真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第5話 |
この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。
そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。
※一刀アンチ作品ではありません。
第5話
七乃から聞いた賊討伐の件に大地が頭を悩ませている頃、八恵は孫策たちの屋敷を訪れていた。
現在、孫策たちは袁術の客将もとい部下として扱われている。先代孫堅が戦で亡くなったことによりこれまで孫家に従っていた豪族たちが次々と離反していったため、仕方なく袁家に頼る形になったのだ。だがそのせいで孫家の面々は各地にバラバラに配置され余程の事がない限り会う事も許されていなかった。
八恵が屋敷の応接室の様な部屋で待っていると、孫策たちがやってきた。孫策、周瑜が八恵の前の椅子に座ると侍女にお茶の用意を頼み、話し始める。その内容は今回の賊の一斉討伐についてだ。
「たかが賊の討伐の打ち合わせにあなた自ら出向くなんて大袈裟じゃない?」
「今回は軍事関係を動かすことなのでそちらとの連携の為にも私が来たのですが、迷惑でしたか?」
「そういう意味ではないのだが。それよりも連携ということは今回の戦は共同戦線ということか?」
「ええ。といっても兵はこちらが受け持ちますので、そちらからは将を出していただければと思いまして」
「将だと?」
周瑜は訝しげに八恵の顔を見る。
「はい。出来れば黄蓋殿と周泰殿が良いのですが、無理ならばどちらか一人でも構いません」
周瑜の問いに何でもないように返す八恵。
周瑜は八恵の言葉の真意を探ろうとするが、いかんせん情報が少ない。可能性として第一に考えられるのはどさくさにまぎれての将の暗殺だろうが、袁術がそんな事を考えるとも思えないし何しろ利点が無い。
次に考えられるのは袁家への引き抜きだろうが成功率が低いのは目に見えている。
ならば妥当な線としてこちらの指揮の癖や弱みを握るというのが最も有力なのだろうが、そこで一つの疑問が浮かぶ。
何故黄蓋と周泰なのか、だ。
孫家の武官といってまず名前が挙がるのは自分の隣にいる孫策こと雪蓮だろう。
次に孫家の宿将黄蓋、鈴の甘寧、隠密筆頭の周泰となる。
周瑜がなぜ孫策ではないのかと紀霊に聞くと返ってきたのはあまりにも普通の答えだった。
「一流の指揮と技術を経験させ、兵の質を上げたいのです。現在我が軍には私以外に前線にて指揮をとれる者が少なく、育てるにしても時間がかかります。次に孫策殿ではない理由ですが、単身での突撃をする者に指揮をとってほしいなどとは思いません。軍とは個ではないのです。たった一人で戦況が変わるなど稀なこと。それを平然とやってのけるのが孫策殿なのかもしれませんが、我が軍にはそのような類の武将が居りません。ならば用兵の巧みな者を、と考えるのが普通ではありませんか?」
「ふむ、確かにその通りだな」
周瑜は苦笑しながらも、紀霊の言葉に同意せざるをえなかった。大将自ら先陣を引きいるなどと常識外れなことをこの友はやってのける。思えば文台様もだったか、と友の無茶な行動の元凶に軽く溜息を吐いた。
「ぶーぶー、私そんなに猪じゃないわよ」
親友の周瑜の言葉に軽く頬を膨らませながら反論する孫策。周瑜はやれやれと言った様子ながら孫策を好きにさせている。そんな二人を見つめながら、これが断金の誓いといわれる所以なのだろうと紀霊はどこかで感じとっていた。
話し合いの結果、周泰は無理だが黄蓋ならばということで話はまとまった。付き添い(興味本位)という名目で孫策、そのお目付け役ということで周瑜が行軍に随伴することとなったのはまぁ、当然であろう。
雪蓮視点
「それではまた後日にお会いしましょう」
それだけ告げると軽く会釈をして紀霊は屋敷を出た。
その後ろ姿を眺めながら、私は気になっていた事を口にする。
「ねえ冥琳、さっきの話何割ぐらいかしら?」
私の隣に立つ親友にさっきの話について聞いてみたくなった。
「そうだな、8対2といったところか。まあ、手本を見ているようで私としては物足りなかったが」
眼鏡をはずし布でレンズの汚れをふき取りながら周瑜、真名を冥琳は答えた。実際あれを紀霊一人で計画したとは私も思っていない。誰かの入れ知恵であろうことは明白だが、はてそんなに頭のまわるものがいただろうかと思案する。
