真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第6話 |
この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。
そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。
※一刀アンチ作品ではありません。
第6話
初陣へと向かう大地に七乃は……
七乃視点
「おはようございま〜す。みなさん」
袁の牙門旗の前で整列している兵士たちに向かい、私はこれからの予定について説明します。大規模な賊の拠点は2か所あるんですけど私と大地さんが北方の賊を、八恵ちゃんと孫家の皆さんは西方の賊という分担です。
孫策さんが同行するとは思いませんでしたけど、大地さんとは会う事もないでしょうし大丈夫でしょう。あ、ちなみに大地さんは私の副官兼護衛ということで同行してもらいますけど、私としては最前線に放り込みたい気分なんですよね〜。
今回七乃が率いるのは新兵が主であり、今回の討伐で実戦経験を積ませようという目的があった。七乃は袁術軍の大将軍という位置の為、軍部を任されてはいるが七乃自身の武はそれほどではない。そこで、大地が七乃の護衛として選ばれたのだ。
現在七乃を先頭とし副官の大地、武将の雷薄と楽就という面子で行軍している。出発前に軽く自己紹介は済ませており、雷薄は坊主頭の厳つい顔をした男性。楽就は物腰柔らかな好青年といった感じだ。なぜか楽就が大地を見る目がキラキラしていた気がするが気にしない方がいいのだろう。
七乃はこの戦で大地を見極めるつもりだった。勿論武の事ではなく、大地の覚悟についてだ。
大地が住んでいた世界は表向きは平穏だったようだが、大地の家系は裏の仕事をこなしていたらしく大地もあと数年で家業を継ぐはずだったのだが、何の因果か突然この世界へとやってきた。要するに実戦経験は皆無ということだ。そんな人間が人を殺し、その死を受けられるかといえば答えは否だろう。平和な世で育った者に人の死を受け入れろと言ったところで拒絶されるのがオチだ。ましてや人殺しが罪になる世の中で育ってきた人間など当然の如く拒絶するだろう。
だが七乃はそうは考えていなかった。
大地に対して、どこか常人とは違う雰囲気を感じていたのだろう。あれは人殺しに躊躇いを持たない類なのではないか、とどこかで感じていた。
そんな事を考えている間に目的の賊がいる地へと到着していた。
大地視点
時は少し遡り、行軍中の大地。
何だろう?さっきから視線を感じるのだが……。
殺気というよりも奇異の目で見られている感覚に近い。出発前に兵の奴らへの挨拶、主要な将との顔合せは済ませたはずだ。確かにいきなり現れた俺が七乃の副官ですなどと言ったところで納得出来るはずもないだろうが、それに関しては七乃が簡単にではあるが説明してくれていた。
大地が感じていた視線は右斜め後方からだったが、そこに殺気が混じっている事に気づく。
大方俺を試しているのだろうが、不愉快だ。威しをかけてもいいのだがそうなると周りの兵にいらぬ疑心を抱かせることになるだろう。
ここは気づかないふりをしてやり過ごすことにした。もし帰りの行軍時も変わらないようだったら、その時に少しばかり痛い目を見てもらうことにする。
「俺は前に出なくてもいいのか?」
陣幕を立てる必要はないということだったから、今は俺と七乃、雷薄と楽就で折りたたみ式の椅子に座り、組み立て式の机を囲みながら簡単な作戦を立てていた。
「大地さんは何のために私の副官になったんですかぁ?」
「そりゃあ、お前の補佐と護衛だろ」
「分かってるんなら、つまらない事を聞かないでくださいよ。時間の無駄です……から……」
そこで七乃はふと何か思いついたのか、急に笑顔になり大地に向かってこう言い放った。
「大地さん!作戦責任者として命令します。前線で兵を指揮してください。」
場が凍りつくとはこういうことを言うのだろう。その場にいる全員の口がぽっかりと開いていた。
「…………は?」
ようやく七乃が言った意味を理解したのは他ならぬ大地自身だった。
(こいつは一体何がしたいんだ!?)
普通に考えて分かると思うが、実戦経験のない人間にいきなり前線で兵の指揮をしながら戦えという。
無謀と言うんじゃないか、そういうの。
「えっとさぁ、七乃。お前が言いたいことは全くこれっぽっちも理解できない。というか、理解したくないんだけど!?」
「仕方ないですねぇ」
七乃がそう呟いたことにホッとしたのも束の間、更にいい笑顔を見せてこんな事をぬかしやがりましたよ。
「じゃあ、お手伝いとして雷薄さんと楽就さんも付けてあげましょう♪」
鬼!悪魔!鬼畜!orz
そのあとは何が何だか覚えてない。雷薄と楽就に連れられて前線へと赴き、兵たちの前で決められた作戦を説明。部隊を二つに分け俺と雷薄が挟撃部隊、楽就が突入部隊となった。
唯一の救いは大地が率いる兵たちは実践慣れしていたということだろう。
七乃の優しさ(?)が垣間見えた気がした。
「ここの部隊長はどなたでしょう?」
大地が尋ねると兵の中から中年の渋いおやっさんが出てきた。叩き上げの軍人ってこういう人の事を言うんだろうなと感じるほどの貫録を持った人だ。
「自分に何か用でしょうか?」
「張勲殿にこの部隊を指揮するようにと言われたのですが、なにぶん自分はそういう事は不得手なもので。そこで相談なのですが、聞いていただけますか?」
すると部隊長は少し考えるそぶりを見せながらも頷いてくれた。
「まず私が先陣をきりますのであなた方は独自に私の援護をしていただきたいんです」
「独自に、ですか?」
「ええ、援護方法はそちらにお任せします」
「分かりました。できる限り援護させていただきます」
そして俺は先ほど決まった作戦を部隊長に伝え、細かなところを詰めていった。
大地の初陣がついに始まろうとしていた。
大地視点アウト
おまけ
「祭殿、雪蓮を見ませんでしたか?目的地に着いたというのに姿が見えないのですが……」
冥琳は先ほどから姿を見せない主の所在を祭に尋ねる。
「なんじゃ、知らんかったのか?策殿なら張勲たちの部隊を尾けて行ったぞ」
何を当たり前の事をといった顔で祭は冥琳に驚愕の真実を突き付けた。
「後から合流すると言っていたではありませんか!?」
ちなみに雪蓮は八恵たちが出発した後すぐに服を着替え、髪を団子状に結い上げきっちりと変装し七乃たちを追いかけていた。
祭からそれを聞いた冥琳はというと
「シェ〜〜レ〜〜ン!!カエッタラ、オボエテオキナサイヨ!!フ、フフフ……」
ヤン化していたそうな……(ガクブル)
ゾクゥ!!
「な、何!?急に寒気が!?」
親友がそんなことになっているとは知らない雪蓮は
「ま、まぁいいわ。それよりそろそろ始まるわね」
袁術軍と賊との一戦が今まさに始まろうとしていた。
あとがき
多分、雪蓮ならこういう展開になるんじゃないかと思ったのでこっちに来てもらいました。
それと、大地は口調の変化についてですが大地が名前を教えた相手には素で、それ以外には丁寧な口調で、と差をつけました。一部例外もありますが。
それでわしつれいします
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お待たせしました。 それではどうぞ |
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