セブンスドラゴン2020「どうしてこうなった?」 /01.プロローグ「帝竜ウォークライ」 |
プロローグ 『帝竜ウォークライ』
眼下に蠢(うごめ)くのは毛ナシ猿、人間とかいう生き物だ。
ヤツらは皆、俺の姿を見上げては恐れ慄(おのの)き、戦意を喪失して無様に逃げ出した。中にはその場で座り込み、許しを((乞| こ))う者までいる。実に間抜けで笑える姿だ。そんな事をして何になる? 助けて貰もらえるとなぜ考える?
俺はそういうヤツらを容赦なく踏ふみ潰し、胃袋より程走る煉獄の炎で焼き払う。絶叫し、のたうち回って死んでいく馬鹿どもに((嘲笑| ちょうしょう))を浴びせる気などない。俺はただ、誇り高き戦場を((穢| けが))した愚物を排除したまでだ。戦いを捨てた戦士などに存在の価値は無い。そんなもの((塵芥| ちりあくた))にすぎない。
竜王たる俺様の前では何もかもが((矮小 | わいしょう))だ。気高き戦士にすらなれぬ人間などその最たるモノ。あまりにも((脆弱 | ぜいじゃく))で、((惰弱 | だじゃく))な生命体だ。
なるほど、ニアラが面白がって殺す気持ちも分からんでもない。
だが、そのニアラの方が問題だ。俺は((惰弱 | だじゃく))な人間などよりもヤツの方が気に食わない。
口にする事さえ((疎 | うとま))しい存在。
竜を統べる神ニアラ。雲界のさらに上の天の海から地上を((睥睨 | へいげい))し、俺を含む全ての竜を操っている絶対支配者。 太古より星に寄生し生命を喰らう真なる黄金竜…。
神だの金色だのというヤツの肩書などどうでもいいが、何よりも許せないのは俺様を道具として使っている事だ! 俺は俺の意志に反して強制的に命令される事が我慢ならない! 誇り高き竜王たるこの俺様を手駒として扱うその傲慢ごうまんは耐え難い苦痛なのだ!
戦いならば俺のほうが強い! 俺はあんな臆病者に負けはしない! 自らが戦場にも出ずに高みの見物を決め込んでいる程度のヤツが、俺に勝てるわけがないのだ。
ニアラめ! 憎むべきはヤツだ! この竜支配の力さえなければ俺がヤツを殺してくれるっ!
殺意の限りを込めた咆哮が天に轟き、配下の竜どもが震え上がる。…しかし、どれだけの憎悪を込めても、ヤツの竜支配は完全だ。支配という名の拘束…、いや、呪縛はけして消えることはない。あまりに口惜しいが、俺達はヤツの意志に逆らうことは出来なかった。
「くそっ! ナガレ! しっかりしろ! 死ぬんじゃねぇ!」
ある日、攻め込んできた人間の戦士が居た。たった2人だというのに、俺はこれまで体験した事のない苦戦を強いられた。
俺自身も人間をナメていたというのはあるが、その強さは俺の想像を遥かに越えるモノだったのだ。
「ナガレのカタキ、は…俺、が……! 俺が必ず…!」
なんとか一人を殺したが、それでも戦いの主軸となって攻撃を担当していた人間、この”ガトウ”と呼ばれていた戦士は、身震いさせる程の力量を見せ付けた。一撃一撃が俺がいままで戦ったどの竜よりも強い。…まさか人間などが、この俺を瀕死にまで追い込むとは想像すら及ばなかった。
俺はそいつとの死闘に全力を注いだ。
最強と自負し、他の七竜の頂点に立つ竜王たるこの俺の攻撃を耐え凌ぐどころか、反撃してくる。
ガトウはまさに脅威と呼んでもよい程のツワモノだった。
ヤツのとてつもない攻撃により俺の身体はズタズタに切り裂かれ、体液が((滂沱 | ぼうだ))のごとく噴出する。強固な鎧であるはずの鱗は砕け、頑強な肉体は修復不能なまでに痛めつけられていた。呼吸をしただけで内臓が痛む。精神が死を意識させている。
だが、そこに湧き上がる感情は後悔ではない、愉悦だ。
俺は傷の痛みよりも、この戦いに楽しんでいた!
