全ての終焉 19 |
第19話『修学旅行編4』
鳥の鳴き声がしていた。
起きてみると誰もいないし、一人だから当たり前。
僕は朝になっている天気を見て状況を確認。
「魔力、体調は正常っと、昨日何をしてたっけ?……ああ、エヴァのアレか」
アレとは人間に戻す時、真祖の力を全てネギが引き受けた。
簡単に言えば、真祖の塊だ。
人間として生きてみたいと言ったから僕が真祖の力を吸収した、
今の僕はそれを持っている。
「まあ、アレを打ち込むと同時にエヴァと僕の関係がわかる」
人間になった瞬間、魔法使いとして覚醒を始めているし、
なぜか吸血鬼としての能力もあったが不老不死はない。
「どうなる事やら」
昨日の浴衣から教師専用に装備。
今日は何処回るんだっけ?
全然覚えてないけど、確か小太郎と会うんだっけ?
どうだっけ?と悩みながらも次の行動する事にした。
魔法陣を空中に展開した後、中心から杖が生き物のような動きで出てきた。
「この杖、何のために役に立つんだろうか、役に立った事ってあったっけ?」
杖の存在理由を考えていたが、外が騒がしかった。
ドタドタと足音がして、どんどん音が激しくなった後、戸が開いた。
ハルナさんとのどかさんがいきなり入ってきてこんな事を言い出した。
「ネギ先生! のどかが先生とデー!」
「わあああ〜ッ! ハルナ、何を言ってるの!」
慌ててのどかさんがハルナさんの口を塞ぐ。
用件はわかってるよ。
誘いに来たんだろう。と想像した。
魔法バレの段階で分かり切っていると心の中で頷く。
「ネギ先生、のどかはネギ先生と回りたいんです」
「ちょっと! 夕映まで」
夕映さんがのどかさんの隣に立っていた。
いつ来たんだ?
魔法の事を知っている2人、
仮契約をした方がいいかな?なら、都合が良い。
「いいですよ」
「ほら、のどか!」
「良かったですね、のどか」
「うう〜……」
涙目になってるのどかさんを連れて部屋から出た。
何も起こらなければいいけどって運命とはそんなに甘くない。
後に起こる出来事を知っている僕はガクンと俯いた。
〜旅館・食事〜
クラス全員が座り食事をしていた。
酒騒動で記憶がない人もいるみたい。
僕が慣れない年でお酒を飲んだ時、僕を中心とした100m範囲が消し飛んでた。
何が起こったのか今も知らない。
空しい気分が漂っていると木乃香さんが僕の隣に来た。
「ネギ君、今日はどこか回るん?」
「本来上の目的を果たそうと思いまして」
「親書の事でしょ? 明日にしたら……」
「明日菜さんはいいんですか? 明日にしたとしても思い出作りなんて」
「何言ってんのよ、一人で任せる訳ないでしょ!」
「確かにそうやな」
「わかりました、明日にします。刹那さんはどうしたんですか?」
名前に反応した木乃香がキョロキョロと見回してキラーンと目が光った。
木乃香さんには刹那さん発見センサーでもあるんですか?
本気でそう疑いたくなった。
「せっちゃ〜ん! 一緒に食事せえへん?」
「いえ、まだ慣れませんので」
遠慮しておくと逃げるように刹那さんが別の場所へ移動した。
仲良くなってるのはお互いが親友だからかな。
絆が繋がってる感じがする。
「せっちゃん……」
「大丈夫よ、木乃香」
「まだ慣れてないだけかもしれませんよ」
「そういえば、ハルナから聞いたけど一緒に回るんだって?」
何時聞いたの?あれって僕が聞いたのは先ほど。
僕が知らないうちに聞いてるなら何も言わない方が良いか。
夕映さんとのどかさんの今後を考えてから呟く。
「実はそこでアレをしようと思いまして」
「アレね」
「仮契約やな」
人差し指を出し、笑顔で言う木乃香さん
どっちにしろ、必然な出来事だと僕は頷いた。
そんな話をしながら食事が終わらして、旅館から移動を開始した。
〜奈良公園〜
奈良公園と言ったら大仏殿がある。
二度目だし、見なくてもいいけど仕方がなくだ。
明日菜さんが僕の肩にポンと叩く。
「ハルナは任せて」
優しい声色で答えてくれた。
何かこんな明日菜さんは初めて聞くかもしれない。
僕はのどかさんと夕映さんを呼び出した。
「ネギ先生」
「一般人が魔法を知っていて秘匿状態にさせるのは困難なので仮契約をしたいと思います」
「か、仮契約!」
「あわわわ」
赤くなる2人。
キスぐらいで赤くなるのは困るんだけど。
「さっさと仮契約を済ませてしまいましょうか。他の先生とかにばれたら問題ですから」
一般人を巻き込む訳にはいかない?
