全ての終焉 33 |
第33話『小太郎とヘルマンの事故処理とアーニャ』
ヘルマンを倒した後、小太郎を含む侵入してきた件を伝える為、
学園長室へ向かう事になった。
〜学園長室〜
僕達は学園長室の扉を破壊して入った。
学園長は何事かと僕達を見ている。
破壊したのは僕だけど
「学園長、夜分遅くにすみません。実はですね。
今日の夜に一人の魔族が侵入しまして、明日菜さん達を攫って僕を引き寄せてきたんです」
「何じゃと!? それは本当かのう?」
「嘘は言わんさ。まあ、ネギが倒したからいいが、学園の結界が弱すぎるんじゃないか? 京都の本山といい、この学園といい侵入されるのは問題だぞ、爺」
エヴァが言いたい放題で学園長に言い放った。
確かにそうだ。
京都の時だって、結界がちゃんとしてれば木乃香さんが攫われることはなかったというのにね。
「うむぅ、それは後ほど検討しようかのぅ。そこの少年は?」
学園長が小太郎を指さす。
「犬神小太郎をこの学園で居させてほしいんです。
彼、お金が無いせいで住む場所もなく両親がいなくて一人ぼっちなんです。
寂しくて寂しくてもう生きていくのがやっとらしいので……」
「それは可愛そうじゃのぅ」
「ちょっと待てや! ネギ」
僕の嘘話を信じてくれた学園長は涙を流していた。
小太郎が僕の作った話に突っ込んできた。
僕は小太郎の耳に小声でつぶやく。
「いいじゃない。成功すればここにいれるし、いつでも僕と勝負もできる。
そして、さらには衣住食が与えられるんだから」
「本当か?」
「誰も嘘は言わない」
「わ、わかったで。今回は我慢したる」
「そうじゃのう。小太郎君には学校生活を主に警備員をやってもらいたいんじゃが」
「警備員?」
僕は首を傾げている小太郎に指摘する。
「ここを護るための兵みたいなものだよ」
「つまり、侵入者がいたらぶちのめせって事かいな?」
「侵入者というよりもこの学園を狙う魔物じゃな」
「召喚してくる魔物かあ、いいで!」
「では、男子寮に手続きをしに行ってくれんかのう?」
学園長が机の引き出しから数枚の書類を出し筆ペンで書き込んだ。
僕は書類の中に何が書かれているのかを見た。
そこには『転入手続き』と書かれていた。
「おじいちゃん、それって偽造やろ?」
「仕方なかろう。家の無いご両親もいないんじゃあどうしようもない」
「それはそうやけど」
「木乃香、仕方ないわよ」
「私もそう思います。このちゃん」
明日菜さんと刹那さんが木乃香さんを。
確かにそうなんだけど、今は仕方が無いんだ。
小太郎の両親は既に亡くなっているらしいし。
僕の記憶では、だけどね。
「書けたぞ。小太郎君よ」
小太郎へと書類を渡す。
それを受け取った小太郎は入口の方へ向かおうとしたが立ち止まる。
「そういえば男子寮ってどこや?」
「女子寮の一つ駅先じゃ」
あれ、そうだっけ?
今住んでる部屋に地下があるなど色々とおかしいから場所が変わっていても不思議ではないか。
それはもうどうでもいいよ。
場所を聞いた小太郎は子供の様に走っていった。
「学園長、いいんですか?」
「何がじゃ?」
「小太郎はここへ侵入してたんですよ? しかも学園側が感知できない方法で」
それを聞いた学園長が唸っている。
今さらな気がするし、学園側の反応が遅いと妙なイレギュラーが起こりかねない。
「そういえばアーニャの件は?」
「うむ。そこにいるのがアンナ・ユーリエウナ・ココロウァじゃな?」
僕の背後にいたアーニャが前に出てきて
「は、初めまして、アンナ・ユーリエウナ・ココロウァです」
緊張した声で挨拶をする。
学園長はうんうんと何か頷いていた。
そのうんうんの意味がわかっているのは恐らく僕だけであろう。
「ネギ君の幼馴染と聞いたが」
「はい!」
「……木乃香のライバルに匹敵じゃな」
学園長の発言に驚く木乃香さんとエヴァが慌てて、
「こら、糞爺! 何を言ってるんだ!」
「何を言うとるん!?」
「ライバルって」
僕と学園長以外が混乱する。
明日菜さんはアーニャを見て、憐れみな視線を送っていた。
憐れみって体格の事ですか? 明日菜さん
それにしてもライバルねぇ……ハーレムを目指す僕には関係ないんだけど。
「あ、あ、あの! 私はべ、別に」
「アーニャちゃん、赤くなってる時点で説得力無いわよ」
明日菜さんの言う通り、今のアーニャは赤いから説得力が何もない。
あれ? 明日菜さんってアーニャにも呼び捨てだったような……気のせいか。
それはそれとして気になる事が一つだけあるんだ。
今、学園長に挨拶したんだよな。
「アーニャ」
「な、何?」
「どうして制服姿な訳?」
それが聞きたかった。
何でアーニャは麻帆良学園の制服を持ってたの?
