全ての終焉 16 |
第16話『修学旅行編1』
〜ネギの部屋〜
ようやく、この日が来た。
全ての始まりでもある僕の出発点。
僕とフェイトが初めて戦った出来事。
そう思いながら下へ降りて、赤いソファーに座る。
「今日から修学旅行か、何か忘れているような?」
「そうね、私にプレゼントしてくれるって言いながら渡してくれてないのよね」
黒いオーラを出しながら僕の隣に座る明日菜さん
しまった! 渡すの忘れていた。
昨日、僕は明日菜さんにプレゼントを渡すと言ったから
それを期待して待っていた明日菜さんを忘れて眠ってしまった。
機嫌が悪そうな雰囲気を、オーラを出している。
「うう、今渡せばいいんでしょ?」
と言って、昨日完成していた指輪を明日菜さんに渡す。
指輪に付属している宝石が薄く光っている。
自分の能力を増幅させる効果を持つ。
受け取った明日菜さんは顔を赤くして
「え? あ、ありがとう……」
とお礼を呟き、指輪を丁重に薬指にはめる。
薬指に付けた明日菜さんは指輪の宝石を撫でていた。
そこまで喜んでくれるとこちらも嬉しくなる。
マスターに頼んだ甲斐があった。
「明日菜、満足そうやな」
「木乃香!?」
「木乃香さん、おはようございます」
「ネギ君、ウチにもほしいわ〜」
最初っから聞いていたのかと聞こうとした時、木乃香さんが僕に抱きついてくる。
抱き付いてくる木乃香さんの表情は拗ねている態度だった。
僕が感じたのはそれと親友の嬉しそうな表情とで複雑な感情が見えた。
「何がほしいんですか? マジックアイテムとしてなら」
「心に残るもんがええな」
「心に残る?」
「こ、木乃香、まさか……」
赤くなりながら、木乃香に指を差していた。
何で赤くなっているのか僕には分った。
だって、僕も同じことを考えている。
僕を見てクスッと笑い、木乃香さんはニヤッとからかう様な笑みを浮かべた。
「明日菜、今どんな想像したん?」
「ええ?」
また赤くなる明日菜さん。
僕も想像してしまった事を木乃香さんに悟られてはいけない。
「木乃香さんのは後にして 修学旅行の準備をしますか」
「そうやな、昨日はそれ用を買いに行ったんやから」
「木乃香がネギの服を選んで時間が過ぎたり、
ネギが絡まれてる女の子をバレない様に魔法使ったりしてでしょ?」
「ネギ君の魔法でやられた人達の所に救急車が来てたりは気のせいやな」
買い物の途中、変な男ども、雑魚役が女の子を強引に付き合えという展開があった。
それを見たネギは片っ端から一番弱い魔法で男どもを大怪我ぐらいの重症に合わせた。
その後、サイレンが鳴ってタンカで運ばれていたという。
状況を眺めていたネギは明日菜と木乃香に笑みを浮かべたまま
「では、行きましょうか」
とまるでそんな事が無かったような雰囲気を漂わせていた。
その表情に苦笑いするしかなかった明日菜と木乃香だった。
その時、ポケットの中に入れている所から音がした。
何事かと探ってると、携帯電話が震えている。
振動機能も付いているので分かりやすい。
僕は電話に出た。
「もしもし」
『ネギ君』
「妖怪爺じゃない、学園長」
『今、妙な事を言わなかったかのぅ?』
「気のせいです、何の用ですか?」
『実は渡したい物があるんじゃ』
前回と同じなら親書かな?
親書を盗んでくる連中が居たっけ?
