真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第8話
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この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

※一刀アンチ作品ではありません。

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第8話

 

 孫家との合同賊討伐を終えてから数日後、城内の一室にてある計画が動き出そうとしていた。

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八恵視点

 

「八恵ちゃん、確かに大地さんは覚悟を見せてくれましたけど、流石に深入りさせすぎじゃないですか〜?」

七乃としては戦闘以外に何処までの利用価値があるのか分からない以上、不確定要素は取り除いておきたいのでしょう。

 

「でも味方は多い方がいいと思います」

「ばれやすくなるかもしれませんよ」

そこは七乃に言われずとも分かっています。ですが、大地殿の隠密技術は一流だと私は思うのですよ。

 

「勉強会を装って報告などもできますし」

そう、大地殿の文字の勉強を見る名目で自然と接触できますし、他にもいろいろと都合がいいのです。

 

「そうですかねぇ?逆に危険な気がしますけど」

 顎に指を当てて、首を傾げる七乃。

 

「美羽様の為です」

「でも、私は一日に2刻以上お嬢様と一緒にいないと干からびちゃうんですよぉ。だから大地さんにかまってる暇はありませ〜ん」

人間は特定の人と接していないと干からびるなんて事あるはずはないのだが、七乃が言うと事実に聞こえてしまうのは何故だろう?なんて疑問を八恵は一瞬でも抱いたことに恥ずかしさを感じつつも話を進める。

 

 話しが前に進まないのはいつもの事だが、今日の私は一味違います。なんたって切り札はこちらが握っているんですから。

 

「かっこいいお嬢様を見たくはありませんか?」

 この一言は、美羽を溺愛する七乃に対してまさに最高の切り札となる。

 

「っ!?」

「堂々と家臣たちの前で命令を下す、凛々しいお姿を見たくはないですか?」

「凛々しいお嬢様……」

 ポッと頬を赤らめトリップする七乃。今彼女の脳内はものすごい速度で自身のお嬢様メモリーの中から、凛々しいお嬢様という検索ワードを弾き出している事だろう。

 

「乗りましょう!」

 親友の手をがっしりと掴み目を輝かせる七乃に若干引いてしまった八恵だが、内心ではほくそ笑んでいた。

 これで策は成ったも同然。この勢いで大地も引きずり込み、お嬢様改造計画を軌道に乗せるつもりの八恵。

 

(美羽様を私色に染め上げる!)

 何処の一族の悲願かはさておき、この時徐々に近づいてくる大地の足音を八恵は感じ取っていたのかもしれない。

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大地視点

 

(このプレッシャーは、一体…)

 部屋に入るなりいきなり襲われた感覚に硬直する大地に、プレッシャーの持ち主が声をかける。

 

「大地殿、どうぞお座りください」

そう言って椅子を引く八恵。

 

「あ、ああ。で、用件は?」

 相手の雰囲気に呑まれながらも、出来る限りの虚勢を張る大地。なぜだろう、このとき大地は、蛇に睨まれた蛙の気持ちが分かってしまった。

 

「大地さんはこちらの国の読み書きなどができないんですよね?そこで私たちがや・さ・し・く教えてあげようかな、と思いまして♪」

 七乃の言葉に大地の背筋が凍る。それに七乃の後ろから黒いオーラが見え隠れしているような…。 七乃はこれから始まる大地へのスパルタ勉強法を思い描きながらニコニコしていた。

 

「表向きは、ですよ。実は大地さんに協力していただきたいことがありまして」

 戸惑う大地に八重からの助け船。黒い笑みを浮かべる七乃をスルーして、八恵が話を進める。

 

「なるほど。勉強会を隠れ蓑にして、何か大きなことをやるつもりだな?」

 やっとか。俺としてはもっと早くに打ち明けられるもんだと思っていたのだが…。

 

「察しが良くて助かります。実は大掃除を計画しているんですが、人手が足りないんです。手伝ってもらえませんか?」

「まぁ、内容次第だな。俺の役割は決まってるのか?」

 大地もやれることに限度はある。もし無茶な事なら断るつもりでいたのだが…。

 

「大地殿の意見が聞きたいのですよ」

 なんともまぁ、簡単なことだ。

 

