全ての終焉 18 |
第18話『修学旅行編3』
ネギと月詠の戦いが始まる。
僕の断罪の剣と月詠さんの二刀が重なり合う。
月詠さんが笑顔のままで保っている。
「魔法使いやのに対抗できるなんてすごいですわ〜」
「くっ! 魔法の矢10」
この体制から有効に運ぼうと魔法を近距離で使う。
僕の言葉と共に後ろに離れた月詠さんが魔法の矢10を弾こうとする。
両手にある刀で弾く? させるものか。
左手にある断罪の剣を投げ、月詠さんの左の刀を弾き飛ばした。
「ウチの刀ぁ〜」
「雷の暴風」
油断はできないと得意技である無詠唱版の魔法を解き放った。
月詠さんの横を逸れて、おばさんの後方にある建物が消し飛んだ。
建物にぶつかった音がかなりうるさかった。
僕の撃った雷の暴風は減速せずに空の彼方へ消えてしまった。
「斜め上というよりもほぼ前だとこうなるのか」
「な……なんやの、今の」
通り過ぎていった雷の暴風を見て呟くおばさん
「ネギ、あんたね……」
「ネギ君、やり過ぎや」
「ネギ先生って強いんですね」
「当たったらやられるわ〜」
「大丈夫ですよ、僕の目的は……」
月詠さんがこちらを見ていた。
よし、とりあえず驚かそうか。
断罪の剣を消した後、ポケットの中から圧縮させている剣を出す。
「圧縮解除」
聖なる剣を出し構える僕。
剣に自信なんてある訳がないが、この剣に技なんて必要がない。
力と早さ前提で作られたらしいから技なんて無意味な剣だ。
速攻でそれを振り落とす。
剣から魔力の刃が月詠さんを襲う。
刃に反応できない月詠さんへ直撃する。
直撃したのは……
「いややわ〜、服が破けたわ〜」
服が破けて下着ぐらいしか見に付けていなかった。
あれ? この程度の剣でもそうなるのか。
月詠さんの下着の色が派手な色をしている。
自分の元属性を忘れているネギ。
「さて、本気で行かせていただきましょうか」
「っ!?」
月詠さんが片方だけの刀を構えていた。
外野から声がした。
「ネギ、やめて!」
「本気でやったら京都消し飛ぶやん!」
「え!?」
観客気分の木乃香さんの発言に、おばさんと対する刹那さんが驚いた。
初めて聞くなら当り前のように驚くと思う。
誰がこんな子供ごときにそんな力を持つと想像できるというのか。
「大丈夫ですよ。この剣は京都どころか世界を破壊できますよ、てやあ!」
上から振り落とすと、クラッカーの音が鳴り剣から旗が出てきた。
やっぱりこういう道具はクラッカーが一番だ。
月詠さんは呆けていたし、明日菜さん達やおばさんもこちらを見て唖然としていた。。
「なんちゃってする訳ないじゃないですか」
舐められたもんや!と僕を睨みつけてくるおばさんだった。
そんなにしわを寄せると老けますよ?と言ってあげる。
返事が余計なお世話や!と突っ込まれた。
苛々していたおばさんの視線が月詠さんに変わり、悔しそうに叫ぶ。
「撤退するで! 月詠はん」
「了解や〜」
「覚えときや! 特にそこの餓鬼ちょ!」
「ほなな〜」
負けセリフを吐いて逃げるおばさん。
ちょっと赤くなっていた月詠さんが僕に手を振りどこかへ撤退していった。
聖なる剣なんて出す訳ないじゃないか
アメリカンジョークの剣を作ってよかった。
月詠さんの下着の色とか良く見てなかったけど、と不満になるが、
剣の成果に満足した僕は剣を圧縮させてからポケットの中に入れた。
「ネギ!」
「明日菜さん、木乃香さん、刹那さんはご無事ですか?」
僕は木乃香さん達に近づいて治癒魔法をかける必要があるか見る。
別になさそうだ。
良く考えてみれば、戦っていたのは刹那さんだけだ。
戦ってる場面は分かんなかったけど。
「大丈夫や」
「ほとんど見てただけだし」
「本当ですね」
これでしばらくはないと思いたい。
相手もそう安々とこっちに来て返り討ちに会いたくもない。
もし、フェイトが来たら、この辺の地域を犠牲してでも消す。
10歳にしてありえない事を考えているネギに刹那が尋ねる。
「ネギ先生ってどうしてそんなに強いんですか?」
「鍛えたからに決まってるじゃないですか」
「なるほど……」
うんうんと何か納得していた刹那さんがいた。
1000年も生きてるんだから嫌でも強くなるのは当然。
撤退して言った方向を見ていた明日菜さんが呟く。
「あいつら、何で木乃香を狙ってきたの?」
目的はリョウメンスクナを召喚して復讐をするんだっけ?
あの人は復讐なんてした後、喪失感だけしか残らない事を知らないのか?
