魔法少女とま☆ラビ(第七話)
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<魔法少女とま☆ラビ>

 

 

第七話

 

 

森の道でフーセンアニマルたちと出会い、ささやかな楽しい時を過ごしていた四人。

フーセンアニマルの歌は、その一匹の小さな声から数匹のハーモニーに変わり、やがて大きな合唱となっていた。

その不思議な、心を温かくするかのような歌声は、いつの間にか四人の心地よい感覚を増幅させ、それぞれが自然に

微笑みあえるような、優しく緊張感をほぐすものになった。

こんな穏やかな気持ちで旅を続けていければ・・・・と、四人の誰もがそう思っていたそんな時・・・。

 

ブオーーン・・・ブオーーーーン・・・・・。

 

美しく遠くまで響き渡るフーセンアニマルと四人の歌声に対して混ざってくる、遠くで不協和音を出してくる

嫌な機械音とうめき声が微かに聞こえてきた。

 

そして、それにいち早く気付いたラビは、ぼそっととまに話しかけた。

「・・・今の、なに?すっごいイヤな予感がするんだけど〜〜。」

 

フーセンアニマルの歌声に反応し、無理やり割り込むように不協和音を出している何かは、歌い合う様子をジャマしようと

するかのように、歌えばまたそれを打ち消すようにと音を出し、またより大きな音を出しながら接近を試みているようだ。

 

うめき声と機械音・・・奇妙な組み合わせのその音声は、だんだんと近づいてくる。

 

フーセンアニマルもやがてそれに気づき、いつの間にか歌うのをやめて表情をこわばらせていた。

 

「やばいな、フーセンアニマルの歌声につられたか・・・おいおい、これってもしかして・・・アレじゃないのか・・・?」

困った顔をした虎次郎が、つぶやくように夕子の顔を見ながら言った。

 

「・・・さすがに今度は、手こずりそうですわね。面倒なことにならなければいいんですけれど。」

「おまけに、あいつの向かってくるその方向って、俺たちが行こうとしてる方向じゃんかよー。」

 

虎次郎と夕子の会話を聞きながら、とまとラビもその話に参加し、

「ねぇねぇ、一体何なの? わかってるんなら教えなさいってば。」

「わたし達の進む道って、どうしてもこっちじゃないとダメなの〜?他の道探してもイイんじゃないの?」

 

「・・・はぁ、これだから何も知らない方々は・・・・。」

ため息をつきながら夕子は、二人に諭すように言った。

 

「いいですこと?あたし達はただ意味もわからずに進む道を決めていた、あなた方のようなことはしてないの。」

「不思議ニンジンを持つ者は、自分からもっとも近いところにある不思議ニンジンの方向を、感じ取ることが出来るのよ。」

「だからあたしは、こっちに行こうと決めた。たとえその方向に何がいようと、不思議ニンジンがそっちにあるとわかった以上は、

そこへ向かうしかないってこと。」

 

「ついでに言うと、あれはあからさまにフーセンアニマルの歌声をジャマするような行為をしてるだろ?それはつまり、

フーセンアニマルの生息数を珍しい生物とまで言わせるほど、激減させた直接の原因なんだ。」

 

夕子の説明に付け足すように虎次郎もさらに言い出した。

 

「あいつらは、フーセンアニマルの歌声が大っ嫌いなんだ。だから、ことあるごとにジャマしにくる、いわゆる天敵だな。」

「おまけにしつこいから、何度も追いかけてきたり・・・要するに、面倒臭いやつらだぞ。」

「まったく・・・頭にくるヤツですこと・・・!」

冷静なイメージの夕子だったはずだが、その時ラビは、夕子がそのセリフよりもずっと顔に感情をあらわにしている様子を見てめずらしいと思った。

 

徐々に近づいてくる、その不気味な音声に、四人はやがて申し合わせたかのように、それぞれがフーセンアニマルを守ろうと、

適切ともいえる配置について身構えているのだった。

 

「・・・来た! 大キャぐるみットだぞ!!」

 

虎次郎が指差しながら距離を取り、皆に声をかけていく。フーセンアニマルは一気に飛び散るかのように逃げ去り、一匹は走り

また一匹は草むらへ隠れるようにし、それぞれの条件反射で素早く大キャぐるみットの視界から消えようとした。

 

「うわ・・・おっきい・・・。っていうか、肩車しながらここまで来たの、こいつらって〜?」

 

何気にツッコミを入れたようなセリフを言いながらも、自分がかつて戦ったキャぐるみットのこともあり、もう舐めてはかかれないと

油断しないでぐっと力を込めるように腰を低くしながら身構えた、とまとラビ。

 

とまとラビが見た大キャぐるみットの姿は、大中小のキャぐるみット三匹が肩車した姿だった。

そして、その様子は、異様な機械音のもととなっているであろう巨大なロボキャぐるみットが一番下で頑丈そうな様子で支えており、

次いで二番目のキャぐるみットは、中途半端な攻撃はすべて遮るかのような大きな盾を持ち、さらに反対の手には、今にも突き出して

きそうな槍がある。とまとラビがかつて対峙したキャぐるみットと同じくらいの者は、肩車の一番上に乗り、不気味に笑っていたのだった。

 

一見馬鹿げている格好の大キャぐるみット。だが、下で支える巨大なロボキャぐるみットは、いわゆる騎馬のような存在で、

対峙している様子、それはまるで四人が騎馬戦に馬なしで挑むようなものだった。

 

この大キャぐるみットを倒すには、もっとも簡単なのは司令塔である一番上のキャぐるみットを倒すこと。

しかし、それはあくまでも机上の論理で、攻撃するには相手の位置が高すぎること、そして仮に攻撃が可能だったとしても、

下にいる二匹のキャぐるみットたちがそうはさせまいとジャマをしてくるということだ。

そこで、実戦上もっとも手順として最善なのは、論理上とは真逆の、まず一番下のロボキャぐるみットを破壊して動きを鈍らせることである。

 

だが、大きな槍と盾を持つ二番目のキャぐるみットがいるため、そう簡単には事を運ばせてもらえそうにない。

おまけにキャぐるみットの持つ盾は、完全にとはいわないが魔法による攻撃を軽減させてしまう。

 

この戦闘において、虎次郎と夕子の二人では、近接格闘の虎次郎が時間を稼いでいる間に夕子が魔法攻撃をしかけるという

従来のパターンでは物足りなく、盾に阻まれ致命傷を与えることが難しかった。

 

しかし、今回はとまに加えてラビもいる。このことが戦況を大きく変えることを可能にしていたのだった。

 

「まともに近くで見たことってほとんどなかったけど、あらためて見ると・・・い、意外と肩車って大きく見せるんですのね。」

 

 

「よし、俺たちも肩車を・・・・ゲフッ!」

 

「バカ言ってないで、戦うのよ!」

 

 

 

説明
オリジナルの魔法少女シリーズとして描いてきたものの文章化・第七話です。
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