「おいおい、俺としてはゴミの調査とか出所を調べるもんだと思ってたけど、違うのか?」

「「出来るんですか!?」」

「そんな、二人して言わなくても……」

「じゃあ、改めて聞きますけど、大地さんって何ができるんですか?」

 七乃としては、これから戦力になるかもしれない人間の能力を把握するのは当然だ。袁家を支えているのは、側近にして大将軍の肩書を持つ七乃の力が大きいのだ。

 

「まずは戦闘だろ、それから隠密全般、情報操作もこなせるぞ。うちの家系は要人警護や敵対組織の壊滅とか幅広く取り扱ってたからな」

「でも天の世界では滅多に戦争は起きないんですよね?なのに、なんでそんな物騒なことやってたんですか?」

八恵はふと疑問に思った事を尋ねた。

 

「なんつーか、水面下での争いとか、ドロドロした人間関係とか、国家の転覆を望む組織とか色々あるんだよ。表立っての戦争より性質が悪いぞ、まったく」

 自分の世界のことながら、大地はそういうものに嫌気がさしていた。

 

「あぁ、権力争いとかですか。何処の世界でもやることは同じなんですねぇ」

 呆れたように溜息をつく七乃。お前達も人の事は言えないだろうに。

 

「それじゃあ、大地殿には文官の汚職の洗い出し、賄賂の行き先、日常の尾行、意見の捻出をやってもらいたいのですが、よろしいですか?」

 

「いきなり仕事増えすぎだろ!?つーか、尾行とかしてたら勉強会開けねぇじゃん」

 さすがに回されてきた仕事の多さに驚く大地。八恵も案外抜け目がないのかもしれない。これからは八恵の評価を改める必要があるかもな。

 

「そういいながらも、全部引き受けてくれる優しい大地さんでした♪」

「勝手にナレーションいれる辺りは流石だな!?」

「えぇ〜、天の世界の言葉で言われても七乃分かんないなぁ〜」

 指で円を描きながらしらばっくれる七乃。

 

「はい、白々しい言葉に耳を傾ける気はないのでスルーしまーす」

大地もこれ以上真面目に取り合うのは馬鹿らしくなったのか、さっさと出した手を引っ込めた。

 

「そんなことはどうでもいいのです。大地殿ができる範囲で構いませんので、情報を集めていただきたいのです。それに私たち直属の者も使う予定なので、そこまで負担は掛けるつもりもありませんし」

八恵はそんな二人のやり取りを一蹴し、簡単な段取りを説明していく。

 

「うーん。まぁ、出来る範囲でって言うならそこは頑張るけどさ。奴隷関係とかは勘弁な。その文官殺しかねないし」

 大地は奴隷調教の場面に出くわしたら、平静を保っていられる自信が無かった。じいちゃんや親父の扱った案件でも奴隷というものは稀なものだった。さすがにそんな下衆な真似を目の前でされたら、大地でなくとも平静は保てないであろう。

 

「大丈夫です。大地殿にそんな事はさせません」

「そうですよ。大地さんにはお金の流れと取引現場を押さえてもらうのが主な仕事になりますから、そんな心配は無用でーす」

 大地を気遣っているのか、二人は努めて明るい声を出している。誰だって奴隷に関してはいい顔をするわけがないのだ。そんな二人の気遣いに、大地は少し嬉しく思ってしまった。

 

視点アウト

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 三人で話し合った結果、大地は昼は勉強、夜は調査と忙しく動き回ることになった。

 

 昼の勉強会には美羽が乱入することも多く、天の世界を話したりしながら進めていたので勉強が遅れ気味になるかと思われたが、つい口を滑らせてしまった学校の宿題制度を七乃が即実用化させたため、当初の予定よりも遅れるどころかかなり順調に進んでいた。。

 

 夜の調査では文官の追跡、誰と密会しているか、豪族共の動きなど色々なことを調べた。たまに奴隷の売買を目撃することもあったが、奴隷の件については二人の部下が代わってくれることが多かったため、そこまで深刻な事態は起きなかった。

 

 調べれば調べるほど出てくる悪事に、三人は呆れを通り越して感心すら抱いてしまった。

 

 何をどうすれば人間こんなに汚く生きられるのか?

