全ての終焉 17 |
第17話『修学旅行編2』
〜清水寺〜
京都に着いた僕達は名物巡りをしていた。
明日菜さんと木乃香さん、夕映さんにまあ、その他人物かな。
飛び降りで有名な場所にいた。
「これが噂の清水寺か」
「誰か飛び降りろ!」
「では、拙者が」
「明日菜さん」
「嫌よ」
僕が明日菜さんに視線を向けるとそっぽを向いた。
何で分かったんだ?
「まだ何も言ってないじゃないですか」
「表情で分かるの!」
表情に出ていたらしい。
僕自身は表情を隠す自信があ、ないや。
今、思い出した事に顔を顰めた。
とりあえずという後付けにこう言った。
「体力ばかで誤魔化せます」
「無理よって何であたしがやらないと駄目なのよ!」
「決まってるじゃないですか」
「「そっちの方が面白いから(だろ)」」
マスターの声と同調した。
びっくり仰天した明日菜さんがマスターに指を差す。
「何でエヴァちゃんがいるのよ!」
「いたらいけないのか?」
「マスターは今朝から準備してました」
「今朝じゃなくて前日の夜からだったり」
「さすがネギ先生です」
「……ふん!」
マスター、相変わらずのツンデレぶりです。
そっぽを向いているマスターの様子を眺めている茶々丸さんがいた。
こんな茶々丸さんは並行世界になかなかいないかも知れない。
「ネギ、とりあえずやる事があるんでしょ? 親書の事とか」
「知ってたんですか?」
「木乃香から聞いたの」
今回は僕一人で行動したかったんですが仕方がない。
付いてきそうな明日菜さんがいるから予定を変更しよう。
片っ端から原子崩壊無双出来ると思ったのに!とか思っていないぞ。
「そうそう、ここから先にある恋占いで有名な地主神社があるそうです」
少し距離が離れた所から夕映さんがそう言った途端、委員長さんとまき絵さんが来た。
言う事がほぼ同じなんだろうな。
「ネギ君、行かない?」
「ネギ先生、私と縁結びに行きません?」
「……」
両腕に胸、マシュマロが当たってる。
でも、片方はちょっと足りない?
感触を味わってると3つぐらいの殺気を感じた。
殺気の気配を感じるのは明日菜さんとマスターとって何でマスター!?
「あの、エヴァンジェリンさん?」
「ふん」
何で機嫌が悪くなってるの?
不貞腐れてどこかへ行ってしまったが、問題がまだ残っていた。
「ネギ君……?」
3つの殺気どころじゃなかった。
特に一人の強い殺気が僕に近づく。
強い殺気に僕が振り向くと木乃香さんが笑顔らしき表情で見ていた。
本当にその表情はやめてほしい。マジで怖い。
「木乃香さん?」
「何なん? ネ・ギ・君」
「とりあえず、行きませんか?」
「誤魔化された気分やけど、修学旅行やもんな〜」
最初からそう言ってくれればいいんです。
木乃香の表情がある意味怖かったネギであった。
「そうですわね」
笑みを浮かべた後、委員長さんが景色を見ている明日菜さんを見てる。
何だろう……明日菜さんを見ている委員長さんの目が真剣だ。
依然と違う関係にでも進展したのかな?
