魔法少女リリカルなのは 〜とある兄妹の転生物語〜 プロローグ |
〜〜〜プロローグ〜〜〜
……………西暦2012年3月15日。この日、ある二人の兄妹が、死亡した……………
原因は転落死。しかも、崖からのだった……………
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「―――――ッ、うん……………?」
ある一人のよれよれの黒いスーツ姿の男性―――――見た目は22歳ぐらいで、身長は187センチはある体をして、丸刈りの頭に、不細工な顔、手足は細長く、ガリガリにやせ細った………例えて言うなら、骨と皮だけの体をした青年―――――が目を覚まし、自分がいる場所を見た。そこは美しい青空が広がる、荒野だった………周りには、人の形をした黒い物体が、鎖にグルグル巻きにされて地面に置かれており、それがこの無限に続くと思われる荒野に、無数に散らばっていた……………
「(どこだ? ここ……………?)」
青年は、自分が何故こんな場所にいるのかが分らなかった……………が、直ぐに思い出した
「(あぁ………たしか、車で山道を走ってて、そんで対向者のトラックが急に車線からずれてこっちの道に乗り出して、そんで思わずハンドル切ったら……………)」
崖から、落ちたのであった……………
「(……………なんだ、俺死んだのか………ってことは、ここはあの世、か……………)」
えらく冷静にいられる自分に呆れ、そして死後の世界にいる自分に驚いていた。しかし、その表情は暗く、落ち込んでいた
ふと、視線を周囲へと向けてみると、自分の隣に、何かがあった……………
「―――――」
一人の小学校用のセーラー服を着た女子―――――見た目は10歳ぐらいで、身長は143センチ。普通に可愛い顔立ちで、結構体つきが良く、小学生としては発育の良い体の少女―――――が倒れている。意識がなく、気絶しているようだ……………
「(……………こいつも、死んだのか………はぁ、兄妹そろって死んだとはな。よりにもよって、こんな妹なんかと……………)」
などと、そう思っている時
「哀れだな、青年よ」
「ッ?」
後ろから、声が聞こえ、振り返ってみると………そこには、男と女がいた
「いきなり出てきた対向車を避けたら、運悪く道を外れ、あわや転落死。いやいや、可哀想だ。あぁーあ、カワイソウカワイソウw」
ニヒルな笑みを浮かべた男―――――見た目は25歳ぐらいで、黒いTシャツに黒いジーンズ、そして茨のような黒いラインが無数に入った白いコートを着ており、痩せてはいるが、体の肉付きは良く(言わば痩せマッチョ)、手足は彼同様長い。赤いボサボサの髪に、顔はイケメンと呼ばれるくらい華奢な青年―――――が、岩の上に座っていた
彼は、何時の間にかいた青年の事に驚いた。だが、彼はそんな事よりも、彼の周りの事に
驚愕した……………
男が座っている岩に、十二人の女性―――――全員、美人美女美少女と呼ばれるくらいに美しく、スタイルも抜群、おまけに可愛らしい顔をしており、大人な女性から、10歳ぐらいの少女まで、より取り見取りな女性達―――――が、その男にすがりつくように横たわっていた。だが、驚く事はソコじゃない。彼女達は皆、黒い布切れで大切な部分を隠しているだけで、それ以外はほぼ裸。そして周りの黒い物体同様、鎖でグルグル巻きに縛られており、彼女達の綺麗な肌に傷を付けていた………まるで魔王に捕らわれた姫君達と言った所だが、彼女達のその喜悦の表情からどうもそういう事ではないようだが
「(悪趣味だな……………)」
「そう思わないでくれ。彼女達は皆、望んでこの姿をしているのだからな。クックックッ」
「ッ!!?」
ニヒルな笑みを崩さず、男は彼の思考を読んだ
「おいおい、そんなに驚かないでくれよ。“神様”なんだから、相手の思考を読むことぐらい、何気ない挨拶と同じくらい簡単なんだから」
と、清まし顔で男は彼に向かって言い切った。だが彼は、男の言葉の中の単語に耳を疑った
「……………か、“神様”?」
「あぁ、そうさ。俺は神様。んで、こいつ等は女神にして、全員俺の嫁だ」
彼の、私は神だ宣言に驚いたが、一夫十二妻宣言の方が驚いた
「まぁ、それはさておき………いやいや、君たちは本当に可哀想だ。若くして命を落とすとは、実に可哀想。あぁ、親御さんや親族の方々、そして君達の友人や知人に、深く同情するよ。クックックッ………まぁ、どっちも友達多そうには、見えんがな」
「(全然同情してないだろ、コイツ……………)」
だが、彼の言葉で、自分は死んだのだと確信した。しかし、彼はそれでも普通でいた
「なんだ? 悲しくないのか? あまりの事に思考が着いていけなく、茫然としているのか?」
「別に。俺は死んだ。ただそれだけだろ?」
「えらく冷静………いや、これは無関心と言った方がいいか」
クックックッと、喉を鳴らすような笑い声を出し、未だにニヒルな笑みを浮かべて、男は彼を見据えていた
「(なんか、ムカつくな………コイツ、ホントに神様か?)」
神を名乗る男の態度に、彼は本当に神なのかと、疑問に思った。その時
「―――――っ、う〜ん………はれ? ここどこ?」
彼の後ろから、間延びした少女の声が聞こえた。それが面白かったのか、男とその周りの女性達は、クスクスと笑っていた
「……………あれ? お兄ちゃん?」
「……………なんだ、クソ妹」
彼は彼女に、冷たい態度を取った。しかし、彼女はそれを気にすることなく言葉を続けた
「ここ、どこ?………って!!? なんで“ネ○ま!”の“ナギ・スプリングフィールド”と、“エ○・ギア”の“ベンケイ”、“真・恋姫?無双”の“孫策”、“周兪”、“馬超”。そして、“SHUFFLE!”の“時雨亜紗”先輩に“メル・ヘ○ン”の“スノウ”、“天空のユミナ”の“黒河雲母”に“神楽那由他”、“UMA大戦ククルとナギ”の“ヤーヤ・トーカーズ”、“IS〈インフィニット・ストラトス〉”の“布仏本音”と、ちっちゃい“織斑千冬”がいるのッ!!? しかも、際どい恰好でッ!!?」
コイツ何言ってんの? 的な表情で、彼は妹を侮蔑の視線で見たが、その言葉に応えたのは神と名乗った男だった
「ハッハッハッハッハッハッ!! 確かに、俺達はその物語のそのキャラだが、同一人物ではない。ただそっくりなだけさ。それに、際どい恰好をしているのは、仕様だw」
笑いながら言ったが、仕様って何だ? んな事言わんでもいいだろう
「そーなのかー」
納得すんな
「そーなのだー」
返すな! このクソ神ッ!!