これこそ俺の求めた戦いだ! 戦士が渾身の力を振るい、命の限り戦い尽くせるのは本望というもの。これを喜ばず、戦士を名乗る資格はない。俺はこの時を、こういう戦いの場を待っていた! 望んでいたのだ!!
グハッ──ッ!
((喉 | のど))の奥の奥、((臓腑 | ぞうふ))より噴出す血潮は俺のもの。死がすぐそこに迫っているのは理解できた。
しかしすでに勝負はついている。
数時間にも及ぶ壮絶な死闘で、ガトウという人間は俺以上のダメージを負っていたからだ。これまで見せていた俊敏かつ機敏な動きは完全に停止していた。すでに戦闘能力はゼロと言ってもよいだろう。
俺とガトウの強さはほぼ互角だった。破壊力や俊敏さを総合してみれば戦闘能力に差はなかった。しかし、竜という種の持つ生命力は明らかに俺に歩があった。だからこそ、もう一人も殺すことが出来たし、ダメージを負った状態でガトウと一騎打ちになっても対等に渡り合えたのだ。
だが、この種族の差というハンデは、ガトウらが二人で俺と戦ったことで((相殺 | そうさい))されている。俺はそれを受け入れて戦い抜いた。そして勝利したのだ。ならばこの結末は公正なもの。真に実力を競った結果である。
そして…、この一撃でその戦いの幕は降りる。
ガトウよ、キサマはよく戦った。誇りに思え。俺はこの強き戦士を讃えるために、この一撃に最大の威力を込めよう。
俺は勝利という幕切れを果たすため、その鋭利な爪を振り下ろそうとした。
──その時、たった一人の邪魔者が現れた!
「ガ、ガトウさん! 大丈夫で───!! ひっ! ウォークライ!?」
勢いよく駆け込んで来たのは人間のメスだ。しかし俺の姿を見て動揺している。明確な恐怖を抱いているようだ。
…確かコイツは見た事があるな。そうだ、少し前にまとめて殺した戦士どもの中で、唯一トドメを刺しそこなったヤツだ。虚きょを突いて現れた他の人間が救出したんだったな。
ふん、馬鹿どもめ。こんな役立たずを生かして何になるというのだ?
「お前、新人の! 応援に来たのか!?」
傷ついたガトウがメスに…、いや、小娘に向かって声を投げるが、当人は眼前の俺に圧倒され、声も出せない状態であるようだ。身体を震わせ、足元すら((覚束 | おぼつか))ないほどに恐怖心に捕らわれている。…つまり、戦士になり切れず恐慌しているのだ。
ならば、ガトウにトドメを刺す邪魔をされる前に潰しておく。どちらにせよ、戦場で怯えを抱いた戦士は戦士などではない。ゴミだ。神聖な戦場には相応しくない!
『GRooooooo!』
「ひ、あ! い、いや──! 助け…っ!」
俺の威嚇いかくを前にし、小娘は動くことも出来ず、叫びすらあげられず硬直していた。俺を恐れた数多の人間どもと同じで、何か抵抗する事もなく死ぬという結果が数秒後に迫っている。
「動け! 新人っ! なんのためにここへ来た!! 戦って見せろ!」
ガトウの声が届いた。それに反応したかのような小娘が落ち着きを取り戻す。そして怯えを抱いたまま、武器へと手を伸ばした。…しかし、その構えは明らかに逃げ腰であり、まともな戦闘が出来るのかすら怪しいものだった。
ククク…、まあいい。戦士として戦うというのなら俺に異存はない。刃向かうのなら破壊するだけだ。
そして、((嘲 | あざけ))りの目こそ向けていたが、今回は油断などしていない。ガトウ達の時と同じ失敗はしない。一切の油断を捨て、全力で叩き潰す!
『GUoooooooo!!』
さあ、小娘! 戦場で武器を振るうというのなら、力の全てを俺に見せてみろ!