夕映さんと木乃香さんは才能があるから別にOKだ。
できるかぎり、以前より強化しておきたい。
そう言ったネギは魔法陣を地面に展開。
緑色に光り輝いている。
「魔法陣の中に入ってください」
「はい」
「なるほど、これが魔法陣なのですね」
興味が出てきて中に入る夕映さんとのどかさん。
この魔法陣はカモのようにスカートが捲れないんだって!
「今のうちに決心だけ聞いときますが魔法はあくまで裏の世界、
とても危険で下手したら命さえ失ってしまう可能性があります。それでも宜しいですか?」
二人の返事を待つ。
人生に関係する事だから悩むのは当然なはずだったんだが、
「覚悟はできてます!」
「私もです」
「……わかりました」
緑色の魔法陣が強くなった。
言葉を聞いた僕はのどかさん、夕映さんに仮契約の儀式をした。
光が走り、治まった後、仮契約カードを渡す。
「これがアーティファクトです。アデアットで発動、アベアットで閉じるぐらいです」
「そうなんですか」
「なるほど」
「ちなみに、のどかさんのはあまり悪用はしないでくださいね」
「え?」
疑問の声を呟くのどかさんに説明をする。
のどかさんのアーティファクトは相手の心を読む。
心を読むより人にも見えるアイテムは反則だ。
「後、僕の心は覗かないでくださいね。大変な事が起きますから」
「わかりました」
これで大丈夫だろう。
僕の心なんて読まれたらかなりまずいしね。
相手が精神崩壊する可能性がある。
理由は後で明らかになる。
「後の事は修学旅行終わってから説明しますね」
「はい」
返事をしてくれたのはのどかさんだけ。
夕映さんはじーっとカードを見ていた。
そんなに嬉しかったみたいだ。それはそれで結構。
「明日菜さん達の所に戻りましょうか」
「そうですね」
「はい」
のどかさんの表情が自信に満ちていた。
僕達は明日菜さん達の所へ戻った。
「のどか、ネギ先生とお話しできた?」
「え、うん」
「私もいたので緊張が薄れてました」
「へえ〜、で? 何を話したの?」
「秘密です」
「ま、いいわ」
俯いて答える夕映さんにふ〜んとじーっと見つめた後、笑顔で答えた。
勘ぐられてるかもしれない。
バレるのも時間の問題だけどいいや。
横を見ると明日菜さんがいた。
明日菜さんが僕と目が合った後、話しかけてきた。
「ネギ、アレしたの?」
「しました」
「そう」
僕の答えを聞いた明日菜さんが胸に手を置いて安心していた。
それだけの会話で終わった。
夕映さんの仮契約に関しては早すぎる気がします。
修学旅行後だから、あまり変わらない。
「これからどうするの?」
「これからですか? 今日はやめておきましょう」
「どうして?」
「明日菜さんはハルナさんがいる前で行けますか?」
知ったら周りの人にも知れ渡るほどの口の軽さで今は行動したくない。
そう念話を送ったら明日菜さんが呆れて答えを出す。
「無理ね」
「3日目じゃないと行動もつらいと思います」
「今日は何か私もそんな気分だしね」
明日菜さんの言葉を聞いた瞬間、いきなり強大な魔力を感じた。
この魔力はまさかと思い、明日菜さんに伝える。
「大仏殿に行ってきます」
「見ても面白くない気が」
「折角ですから」
「そう、私は木乃香の方を見に行ってくるわ」
刹那さんの事かと思い、僕は頷く。
「わかりました」
僕は明日菜さんとは違う道を歩いた。
〜大仏殿〜
大仏殿、そういえばのどかさんと一緒に来たんだっけ?
