真・恋姫†夢想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ 第5席
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真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ

 

第5席 一刀、黄巾に向け弓と刃を握るのこと。

 

 

 

 

 

 

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−雪蓮side−

 

 

   ・・・・・なんでこんな時期に呼び出すのよ。

   

   今彼女と冥琳が居るのは袁術の居城がある寿春だ。

   ちなみに一刀は建業で祭や明命と鍛練をしている。

   呼び出された要件は簡単。

 

張勲 「今回孫策さんに来てもらった事なんですけどぉ〜

    最近巷で噂の黄色い布を頭に巻いた賊の集団がこちらに向かって来ているらしいで、

    そいつらを退治してもらおうと思いまして〜」

    『黄巾党』だったかしら?張角とかいうのが中心にいる烏合の衆とも言ってたわね。

    一刀が言ってた通りね・・・ 

張勲 「今確認できているのは、一万五千程の集団と五千の集団があるということです。

    ですので、今回孫策さん達には一万五千の方を蹴散らしてもらいますね〜」

   『賊が出たから退治しろ』

   今は袁術の客将だからしかたないけど、よりにもよって頭数の多い方の集まりを私達で叩けですって?!

雪蓮 「・・・・今の私たちだけじゃ無理よ。多少無理しても今の孫家じゃ五千集まればいいとこね。それじゃ明らかに足りないわ」

   無い袖は振れないもの

   解決策がないかと冥琳に視線を送ってみる

冥琳 「ふむ・・・・袁術殿。確実に殲滅できるとは言えませぬが、各地に散らばる孫家の旧臣達を呼び戻しても構いませぬか?」

   蓮華達を集めるの?

   確かにそれならなんとか叩けるかも知れないけど、張勲が許すかしら

袁術 「それであやつらを蹴散らせるのなら構わぬぞ?のぉ七乃よ」

   開いた口が塞がらないってこのことかしら?

   自分の首を絞めることになるのに気付いてないのね、このお馬鹿さんは。

張勲 「だダメですよ〜美羽さま!」

   チッ・・・・張勲さえ余計なこと言わなければどうにかできたのに・・・

   もし駄目なら一刀にも策を講じてもらわないといけないわね。

袁術 「何故ダメなのじゃ?戦うのに人数がいるのであろう?」

   ・・・・・・・袁術からこんな言葉が出るなんて

   冥琳も予想外のようね。

張勲 「みみみ美羽さま?!いい一体どこでそんな事を?」

   張勲の言ってることには同感ね

   まさかあのバカ袁術が助け舟を出すなんて思わなかったわ。

袁術 「わらわが前に読んだ絵本にの、『蜂蜜を守る蜂は数が多くなくてはならぬ』

    という言葉があっての。戦もそうじゃと思っただけなのじゃ!」

   ・・・・・・結局『蜂蜜』なのね

   でも今回は蜂蜜のお陰で助け舟が出たわ。

張勲 「美羽さまがそこまでお考えとは・・・仕方ないですね。

    美羽様がこう仰るので呼び戻しても構わないでしょう。

   バカ袁術に今回は感謝しないとね♪

   今度『蜂蜜』を贈りましょうか・・・・・

冥琳 「承知した。・・・・準備をせねばならん故、出立は直ぐにとはできぬがよろしいか?」

   そうよね。呼ぶにしろ、時間はかかる。

   どれだけ急いでも最低一週間程度ってとこね。

張勲 「そうですか〜でもできるだけ急いでくださいね?」

   当然こっちはゆっくりするつもりは毛頭ないわよ

雪蓮 「わかったわ。他に用はあるのかしら?こっちとしては急いで戻りたいんだけど」

   冥琳も特に異論はないようね。

   早くしないと私たちが独立する前に諸侯が黄巾党を潰すために動き出しちゃうし。

張勲 「はい♪今日のところは終わりですね〜」

   ならさっさとお暇しましょう

冥琳 「ではこれで失礼させていただく」

   そのまま私たちは『家』に向けて急いだ

 

 

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−一刀side−

 

 

   ガキン!・・・・ガッ!