張り詰めた空気と闘気が戦場を支配する。小娘は構えたまま動かない。俺の出方を((窺 | うかが))っているようだ。怯えて攻めあぐねているのやもしれない。しかし、俺はそういう消極的な行動は好かない。獲物えものが目の前にあるというのに、引く事に意味などないからだ。
最初に動いたのは俺だ。真正面より自慢の爪を振るう! 小娘は力を込めた足で大地で蹴り、突撃してくる!
俺の豪腕が烈風と共に炸裂する! しかし、叩き付けた場所に、もう小娘の姿はない。
次の瞬間、背中に大きな衝撃を受けた! それは小娘の持つ武器による一撃。あまりにも重いその攻撃は想像以上に俺の身体を傷つけ、さらに血を噴出させる。まるでガトウの一撃だ。いいや、それ以上かもしれない! 俺は小娘を振り払おうと尾を振るうが、すでに小娘の姿はそこにない。
左後方! そして忽然と消えたかと思えば、いきなり正面に出現する! 俺がそれに気がついた時、小娘はすでに武器を振り下ろしていた! まるで草を薙なぐかのように俺の翼を切り落とす!! グッ! コ、コイツは一体なんだというのだ?!
俺は圧倒的な強さ故ゆえに一方的に攻められるという経験がまるでない。いかに傷つけられているとはいえ、姿を追いきれず、しかもこの鋼の肉体が攻撃に耐えられないなど想像すらしていなかった。俺と対等に戦ったガトウであっても、部位を切り落とさせるなど許さなかったというのに!
油断はなかった。俺は完全に一撃で仕留められるだけの力を振るったのだ。
だというのに、どうなっている!?
「…あ、あの新人、なんて逸材いつざいだ…。ムラクモ試験の時は大した事なかったってのに…」
ガトウの呟つぶやきが俺の聴覚ちょうかくにも届いた。その言葉に俺も以前の戦いを思い出す。あの時に現れたコイツは大した事はなかったはずだ。泣き叫ぶだけで何もできず俺の一撃で吹き飛んだ。それで終わりだったはずだ! たまたま運良く救われたという事で覚えていたに過ぎないザコだったはず! こんな戦闘能力を秘めていたのか?!
俺の焦りは強くなる。この俺が、こんな小娘の牙により敗北するというのか?! 倒されるというのか!
満足に戦えたなら一撃すら入れさせる事はなかったはずだ。ちくしょう! この傷さえなければ、体力が万全であるならば、かつてない程に素晴らしい戦いが楽しめたというのに!
確かにこれが完全なる勝負というのであれば、死したとしても存分に戦えた事は戦士としての誇りだ。その運命は受け入れよう。
だが、俺の意思を歪められた結果というのは我慢ならん!
ここで死ぬわけにはいかない!
俺はガトウや小娘と存分に戦いたいという願望以上に真竜ニアラを憎んでいる。あのクソ野郎だけは神の座より引きずり降ろさなければならない。戦士の誇りすら足蹴にするあの厚顔無恥に思い知らせてやらねばならない!
この戦場に降り立ち、ガトウと戦えた事は幸運であったが、それはニアラへの感謝ではなく、結果的にそうなっただけだ。たとえ勝利を手にしたとしても、このままヤツの支配下に置かれている俺は、いつまでも道具として使われ続ける。そのような呪縛は絶対に許せない! 俺はあくまで自由の身として強者と戦いたい。
そんな考えを巡らせている間にも小娘の武器が俺を傷つけていく。無様に攻め続けられながらも必死で応戦、俺は自身の死をさらに強く感じ取りながらも、その意識をはっきりとさせていった。
死んでたまるか。
俺はヤツを、ニアラ殺すまで死ぬわけにはいかない。殺されてやるわけにはいかないのだ!
ニアラを殺すまで死なない! 死んではならない! 絶対にだ!!
『Guo……Oooooooooooooooooooo!!』
その心の叫びが凄すさまじい咆哮(ほうこう)と化し、ありとあらゆる全てを震撼しんかんさせる! 精神の全てを、俺の魂の震えの全てをその咆哮に宿した。これが俺だ。キサマらがウォークライと呼ぶ竜の王だ。俺は生きてニアラを殺し、ガトウも殺し、そしてこの小娘も噛み砕く!
