【腐注意】もし俺 小話03【オリジナル】 |
CP:黒ブラ、まろさし Side:ブラ♂
特に何があるわけでもない平日の昼下がり。久しぶりに4人の休みが合わさったので、さしさん主催で4人で集まることになった。くろさんと一緒に指定された駅に向かうと、さしさんとまろみさんは既に待ってくれていた。こちらに気付いたさしさんが駆け寄ってきてくれて、その後ろをまろみさんが恥ずかしそうについてきていた。
「わー。オレ、さしさんの男装みるのかなり久しぶりかも。」
隣でくろさんが独り言のように言うのに対して、そういえばそうだな、と思う。ちなみに今日さしさんに指定されたドレスコードはスーツだ。もちろん、さしさんもスーツを着ている。
「男装って言うな!黒さんは相変わらずだね」
どうやら聞こえていたらしい。元々隠す気も無かっただろうけど。くろさんは苦笑しながら応える。
「相変わらずって…オレってどんなキャラなわけ?」
「んー…腹黒優男?」
「腹黒じゃないよ」
「えー」
そんな2人のいつものやり取りを眺めていると、さしさんの少し後ろで、困った顔をしたまろみさんが2人を見ている事に気付いた。
「まろみさん、久しぶり」
「ぶらさんこそ。元気そうだね」
「うん。元気だよ」
「今日はごめんね。せっかくの黒さんの休みなのに、呼びつけちゃって」
申し訳なさそうにまろみさんが言う。正確には呼んでくれたのはさしさんなんだけど、このやり取りもいつものことだ。
「大丈夫だよ。俺もくろさんも久しぶりに4人で集まりたいね、って話してたところだったし。久しぶりに見たけど、やっぱりまろみさんは格好良いね。スーツ似合ってる」
学生の時からのスタイルの良さは顕在で、どこにでもあるスーツの筈なのに、まるでまろみさんに着られるために用意されたモノのようだ。
「格好よくないよ!それより、目立つから早くどこか移動したいんだけど…」
確かに平日の真っ昼間にスーツ姿の男4人はかなり目立っている。
とりあえずくろさんの提案で近くにあったファミレスに入ることにした。長居するつもりはなかったので、それぞれ飲み物だけを注文する。注文を取りに来たウエイトレスがまろみさんとくろさんをチラチラと見ている事に気がついたけど、見てみぬふりをする。せっかく遊びに来たのにもやもやしたくはない。
注文が終わって、ウエイトレスが居なくなってから、くろさんが話を切り出した。
「で、何で今日はスーツ指定なの?」
「オレが見たかったカラ」
即答だった。さすがさしさんだ、迷いがない。
「だってさー。まろみさんも黒さんもせっかく社会人してるのにスーツ着ないからさー。オレまろみさんのスーツ姿もしばらく見てなかったしー。でも理由がないと着てくれないしー。黒さんのスーツ姿も見たかったしー。」
「えぇ!?さしさんそんな事一言も言わなかったじゃない!」
さしさんの隣に座っていたまろみさんが驚いた声をあげる。
「言ったらまろみさん着てくれないでしょ?」
「当たり前だよ!」
「だから言わなかったんだって」
「でも、用意してた服を隠してまで着せる必要あったの?」
「まーいいじゃん?細かいこと気にしたら負けだって」
まろみさんは納得してない様子だったけど、諦めたのか、反論をやめた。この中でさしさんと口論をして勝とうなんて思う人はいない。ていうかさしさん、そこまでしてスーツ着せたかったのか。
2人の話が終わったところで、くろさんが話を軌道修正する。こういう時のくろさんは凄く空気が読める。俺も以前真似しようとしたけど、人間には向き不向きがあることに気付いたので早々に諦めた。
「で、これからどうするの?さっきまろみさんも言ってたけど、平日の昼間にスーツ着た男4人ってどう考えても浮くんだけど?」
「プリクラ撮る!」
またもや即答だ。予めこう言われることがわかっていたかのように答えている。もしかしたら、こうなるとわかっていたのかもしれない。でもさすがにプリクラには驚いて、「え?」と声をあげてしまった。
「え?嫌?」
「嫌っていうか、さっきのまろみさんとくろさんの話聞いてた?」
「うん。目立って浮いてるんでしょ?」
「浮いてるのにプリクラ撮るの?」
「浮いてるからプリクラ撮るの!」
どうやら、譲る気はないらしい。
「こうやって皆で集まることなんてあまりないし、しかもスーツだし、イケメンズが揃ってスーツなんて滅多にないことだし、記念に残したいだけなんだけど、ダメかな?」
言われてみれば。確かに珍しいことだ。自分はまぁ、アレだけど、まろみさんとくろさんのショットは記念に残したい。ちゃっかり棚上げしてるけど、さしさんのスーツ姿だってかなり貴重だ。
「俺は撮りたいかも」
「ブラさん!?」
まろみさんがショックを受けている。理由なんて分かり切っているから、敢えて聞いたりはしない。その代わり、なんで賛成するのかくらいは説明する。
「さしさんの言う通りだと思う。俺も記念が欲しい。ここまで来たら何しても変わらないだろうし」
それで多分、俺が了解したからにはくろさんも反対しないだろう。そのことが分かっているから、さっきまろみさんはショックを受けていたのだ。
「ブラさんが良いならオレも良いよ」
やっぱり。
「多数決で決まりなー!」と結局いつものパターンでさしさんに丸め込まれたまろみさんは意気消沈している。ごめんね。だけど俺も残しておきたいんだ。
みんなの気が変わらない内にとさしさんに急かされて、せっかく注文した飲み物を楽しむ間もなくプリクラを撮りに行くことになった。
この後プリクラを撮る間にもきっと色々あるんだろうけど、それはまた別の話。
【03 攻め達にスーツを着せたかっただけ】
(次は学ラン合わせがしたいね!)
(…まだやるんですか)
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※こちらは男同士の恋愛を取り扱った作品なので、閲覧の際はお気を付けください。 ちょっと外れたオリジナルBLの小説サイドです。 担当:+ |
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