祭  「どうした北郷!切先が震えておるぞ!」

   今俺は祭さん・明命と『剣』の鍛練をしている

   何故『剣』かと言われると、先日雪蓮に夜中まで振り回された時に遡る

 

 

 

 

雪蓮 「そうよ〜ついでに貴方の獲物も見にね」

   『獲物』という言葉に少し反応してしまった俺は渋々(あくまで渋々だ)雪蓮と街に出ることにした。

一刀 「獲物か・・・そうだな。あまり振り回さないでくれよ?」

   言っても意味がないことは何となく想像できるけど、一応言っておく。

   今日中に帰ってこれるのだろうかと思うほどの満面の笑みで雪蓮が言い放った

雪蓮 「それは聞けないわね♪思いっきり振り回す予定だから」

   もう勘弁してぇ〜!

   獲物も見に行くのはいいけど、他に振り回されるのが怖いのなんの

一刀 「はぁ・・・・わかりましたよ・・・」

   俺のやる気が0になると同時に雪蓮のやる気はMAXになっていた。

 

   街に出て真っ先に俺達は鍛冶屋に向かった

   あえてもう一度言う『鍛冶屋に向かった』

一刀 「ここって鍛冶屋だよね?」

   どう見てもただの『茶店』だ

   暖簾にはしっかり『御茶』の文字が書かれていた

   なんというか、鍛冶屋特有の雰囲気がない

雪蓮 「失礼ね〜ちゃんといるわよ?この南海覇王を鍛えた刀鍛冶が」

   そう言って鞘から半身抜刀してみせた

雪蓮 「ここに来るのは何年ぶりかしら・・・・入るわよ〜」

   そんな呟きと共に暖簾をくぐって行った

   確認のために一歩下がって店を見上げた

 

   『御茶』

 

   看板の文字も同じだった。

一刀 「名刀・南海覇王を鍛えた刀鍛冶か・・・・」

   考えが口にでたのだろう・・・・そんな自分の呟きが聞こえた

 

???  「これは雪蓮殿〜お久しぶりですな〜」

   裏口の奥から暢気な穏に似た口調の声が聞こえる

雪蓮 「ホント久しぶりね〜♪元気にしてた?」

   雪蓮も再会の挨拶を少ししているらしい

   どう見ても茶店だよな?ここ

   

   裏口の奥に進むとその疑問は消えさることになった。

一刀 「・・・・・・(ポカン)」

   本当に言葉が出ないのだ

   見渡す限りの『剣』

雪蓮 「紹介するわ♪彼が南海覇王の生みの親で一応孫家専属の刀鍛冶、程普よ」

   一応・・・・おい?

   程普って武将じゃねぇのかよ。

   よりによって刀鍛冶って・・・

一刀 「お初にお目にかかります。姓は北郷、名を一刀といいます。

    字はないですが、以後見知り置きください・・・程徳謀殿」

   今更だけど・・・・俺の知る三国志といろいろと変わってるんだし。

程普 「ほぉ〜我が字をご存じとは。天の御遣いと呼ばれるだけはありますな」

   何時俺の事を知ったのか知る・・・・・必要はないな

   隣でウィンクしてる桃色の髪のバカが犯人だから

一刀 「以前から知っていた・・・というのが正しいと思いますけど」

   あはは・・と苦笑いしながら少しの間世間話が続いた。

 

程普 「おっと、世間話に無駄な時間を使ってしまいましたな。今日はどんな御用で?」

   雪蓮の真名を呼ぶってことは一応は筋が通るな・・・

   やっと話が戻ったか

雪蓮 「あら、忘れるとこだったわ〜実は一刀の獲物を頼みに来たのよ」

   忘れるなよ!と今回はツッコミを入れないでおこう。

   本題の獲物だけど正直迷っている

雪蓮 「私はここのお茶でも頂いてるから〜」

   そう言って雪蓮は店へ入って行った。

 

   日本で俺が使っていた『((爪覇之弓|ソウハノユミ))』を再現するのか新たな武を身につけるのか・・・

   はたまた両者をとるのも一手だ

程普 「此の者の獲物か・・・・・弓のようで弓でない物のようじゃ・・・合っておるか?」

   俺の手を見て程普はそういった

   見事に使っていた獲物を見抜いてきた

一刀 「よくお分かりになりましたね。・・・・ただ迷っています。」

   本当に俺の『弓』でいいのかどうかを。

   あれを手にしてたった一度。一度だけ自分の意思を手放して身体の思うがままに暴れたことがある。

   相手を殺す程ではなかったけど、それこそただの『獣』のように。

 

