真・恋姫†夢想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ 第8席
[全6ページ]
-1ページ-

 

 

 

 

 

 

真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ

 第8席 一刀、黄巾へ向け発つのこと。

 

 

 

 

 

 

 

-2ページ-

 

−翔蓮side−

 

 

   

   酒宴から数日が経ち、黄巾党本体との戦に向け建業を発とうとしている

   雪蓮が兵に激励を言おうとしている瞬間だ

翔蓮 「――――あの子を呼ぶと間違いなく一刀が苦労するものね」

   数日前、末姫の小蓮以外の家臣たちが揃い酒宴になった

   なぜ小蓮を残しているかは至極簡単

   私たちが全滅したとしても孫家が絶えることはないから。

   それは最悪を見越した判断だけど、もう一つ理由があった

   雪蓮並のお転婆娘でさらに、遠慮という言葉を知らないほど人を強引に振り回す

   度合は雪蓮の比ではない

冥琳 「どうかされましたか?」

   無意識に声が出ていたみたいで聞き返されてしまった

翔蓮 「・・・シャオのことよ。一刀にならすぐに懐くでしょうけどその後がね」

   冥琳も苦笑いして頷いた

   雪蓮も小蓮も少しは蓮華を見習って欲しいものね

   そう考え込んでいると雪蓮は激励を言い終えていた

 

 

一刀 「―――翔蓮さん。ちょっといい?」

   出陣のために各個の隊を整理していると一刀が訪ねてきた

翔蓮 「誰かと思えば・・・何か用?」

   今回は軍師をすることになったと聞く

   ある程度武も持ち合わせているなら兵を預けてもいいと思うのだけど

一刀 「まぁね。程普さんに頼んだ弓なんだけど、まだ出来てないらしいんだ」

   そういえば三月ほど要るって言ってたわね・・・

   どうするのかしら

翔蓮 「そうだったわね。あまり予備の兵装もないから無茶はしないでね?」

   この子は兵装の弓でも十分強かったことは自分の身で確認できた

   でも彼は今、本当に見たこともない弓を携えている

一刀 「ここからが本題なんだけど・・・実は――――」

   

   ――――ある妖物(ヒト)が俺の居た世界から荷物を届けてくれたんだ

 

   このとき聞いた話はある程度信じられた

   その人物にはいつでも会えるらしい

翔蓮 「・・・・そう。じゃあそれが貴方のこれからの獲物なのね?」

   一刀は静かに首を横に振った

一刀 「これを握るのは頼んだ弓ができるまで。刀も握らなきゃいけないからね」

   俺の腕は二本しかないよ。と冗談っぽく言っている

   あの弓・・・・・見ていると何故か悲しくなるわ

翔蓮 「・・・・・そうなるとその弓が可哀そうよ?」

   そんな冗談を言うと一刀は真顔で言った

 

   『頼んだ弓ができれば、次にこの弓を握るのは最後の戦いになる』

 

   と。

   一刀は何か嫌な思い出でもあるのかと思う表情をしていた

 

兵  「伝令です! 孫堅様、兵を連れ出立してくださいとのこと。北郷様は周喩様の下へお願いします」

   私は頷き、兵を動かした

 

   

 

-3ページ-

   

−冥琳side−

 

 

 

 

   『ある妖物(ヒト)が俺の居た世界から荷物を届けてくれた』

   さっき北郷が来て私に説明してくれた

   獲物に届けてくれた妖物(ヒト)が居る。と

   建業のある宿に泊っていていつでも会えるとも言っていた

   できればあまり会いたくないと北郷は言っていたが・・・・

   どんな人物だ?想像できん

   まぁそれは追々考えよう

   それにしても不思議な弓だ

   北郷の獲物を見た時は目を見張った。が、同時に納得もした

冥琳 「・・・・あの動きはあの弓を扱うから。か」

   弓に刃というある意味恐ろしい組み合わせでできていたからだ

   近接を苦手とする弓と中・遠距離を苦手とする刃を組み合わせ、それぞれの苦手を補っている

   この獲物を使いこなせれば矢切れしない限り相手の苦手分野で攻め放題ということになる

一刀 「翔蓮さんに一応説明しておいた。矢筒だけど、今回は60本ひと組で2組使わせてもらうよ」

   私は無言で頷き地図に目を移した

冥琳 「さて、お前の獲物の話はここまでとしてだ。本隊一万五千人を圧倒する策がな・・・・」

   北郷の策で少しばかり兵数に余裕ができた

   数の上では少ないが精鋭一万と烏合の衆一万五千では明らかな戦力差が生じる

   軍師として少しばかり欲がでてしまうのは性なのだろう

一刀 「圧倒的な勝利が欲しいか・・・・軍師の性ね。厄介だな」

   お前も十分よくが出てるんじゃじゃないか?と鼻で笑う

一刀 「失礼な・・・・これでも少なめなんだぞ?」

   圧倒的な勝利だけだと欲を十分出し切っていないだと?