今は一人だから何気に寂しい気がする。
大仏を眺めているとそんな感じがした。
眺めていると、景色が白くなった。
この大仏殿じゃなく全てが白くなっている。
こんな事が出来るのは僕もどきか。
背後からいきなり現れた。
「聖なる鎖を見つけた」
手に持っている物を見ると、確かに鎖だ。
どうみても鉄の塊でしかない。
「どうみてもその辺にある様な鎖にしか見えない」
「俺も思った。けど、これがそうなんだ」
「そうなんだ」
僕もどきから鎖を受け取った。
すぐに鎖を圧縮させてポケットの中に入れる。
「これで全部そろった訳だ」
「うん」
「俺の役目も終わった事だしお前の中に戻るとしよう」
「……一つだけ聞いていい?」
聞きたい事が一つだけあった。
「何だ?」
「僕の魔力が弱いのは僕もどきのせいなの?」
「違う、お前の体が10歳の頃のままだからだ。元の姿に戻れば全開になるだろう」
「どうやって戻るの?」
「……さあな」
僕もどきは魔力の塊に戻り僕の中に入ってきた。
複製した魔力だから戻っても加算される訳がない。
白い空間が元の景色に戻った。
「ネギ!」
明日菜さんの声がした。
声がした方向へ見ると明日菜さんと木乃香さんと刹那さんがいた。
刹那さんは木乃香さんにべったりとくっ付いている。
「どうかしたんですか?」
「そろそろ戻ろうって話が出て」
「もうそんな時間ですか」
大した出来事がないから、平和だからみたい。
それはいいんだけど木乃香さんの方へ見ると、
「こ、このちゃん!?」
「せっちゃ〜ん!」
「はあ……」
木乃香さんと刹那さんが百合関係に見えるのが困る。
だって、抱きついてお互いが顔を赤くしてるし。
大仏殿から出て、ベンチに座っているハルナさん達の方へ歩く。
「戻ります」
「退屈だもんね」
「私は興味深いと思いますが」
「興味ね、興味がなければ意味ないわ」
それは言ったら駄目ですよ、ハルナさん……。
はっきりと言い切ったハルナさんを見て苦笑した。
「旅館に戻りましょうか」
「そうね」
「ネギ君」
「何ですか?」
「戻るんは早いと思わへん?」
木乃香さんの言う事も分かるが、ここは退屈なんです!
それを意気込みながらも皆に納得するような言葉を言う事にした。
「ここは何もありませんし、それに別の意味で色々ありましたから」
僕の言葉にハルナさん以外は納得の表情になる。
魔法の事なのは確かなんです。
「考えたい事もありますから」
「わかったえ」
そうして、僕達は旅館に戻った。
〜旅館の屋根上〜
今は夕方だ。
ここだと誰も来ないからいい。
屋根上に来た僕は座り込んで考える。
「これでパーツは揃ったけど、使うのは当分後だからどうしようか」
いくらポケットに入ると言っても
何時までも中に入れる訳にはいかない。
盗まれでもしたら大変な事になる。
危険な状態にならない様にどうしようか考えていると一つだけあった。
「カード化にすればいいんじゃ」
アーティファクト扱いとして使用出来れば便利だと答えが出た。
「よし、帰ったら速攻で作るか」
屋根上から下に降り、旅館に入った。
〜旅館〜
入口付近にあるベンチに座る。
「ふう、あれ? 杖どこにやったっけ?」
気が付くといつの間にか杖がない。
「まあいっか。どうせ要らないし」
父親の形見である杖の扱いが悪かった。
ナギ、哀れ。
しばらく、座っているとあやかさん達がいた。
じーっと見ていると、あやかさんが嬉しそうな表情になった。
他の人もあやかさんの表情でこっちに気付いたみたい。
「ネギ先生」
「ネギく〜ん!」
僕に近づいてきて抱きしめてきた。
だから何で抱きしめてくる。
僕はぬいぐるみか何かだと思われてるのか?
「あやかさん、まき絵さん」
「今日はどこへ回ったの?」
「奈良公園です」
「ネギ先生以外はいませんの?」
「どこにいるかまではわかりませんよ」
「告白とかされた事は?」
ああ、のどかさんの事ですか。
魔法の事が先に来たから後になるかな。
あやかさんが裕奈さんに何か言ってる状況を見ながら考えていた。
「裕奈さん、何を言ってますの!? 私以外に告白なんてする人が……いませんわ!!」
「まあ、仕方がないんじゃない。ネギ君って人気高いし」
裕奈さんだけじゃなく何で桜子さんまでいるんですか?
人気って何の話ですか!?