程普 「儂にはお前が『弓』を扱い、お前の手が弓を想い、弓に愛されているとしか言えんの」

   程普の言葉を聞いて少し不安になる

   このまま弓を持ち続ければまた我を忘れるかもしれない。

   向こうに置いて来てしまった『弓』を想いながら手を見つめる

一刀 「・・・本当に俺は弓に愛されているのか?」

   確かに忍び刀や火器は苦手だったけど、使えないことはなかった。

   そんな質問に程普は

 

   『その獲物に愛されるのは真の使い手のみじゃ』

 

   そう言ってくれた。

   弓の想いを蹴っては弓に失礼だ

一刀 「・・・なら頼みたいことがある。」

   爪覇之弓を可能な限り再現したい。

   我を忘れるときは忘れる時だ。我を忘れる必要があるから忘れるのだろう。

   この乱世ですらそう簡単に我を忘れるような出来事はないだろうけど

程普 「男の顔になったの・・・わかった。できうる限り期待に応えよう」

   そういってもらえたので俺は爪覇之弓の形や癖を伝えた。

 

   弓の両端に小さな刃が上下各3本、弦は麻弦、真竹の代わりにこの地特有の竹を代用してもらう。

   刃の材質は特にこだわりはないけど、強度はある程度ほしい

 

程普 「なるほどの〜。こんな弓は初めてなもんじゃから一月程時間を貰えんじゃろうか?」

   初めてのものをたった一月でできる方がすごいと思うのですけど・・・・

   さすが名刀の生みの親だと思った

一刀 「それ位でできるモノなんですか?少なくとも三月は掛ると思ったんですけど・・・」

   事実、日本でも作るのに二ヶ月を要した程面倒な構造だったから

   刃に強度を求めすぎたのも一つの理由なんだけど・・・

程普 「三月もあればもう一丁、剣程度なら出せるぞ?・・どうじゃ使ってみんか?」

   剣か・・・日本刀も懐かしいな

   全然手になじまなかったけど。

程普 「迷っておるなら受け取るがよい。面白い弓を儂に作らせてもらう礼じゃ・・・使うも使わんもお前次第じゃがな」

   程普のそんな言葉で俺はやっと決心がついた。

一刀 「・・・・時間はいくら掛ってもいいから剣・・・・いや、刀をお願いします」

   日本刀の形などを説明し、俺はそのまま工房を出た。

 

   その後は機嫌が斜めだった雪蓮に一日中街で振り回されたのだ。

 

   なぜ剣かおわかりになっただろうか?

祭  「鍛練の最中に考えごととはよゆうじゃのぉ!」

   そう。答えは『俺が刀も持つことになった』と聞いた祭さんが

   『儂が剣を叩き込んでやる』

   って言いだしたからだ。

祭  「弓は使えても剣は駄目駄目ではないか!切先を揺らすでない!」

   さっきから同じことの繰り返しでひたすらいたぶられている。

   刀が出来るまでしばらく曲刀で祭さんに鍛えてもらうことにした

   先が思いやられるよ・・・

祭  「隙だらけじゃ!」(ゴン!)

   鈍器のような拳骨で俺はその場に伸びることになった

 

   そのあと聞いた話で

   雪蓮が『袁術から黄巾党本態を殲滅しろ』なんていう無茶を言われてきたらしい

   ただし、孫権・甘寧・呂蒙etc旧臣を集めてもいいらしく、召集するらしい

   冥琳曰く、既に書簡は送ってあるからじきに顔を合わせることになる。

   そこまで聞いて俺は寝台に入った。

 

 

 

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−冥琳side−

 

   時は少し遡り一刀が伸された日の夕方のこと

 

   ・・・・足りんな。

   いくら蓮華さま達を呼び戻しても兵数が圧倒的に足りん

冥琳 「どうしたものか・・・」

   無い袖は振れんしそんな余裕もない。

   穏もこの件は完全にお手上げだと言っていた

冥琳 「北郷に聞いてみるか・・・・・誰かある!」

   藁にもすがる思いで北郷に私の部屋に来てほしいと伝え自室へ戻った。

 

 

一刀 「・・・冥琳?俺だけど」

   意外とすぐに来るものだな。

   祭殿と鍛練をしていたというのに

冥琳 「北郷か・・・入ってくれ」

   扉を開た北郷は少し眠そうな顔をしていた。

一刀 「こんな夜中にどうしたんだ?」

   少しばかり私も考えるべきだったか?