   他に何を求める?

冥琳 「少なめとはどういう意味だ?少ない数で圧倒的勝利を得る。それで十分ではないか」

   すると北郷は人差し指を立てて振った

一刀 「じゃあ一つ質問。孫呉の『今の目標』は?」

   こやつ・・・今何といった?

   『今の目標』もまとめて得られるだと?!

冥琳 「・・・・まさか。それができるなら我ら軍師は苦労したりせんさ」

   私も穏もそのために今は頑張っているのだ

   そう簡単に実行できまい

   だが、北郷の表情はニヤけている

   まさかな

冥琳 「まさか、できるとは言わないだろうな?」

   北郷は否定しようとしなかった

   それどころか――

一刀 「そのまさかだよ。ただしチャンス・・・・っと機会はたった一回だけ。成功する確率はよくて七割だ」

   ―――できると言った

   よくて七割か・・・相当な賭けになるだろう

冥琳 「・・・・お前の弄した策を聞きたい。場合によっては決行に移すかもしれん」

   北郷は頷き説明を始めた

 

   『黄巾党本体との戦いを避けたい袁術を欺く方法はただ一つ

    時間がかかるけど、被害を抑えつつ急いで首謀者を捕える

    ここからが問題なんだけど、残った黄巾党を蹴散らす

    蹴散らすのは祭さんと蓮華・亞莎の三人で兵は五千を残す

    物資を補給したら全力で反転して、袁術の背後から一気に袁術軍を叩きのめす

    五千で足りる理由は指導者の居ない統率のとれなくなった烏合の衆を蹴散ら程度なら足りると思ったからだ

    極力投降させ、孫家の兵にすることも少しは視野に入れてほしい』

 

 

   この策には少し不安が残るが、これなら一番名声も得られるしこちらの被害も少ない

   そして一番おいしいことがある

冥琳 「物資の供給が袁術だから可能なことだな」

   あの袁術は戦をしたがらない

   だが兵装・食糧ともに豊潤にある

一刀 「独立しちゃうならついでに物資を?っ攫おうよ」

   北郷はさらにこんなことも言っていた

   『早く終わったから袁術の援護に来た』

   という名目で奇襲を掛けると。

   此処まで頭が回るとは・・・・

   私としたことが目先のことに囚われ過ぎた

冥琳 「その問題は何とかするしかあるまい」

   今回の最大の難点の克服

   それは『我々より先に分隊が敗退しないか』だ

一刀 「そこは雪蓮に任せよう。本隊の首謀者に向けて少人数で突撃でもしてもらうさ」

   ・・・・雪蓮の暴れ方まで策に織り込んでいたとは予想外だ

   日頃の鬱憤を晴らしてもらうこともできる

冥琳 「・・・・文句のつけようがない策だ。よく考え付いたな」

   私は北郷の方に目線を送る

   北郷は不気味な笑みを浮かべていた

 

 

 

-4ページ-

 

 

−一刀side−

 

 

 

   『そこは雪蓮に任せよう。本隊の首謀者に向けて少人数で突撃でもしてもらうさ』

   元々は予定してなかったけど、雪蓮のことだ

   暴れ足りない〜なんて言い出して単騎で突っ込みそうだからな

   冥琳も賛成してくれてるし

   とりあえずこの策がついさっき考え付いたのは黙っておこう

冥琳 「この策だが・・・・本当に成功させれるかはいいとして、お前に指示してもらう」

   な?!

   孫呉の独立を賭けた戦いで素人の俺が指示するだと?

一刀 「無茶もいいところだぞ?!・・・言わせてもらうけど俺は軍略に関してだと素人以下だぞ?」

   人を殺めたことですらかなり堪えたってのに

冥琳 「言い方が悪かったな。私に対して指示をくれればいい」

   ・・・・そういうことか

   基本戦略は俺の策を、細かいところは冥琳が修正してくれる

一刀 「成程ね・・・それで構わないよ。一応最悪の事態の対処も考えてあるからね」

   最悪。それは間に合わなかった時だ

   もし間に合わず、袁術達が帰って来たとしてもまだ予備の策はある

冥琳 「それは・・・・・いや、今は聞かない方がいいかも知れんな」

   まぁある意味最終手段だしね

一刀 「もし必要になったら教えるよ。伝令さ〜ん」

   とりあえずは先に出た穏・亞莎に伝令を出す

   軍師に伝えれば将には伝えてくるからね

兵  「はっ!・・・では失礼します」

 

   ここで少しこの策を説明しよう。

 