アーニャから帰ってきた答えは普通だった。
「手紙と共にあったのよ。それでだけど?」
「一度着てみたってわけか」
「うん」
手紙と一緒に来ていた、ねぇ。
頷いたアーニャを見て同時に思った。子供だなぁっと。
そういえばこんなかんじだっけ、とアーニャの性格を思い出していた。
「皆が呼んでいるアーニャと呼ばせてもらうが、アーニャ君の件じゃが、
明日、木乃香のクラスに編入じゃ」
「もうクラス決めてたんですか?」
「ネギ君の補佐じゃからのぅ」
「どうして僕の補佐なんですか? 僕がミスを犯した事ありましたっけ?」
学園ではちゃんと教師として仕事をしているはず。
サボった事なんて全然ないし、休んだ事もない。
何が原因で補佐なんてあるんだ?
「実はのぅ、ある人物が強引にネギ君の補佐をってやったらしいんじゃ」
「強引!?」
「誰なんだ? そんな事した奴は」
「向こうに聞いても明かしてくれんのじゃ」
こんなやり方、あの人しかいない気がするんだけど。
しかもアーニャ、でしょ? 確実にネカネお姉ちゃんだよね。
頭の中で思っていると、外側は話を進行していく。
「そいつが原因でネギの幼馴染を送り出したのか。やるな」
「マスター、一番の不利です。体の成長的に」
「だ、黙れ!?」
「ああ、ダ、駄目です。ゼンマイを巻いては……」
茶々丸さんの指摘に怒るエヴァは茶々丸さんのゼンマイを巻く。
巻かれた事で悶絶となっていく茶々丸さん。
まあ、この状況は無視しようか。
「なんとなく犯人は分かりました」
「誰なの?」
「誰なん?」
明日菜さんと木乃香さんが僕に詰め寄ってきた。
僕の姉だって言ったら、うるさくなりそうだ。
だから僕は誰もが嫌がる様な事を宣告した。
「それは言えません。詰め寄った瞬間、うっかり詠唱版の雷の暴風をやってしまいますよ?」
「うっ、それは嫌やな」
「魔法無効化を無視する魔法は受けたくもないわね」
「むっ!?」
経験ありまくりの2人は青ざめながら横に首を振る。
学園長が明日菜さんの発言に驚愕して目を向けた。
「どうかしたんですか?」
「何でも無いんじゃが、明日菜くん」
「はい」
「君の、自分の能力を知っとるんじゃな?」
「魔法を無効化するという事だけです」
「そうか、なら……エヴァに鍛えてもらいなさい」
学園長の優しい口調に明日菜さんが驚く。
無理もないか。明日菜さんはあの人の娘さんみたいな感じだしね。
襲われる可能性もあるから、強くなる必要がある。
「わかりました」
「本当はその能力を知らない方がワシらにとっては良かったんじゃが」
「だが、ネギに付いて行く時点でその道はもうない」
仕方が無いと溜息を吐いた学園長は別の引き出しから書類を出し、アーニャに渡す。
タイトルには『麻帆良学園案内書』とあった。
「これは何ですか?」
「ん? 新入生に渡してる学園案内じゃ。見ての通りこの学園は広いからのぅ」
「ありがとうございます」
受け取ったアーニャは礼をした。
その光景に学園長はうんうんと首を縦に振っていた。
「そういえば、アーニャ」
「何?」
「鞄とかは?」
「駅のコインロッカーだけど?」
そんな所に魔法関連を打ち込むなよ。
取られることはないから良いけど。
「そういえばネギってどこに住んでるの?」
アーニャの爆弾発言にこの場が凍った。
カチーンと固まった音が響く。
学園長と僕達の顔色が変わる。エヴァはニヤニヤしていたが。
「それはどうでもいいんじゃないかな?」
「どうでもよくないわ。ネギの部屋知っておかないと遊びにも行けないわ」
「……ネギ、正直に白状した方が良いわよ?」
「アーニャ、僕は明日菜さんと木乃香さんの部屋に住んでます」
この後、ブーイングが飛んでくると思って魔法障壁を貼る。
だが、予想が違った。
アーニャが頬を赤くしてこんな事を言いだした。
「わ、わ、私もそっちに一緒にすむわ」
「「えええええええええええ!?」」
僕は意外な反応に頭を抱えた。
ったく、いつも僕の予想を斜め方向に遮りやがって。
あの部屋に4人はきつい……あれ、そうだっけ?