   疲れが見て取れる

冥琳 「我々が袁術から『黄巾党本体を殲滅しろ』と言われてな。正直なところ難しいのだよ」

   これだけの言葉でできれば本意を読んで欲しいのだが・・・

   少しばかり部屋が夜の静寂さを取り戻した

一刀 「・・・・ある程度言いたいことは解った。袖がないなら袁術につけさせればいいんじゃない?」

   ある程度でもわかってくれれば話が楽だ

冥琳 「袁術に?どうすれば・・・・・そういうことか。

   『兵や物資だけ借りて本体を、もし貸さなれば分隊の方を叩きにかかればいい』と。」

   たしかに一番確実で、成功率が高そうだな

   勝手に決めてしまって悪い気もするがこの案を採ることにする

一刀 「流石は周公謹だね。少ない言葉でと答えにたどりつくとは」

   軍師を舐めてもらっては困るな。と言って目を細める

冥琳 「話はこれだけだ、夜遅くにすまなかったな。」

   私がそう言うと北郷は踵を返し部屋を出た

   『何かあれば呼んでくれ』

   そんな言葉を吐くかのように右手を上げながら

 

 

   北郷が私の部屋を出た後、北郷の出した案をまとめていた

   ―――――面白い。北郷の知略も一度試してみるか

冥琳 「・・・くくく」

   ダメだな。笑がこらえられん

 

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あとがき

 

 

霧龍「第5席いかがだったでしょうか?」

霧龍「ここでやっと一刀の武器が出てきましたね〜・・・説明しよう!」

 

武器解説

 

 爪覇之弓

 

 形状は戦国無双・稲姫の『天之麻迦古弓』に酷似している

 刃の本数が上下各3本、切れ味は「よく切れる包丁」程度。

 切り殺すのではなく刺して殺すことを基本としたもの

 

 色は深緑を基本とした迷彩柄に似た鱗模様

 

 

 呉に降りてからの武器はまた登場時に説明します

 

 再びオリキャラ登場!

 

 姓:程

 名:普

 字:徳謀

 真名:???(後々わかります)

 

 孫家専属(形だけ)の刀鍛冶。

 正確には孫家の武将。武は多少あるがが、軍師向き

 性格は穏のような感じだが、いざ鍛冶場に入ると『職人』になる。

 

 

 

霧龍「今回のゲストはこの方です!」

 

??? 「・・・・ここの外史は面白くなさそうですね」

霧龍「(グサッ)な・・・いきなり駄目だしですか?左慈さん」

左慈「当然でしょう?死んでるはずの人間が生きている時点で歴史が変わってしましますから」

霧龍「外史管理者のコメントとしてはいいですけど、直球って・・・・・泣きたくなりますね」

左慈「回りくどいのは苦手でして。ところで私は本編に登場できるのですか?」

霧龍「一応出てもらう予定ですけど、まだ確定してません!」

左慈「そうですか・・・そういえば以前卑弥呼が邪魔しに来たとか。さぞ迷惑だったでしょう?」

霧龍「迷惑というか・・・・貂蝉よりはマシだと思う。」

左慈「たしかにそうですね。あんな怪け物は」

霧龍「さて、無駄話であとがきが終わってしまうまえに次回予告です!」

左慈「次回はどんな話になるのだ?」

霧龍「教えません!」

 

霧龍「次回、『真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ』第6席です!お楽しみに〜」

左慈「ではまた会おう」

説明
一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ 第5席 
 一刀、黄巾に向け弓と刃を握るのこと です

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コメント
陸奥守さん >そんな方法もありますね 夜這いがあったとは予想外でしたw(霧龍)
一刀の設定が一番生かされたのが夜這いの時でしたって事になったりして。(陸奥守)
西湘カモメさん >今のところ、一刀の設定が生かされる場面はありませんが、中盤当たりからどんどん出てきます。(霧龍)
忍びの末裔と云う設定が生かされてない気がするのだが?今後の話の展開次第かな?(西湘カモメ)
ロードスネークさん> そう思ってしまうかもしれませんね・・・・ ここのSSでは左慈と于吉のキャラは原作とはかなり違うと思っていただけるとありがたいです(霧龍)
あとがきの左慈の口調于吉っぽい気が(ロードスネーク)
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北郷一刀 孫堅 外史  真・恋姫†無双 

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