   先行部隊と本陣の出立にできるだけ時間差をあける

   ただし先に出るのは本陣だ。本陣は迂回して時間を稼ぐ

   その間に先行部隊が追い越す

   本隊と接触しても極力先行部隊で戦うのがこの策の要だ

   出来るならそのまま首謀者を討つ

   本陣は行軍速度を遅くして先行部隊と黄巾党本隊の接触があっても加速しない

   そうなれば本陣は即反転。先行部隊は殲滅部隊を残して反転する

   袁術の援軍を名目に袁術軍を一斉に叩きのめす

   そのため、黄巾党本隊に向けての布陣は本陣と先行部隊の構成が逆なのだ

   (すなわち、先行部隊という名の本陣、本陣という名の先行部隊)

   対袁術部隊に明命・思春たち隠密で構成し

   袁術軍の最後部からの伝令を袁術の下へ行かせないようにして情報伝達を遅らせる

   そして背後から統率のとれなくなった袁術を討つ

 

   この策で俺の考える布陣はこうだ

   本陣     翔蓮さん・穏

   先行部隊   雪蓮・蓮華・祭さん・亞莎・冥琳・俺

   殲滅部隊   蓮華・亞莎・祭さん

 

   反転後は本陣に急いで合流し袁術を叩く

   また、袁術の軍に細作を忍び込ませ伝令情報を錯乱する

   袁術軍の戦闘時間を長引かせるためだ

 

   まぁ、誰に言ってるのかわからないんだけどね

 

冥琳 「我々軍師とは常に最悪を考えねばならん。それを分かっているならこれ以上聞きはしないさ」

   俺は縦に首を振った

   まぁ分かってはいるんだけどね

一刀 「最終手段は使わなくていいように進めたいけどね」

   肩を竦めて笑う

   出来るだけこの策は隠して置きたい

   本当の最後の手段を使うかもしれないからね

冥琳 「私とてそれは同じさ。では北郷、そろそろ出るか?」

   冥琳も頃合いだと思ったみたいだ

   黄巾党本隊が落ちるまでに俺は頭の中で状況整理でもしますか

 

   雪蓮はそろそろ袁術の所に着く筈だ

   出立すると伝えに行ってもらっている

   こっちの先行部隊は予定通りならあと半刻(約1時間)で黄巾党本隊と接触を始める

   雪蓮だけは20人の護衛(という名の突撃部隊)を率いて先行部隊に合流してもらう

 

   それと最後の手段

   それは

   『俺が謀反を起こ(したふりを)して袁術を討つ』

   ことだ

   要は『孫家の客将の身分で不満を感じたから謀反を起こした』

   ことにすれば回りからも疑われはしないだろうしね

   冥琳たちに袁術の援護をさせる。但しばれないように手抜きで

   俺は事前に弓兵20人位を借り、謀反(嘘)を起こす

   弓で狙えば何とか当たるところまでは攻め込まないといけないけどね

 

一刀 「・・・あぁ!」

   俺は力強く頷いた

 

   時は満ちた。

   今この時から――――

 

 

-5ページ-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ――――――孫呉の独立へ向けた秒読みが始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-6ページ-

 

 

あとがき

 

 

霧龍「第8席いかがだったでしょうか?」

霧龍「ついに黄巾党が始まりました。ここからは原作から離れていきます」

穏 「私の出番っていつになったらあるんですかぁ?」

霧龍「・・・・・呼ぶまで出てこないでくださいよ」

穏 「本編でまだほとんど出てないんですから〜あとがきくらい出たいです」

霧龍「心配し無くても次回ではじめに出てもらいます!」

穏 「ほんとうですかぁ〜?!穏的にはぁ、中盤で一刀さんと(ピーーー)できたらいいな〜って」

霧龍「危なかった・・・・放送禁止用語を入れないでくださいよ!!」

穏 「どうして邪魔をするんですか〜」

霧龍「これ以上は危険と判断します!!次回予告です」

 

霧龍「次回、『真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ』第9席 お楽しみに〜」

穏 「まだお話は終わってません〜」

 

 

 

 

 

穏 「待ってくd(ザーーーーー」

説明
一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ 第8席
  第8席 一刀、黄巾へ向け発つのこと。です
    誤字報告、コメントなどどんどんお願いします
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
4204 3636 22
コメント
骸骨さん >まさかの選択を取りましたw なんせ堅さん生きてますから♪ 誤字報告感謝します(霧龍)
まさかの黄巾の乱で独立とはw 4p「素人以下だそ」→「素人以下だぞ」では?(量産型第一次強化式骸骨)
readmanさん >燃えますし萌えますw(霧龍)
燃えますね!(readman )
タグ
北郷一刀 孫堅 外史  真・恋姫†無双 

霧龍さんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com