怪しいのは張勲辺りだが、あれがまともな発言をしているところなど両手で数えられる程度だし、面倒事は他人に押し付けるような人間だ。袁術の残念な感じからしても分かるが、あれはただ甘やかしているだけだろう。
いくら考えても答えは出ない。
こんなときは早めに気持ちを切り替えた方がいい。そう考えてからの雪蓮の行動は早かった。
「ねえ冥琳、祭と穏も呼んでこれから飲みましょう?」
それまで隣で思考に耽っていた冥琳は不意に声をかけられしばし呆けていたが、すぐに意図を理解したのか
「分かった。皆の仕事が終わり次第、始められるように準備させよう」
空を見れば日が沈み始めており、雲は鮮やかな橙色から薄紫、紺へと染まっていくのだった。
視点アウト
その夜
今日中に目を通すべき重要な案件を処理し、仕事を終えた冥琳と陸孫、真名を穏は目の前の光景を微笑ましげに眺めていた。
「そもそも、何故わしが袁術のとこの弱兵を指揮せねばならんのじゃ?」
黄蓋、真名を祭は昼間の話を周瑜から聞かされてから虫の居所が悪かったようで、先程から愚痴をこぼしていた。
「そう言わないの。それに祭が指揮するのは紀霊の部隊なんだからそこまで酷くはないと思うけど?」
紀霊が言うには今回自分は新兵の指揮に集中するため、自分の部隊にまで気にかける余裕はないのだそうだ。ならば自分の代わりにということで白羽の矢が立ったのが黄蓋と周泰だった。
「そこじゃ。儂が思うに紀霊の部隊にはそれなりの腕を持った副官がいたはずじゃ。その者と別の武将を組ませれば良いではないか。わざわざ儂達を頼る理由がない」
いくら袁術が無能とはいえ四世にわたって三公を輩出してきた袁家には腐るほど人がいることだろう。河北の袁紹ほどではないにしろ袁術のもとにも人材だけなら多いはずだ。質は別として……。
ならばその中から選べばいい。仮に紀霊が言っていたように一流の指揮とやらを経験させるためだとしてもわざわざ孫家に紀霊自身が赴くというのは考えられなかったのだ。
「そうなのよね、私もそこが引っかかってるのよ」
雪蓮自身あの話を聞いてからというもの喉に小骨がつっかえたような感覚を感じていた。ただの杞憂で済めば越したことはないのだが、生憎自分の勘は良く当たる。それが告げているのだ。面白い事と面倒な事が同時に来る、と。
「だから確かめてみようと思ってこの話を受けたのよ」
あいつらが何か企んでいるって言うんならその計画を潰してあげる。そしていつか孫呉を再興させる。そのために不確定要素になりそうなものは早めに処理しておかなきゃいけない。
「あの〜雪蓮様?私はどうすればいいんでしょう?」
穏は今回の行動に自分の名前が挙がっていない事を不思議に思ったのか雪蓮に尋ねた。
「あ〜。えっとね、その今回は留守番しててほしいんだけど……」
バツが悪そうに答える雪蓮。
「そんなぁ〜」
そんな穏を見ていた祭が可笑しそうに喉を鳴らす。冥琳は自分たちが留守の間屋敷の書庫に近付かないようにと穏にとどめをさしていた。
そんな孫家の日常から数日が過ぎ、大地はついに初陣の朝を迎える。
「まさかこいつで人を斬ることになるとはな」
傍らに立てかけられた大検が鈍い光を放っていた。
あとがき
年末に風邪をひきまして、治ったと思ったら家族に移り、回り回ってまた風邪をひくという珍しい事態を体験しました。
宮城も相当寒いです。道路が凍ってて今朝スリップしました。事故らなくてよかったです、いやほんとに。
やっと大地君の初陣の朝がやってきました。次回はいよいよ賊との戦闘です。
相変わらずな文章力ですけど温かい目で見ていただければと思います。
でわでわしつれいします。
説明 | ||
遅くなりました。 やっと形になったのでよかったら見てってください。 アドバイスをいただければありがたいです。 それではどうぞ |
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コメント | ||
孫家が袁術を倒して独立しようとしているように思えたから書きました。態度によっては話し合いで解決出来るのでは?(陸奥守) ふと思ったのだけれど袁家が孫家に対してどのような態度で接しているのですか?将をバラバラに配置ぐらいしか書いてなかったので。(陸奥守) |
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