「眼を瞑って岩の所まで行けば恋が実ると言われています」
「では、私から行かせてもらいます」
「私も!」
ん? ここって確か妨害があるアホな場所だっけ。
思い出したネギは木乃香さんの手を握る。
まずい、木乃香さんまで巻き込みたくない。
木乃香も出ようとしたがネギに止められた。
「やめてください」
「どうしてなん?」
「直ぐにわかります」
僕の言葉に首を傾げていたが、それが出来事として発生する。
委員長さんとまき絵が岩前の寸前で落とし穴にはまって落ちた。
落ちた2人を救出しようと別の人が助けていた。
そんな状況をよそに木乃香さんが怪しいと眼を細めて聞いてくる。
「……ネギ君、知ってたん?」
「まあ……」
「そうなんや。でも、ネギ君」
「何ですか?」
不満な態度で唸っている木乃香さん
「ウチに、ん〜ん、ウチらに隠してる事無いん?」
「何を言ってるんですか? ある訳ないじゃないですか」
動揺しながらも答える僕。
そんな僕をじーっと疑いのある目で見ていた木乃香だったが、
「隠してないですよ。それより、刹那さんとはどうなんですか?」
2人きりにして進展があればいい。
あれからの事を僕は聞いてみた。
「考えさせてだって」
「いいんですか? 木乃香さん」
「気持ちの整理だけやって、でも、せっちゃんに隠してる事あるからウチも人の事は言えんやん」
確かに、木乃香さんは魔法を知っていて修行も積んでいる。
刹那さんも隠していたのだから同等に見える。
人の過去の重さは違うから、その人によって違うんだろう。
「ねえねえ、ネギ君! このお水おいしいよ」
ヨロヨロになりながら近づいてきたまき絵さんから何か違う匂いがした。
アルコールの様な何かだ。
「お酒!?」
「何でお酒なんか」
「あれでしょ?」
明日菜さんが指をさしたのは上にある樽を指していた。
そういえば、そんな事もあったのか。
「はあ……いいや、エヴァンジェリンさん、手伝ってください」
観客として建物を見ていたマスターは嫌な表情になった。
「何で私が」
「魔法の矢3」
魔法の矢3を的としてマスターに向ける。
これは手伝えと僕の意志が伝わるようにした。
「おい!」
「マスター、私はマスターを守……静観してます」
「ちょっと待て! それでも私の従者か!」
「そうですけど何か?」
何を言ってるんだ?的な表情で首を傾げていた。
何の影響か知らない茶々丸にそれはもう無駄な努力。
「明日菜さんも手伝ってください! このままでは修学旅行を中止になってしまいます」
「わかったわ!」
「ちっ! 不本意じゃないが仕方がない。茶々丸、手伝うぞ」
「わかりました」
酒を飲んでいない人たちと一緒にホテルまで直行させた。
ちなみに、まき絵さんの後に飲んだ人が多くて先生にバレかけた。
バレかけた瞬間、僕が眠りの霧を使って寝かせたため問題がない。
それを見ていた明日菜さんや木乃香さん達が苦笑いしていたという。
〜嵐山〜
ホテルの1階で休憩する僕と明日菜さん
木乃香さんは別行動。
そこで何故あんな事が起こるのか説明をする。
「実はですね、関西の変な魔法団体に狙われてるんです」
「また魔法がらみか、多いわね」
「多くてもいいんですがストレスがたまるんですよね」
「電車の時のカエルとか落とし穴とか子供のいたずらレベルね」
「子供でもお酒はありえないんですが」
「これからどうするんすか?」
ニョコっと僕の懐から出てきた。
何か違和感があると思ったらカモが原因みたいだ。
「いたの?」
「カモ君、いたんだ」
「オレッチってそんなに薄いんすか?」
存在感がないと落ち込むカモ。
付いて来てるどころか存在感すらなかった。
「否定できない」
「小さなミジンコ並みの存在でしょ?」
「オレッチはマスコットキャラッスよ!」
誰が決めたの?
しゃべるオコジョで男の顔にした時はかなり気持ち悪かった。
それに気づいたのは今から数年後だ。
「これからどうするの? 親書を届けるのよね」
「ええ、さっさとあの筆頭爺さんの役目を終わらすしかないです」
「これって学園長のせいでしょ? 何でネギにやらせるわけ?」
「それは簡単ですよ、これが僕の試練として役に立つからです」
元からそう考えている。
大体、そんな役目は大人の人がやるべきなんだ。
例え、英雄の子とか言われていても関係がないと明日菜さんに愚痴った。
明日菜さんは納得しながらも心配な表情で僕に聞く。
「ネギ一人で大丈夫なの?」
「う〜ん、十分に大丈夫ですけど抑止力として来てください」
「抑止力……つまり、止め役ね」
抑止力という言葉に納得して頷く明日菜さんに溜息を吐いた。
それで納得されても困るんですが……。
実際、水晶の中で何もかも破壊しまくってるからなのか。
「ちょっとでも戦闘モードに入ると京都が消し飛ぶかもしれません」
「……わかったわ。行く」
賛成するしかなかった明日菜さん
「お風呂入りに行きますか、明日菜さんも一緒に入りますか?」
「は、入る訳ないでしょうが!」
明日菜さんが赤くなりながら否定する。
僕は露天風呂に向かった。
残った明日菜はネギがいなくなった後
「ま、まあ……2人きりなら別に……」
恥ずかしそうに小声で呟いていた。
〜露天風呂〜
僕は体をきちんと洗った後、湯に浸かる。
「大変な事になったな〜。僕の計画が狂ってるし」
バレる段階が早いし、行き当たりばったりすぎる。
もっと狂う気がする。例えば、僕の知らない秘密がチラチラと存在する。
「ふう……」
やっと休憩ができる。
最近はいきなり!という出来事が多すぎる。
誰かが入ってくる音と気配がした。
その気配が桜咲刹那さんだった。
肌がとてもとても綺麗でした。
一体どこを見ているんだ? このネギは。
「ネギ先生にも困ったものです。もう少ししっかりしてもらわないと」
刹那さんが頼りにさせてください的な雰囲気を出す。
僕って頼りなし?
