真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第10話
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この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

※一刀アンチ作品ではありません。

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第10話

 

大地が美羽を街から連れ帰った日から数日たった夜のこと……

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城内の一室。そこに三人の男性が集まっていた。

 

「明後日、あの小娘から話しがあるらしいが何か聞いておるか?」

「詳しい内容は知りませんが、この城の主な文武官全てが集められるようですぞ」

「大方、蜂蜜がどうのと騒ぎ出すのではないか?」

その言葉に馬鹿にしたような笑い声が部屋に響く。

 

美羽の蜂蜜好きは城内で知らぬ者はいないほど有名で、玉間でもよく蜂蜜水を飲む姿が目にされていた。

 

「それにしてもあの客将上がりも簡単に落ちたものだ」

「所詮は奴も人の子ということだ。金の力には抗えんさ」

「だが、奴は小娘の腰巾着とつるんでいるとも聞いておりますが?」

「それについては問題ない。わしが潜り込ませたのだからな。あの二人は以前から怪しい動きを見せていた故、あの男を二人のそばに置き監視させていたのだ」

 

得意気に他の二人に話しているのはこの城の文官たちのリーダー格であり、袁家の内政すべてを取り仕切っている陳紀という男。年の頃は大体50代後半といったところか。髪は白髪交じりで目つきは鋭く、口元は厭らしく歪んでいる。陳紀と机を挟んで座る二人の男はどちらも40代前半で、これといった特徴は見受けられない普通の文官に見えるが、陳紀と下級文官とのパイプ役を担っていた。

 

「わしが思うにあの呂範という小僧を上手く使えばもっと色々なことができると思うのじゃ。例えば他の諸侯の仲違いをさせたり諸侯同士をぶつけあう事もできると踏んでおる。あ奴は間諜をするために生まれてきたような者じゃ。ならばその才を使ってやるのが人情というものじゃろ?」

目の前に座る二人に厭らしい笑いを向ける陳紀。暗に大地を使い捨ての駒にしようと言っているのである。話を聞いていた二人は心から思う。この男を敵に回さないで良かった、と。

 

得意気に大地の事を話す陳紀だが、実際のところ大地は陳紀に従ってなどいなかった。大地は二重スパイとして情報を操作していたのだから。そして、陳紀たちに与える情報は真実2割、嘘8割という内容のものだった。

 

【嘘を信じさせるには真実を少しだけ加えればいい】

 

これは大地の父親が偉そうに熱弁していたことの一部である。大地の父は情報操作を得意としており、護衛対象に危害が及ばないよう事前に手を打つのが得意だったのだ。その割に流行には疎いところが不思議ではあるが、その話は別の機会にでも話すとしよう。

 

とにかく、陳紀は呂範に対しての警戒心を解き始めていた。確かに大地がここにやってきた当初、陳紀たちは呂範と言う人物をあまり快く思っていなかった。理由としては張勲たちが推薦人となった経緯があったからなのだが、どこか胡散臭い雰囲気を感じてもいたのだ。

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陳紀視点

 

儂が小僧に対しての警戒心を解き始めたのは孫家との合同賊討伐が終わってから、しばらく経ってからのことじゃった。なんと呂範の方からこちらへ近づいてきたのだ。最初は張勲たちが何かを仕掛けてきたのかと思っておったのだが、そんな雰囲気は呂範からは感じられなかった。自分で言うのもなんじゃが、人物鑑定にはそれなりに自信がある。これのおかげで自分の駒となり得る人間を的確に選んでこれたのだ。その目を持ってしてこの男は使えると感じた。ならば徹底的に自分の駒として、いや右腕にするつもりで優遇もしてやった。あの男はそれに応えるように仕事をこなしていき、儂に情報を運んできた。そろそろ頃合いだろう。あの男を我が右腕にしてしまえば、今儂に擦り寄ってきておる奴らなど早々に処分するのが上策。所詮こ奴らなど信用しておらぬし、蜥蜴の尻尾切りではないが危なくなったら切り捨ててしまえばいいだけの事。あの小僧さえいればなんとでもなるのだから。

 

そんな事を考えていると、二人が儂に話しかけてきた。

 

「そういえばちょうど二月前でしたな、近くに流星が落ちたのは」

「よもやあのような世迷言を信じているわけではあるまいな?」

「まさか。ただ、どうにも引っ掛かっておるのですよ。あの夜見えた流星、そして翌日現れた客将としてやってきた小僧。偶然でしょうか?」

「戯けた事を。ではお主は流星に小僧が乗ってきて、お伽噺の様にあの小娘を助けに来たとでも申すのか?」

ばかばかしいにも程がある。大体、あのような小娘など助けるに値せんではないか。小娘を助ける暇があるならば儂の仕事を手伝ってほしいものじゃ。

 

確か、天の御使いとかいう胡散臭い占いじゃったな。

 

「黒天を切り裂き、天より飛来する流星は御使いを乗せ乱世を治めん。大陸に二人の天の御使い揃いしとき、運命が動き出す」

 

仮に呂範が御使いだったとして何がどうなる。あの男はもはや儂の忠実なる僕と化しておる。天の御使いも金の力には抗えなかったという事になるだけではないか。まったくもって下らんな。

 

「そのような下らん事はどうでもよい!そんなことよりもまずは、この後どう荒稼ぎをして君主に矢面に立ってもらうかを考えろ!」

「は、はいっ!」

「分かり申した」

 

そう、それで良い。貴様らにはせいぜい働いてもらおう。そして儂は袁家と言う名の張りぼてに身を隠し甘い汁を吸い尽してやる。

 

視点アウト

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ついに、袁家にとって粛清と言う名の汚物消毒の朝を迎えることとなる。

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あとがき

 

すっっっっっごく楽しかったです!!!

この話を書いてるときは今までにないぐらい筆が進みました。黒い話って書くの楽しいんですね。ちょっと短かった気もしますが……。

 

という事で今回は袁家の悪の親玉、陳紀さんのターンでした。

イメージは水戸黄門の悪代官的なポジションです。

そして、ついに迎える粛清の日。

 

アンケートはまだ継続します。

多分一刀を出すとしたら粛清後1月経った頃になるのかな。出さない場合は当初の予定通り黄巾が動き出す1月前になるかと思います。

 

ということで御協力よろしくお願いします。

 

でわでわしつれいします

 

 

 

説明
今回は悪役のターン。
何気にこういう話書くの楽しかったです。

それではどうぞ
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コメント
すっごい小物臭ただよう人だな陳紀。なんというか悪役というには物足りない気がする。(陸奥守)
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真恋姫†無双 真恋姫無双 袁術√ 蜂蜜姫 

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