経験があった僕にとってはくだらない事だと考えている。
「このちゃんの魔力を利用して何かを企んでいるぐらいでしょうか」
「やっぱそれしかないわね」
「ウチの魔力を利用してその関西なんたらの権力を乗っ取るん?」
なんたらって木乃香さんに教えてもいなかった。
一部は明日菜さんから聞いてると思うが、なんたらはあんまりだ。
「一つだけはっきりするのは相手の目的が木乃香さんを攫う事だけです。
木乃香さんに手を出すなんて後悔させてあげましょうか? フフフ」
「兄貴、ものすごく怖いですぜ」
僕の肩に乗っている生き物が怖がる。
何を怖がっているんだ?
生き物を無視して、手を出した罰をそのまま口にする。
「雷の暴風か千の雷、いやもっと過激な魔法でいいでしょうか?
千の雷を10回分補充した魔法波でもいいですね」
僕はとんでもない事を呟く。
そもそも、魔法波というのは呪文詠唱完了した魔法を手のひらサイズまで圧縮させる。
圧縮させた魔力を相手に向けて撃ち放つ技だ。この技は魔法と該当されないらしい。
魔法障壁などが通用しないため、撃ち返すか避ける以外はない。
「ネ、ネギ?」
「雷の暴風は知ってるんやけど、千の雷って何なん? 思いっきり危険な魔法の名前やな」
僕の言葉を聞こえていた明日菜さんと木乃香さんが顔を引きつらせて聞いてくる。
「雷の暴風より何倍も強いですよ? 巨大の岩を蒸発させる事が出来るんですから」
それを聞いた3人とオコジョ1匹が震えた。
何を怖がってるのか僕には理解できなかったよ。
別に明日菜さん達に向けて撃つつもりなんてないし
ネギの言葉で一気に寒い雰囲気が漂った。
「ネギ、そろそろ帰らない?」
「そういえば、着替え場から転移してきたんですね」
「お風呂入る途中で変な人が来たから」
「わかりました。極移」
景色が一瞬にして旅館のお風呂場前に戻っていた。
「では、僕はこれで失礼しますね」
僕は着替え場から出た。
〜旅館・ネギの部屋〜
職員用の部屋だから誰と同じ部屋という事がない。
一応、先生なのだから生徒と同じというのは駄目な事。
そんな事よりこれからの事を考える。
「ふう、月詠さんをどうにかしないときついかな?」
「なあ、兄貴」
おお、カモ君いたんだ。
何時の間にそこへ存在していたんだ?
先ほどからいた事すら忘れていた。
「何? カモ君」
「何で月詠って女に目を付けてるんスか?」
「かなりの実力者だから」
「兄貴の方が全然強いですぜ!」
カモの言う通りだと思う。
1000年も生きてる僕だからこそそうかもしれないが、
前だったら完全に負けてるんだよ?
あの頃の僕はただのガキ当然、何も知らないで正義を振り回していたよ。
月詠さんと闘った時、圧倒されてたし。
僕は思い出しながらカモに呟く。
「月詠さんは刹那さんより強いよ?」
「あの嬢ちゃんよりも?」
「かなりと言っていい、それに気になる事がある」
「気になる事ですかい?」
さっきから覗いているマスターがいたりする。
普通は見えないが魔力の気配を読みとれば場所なんて分かる。
いる場所がドアの前とは……。
「エヴァンジェリンさん、入ってきたらどうですか?」
念話でマスターを呼び掛けるとドアから入ってきた。
この旅館の着物姿だったけど、茶々丸さんはいない。
「邪魔するぞ」
「何しに来たんですか?」
僕の横に座るマスター。
マスターから石鹸の匂いがした。
すると、僕に用件を言ってくる。
「ぼうや、侵入者がいたみたいだな」
「分かってたんですか? なら、助けに来てくださいよ」
「ふん、あんな奴ら簡単にどうとでもできるだろ?」
「全員じゃありませんから」
全員という単語に反応してこっちを見る。
私の出番はないのかとか小声で呟いている。
「あと一人いるんですよ。明日菜さん達では太刀打ちできないほどのヤバい奴が」
「なるほど。なら、私がどうにかしてやろう」
「それは嬉しいですね。そんな事より僕の事をぼうやよりネギって呼んでほしいです」
嫌そうな表情をするのを予想して言葉にした。
マスターの反応を見ると難しい表情になった後、僕と目が合うと赤くなっていた。
なぜに?
「の、呪いを解いてもらった事もあるからそう呼んでやるから感謝しろ。……ネ、ネギ」
赤くなっている顔を見せたくないと横に向けた。
マスターはどんな世代でもツンデレだと僕は改めて知ってしまった。
何で名前で呼ぶようにしたか? 今からで言う未来でマスターと、かな。
つい懐かしくマスターの頭を撫でてしまった。
「な、何をする!」
撫でていた手を払いのけられた。
僕の名前を呼ぶぐらいだからいいと思ったが、まだ無理みたい。
横に向いていたマスターが真剣な表情で僕を見る。
「これから何が起こるのか知ってるのか?」
「知りませんよ? ただ、危険な事が起こるのは確かですね」
「まるで未来を知ってるかのような言い草だな、ネギ」
「何でそう思うんですか?」
「……いや、いい。単なる私の推測だ。そもそもありえん」
推測……もしかしてマスターは気づいているのかな?