ネギは知らないだろうが、女子の中で話題になっている。
当然、ネギ自身には知りようがないため、首を傾げるしかない。
いつの間にか人数が増えてきてるってああ、夕方だから帰って来てるのか。
「どうしてそこで沈黙するかな」
「ネギ君は確かにかわいいしね」
まき絵さんが僕の頭を撫でてそう言ってきた。
中身は1000歳ですが、
「頭もいいし」
うんうんと頷く桜子さん
英雄である親、父さんに憧れて勉強を必死にしましたから。
「最近はしっかりしてるし」
ドッジボールイベントが無くなってるから評価が普通なんですね。わかります。
「ネ〜ギ先生!」
「お姉ちゃん」
そう言えば、風香さんと史伽さんとは話した事がありませんでしたね。
「何ですか?」
「修学旅行が終わったら付き合ってくれません?」
「何処までですか?」
「それは内緒です……」
史伽が赤くなって呟いた。
まさか、世界樹までとかだったらやっぱりっと思う。
史伽さんと風香さんがじーっと見つめてくるから観念して頷く。
「いいですよ」
「本当! やったね」
「お姉ちゃん、待ってぇ!」
史伽さんと風香さんは部屋へ走っていった。
走るのは良くないんですが、
「双子ちゃんに先越されちゃったね」
「か、構いませんわ」
「お、余裕だね」
裕奈さんもあやかさんを挑発しないでください。
全てが僕に行っちゃうんですから。
「ネギ」
「あ、明日菜さん」
背後に黒い何かが漂っていた。
何これ? 新たなオーラっすか?
テンションがパニック状態に落ちる。
「ネギ君、ちょっとええ?」
「な、何ですか?」
木乃香さんが僕の腕を引っ張っていく。
あやかさん達は木乃香さんの雰囲気に立ち止まっていた。
僕が連れられた場所はエヴァの部屋だ。
この場にいるメンバーは明日菜さん、刹那さん、木乃香さん、茶々丸さん、エヴァ
そして僕だった。
「何でここに」
「魔法関連やから」
「これを見ろ」
エヴァが一枚の紙を渡してきた。
受け取った僕は中身をみる。
「何ですか、これ」
「見ての通りだ」
それは分かってるんですが、書いてる事が滅茶苦茶です。
字も読める事は読めるんですが、ミミズみたいな字。
そもそも、エヴァはこれを何処で拾ったんだ?
「脅迫状みたいだわ」
「脅迫なんですか?」
ちなみに、こう書かれていた。
『明日、あんたら、もといガキンチョをギタンギタンに言わしたるさかい!
木乃香お嬢様を攫い、封印されし伝説の魔物を復活させるで!』
この感じは誰か特定できた。
あのおばさんか、まったく迷惑な話です。
でも、疑問が一つだけあった。
「伝説の魔物?」
「相手は簡単に教えない様にしてるんだろう」
「この辺で封印されてる魔物?はなんですか?」
魔物だっけ、違う気がする。
何だっけ? 忘れてしまったからどうでもいい。
僕の言葉の答えに刹那さんがこう答えた。
「リョウメンスクナだと思います」
「知ってるん?」
「長が、このちゃんのお父様がそう言ってました」
「あいつか」
「木乃香さん、攫われる気ありますか?」
「「「「は?」」」」
木乃香さん達が僕の思いつきに疑問の声がした。
「ウチ?」
「僕は思ったんです。リョウメンスクナを完全消滅させれば、あのおばさんを……ね」
薄く笑みを浮かべる。
強引に前回と同じ状態にしようと思った。
同じとは限らないし、ここで消滅させとかないと妙な事が起きそうだ。
「リョウメンスクナって強いの?」
「一般の魔法使いなら腹がたたんだろうな」
「僕も一般ですからね」
「「「嘘つけ!」」」
3人一斉に答えなくても。
知らない刹那さんと茶々丸さんはボーっとしている。
僕の魔法って手加減すれば普通の魔法なのに。
落ち込む僕の肩に茶々丸さんの手が置かれた。
「ネギ先生」
「何ですか?」
「それは危険だと思います」
「茶々丸さん、大丈夫ですよ。リョウメンスクナごと封印されし部分も消しますから」
「封印じゃなく完全消滅か、フフフ……私も協力してやるぞ! ネギ」
エヴァもやる気満々なようだ。
ストレスがたまってるのか、封印状態だったからなのかわからない。
どっちでもいいが、かなり強大な味方なのは確か。
「どっちみち、強力な相手だと攫われてしまいますけどね」
「まあね」
「相手が狙ってくるとしたらお風呂ですね」