月詠さんとフェイトと……後は誰だっけ、忘れた。
「渡したい物ですか?」
『来てほしいんじゃが……』
「分かりました。では」
ぶちっと電源を切り元の場所に直す。
明日菜さんと木乃香さんに早く出る事を言う事にした。
「明日菜さん、木乃香さん、僕はこれから用事が出来ましたので出ますね」
「ほな、ウチらもいこか?」
「そうね」
と、明日菜さんがそのまま出て行こうとする。
いや、待て! そのまま出られると指輪が……
明日菜にあげた指輪の裏にネギの名前が刻み込まれている。
それがバレたらまずすぎる。
「明日菜さん!」
「何?」
「その指輪はポケットの中にでもしまってください!」
「え? どうして?」
「指輪の裏に僕の名前が刻み込んでいます。
もちろん、それは影響を与えるための契約です」
僕の言葉に明日菜さんが薬指から指輪を外し、指輪の裏面を見た。
そこには確かに、ネギ・スプリングフィールドと書かれている。
名前を見た明日菜さんがみるみると赤く染まり、素早くポケットの中に入れた。
「委員長辺りが見たらまずいわね」
「そうやな〜」
「では、僕は行きますね」
行こうとした所で木乃香さんに止められた。
止められたと思ったら、ほっぺにキスされ、耳元で囁く。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
「ちょ……!?」
もう行かなきゃいけない。
僕は明日菜さんの驚く表情を無視、玄関とは違う方向の窓から飛び出した。
飛んでいく中、僕はちょっと考えていた。
「並行世界や異世界に行った事もあるけど、他世界の魔法を使ったら駄目なのかな?」
とんでもない事を考えていたが、飛行速度が早いせいで学園の上に着いた。
「駄目だ、考える時間もない」
学園寮からここまで来る最速がフィルム1コマも経たない。
でも、そんな速度出したら普通は衝撃波の影響で周りが消し飛ぶ。
それを防ぐためのバリアを習得済みだ。
超光速以上の速度を目指して魔力や気を覆わずに体を鍛えていた。
まったく、無駄な事ばかりして、結局は超光速辺りまでしか出ないネギであった。
学園長の部屋へ直接向かった。そのままの速度で
〜学園長室〜
壁が粉々に吹き飛ばしたネギが入ってきた。
「何か御用ですか?」
「ネギくん、普通に入ってくれんか?」
「別に良いじゃないですか。復元魔法・第1修正」
景色が見える壁に手を向ける。
掌が魔力で集まっていき、光り出すと壁が修正されていった。
「すごいのう」
「誰でもできるじゃないですか」
「いや、魔法学校卒業程度でできるわけなかろう?」
「それより、用件をお願いします」
「では、これを西の長に渡してもらいたいんじゃが」
「西の長?」
「そこから説明しなければいけないかの?関西呪術協会という組織が存在する。
関東呪術協会も存在してワシがその長じゃ」
「それが何の関係があるんですか?」
一応、知ってるけど聞いておかなきゃいけない。
警戒されてもこちらが困る。
そんな状況になったら横の時間に逃げるけど……。
無責任な事を考えるネギは学園長の話を聞く事にした。
「関東と関西の呪術協会は仲が宜しくないんじゃ。ワシは仲良くしたいと思うて、ネギ・スプリングフィールドとエヴァンジェリンに任せようと思うてな」
「エヴァンジェリンさんも行く気満々でしたし、今更やめても仕方がないです」
「この件に関しては魔法先生や生徒の連中には黙っておくから安心せい」
「面倒になった瞬間、魔法で黙らせますか」
やる気満々の意志として魔力を放出させる。
もちろん、部屋限定の結界を貼っている。
「ネギ君、お主はマギステル・マギを目指しておるんじゃなかったかのぅ?」
「はい」
僕の言葉に困ったように唸っていた。
本当は目指す気もないけどね。僕自身は目指す理由がもうない。
なぜ魔法世界の裏まで知っててあの未来を知ってる僕がやらないと駄目なの?
その感情を隠して唸るおじいちゃんに要求する。
「手紙で伝えるなら渡してもらいたいのですが」
「親書じゃろ? ほれ」
手紙の入った封筒を僕は受け取る。
「色々と妨害があるかもしれんから注意……するまでもないじゃろな」
「はい。大丈夫ですよ? エヴァンジェリンさんの本気と互角に戦えます」
本当は世界のひと……ってどうでもいいか。
受け取った親書を懐に入れた僕は学園長に行く事を伝えた後、影のゲートに潜る。
潜る瞬間に見た学園長の表情がまたそれか……とかそう言っていた気がする。
〜集合駅〜
ここは大宮駅。
集合場所がここになっている理由は新幹線で行くらしい。
新幹線と僕はどっちが早いんだろうとかどうでもいい事を考えながら歩く。
集合場所に着いたら明日菜さん達がいた。
「ネギく〜ん!」
「やっほ!」
僕に手を振っているまき絵さんと亜子さん
何かこうして見ると皆が若すぎて僕が年をとり過ぎているのか。
元気に走ってこちらに向かってくるまき絵さん達を見る。
「ねえねえ、ネギ君、京都楽しみだね!」
「はい」
僕の事を見ていた夕映さんとのどかさんが意味ありげな視線を向けた。
魔法の事を知っているのは明日菜さんと木乃香さんを除いたら2人か。
「ネギ先生、貴重な経験をしたいです」
「私たちも楽しみです」
「貴重な体験ねえ〜」
ハルナさんが夕映さんの言葉に怪しそうに笑みを浮かべていた。
ビクンと反応した2人に対し、僕がハルナさんにちょっとだけ忠告した。
「ハルナさん、あまりそう言う事を勘ぐったらだめですよ?」
「ネギ君、夕映とのどかの事、好きなの?」
「ハルナ、何を言ってるのですか!?」
「そうだよ、ハルナ」
「ネギ君、そうなの?」
「そ、そうなの?」
裏目に出たか……武道会で分かっただけの事はある。
ハルナさんのせいでのどかさんと夕映さんが赤くなっているし、
それを聞いていたまき絵さんとアキラさんが聞いてきた。
何で同じ言葉ばっか聞くんだ?と首を傾げて考えていると、
「そろそろ出発の時間ですので、決められた新幹線に向かいます」
源しずな先生がこの場にいる生徒達へ叫ぶ。
その声に全員動き出した。
皆が新幹線に乗り込んで席に座る。
僕は全員を確認して注意をした後、職員用の席に座った。
職員用といっても皆が座っている場所より前の方なだけ。
眠ってしまおうかと無責任な事を考えた。
「眠い……眠すぎる、無駄に年をとると疲れるのう」
似合わない言葉を吐き、目を瞑り眠った。
〜????〜
ネギが眠っている中の夢。
あの世界は滅びる運命だ!