 

 豪族とつながり物価を操る者、奴隷商人と専属契約を結ぶ者、朝廷に賄賂を贈りおこぼれを預かる者、民からありもしない税を取り立てる者、盗賊を使って商隊を襲わせ私腹を肥やす者etc…

 

 挙げればきりがないのだが、とにかくここまで腐敗しているとは思わなかったのか、三人の怒りのボルテージは振りきれていた。

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 本格的に調査を始めてから一ヶ月半がたったころ

 

 

 

 城の一室では定期報告会が行われていた。

 

「よくもまあ、あそこまで意地汚く生きられるものですね」

 口調は丁寧だが、そのなかに確かな怒りが感じられる。八恵は、美羽を隠れ蓑にして悪事を働く文官共が心の底から憎いのだと分かる。強く握られた拳は色を失うほどだ。

 

「私としては街中に磔でも生温いと思いますよ、うふ、ふふふ」

 いい笑顔でさらっと怖いことを口走る七乃。彼女ならやりかねないと思ってしまうのは自分だけではないだろう。

 

「美羽……」

 妹のように可愛がっている美羽がこんな濡れ衣をかけられている事を改めて実感した大地。このままではあの子は自分ではない自分に押しつぶされてしまう。それだけは防がなくてはならない。

 

 そろそろ情報もまとまり、各文官共の弱みも手に入れ最後の報告会と打ち合わせをしていた。

 

 

 

 美羽が真実を知るべき時がやってきたのだ。

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「じゃあ決行は三日後。美羽の蜂蜜が無くなる日を狙って実行に移そう」

 大地と七乃は美羽の蜂蜜消費量を計算したうえで日取りを決定した。

 

 ちょうど三日後に蜂蜜が無くなるように七乃が調整し、その日に合わせて大地の勉強会も休みにする。八恵は当日、軍部の邪魔が入らないように調練を企画しており文官共には 日頃の疲れを取ってほしいとの名目で休みを与えた。

 

 全ては計画通りに進んでいる。美羽が真実を受け入れてくれれば、後はそのまま文官共を駆逐する準備に入れる。基本的に武官たちは文官共に扱き使われており、鬱憤が溜まっているのだ。八恵がそれとなく聞き出してくれた情報の中には美羽を心配する声もあったようで、こちらから声をかければ協力してくれる可能性が大いにあるとのことだった。

 

「お嬢様は大丈夫でしょうか、心配です」

 “私色に染め上げる”という目標はどこに消えてしまったのか。八恵は先ほどからこんな感じで部屋をウロウロしていた。

 

「もぉ〜、八恵ちゃんってばそんなに悩んでばっかりだと皺が増えちゃいますよ」

「しっ、皺なんてありません!……あ、ありませんよね?大地殿?」

 否定しておきながらも、大地に確認するあたり八恵も女の子ということだろう。

 

「大丈夫だ、八恵。お前は紀霊だぞ」

「あははー、紀霊と綺麗を掛けるなんて流石ですね、大地さん♪」

「だろ!あぁ、自分の才能が怖い」

「二人ともからかわないでください!」

「まったく。八恵は綺麗だから自信持っていいと思うぞ」

 呆れたように大地はため息をつきながらも、八恵のフォローを忘れないあたりは流石である。

 

「本当ですか!?大地殿は本当に私を綺麗だと思ってくれているんですか!?」

 男性から綺麗だなどと言われたことのなかった八恵は、今にも小躍りしそうな勢いで顔が真っ赤になっていた。

 

「こんなことで嘘はつかないから安心しろ」

そんな八恵の姿に苦笑しながらも返事をする。

 

「む〜、じゃあ私は?私はどうなんですか?」

 親友が褒められた事で自分の事も気になったのか、七乃も大地に詰め寄り意見を求めてきた。

 

「七乃は可愛いと思うぞ」

正直に思った事を口にする大地だが、その言葉は予想以上の効果をもたらす。

 

「そ、そうですか。そうですよね、私ってばすっごく可愛いですよねぇ〜」

 男に面と向かって可愛いなどと言われたことは無かったため、さすがの七乃も動揺を隠しきれなかった。

 

「そうやって照れるあたりも可愛いよな」

 面白いものを見つけたとばかりに大地は七乃を攻め立てる。普段は七乃との言葉の応酬を楽しんでいる大地だが、人をからかうのも好きなのだ。

 

「そ、それでは大地殿はど、どういった女性が好みなのですか?」

 そんな大地と七乃を見ていた八恵は、大地の目の前に爆弾を投下してしまった。

 

「そうですね、気になります」

 何気に七乃も乗り気だ。からかわれた仕返しなのか?そうなのか!?