「アーニャちゃん、ホンマに来るん?」
「行くわよ」
「場所ないわよ」
「自分でどうにかするわ」
「……ネギ君」
なぜ、明日菜さんと木乃香さんがジト目で見てくる?
良く考えれば、これってアーニャの強化できる方法もできるんだよね。
なら、アーニャにも強くなってもらおうか。魔法世界みたいな事が起こらない様に。
「アーニャ、そのかわり僕と修行してもらうよ?」
「ええ、いいわよ」
「ネギクンノ修行!?」
「アーニャちゃん、本当にネギの修行に付き合うの?」
「何言ってるのよ! ネギなんて余裕よ」
ヘルマンの結果を知ってるはずのアーニャがそう言っていた。
アーニャ自身、ネギの倒したシーンを見ていないため分かる訳もない。
「明日菜さん達も付き合ってもらいますよ?」
「え?」
「それはやめてほしいんやけど?」
「攫われたじゃないですか。もっと強くなる必要があります」
「「うっ!」」
実際にそうなった2人は言い訳もできない。
今後の事は部屋に行ってから考えましょうか。
「そろそろ部屋へ戻りたいんですが、お腹も空きましたし」
「そういえば」
「気づくの遅っ!」
「行きましょうか。……エヴァンジェリンさん。では」
僕は周辺に魔法陣を展開。
明日菜さん達も範囲に入れて発動させる。
「極移」
ネギ達の姿が部屋から消え去った。
エヴァと茶々丸と学園長のみになった。
「さて、私達も行くぞ。茶々丸」
「はい」
エヴァと茶々丸はそう言って、ネギが破壊した扉から出て行った。
「うむぅ……扉を直してくれんのか。仕方が無い。明日誰かに修理させるかのぅ」
学園長はネギに破壊された扉の跡を見て空しい気持ちになった。
まったく、誰に似たんだ?と溜息を吐いていましたとさ。
〜ネギの部屋〜
極移で一瞬にして転移した僕達はソファーに座り、話す事になった。
「ネギ、あんたどれぐらい強くなってるのよ。
卒業した時までは私よりちょっとだけ強い程度だったじゃない」
「え? そうなん?」
アーニャは僕に詰め寄ってきて、木乃香さんがわからないと首を傾げる。
確かに今の僕とウェールズの僕は違うけど、過去に帰ってきたから同時に僕でもある訳で。
未来から〜とか今は禁句なので、ここはごまかすとしよう。
「……眠りの霧」
ごまかすとしてやった行動が『アーニャを眠らす』だった。
人でなし、とか言われたって知った事か!