違う! この世界もあの世界も全て滅んではいけない!!
あの世界が滅ばなければこの世界が滅びる事になる。
知るか! お前らの勝手で俺の仲間も被害が出た!
あの世界のお姫様はこの世界に住むべきではない。
お前は真実を知らない、あの世界の本当の存在理由を。
君……ネギ君……
暗い空間で響いた声が薄れていき、僕を呼ぶような女の子の声がした。
〜新幹線〜
「ネギ君!」
その声で僕は目が覚める。
覚めた後、声の人物を見ると木乃香さんだった。
僕は目を覚まして立ち上がり、皆の方を見ると
「カエル?」
首を傾げて状況を把握しようとした。
お菓子の中などからカエルが出てきたりしている。
「これって何なん?」
「多分、妨害でしょうね」
「妨害!?」
「きっと、兄貴を妨害するための罠ですぜ!」
僕の鞄からカモが現れた。
何時の間に鞄に入っていたんだ?
まあ、別に良いけど……とカモをじっと見た後、カエルに向けて
「光速詠唱短縮 原子崩壊」
呟いたら、カエルが苦しくもがきながら消えていった。
誰にも悟られないように消したから大丈夫だと思う。
油断していたせいで、いきなり鳥がこちらに飛んできて懐の中にある親書をパクって行った。
「あ……」
「ネギ君、アレ何なん?」
「親書です」
「親書!? 大事な物やん」
木乃香さんがその鳥を追いかけて行った。
ちょっと待て、そっちに行くと刹那さんがいる。
まあいっかと今後の展開に溜息を吐いた後、木乃香さんの後を追う。
新幹線の出入り口前に人がいた。
刀を荷物に持つ少女、桜咲刹那だった。
封筒を口に咥えた鳥が通り過ぎたのを見た刹那が刀を抜いて一振りする。
鳥は紙のように真っ二つになり消滅した。
消滅した際、封筒を拾ったら
「親書〜」
走ってきた木乃香に驚く刹那がどこかに逃げようとした瞬間、
木乃香が刹那の事に気づいて近づいて呟く。
「せっちゃん」
その後にネギが木乃香さんに追いついた。
「木乃香さん、刹那さん」
2人の重い雰囲気に僕が崩そうといきなりこう言った。
「刹那さん、木乃香さんは刹那さんと仲良くしたいと思いますよ?」
「……せっちゃん」
「私はお嬢様を守るだけで……」
「嫌や!」
「!?」
頭を横に振る木乃香さんの否定にビクンと反応する刹那さん
木乃香さん、思いを伝えたらいいと思います。
この状況を優しく見守る僕。
「ウチはせっちゃんの悩みも任務も分からへんし、どう思われてんのかウチもワカラへん……でも、せっちゃんはウチの親友やろ?任務とか護衛とかそんなんどうでもええやん! それだけでウチを避けるん?」
「お嬢様……」
「それにせっちゃんが隠してる事も知っとるえ! それが一体何なん! ウチはただ、せっちゃんと仲良くしたいだけやのに……」
「隠してる事……?」
「刹那さん、翼の事ですよ」
「!?」
眼から涙を出している木乃香さんを見て驚愕する刹那さん
表情が青くなっていくが、だんだん泣きそうな表情になる。
そう、木乃香さんは知っているという思いが刹那さんに伝わった。
刹那さんはどうしようか手が震えている。
だから、僕は刹那さんにこう言った。
「木乃香さんが僕に打ち明けてくれたんです。ほぼ初日から数日後ですが、その時の木乃香さんの様子が切なかったです。だから、ここで打ち明けたんですから今度は刹那さんが本当の気持ちを打ち明けてください」
と伝えた僕は2人の邪魔にならないようにこの場から去った。
元の席に戻ろうとした時、明日菜さんがいた。
「どう?」
「多分、大丈夫だと思いますよ?」
明日菜さんも見ていた。
木乃香さんが刹那さんと鉢合わせになるのを。
これで仲直りになればいい。そうすれば、信頼が生まれる。
そう、かつての様に……。
ネギからすると未来の2人の姿を思い出していた。
出入り口のドアの向こうにいる2人を微笑んでいた。
「明日菜さん、席に戻っていてくださいね」
「わかったわ」
向こうを見ていた明日菜さんが僕に頷き、元の席へ戻っていった。
てっきり、2人の所に行くかと心の中で思っていました。
そんな気分でいたが今後の対策を考えるため、腕を組む。
何か忘れているような……と考えていると思い出した。
「あ、親書返してもらってない」
とその発言が空しく響いていた。
そして……
京都に着いた。
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