春夏秋冬雑談 |
『ジンクス』
?「冬花、冬花、冬花〜」
冬「どうしたのよ、夏樹、そんなに慌てて」
夏「聞いて、聞いて、面白い話聞いちゃった」
冬「なに?、面白い話って」
夏「それはね、幸せになれるジンクス」
冬「ふ〜ん、どんなの?」
夏「わかんない。廊下歩いてたら、隣のクラスの女子が話してたの聞いただけだから」
冬「わからないのに、そんな大慌てで来たの?」
夏「うん、だって、幸せになれるんだよ。すごいじゃん」
冬「うん、それは……、そうね。すごいことよね」
夏「そうでしょ、そうでしょ、すごいでしょ」
冬「でもね、よく聞いてね。夏樹、ジンクスは不幸の塊よ」
夏「え〜〜、でも、みんな、そういう風に使ってるじゃん。」
冬「そうなのよねぇ、間違った使われ方しているのよねぇ。本来、ジンクスってのは、不幸の啓示?みたいなものなのに」
夏「じゃ〜、幸せになれないの? 」
冬「ジンクスの全ては、不幸への前触れだから。あ〜、でも、気をつけることはできるんじゃないかしら?不幸にならない為に」
夏「そっか、冬花はあったまいいなぁ〜。不幸にならないって事はそれはそれで、幸せだよね」
冬「夏樹に誉められてもなぁ……」
夏「よし、わかった、今から行って教えてくる」
冬「ちょ、待っ……。行っちゃった。はぁ、面倒事の予感」
?「どうしたんです?ため息なんてついちゃって」
冬「あら、春彦、居たの」
春「えぇ、今来たとこですが」
冬「さっきまで、夏樹が居てね。それだけよ」
春「夏がね〜、相変わらず忙しいやつだな」
冬「あぁ、これが、ジンクスなのかもね」
春「何がです?」
冬「夏樹が走り回る事がよ」
春「ふ〜ん」
?「お〜い、早く行くぞ〜」
春「悪い、今行く」
「じゃ、秋也が呼んでるので行きますね」
冬「行ってらっしゃい」
春「行ってきます」
『進歩』
春「お〜い、秋也、帰ろうぜ〜。ん、なにやってるんだ?」
秋「ん?見りゃわかるだろ、読書だよ、読書」
春「んげ、どうした?秋也、壊れたか?悩み事があったら、相談に乗るぞ」
秋「壊れてねぇし、悩みもねぇよ」
春「じゃ〜、どうしたんだよ。秋也が本読むなんて。」
秋「いやさ、先生が「お前は、体ばかり鍛えていても駄目だ。普段やらないこともやれ」って言うんだよ。
春「先生って、道場のか?」
秋「あぁ、俺の先生はあの人だけだ」
春「先生(担任)が聞いたら、泣くぜ」
秋「きっと感動だな」
春「ちげぇよ。で、本を読んでると」
秋「あぁ、これが難しいんだ。これ、読んでみ」
春「なにこれ?、上下逆じゃない?」
秋「おい、戻すな、それで、合ってるんだよ」
春「もしかして、上下逆で、読んでたのか?」
秋「普段やらないから、これが難しいんだ。」
春「先生が、言っていたのはそれだけか?続きに、勉強という単語はなかったか?」
秋「ん?あったかもしれないがそんな細かいことは気にするな」
春「そこ気にするとこだけどな」
(道場の先生だけに、同情するよ……)
秋「よし、今日はこれくらいにして、帰るか」
春「まぁ、なんだかんだいって、難しい事してたわけだしな」
秋「おう、なんか今日はいけそうな気がするぜ」
春「へ?、何処へ行くって?」
秋「己の限界の先さ」
春「……お前かっこいいな」
秋「だろ。俺は日々進化してくぜ」
春「進化じゃなくて、進歩しようぜ」
秋「ちまちま、歩くのなんて、つまらないぜ」
春「はぁ、もう、いいから帰ろうぜ」
秋「よし、走るか」
春「歩け!!」
「灯台もと暗し」
生徒A「お〜い、春彦、帰ろうぜ〜」
春「あ〜、悪い、今日は部活なんだ」
A 「あれ?お前部活なんか入ってたっけ?