「別の意味でしっかりしてますけど、アレでは……
湯に浸って気持ち良さそうにしていた。
何かほとんど違う印象になったな。
「木乃香お嬢様……」
夜の月を眺めながら何か考えているみたい。
僕は刹那さんの方へ真剣に見る。
真剣に何を見ているのかは想像で。
「ん? 誰かいるのか!」
ヤバ……気づかれた。
さすがにマシュマロとか綺麗な部分を見ていたのがいけなかったのか?
「出てこい!」
出てこいと言って出てくる者は存在しないんだと思う。
仕方がない。
「出てこないなら切る!」
刹那さんが僕の方へ突っ込んでくる。
僕からは刹那さんを見る事が出来るが、
刹那さんは湯気で僕の事が見えないみたい。
とか考えている内に岩が切れた。
「魔法の矢1」
仕方がなく攻撃する。
それを弾こうと刀を抜いて振る。
すると、衝撃波が発生して後方へ下がったが、瞬動を使ったのか
僕の前に来て、素早く右手で首と左手で下半身の急所を掴んだ。
首を掴む力は喋れる程度だったが、下半身の急所を掴む力は優しかったりする。
これはちょっとヤバい!と別の意味を考えているネギ、一体何を考えている事やら……
「刹那……さん」
「え? ネギ先生」
「ぼ、ぼ、僕の急所、離して、くれませんか」
ヤバい欲望を抑えながら離してもらおうと苦しげに言う。
刹那さんがようやく気付き、僕の首と下半身の急所から手を離してから距離を取った。
「す、すみません」
「いえいえ、それより、何でいきなり」
「敵かと思いまして」
「殺気を出した覚えはないんですが」
「う……」
「木乃香さんの事ですか?」
「はい」
「木乃香さんは刹那さんの翼の事を知ってますよ?
悲しそうにしてたのは本当なんですから」
「私は裏切り者ですから」
「京都の神鳴流ですか?」
「そうです。でも、私はこのちゃんといたい。いいんでしょうか」
「それはわかってると思いますが、木乃香さんは刹那さんの全てを否定しません。刹那さんも自分の気持ちを素直になってみたらどうですか?
素直にならなければ、永遠に失う事もありますよ……」
昔の事を思い出した僕は悔みながら刹那さんに伝える。
今更、自分の過去なんてどうでもいいはずなのに……
「ネギ先生はあるのですか? 失った事が」
「……あります」
「そうですか」
悲しい表情をしている刹那は俯くネギをじーっと見ていた。
が、ここで僕は気づいた。
ここは風呂場、刹那さんの状態、僕の状態とここまで言えば、もうお分かりだろう。
だから僕は刹那さんに忠告した。
「刹那さん、見えてますよ?」
「え?」
何が見えているのか確認する刹那さん
自分の状態を見て真っ赤に染まり隠す。
「ひゃあああああ〜っ!」
木乃香さんの悲鳴が聞こえた。
結構なボリュームなので大きく響き渡る。
「木乃香さんが襲われてる、いや攫われてる」
「このちゃんが!」
必死になって刹那さんが急いで走っていった。
やっぱり、攫われるのか。
魔法知ってる知らないでは何も影響がない。
「影響が何もないか、それがわかっただけでも良しとしますか。さて」
考えをまとめた僕は刹那さんの後を追った。
走る速度はあまり当時と変わらないが。
着替え場に小さいサルが木乃香さんと明日菜さんの服を脱がせている。
ほうほうって感心していると、
そんな僕を見て赤く震えていた明日菜さんが咸卦法を使ってサルを消した。
あのサル、可愛い悲鳴で消えていった。一瞬で消えるとは強くなってる。
「木乃香、大丈夫?」
「大丈夫やけど……あ、せっちゃん」
「このちゃん!」
必死な表情の刹那さんが裸でいる木乃香さんを抱いた。
刹那さんも裸なのは本人も忘れている。
「せっちゃん……」
「あの、いい所でゴメンなんだけど裸で抱き合うのは見てて辛いわ」
明日菜さんが頬を恥ずかしく染めてから、二人とも裸なの忘れているのか?