執念。
それは燃え尽きようとする俺の命の灯火が激しく燃え上がらせたもの。俺の最後の一撃を許す精神の力!
眼下には、この咆哮に放心したように震えている小娘がいた! ならばこの期は逃さない!!
まだ動く右前足(右腕)を大きく振り上げ、渾身の力で叩き付ける! 俺は勝つのだ! そして生き残るっ!
「───新人っ! 避けろ!!」
「ぁぁぁ…、…わあああああああああっ!!」
ガトウの声に反応し、遅れながらも動いた小娘。しかしもう遅い! 俺の爪はキサマを逃さない!!
それは…偶然だったかもしれない。
小娘が恐怖のあまり腰が砕けて座り込むのと、俺の爪が小娘に届くタイミングとが奇跡のように重なった。
「…、ひっ! あ…がはっ───………っ!」
頭部ごと削り取るはずの爪の切っ先がほんの僅わずかに((逸 | そ))れ、小娘の右目辺りを大きく縦に切り裂く!
傷つけられた顔から赤の((飛沫 | ひまつ))をあげて噴出す暖かな血液。そしてぎりぎりで外れ、弧を描いて地面を叩きつけた俺の腕。その凄まじい衝撃により地面は陥没し、土煙が盛大に巻き上がる!
絶大な攻撃力のほとんどを”空振り”という形で終えた俺は、そのまま力尽きて倒れて意識を薄めていく…。
轟音と土煙が立ち込める中で、俺と小娘はほぼ同時に地面へと堕ち、互いにそのまま身動き一つする事なく昏倒する。力尽きていく。
体の感覚がない。周囲は妙みょうに暗く音も感じない。そして身体が冷えていく。
脈打つ鼓動はすでに感じ取れず、開いているはずの目には何も写らない。
これが死、というものか…。
俺はこのまま朽ち果てるのか。
くそっ…ニアラ…め……! 俺が! 俺様が必ず……キサマを……殺し…て……やる…。
ちく…しょ……う………。
「ん……」
俺は深い眠りから混濁する意識を浮上させつつあった。だが、それはまだ表層上まで到達しているわけではなく、未だまどろみの底にあるのが分かる。
あれから、どうなったのか?
小娘にトドメを刺せたのか? それとも負けたのか? ガトウはどうなった??
ひとまず生きてはいるらしい。意識をすれば心臓の鼓動を感じ、穏やかに呼吸ができているのはハッキリと判る。それに体をよじる事もできるし、腕を動かす事もできた。徐々に脳が覚醒してきたのかもしれない。そうか、俺は生きているのか。
生きている、という事はすなわち、勝った、という事になる。
少なくともあの小娘は殺す事ができたのだろう。そうでなければ生きている理由が思いつかない。
「ふぁ…ううん…」
とても眠い。まだ眠っていたい。…しかし、それ以上に妙な違和感があった。やけに身体が軽い。それに背にある翼の感覚がない。確か左側は切り落とされた気がしたが、右は無事だったはずだ。感覚的には仰向けになっている気がするのだが、地面に翼が当たっている気がしない。
「ん? 仰向け??」
いや待て、そういう違い以前に凄まじく違和感があるぞ? 竜がなぜ仰向あおむけで睡眠を取るのだ? 竜に共通する弱点とも言える”((鱗 | うろこ))のない腹部”を見せて眠る竜などどこにいる? …だが、俺はそれを理解しているのに心地よさを感じたまま眠っている。
いやいやいやいや、待て! 凄くどころか、かなり変だ。間違いなくおかしい! 身体の感覚そのものがまるで違う。その異常性を感じ取り、緩やかに覚醒しつつあった意識を無理矢理引き起こして飛び起きる! 俺は腕で身体を支え、上体を起した。
…最初に目に入ったのそこは、見た事のない場所だった。
山岳の巣穴でないのは間違いない。全体的に白く、やけに平らな壁の囲う妙な場所。とてもじゃないが洞穴ではない。((歪 | いびつ))つに重なり合う岩場のような面がないのだ。異常なまでに全てが平らなのだ。
それに俺が寝ている地面は岩とは思えぬ程に柔やわらかく心地よい。腕で触れるとフカフカする。…そして俺の周囲にはこまごまとした、なんらかの四角い道具類が置いてあった。…確かこれらは俺の記憶では、人間どもが身の回りで使用している道具のような気がしたが…。いやしかし、人間のものであるわけはない。俺の巨体からすれば、人間の持ち物は尺度がまったく違うはずだ。
俺様は激しく混乱しながらも周囲を見回す。すると寝ていた真後ろ壁に驚くべきモノを目にする。
…なんと、あの小娘の姿だった!