春「入ってたりするんだなぁ、これが」
A 「で、何部よ?」
春「勉強部」
A 「マジでか?、あの部活紹介はされてるけど、部室が書いてないあの部活か……」
春「そうそう、その部活」
A 「うえ〜、よく放課後も勉強とかできるよな」
春「これが意外と面白いんだぜ。」
A 「どうせ、女目当てなんじゃね〜か?って言っても、がり勉女ばっかりか」
春「そんなんじゃねぇ〜よ。お前も来るか?」
A 「俺はいいや、先帰る。」
春「そうか」
A 「また明日な〜」
春「また明日〜」
そう、この学校には一般的には知られていない部活がある。
それは、生徒会長とすごく仲がいい冬姉が生徒会準備室という倉庫のような場所をもらい。活動している。
今では、しっかり整理されており、設備もそれなりにあるので雑談なんかするのにはもってこいの部屋になっていたりする。
部員は四人、いつもの春夏秋冬なのだが、厳密には五人部員が必要だったので生徒会長も属している形になっている。
活動内容は、いろいろな事について考える。という、なんとも曖昧な感じだ。
まぁ、そんな感じのゆる〜い部活なのだ。などと考えているといつの間にか部室の前に到着する。
ガラガラガラ〜
春「ちわ〜、あれ、もうみんな集まってるのか」
夏「遅い、遅いよぉ〜。みんな待ちくたびれてるよ」
春「あれ、今日って急ぎだったっけ」
夏「急ぎも急ぎ、四人集まらないと始まらないんだから〜」
春「そうだったのか、悪い」
夏「ではでは、始めに恒例の夏っちゃんイベントからいきま〜す」
春「おぉ、今日は何やるんだ?」
(今日が初見だよ)
夏「公平にみんなでじゃんけんをして負けた人がみんなのジュースを買ってきてもらいま〜す。」
春「それ、ただのパ」
夏「しっ、パシリじゃないの、買い出しなの」
春「一緒じゃ……」
夏「じゃ〜、いくよ〜。じゃんけんポン」
春「グー」
夏「パー」
秋「パー」
冬「パー」
春「え!?一発負け……。マジかよ」
夏「じゃ、春彦、買い出しヨロシク〜」
冬「みんなコーラでいいからね」
春「うい〜、しょうがない、ちょっくら行ってくる」
ガラガラガラ〜
…………
……
秋「たしかに平等じゃないな」
夏「うん。そうだね……」
冬「気が知れた相手との何気ないじゃんけんほど不平等なものはないわ」
夏「一般的に使われてるからなんだかじゃんけんが恐くなっちゃったよ」
冬「こういうのを灯台もと暗しっていうのかもね」
夏「ふむふむ、そうなのか」
秋「ち、ちがうんじゃないか?」
冬「あら、でも、暗いと危ないわよ」
秋「う〜む……」
「平等」
夏「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ、最近本気で考えてるんだけど」
春「うん」
夏「なんで、冬花は冬姉で、私は夏なわけ?」
秋春「…………」
春「ん……、それは、あれだ。親しみを込めて夏なわけだ、なぁ、秋也」
秋「そ、そうだな」
夏「……本当? 怪しい」
冬「しょうがないじゃない、昔からの幼馴染なんだから」
夏「でもさぁ、冬花だけ、お姉さんってついてるんだよ、ずるくない?」
冬「それはね、私が堅物で、親しみがないからなのよ」
春「ちょ……、そんなことは」
夏「なんだ、そうだったのか、人気者はつらいねぇ〜。ニヘヘ」
冬「で、なんで私には親しみがこもってないのかしら……。気になるわ。」
春(ちょ・・待って・・・そんなこと言ってないし、悪乗りしすぎだよ。冬姉)
秋「そ、それはよ、まぁ、なんていうか、いろいろ知ってるから、敬意を込めてだなぁ……」
冬「あら、秋也はそんな風に思ってくれていたのね」
夏「む〜、それじゃ〜、私がお馬鹿さんみたいじゃん」
春(よく気づいた。夏はもっと勉強したほうがいいぞ、なんて言えねぇ。ってか、冬姉の悪乗りのせいでややこしくなりすぎだし)
秋「そんなことはないと思うぞ、夏は夏でいろいろ知っている」
春(ナイスフォロー、秋也から見れば夏も捨てたもんじゃないのか、それはそれで問題なんだが)
冬「まぁ、そんなことは置いておいて、平等についてなんだけど」
春(おわ、この人今までの流れ完全に流したよ。そんなことで」
冬「平等ってなにが平等なのかしらね」
秋「条件とか、人との決めこととかじゃないのか?」
冬「たとえば、どんなに仕事をしようが、もらえる給料が同じ、これは平等かしら?