 

「好みか?外見は特にこれといったものは無いな。強いて言うならあまりにも年下とか年上は無理ってところか」

 

「それじゃあお嬢様はどうなんですか!?」

 それはどちらの忠臣が発した言葉か。

 

「美羽か!?……有りか無しかでいえば有りだけど、妹としてしか見てないからなぁ」

「そうですか。では可能性は?」

「まぁ、絶対無いとは言い切れないけどさ……」

「分かりました。それじゃあ、内面の方はどうなんですか?」

「うぅん、嫉妬深いのはちょっとなぁ。やきもち位ならいいけど、それが暴力とかに向かうのは無理」

「例えば?」

「女の子と世間話してるだけで追いかけまわされたり、人を所有物扱いしたり、病的なほどの女の子は無いな」

「前の二つは分かりますけど、最後の病的って言うのは?」

「例えば、あなたを殺せばいつまでも私だけのあなたとか、あなたの心は永遠に私だけのものとか、対象への好意が強すぎて精神的に病んでる人の事」

 ヤンデレの説明ってこれで合ってるよな?と上手く説明できたか首をかしげる大地。

 

「まるで自分の体験談のように話すんですね?」

 八恵のこの何気ない疑問が更に場を熱くした。

 

「初めて付き合った彼女がそういう子だったんだよ」

 無意識のうちに爆弾を投下する大地。もう少し空気を読んだほうがいいのではないだろうか。

 

「それで、その彼女さんとはどうなったんですか!?」

 鬼気迫る表情で大地を問い詰める七乃。

 

「えっとさ、俺なんかしたっけ?」

 尋問されるいわれはないはずだ、ないよね、ないといってよ、バーーニーーーー!

 

「いいえ、何もしていませんよ。だから正直に話してください、大地殿はその女性とどうなったのか」

八恵も身を乗り出しながら大地に詰め寄る。

 

「OK。話す、話すから。……あっちにいた頃、初めてできた彼女だったな。で、付き合い始めて一月くらいたったある日、女友達と話してたんだ。それまでもその子とは話したりはしてたんだけど、それを見た彼女が急に俺のそばにやってきてその子との間に割って入ったんだ。それからも何度か同じようなことがあってさ、彼女に聞いたんだよ。どうしたの?って。そしたらさ、なんで私以外の女と楽しそうに喋ってるのって言ったんだぜ。その瞬間あ、ダメだって思ったね。それからすぐそいつとは別れたよ。これで全部だけど納得してくれた?」

 大地の付き合った彼女の話しを聞いていた二人は少し考え込んでいたが、二人が出した結論に今度は大地が驚くこととなる。

 

「大丈夫ですよ。この国では重婚も出来ますし、そんな器量の狭い人お断りすればいいんですから」

 七乃よ、いつ結婚についての話になったのか。大地は話題のあまりの方向転換についていけなくなってしまった。その後も呆気にとられている大地を尻目に、二人は色々と話し合っていたようだが大地が我に返ったころには、一人残された部屋で一夜を過ごすこととなった。

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 余談だが、大地と別れたあと二人はどうやって大地をその道に進ませようか、朝まで徹底討論したようである。

 

 美羽の事から大地の事にすり替わっている気がするのだが、あえてツッコミはしない。

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あとがき

 

ガンダムネタが入ってきました。もうちょっとうまく使いたかったです。

 

下準備といっても行動を逐一書いてたらとてつもない量になるので、大きくまとめてみました。

最後の方は計画関係ないですね。

衝動で書いたというのが本音です。

 

大地の部隊に関しては、袁家の大掃除が終わってからということになります。

 

でわでわしつれいします

説明
最近スラスラ書けている気がする。

でもいつ筆が止まるかわからない恐怖と格闘中だったり…。

ということで第8話です、どうぞ。
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