「警戒はしないと」
「旅館でも平然と狙ってくるもんね」
「トイレもやけど」
「安全がないですね」
「攫われてしまえば、手間はないんですが」
「木乃香を危険にさらせっていうの?」
無防備で相手に攫わせる訳がない。
ちゃんと対策ぐらいは取るさ。
「大丈夫ですよ。防御魔法で護ってれば」
「ネギ君、ウチを守ってくれるんやろ?」
こう言う時の木乃香さんって可愛い。
わざわざ両手で僕の手を包み込むように握ってくる。
「はい」
「ウチ、やる!」
強く答えた木乃香さんの目が燃えていた。
こんな状態の人を止めるのは無駄な事。
誰もが絶対に味わうであろう強大な意思。
「木乃香が言うなら」
「このちゃん」
俯く刹那さんに明日菜さんが明るい声で背中を叩く。
「大丈夫よ、エヴァちゃんやネギもいるんだから」
「そうだ、私がいるからな」
「中ボスですけどね」
「ネギ、決着をつけようか」
エヴァが殺意のある視線と爪を伸ばした。
決着は付けてもいいけど、朝倉さんの事を思い出す。
バレる状況も全く違うから前回と参考にもならん。
それなら合わせる為に外へ出るか。
「ちょっと外へ行ってきます」
一度、立ち止まりエヴァの表情を見るとやはりムッとしていた。
実行しようとカモを生贄にポイっとエヴァへ放り投げる。
「煮るなり焼くなり好きにしてください」
「ちょっと、兄貴!?」
「こいつを食ってもまずいだろうから何もせん」
「残念ですね……では」
本当に残念そうになるネギを見て、カモが石化した。
カモ君の事などどうでもいい僕は旅館の入り口前に向かう。
出口前に着た僕はこう呟いた。
「朝倉さん、隠れてないで出てきたらどうですか?」
すると、死角になっていた場所から朝倉さんがいた。
やっぱり、同じですか。
溜息を吐いた後、あはは。と笑う朝倉さんに
「どうして僕の後を付けてきたんですか?」
「気づいてたか……ネギ君の秘密が知りたくてね。
だって、10歳の子供が先生なんて普通はあり得ないから」
まともな意見っぽい事を言うな。
僕だって好きで教師になった訳じゃない。
「なるほど、一つだけいいですか?」
「お?」
「これを知った場合、世界にばらまくんですか?」
「ネギ君の正体によるわ。そうね、魔法使いならそうしたいわ!」
前と変わらねえ、状況が違うから何かあると思ったら変わらない。
僕の知らない裏事情は明日菜さんの夢と木乃香さんの事だけなのか?
そういう事にしとくか。
仕方がない。釘を刺しておきますか
「世界にばらまいたとしても、あなたの身に危険が無いとは限りませんよ?
最低でも記憶を消されます。事実上、僕は魔法使いですが、
記憶かオコジョどっちかは確定になりますので、世界にばらまくのはやめてほしいですね」
「オコジョ!?」
「はい」
僕の言葉に朝倉さんの表情が青ざめた。
オコジョになるか記憶を消されるという処置は魔法界で当り前になっている。
これは混乱を招かないためらしい。
時期が悪ければ戦争が起こってしまうのは僕が一番知っている。
朝倉さん、どうしますか?
「ネギ君の秘密、探すのは……」
「探すのは?」
「私個人のためだけにする!!」
「はい!?」
個人? ネットにばらまく事も言いふらす事もしないって事?
そうなのかどうか朝倉さんに問いただす。
「さすがにオコジョとか勘弁だわ」
「そうですか、わかりました」
僕は朝倉さんの言葉を信じて影のゲートへ潜った。
潜る途中、朝倉さんの表情が目を見開き驚いていた。
ゲートの中で僕はやっぱり考え直し、話をしようと朝倉さんの足を掴み引きずり込んだ。
「ネギ君、ちょっと!? や、やめ」
抵抗するもネギの力に勝てる訳もなく、強制的に朝倉が影に飲み込まれて消えた。
幸い、誰もいなかった。
誰もいないからって魔法をポンポン使う当時より変わり過ぎるネギであった。
next 第20話へ
説明 | ||
第19話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
2353 | 2261 | 1 |
タグ | ||
逆行 ネギま オリジナル魔法 | ||
ラグエスさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |