話が終わると荀�ｹ様はぶつくさ言いながら、走って行かれた。

　　　俺は荀�ｹ様の『宴に顔を出しなさい』という言葉が頭によぎっている。

　　　（隊長は宴に参加していないのだろうか？）、（参加していないなら、

　　　隊長はどこに行ったのか？）と考えたら、気になってきた。

　　　そして、は荀�ｹ様の跡を気づかれないように尾行することを決めた。

　　　・・・・・・、ハァハァ。別に変な意味で息を荒げているわけでじゃない

　　　からな。って、誰に説明しているんだ俺？

　　　まあ、そんことはどうでもいいとして。それにしても、荀�ｹ様は街中を探した

　　　と思ったら、急に振り返って、こっちに向かって走ってくるから、驚いた。

　　　しかも、川のほとりの方へ急に向かうし、その間もずっと、走ってるし、

　　　本当に筆頭軍師なのか、この人？

　　　（やっと、川のほとりにたどり着いた……って、あれ？）

　　　荀�ｹ様が急に隠れるように茂みにしゃがんだ。

　　　俺は荀�ｹ様の目線の先を見ると、探していたあの方が居た。

　　　俺は思わず『隊長！！』と叫びそうになったが、ここまで尾行してきた意味が

　　　無いので、近くの木に隠れることにした。

　　　隊長は悲しい顔しながら、何かを考えてるようだった。

　　　そして、その顔のまま、隊長は呟いた。

　　　　　『なんで・・・・今なんだよ・・・・』

　　　と、俺はこの言葉を聞いて、単なる好奇心から嫌な予感を感じてしまった。

　　　「隊長・・・隊長・・・アナタって人は」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

　　　そんなこと呟いていると木を殴っていた。

　　　あぶない、あぶない。せっかく、バレないように尾行ているっていうのに。

　　　（アナタは笑っている顔が素敵なのに、そんな顔はやめてください。）

　　　と、俺は声には出さずに、心の中で呟いた。

　　　そして、ほどなくしてまた、彼は口を開いた。

『そういや、あれは華佗に頼んだし任せるかな。』

　　　と、言葉を発して、また黙ってしまった。たぶん、想い返しているのだろう。

　　　俺は華佗殿という人物を多少なり、知っている。というのも、隊長から

　　　聞いたことがあるからだ。隊長曰く『医者王』の異名を持っている人物だ。

　　　それにしても、また頭の中で引っかかっている。

　　　華佗殿・・・・医者王・・・・医者！！ということは医療に関することだろうか？

　　　とすれば今、医療が必要になる者は先の戦いの負傷者たちであろう。

　　　そういえば、『この戦いであの人たちは死ぬことにならないように華佗に頼んだし

　　　、これで大丈夫だろ。』と一人、天幕の中でボソボソ呟いていたな。

　　　俺はこの話を聞いたとき、何を言っているのだろうと思っていたが、詳しいことは

　　　後で華佗殿を探して、聞いてみるしかないな。等と、考えているうちに隊長が此方を

　　　じっと見ている。（やばっ、バレたか!?）と思っていると荀�ｹ様を呼んだ。

　　　ふぅ〜と息を吐くと、俺は二人の会話に耳を傾けることにした。