アーニャを眠らせた後、そのまま体を寝かせた。
「ネギ君?」
「僕が強い理由は今、言う訳にはいかないんです。
修学旅行の時、ばらそうと思いましたが、やっぱり止めた。
止めた理由は……それすらも話せません」
「ネギ……」
「前も言ったけど、後で教えてくれるのよね?」
「はい」
エヴァに話そうと思ったのは僕の中にあるアレを。と思ったわけだ。
でも、邪魔された。その影響により後になった。
イレギュラーな現象で今は止めた方が良いから、もう夏休み以降じゃないと駄目だと判断した。
僕の返事を聞いた明日菜さんはすっきりしたのか笑顔になり、
「だったらいいわ。でも、早く話してね。木乃香もそれでいいでしょ?」
「ちょっと不満やけど……明日菜がそう言うならウチもええよ!」
木乃香さんが優しい言葉を掛けてくれた。
昔の僕ならこんな状況を看破するなんて無理に決まってる。
長く生きてるせいかもしれない。
それよりも考えなきゃいけない事が一つだけあった。
「アーニャの寝場所、どうするの?」
「それもやけど、食器とか増やさなあかんな〜」
「寝場所なら作ることはできるけど、さすがにそれ以外は自分で決めてもらわないと」
ベットは複製魔法でどうとでもできる。
愛着が無いから、まだマシといえる。
でも、茶碗や歯ブラシなどは買わなきゃいけない。
さすがに他人のを複製してもしょーがないし。
「今日の所はもう諦めるしかあらへんやろ?」
「でしょうね。明日の放課後に誘おうか」
「僕も予定は有りませんよ」
「決まりやな」
アーニャがここに住む問題は決まった。
眠らしてるから明日覚えてたらうるさいだろうな。
頭の中で思考していると、グ〜っと僕の腹から音が鳴る。
僕の空腹の音を聞いた2人は笑い。
「おなか減ってるんやな〜。ネギ君、ちょっと待ってな〜」
そう言って、木乃香さんはキッチンの方へ向かった。
しばらくした後、料理をこっちに持ってくる木乃香さん。
並び終わった料理に手を合わせて
「いただきます」
おかずとバランスよく食べていると、向こうから音がした。
玄関の方からコンコンと小さな子が叩くような音がした。
「ん?」
「誰やろ?」
木乃香さんは玄関まで歩いていき、ドアを開ける。
小さな生き物がニョキッと入ってきて、テーブルの上まで来た。
机の上にいる生物が涙を流しながら、こう申した。
「酷いっすよ〜。兄貴〜」
「あ、カモ君」
「カモ君、すっかり忘れとったわ〜」
「酷いっす!」
木乃香さんにすら忘れられてるカモ。
確かに酷いかもしれない。
前より存在感が全くないし、カモを放置してあの場から去ったのだから。
仕方がなく、可哀相なカモに慰めの言葉をあげる。
「活躍したんだから良いじゃない」
「姉さんが良くてもオレッチは良くないっす」
カモが涙を流しながら落ち込む。
「どうしようか。じゃあカモ君」
「何っすか?」
「魔法ネットで数個だけ好きに注文してもいいよ」
そういえば、カモは魔法ネットが好きだったな。
なら、それを餌として釣ればいいんだ。
どっちにしろ、カモは役に立つ。スカーじゃなくて仮契約として。
「さっそくネットつなげるッス」
カモは嬉しそうに僕の領域に入り、パソコンを付けた。
下等動物がパソコンを触っているというシュールな状況を見ながら夕食を終えた。
食べ終わった僕は自分の領域に入り、カモが夢中になっている画面を見る。
何事かと画面を見るとこう書かれていた。
「『絶対服従の香水』……カモ君、これ買うの?」
「な、何でも無いっす! 嬢ちゃん達を服従させてナニをやろうなんて考えてないい!!」
別に僕は欲しいの?って聞いたんだけど?
そこまで正確に話してくれるとはね。
ふむ、ちょっと買ってみるか。
「カモ君、それを5つぐらい注文してくれる?」
「いいんすか?」
「カモ君の分で合計6つだね」
「1つ10万円っすよ?」
画面上を見ると、確かにそう書かれていた。
僕の持っている金額から減っても大した事ない。
これを何に使うかって? それは来てからのお楽しみ。
「じゃあ、注文するよ」
「おう!」
同意を得た僕は手続きを済ませてパソコンの電源を切った。
発送日が学園祭前日か。
この薬って本当に効くなら、面倒なアレに付き合わなくても済む。
「カモ君、僕はもう寝るから」
「了解」
今日は妙な出来事が多すぎだ。
アーニャが来た事で僕の知ってる出来事から変わる……わけないか。
確実に学園祭の出来事は永遠に変わらんよ。
だって、超さんは絶対に魔法の事を世界へバラす気満々だもん。
まったく変わりようの無い出来事に溜息を吐いた僕はベットに倒れこんで眠った。
第34話へ
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