僕の中にはマスターのアレがある。
アレに触れた瞬間、分かってしまうかも知れない。
僕は笑みを浮かべて聞いてみた。
「エヴァンジェリンさんの推測はどんな事なんですか?」
「はっ、私でも信じられない事だ。だが、嫌でもない」
「嫌でもない?」
マスターの声色から我慢してとか無理やりな感じがしなかった。
隣に座ってくるのは違和感がある。
「私と同じ感じがするだけだ」
「そうですか……」
アレを感じていると言う事はどうなんだろう。
僕はそれを確認しようと立ち上がり、向かい合わせになるように座る。
「もう、話してしまおうかな」
その言葉にマスターが目を見開く。
もう隠しきれないかも知れない。
マスターを、エヴァをこれ以上アレに苦しまれないようにしなきゃ。
僕はマスターを真っ直ぐ直視してこう言った。
「エヴァンジェリンさん、今から信じられない事を話します。
偽りのない話ですが、胡散臭いと思うなら聞き流してください」
「ちょっと待て!」
「何ですか?」
「今は、今だけは話すな」
止められた僕は驚愕する。
話すなって何? どういう事なの?
「どうして、ですか?」
「盗み聞きする奴らがいるからだ」
「はい?」
マスターが扉の方を差す。
扉の方を見ると、申し訳なさそうな表情をした明日菜さん達がいた。
呆れた僕は明日菜さん達に声をかける。
「何をしてるんですか?」
「えっと」
「明日菜がネギ君の部屋行こっていうから」
「木乃香が言い出した事でしょ!」
なるほどって事はちょっと待て。
先ほどまでの会話を全部聞こえてたの?
その事を明日菜さんに尋ねてみる。
「いつから聞いてたんですか?」
「エヴァちゃんが入った所から」
「最初からですか」
マスターが僕に呆れた表情を見た後、溜息をしていた。
せっかく僕の事を話そうとしたのに邪魔をするなんて
この段階でばらす予定であったけど後にする。
問題が一つだけ残っていた。
それは木乃香さんが僕の肩に手を置いて笑顔で呼んでいた。
「ネギ君、エヴァちゃんに話そうとした事の内容って何なん?」
「え〜と、エヴァンジェリンさん、この事は後の方でいいですか?」
「別にかまわないが」
「エヴァちゃんはええの?」
「推測だけだ」
「推測だけでも言う気ないん?」
マスターに迫っていく木乃香さん。
好奇心というよりもあれは自分より知ってる事に嫉妬するって感じ。
「ネギ」
「何ですか?」
「今度って事は私達にも教えてくれるんでしょうね?」
明日菜さんが笑顔で迫ってくるのが無駄に怖い。
僕達の光景を見ていた刹那さんはボーっとしていた。
普段の木乃香さんと違う所に放心している。
「今度といっても結構、後の方ですけどね」
僕の答えを聞いた明日菜さんが怖い雰囲気ではなく普通の雰囲気になり
「分かったわ。でも」
いきなり明日菜さんは僕を抱きしめてくる。
今の明日菜さんは浴衣だからそのむ、マショマロが正面に当たっている。
温かい気持ちにさせてくれる。
気持ち良くその気分を味わっていると魔法の矢が飛んできた。
僕は魔法の矢を弾こうとするが、明日菜さんが左手だけで叩き落とす。
「明日菜さん、気づいていたんですか?」
「まあね、それより何すんのよ! エヴァちゃん」
魔法の矢を撃ってきたのはマスターだった。
こちらを見ているマスターが明日菜さんに指を差す。
「やかましい! 人の前でいちゃつくな!」
「それに関しては同意やな」
なぜに木乃香さんまでマスター側なんですか?
駄目だ、止めようがない。
一つだけ方法があった。
僕は放心してる刹那さんの肩を揺らす。
「ネ、ネギ先生……」
「この状況を止めてください」
我に戻った刹那は木乃香とエヴァと明日菜を見ると難しい表情になる。
結論を考えた結果
「無理です」
「そうですか……」
結局は爆発オチがいいんですね。
そう考えた僕は刹那さんにだけ対魔法防御を貼り、3人に両手を向けてから、静かに呟く。
「範囲、この部屋のみ、目標敵対3人に向け……雷の暴風充填!」
ネギの魔力を感じた3人がネギを止めようと説得しようとする。
「「ちょっと待って!」」
「おい!」
そんなもん、無視するに決まっているとニヤッと口を歪めた。
もう魔力は発射準備完了、この3人に裁きを。
もはや別人であるネギは雷の暴風を発射した。
「嘘〜ッ!!」
3人が同じ言葉を叫んだ瞬間、この部屋から轟音がした。
この部屋のみだから誰にも聞こえなかった。
黒くなった3人を放置。
部屋を修正した後、刹那さんに3人の事をお願いした。
その時の刹那さんが必死にブンブンと縦に振っていたのは何故?
とりあえず、これでゆっくりと眠れると布団に寝転がり目を瞑った。
「バラすのは当分止めよう。今は……せん……」
言葉を続けようにも眠気に耐えきれず夢の中へ。
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