれてしまう。

時紀「読むなって顔に出てるよ?」

裕太「わかってるなら読むなぁっ!」

時紀「ふっふーん」

心が読めたらプライバシーの意味ないだろ……

裕太「ったく……」

時紀「今日はこのぐらいにしてあげるよ、読むの」

裕太「今日だけじゃなくて明日も明後日も読むな!」

時紀「ま、それは裕太次第だよねぇ〜」

キーンコーン、チャイムが鳴った。

裕太「あ……」

貴重な休み時間は終わってしまった……。

あれ? 本題ってなんだっけ?

なんかあったような……。

 

まぁいいや。どーせいつもの事だし。

 

 

 

説明
練習用です。ですので是非。
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