「「え?」」
「ネ、ネギ先生!?」
「ネギ君!?」
刹那さんと木乃香さんは僕がいる事に驚いていた。
正確には、まだいる事になんだろう。
「木乃香さんと刹那さんは百合な関係だったんですね。わかりました、よ〜くわかりました」
勝手にそう決断した僕はこの場から去ろうと出口へ目指す。
「ちょ、違うんやってネギ君!」
「ネギ先生、誤解ですよ!」
慌てた2人が立ち去ろうとする僕に誤解を解こうとしているが見て見ぬふりをする。
誤解も何もない。2人がキスするぐらいだし、仕方がないよ。
それより、服を着てほしいよ。
「お邪魔しました」
行こうとしたが、変なおばさんが来た。
「木乃香お嬢様、ウチと来てくれへん?」
関西弁みたいだ。
ああ、思い出したぞ?
確か、え〜とと考えて言うと状況が進んでいた。
「このちゃんに指一本触れさせんぞ!」
「そうよ、木乃香を攫おうなんて許せないわ!」
「ほな、行きなはれ! 猿鬼」
変なおばさんが札を投げて巨大なサルを出してきた。
まるで、前に、今で言うと未来で見たアニメ。
そこからピカって出てくるアレを思い出した。
「くっ!」
さすがにここで戦われるのは面倒だ。
ある程度、距離を離れた場所に移動するのが一番。
「高位転移魔法・極移」
透明の魔法陣が着替え場を中心に展開。
展開した後、いきなり場所が変わった。
着替え場から階段がある外に出ていたのだから。
「なんやの!? いきなり場所が」
驚いているおばさんだった。
おばさんだけじゃなく、この場にいる全員が驚いていた。
木乃香達の服もいつの間にか着せられているから、それほど高度の転移魔法。
まさか、いきなりあの場から場所が変わるなど誰も思わない。
「あんな所で暴れられると困るから転移させてもらっただけです。
さて、始めましょうか」
僕は敵に魔法の矢1を放った。
魔法の矢がおばさんに当たる寸前、乱入者の刀で防がれた。
本気じゃないとはいえ、僕の矢を防ぐとは。
「さすがですやん、月詠はん」
月詠さん……刹那さんの後輩で実力が刹那さん以上。
向こうに付かれると殺さなきゃいけないが、それに僕はこの子と……。
その後の言葉を口にせず、月詠さんを懐かしく見る。
言葉の続きは想像にお任せします。
「申し訳ありませんでしたわ〜。もしかして、こんな所とは分かりませんでしたから」
僕が転移させたから当たり前の話。
しかし、問題はどうするか。
ネギ側に入れる方法は簡単、刹那ではなく、ネギを興味に見出せばいい。
なら、やる事は一つ。
行動を決めたが最後、完了まで徹底させてもらう。
「刹那さん、この人は僕が引き受けますので、あのおばさんをお願いします」
「しかし、神鳴流の使い手ですよ?」
「ネギなら平気よ」
「そうやで、せっちゃん」
「このちゃん……わかりました」
2人の説得に折れた刹那さんがおばさんの方へ行った。
「さて、始めましょうか」
両手に断罪の剣を使って構える。
全力が出せないが、油断はできない。
剣術のレベルが刹那さん以上なのだから仕方がない。
「先輩と闘えないのは不満やわ〜」
「僕を侮るとひどい結果になりますよ?」
僕はやる気がない月詠さんに挑発する。
どこまで僕をバカにする。
ネギの姿自身、見た目が子供だから仕方がない。
「小さい子供やのに神鳴流の使い手に喧嘩売るんはやめとき〜」
「仕方がない……僕も」
子供子供うるさい相手にむかっと来た僕は右手の剣を上から下へ振り落とす。
振り落とした時の衝撃波で階段に亀裂が入る。
「なっ!?」
「本当に侮ってると一瞬で終わるぞ。小娘」
10歳には見えない声色で月詠さんにそう言った。
僕の全身からスパークが走ってるのは魔力と気の反発しているせいだ。
魔力だけならもっとスパークが周りを破壊する。
「……そのようやな〜、楽しみですわ」
笑顔で余裕そうにしている月詠を余所に僕は考えていた。
月詠さんを引き込む事が可能かどうか。
なら、気絶させて旅館に連れ込めばいい。
考えが決まった僕は月詠さんに勝負の合図としてこう叫ぶ事にした。
「行くぞ!」
「お願いしますわ〜」
テンションがガクッと落ちてしまった。
そういうしゃべり方なのは分かっていても気が抜ける。
抜けている間に相手がこっちに突っ込んできた。
もうどうでもいいや。と僕も断罪の剣を前に出し突っ込んだ。
僕と月詠さんの戦いが今、始まる。
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