春(スルーパスで、ボールどっかいっちゃったよ。)
夏「ん〜、平等かもしれないけど、なんか納得いかないかも」
冬「じゃ〜、仕事をやっただけ給料がもらえるんなら?」
夏「がんばったぶんだけ、給料が増えるなら平等な基準がある気がする」
冬「では、どちらが、平等かしら?どちらかが平等ではないのかしら?」
夏「ん〜〜、難しいなぁ」
春「要するに、なにを平等の基準にするかで結果がかわるってことなんだろ?」
冬「正解、この平等って言葉は使い方次第で良くも悪くもなるのよね。そうかんがえると、鉄人みたいよね」
夏「そうなのかぁ、鉄人28号は平等の体言だったのかぁ」
冬「鉄人って深いわねぇ」
春(夏が馬鹿なのはあんたのせいかもしれない……)
「とうもころし」
今日も今日とて、いつもの日常、何事も変わりなく部活が始まる。
ガサゴソ、ガサゴソ
夏「じゃっじゃ、じゃ〜ん。ちょ〜っと、これ見てくれたまえ」
秋「何だ。それ」
春「お、おい、何持ってきてんだよ!?」
夏「見ってわかんないかな〜。どっからどう見ても[とうもろこし]じゃん」
春「そうじゃね〜。なんで学校にそんなもん持ってきてんだよ」
夏「別に良いじゃん。ただの私物だし、晴彦だって、携帯持って来てるでしょ」
春「まぁ、たしかに携帯も私物の内に入るが、この場合それとこれとは話は別だろ」
夏「うっるさいなぁ〜。あんま細かいこと言ってると、器が小さいのがばれちゃうよ」
春「うぐっ」
(それは俺の器が小さいんじゃなく、お前の器が底抜けしているだけだ)
秋「その[とうもろこし]がどうしたんだ?」
夏「ニシシ、秋也は器が大きいねぇ。これは、タダのとうもろこしじゃないんだよ。これはスーパースイートコーンなのだよ」
秋「スーパースイートコーン?なんだそれ、1000年に一度の超とうもろこしとかか?」
夏「お!!秋也には見えるんだねぇ、この黄色いオーラが」
机に[とうもろこし]を置いて、腕を組みうんうんと頷く夏樹
春「黄色いオーラが見えてるのは、夏の食欲補正だろ」
夏「むぅ、違うもん。今はダイエットしてるし」
春(だからか……。)
冬「スーパースイートコーンってのはね。スイートコーンを品種改良して、甘く人間好みに改良されたものを言うのよ」
秋「へぇ、そうなのか」
冬「えぇ、生で食べたりもできるらしいわ」
夏「へぇ〜、そうなんだ」
春(そうなんだ。って、おまっ……。)
冬「ちなみに、さらに品種改良したものでウルトラスーパースイート種やサニーショコラなんてのもあるのよ」
秋「なんかよくわかんねーけど、魂宿してるって感じか」
夏「可愛い名前〜」
春(秋也はウルトラソウルで、夏はニュアンスね。太陽のチョコレートってべっちゃべっちゃじゃねぇか」
冬「晴彦、サニーショコラは太陽の下で、チョコレートのように 甘くなるって意味だからね。間違えたら駄目よ」
春「な、何もいってねぇし」
冬「あら、そう、それは余計なお世話だったわね」
春(冬姉ぇ、恐いっす)
冬「話戻すけど、スーパースイートコーンって別名シュランケントウモロコシって言われるのよ」
夏「フムフム」
冬「渇くとシワができるところから[年寄りのシワ]そういう風に言われるの、そう考えると今を生きる女性と似ているわよね」
夏「う〜ん、どういう事?」
冬「見た目を良くしようとしてやった事で、歳をとった時にそのダメージが現れてしまうという意味よ」
夏「そうなのか、女の子とトウモロコシは似たもの同士なのか」
冬「お肌の手入れには気をつけましょうね」
春秋(そ……、それでいいのか?)
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春夏秋冬による。何気ない雑談風景。 短い会話劇です。 2/20 5pまで更新 |
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