ヤツはあの時のままの姿で、俺と同じように驚き、こちらを見ている。
くそっ! 生きてやがったのか! 何がどうなっているのか分からんが、今すぐ殺してやる!
沸わき立つ殺意と共に寝床から跳はね起き、小娘に向けて腕を振り上げると、ヤツも同じように腕を振り上げた! 馬鹿なヤツだ。俺と同じ攻撃を挑むなど死ぬつもりか!? 破壊力で俺に勝てるとでも思っているのか!?
俺は勢いのまま小娘に向かって破壊の爪を振り下ろす! ……が、
ゴチッ! 彡☆
という痛々しい音と共に頭部をぶつけた。目の前がチカチカと明滅する。目から火花が出るというのはこういう事なのか。頭が割れそうだ。
し、しかし、これはどういう事だ? 岩や鉄に当たったのならば、俺様の頑強な肉体と筋力で容易よういに破壊できるはずだ。少なくとも俺は今、相応の力を振るっていた。しかし傷がつく以前に、俺だけがダメージを受けた。…まさか、これは人間が繰り出した術か何かだろうか? よもや俺の巨体を弾き返すほどの術をあの小娘は使ったというのか?
いやはともかく、…それも重要なのだが、今はひたすらに痛い。涙が出るほど額が痛い。
ぐす…、ちくしょう! なんというか完全に何かがおかしいのは確定的だ!
ぶつけた額を押さえて寝床を転がり((悶 | もだえ))る俺が横目で小娘を見ると、ヤツも同じように頭を押さえて俺を見ていた。ククク…、ヤツめ! 俺と同じように((障壁 | しょうへき))に額をぶつけたとでもいうのか! 涙目になってやがる! …いや、それは俺もなわけだが。
なんだか、嫌な違和感を感じる…。
なんとなく…、俺が腕を振り上げてみると小娘も同じように振り上げた。
…不思議だ。まるっきり同じ動きをする。
次に俺は身体を遠ざけてみると、小娘も同じタイミングでそこを離れる。移動距離まで同じである。
うむー…。
顔に触るとヤツも顔に触る。俺の行動を真似ている…という気がしないのはナゼだ? 俺の動きを正確に再現し、俺が動いたそのままに小娘が動く。首を真横に傾げてみれば、ヤツもその通りに首を傾げる…。
おい、ちょっと待て!!
これはもしかして術ではなく、術なんかではなく、壁面にくっついているだけの”姿を映す道具”…ではないのか?
……………なんだ、これは? どういう事だ?!
もしかして、もしかすると…。
俺は身体の至るところを触りまくる。
細い腕、細い体、細くて長い足、頭部から生えた黒い糸、…これは髪だったか?
何がどうなっているのだ? これではまるで…。
俺はいつの間にか小娘になっていた、…らしい。
どうしてこうなった?
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説明 | ||
東京各地にドラゴンが出現、そして最強のドラゴンが舞い降りた東京都庁…。 都庁奪還のために攻め入った”マモノ討伐機関ムラクモ”は、竜達のボス格である帝竜【ウォークライ】を追い詰めるものの倒しきる事ができず、遅れて戦場へとたどり着いたムラクモの見習い少女が人々の命運を賭けた最後の勝負を挑む。しかし、結果は相打ちとなり、双方とも気を失った…。 …ウォークライが目を覚ますと、彼はなぜか…自分と相打ちとなった見習い少女になっていた! 彼はそのやるせない状況に一言つぶやく…。 「どうしてこうなった?」 |
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