「まぁ、お兄さんが今にもキレそうだから、少し、お話しようか」
「O☆HA☆NA☆SIじゃなくて?」
「なんでローマ字に星マークが付いてるんだ?」
「そっちのお話じゃなくて、普通のお話だよ」
意味分ってんのか? この神様
そして、このクソ妹に、“君は死んだんだよ”的な話をすると、コイツは泣き叫んだ
「うぇーん!!! せっかく“魔法少女まどか☆マギカ ポータブル”買ったのにぃ!! ッて言うか、“グリザイアの迷宮”も全然クリアしてないし!! “Fate/kaleid liner”の最新刊、今日予約しようと思ってたのにぃ!! っていうか、“輪廻のラグランジェ”の続き気になるしッ!! 春からの“Fate/ZERO”に“咲 -saki-”とかetcッ!! 楽しみにしてたのに〜〜〜〜〜ッ!!!!! orzっ!!! こんなの認めない!! 異議有り!!! 私は悪くない!! 悪くないんだぁぁぁーーーーッ!!!!」
テメェはんな事しか頭にないんかい!!! つか、アニメやゲーム、それにマンガばっかりだし!!
はぁ、なんで俺はこんな妹をもったんだ?
「それは運命だよ、きっと」
また何か言ってるし………ってか、なんか心読まれた気がするぞ、オイ
「まぁ、そう悲しむな。そんな哀れな兄妹に、俺が救いの手を差し出してあげるのだからな」
は? それってどういう事だ?
「君達の元の肉体は、そりゃもうエグイ事になっちゃってるから、蘇生したくてもできない。ってか、蘇生なんてしたくない。だから、君達には異世界に転生して、第二の人生をリスタートさせてあげるよ。あ、言っておくけど、今の年齢のままでね」
と、男が話した途端……………
「それって………まさか!! SS(サイドストーリー)とか、FF(ファンフィクション)とか! 転生した先がアニメや漫画の世界で、そこで原作介入! みたいな事が出来ちゃうあれですか〜!!?」
「そうそう。まさにそれだよ!」
「やったぁぁぁぁぁッ!!!! お願いしますッ!! 是非ともお願い致しますッ!!!」
「フザケンナァァァァァッ!!!!」
このクソ妹は何を言ってんだ!! んな現実離れした話に乗んな!!!
「まぁまぁ押さえたまえ。何、地獄や天国に逝くよりかは大分マシだろう?」
「そのままそっちに行った方がよっぽどマシだ!!!」
彼は怒りを込めて言ったが、男は聞く耳持たずと言った表情をした。そこへ、この妹が訪ねた
「あの〜、もしかしてもしかしたらですよ? こういうのにある“ステータスMax”とか、“チートな能力上げちゃうよ”的なモノもあるんですか?」
は? ステータスMax? 特殊能力?
「もちろんだとも。ちなみに、制限は付けないけど、一人に付き八個までねw」
「えぇ〜、ケチ(-з-メ)」
いらん!! そんなのいらねぇよッ!!! 普通に死なせろッ!!!! つか、その顔文字はなんだッ!!?
「まぁまぁ、そう嘆くな。これでも上げ過ぎだと思うのだぞ。で、どうする?」
「えっと〜………紙とペンありますか?」
「あるよ。おい、紙とペンを」
そう言って、彼にすがりついていた女性の一人(“真・恋姫?無双”の“周兪”)が、妹に渡して来た………そして、その紙に面と向かって悩み始めた
おい、真剣に悩むな。そんなくだらん事で
「う〜〜〜ん……………やっぱ、ステータスMax系はいるよね。あと、コレとアレとソレと……………」
「……………なぁ、神さんよぉ」
「なんだい?」
「転生ってのを、コイツだけにしてくれねぇか? 俺はもう普通に死なせろ」
「無理だな。既に転生の準備は完了しているし、君達の魂も、それに適応させてしまったし、送りたくても出来ないし………後は彼女が能力を考えて、それを能力として追加してやるだけだ。諦めろ、お前の道は転生しかない」
「はぁ……………」
盛大な溜息をついて、この神を睨んだ
「つか、なんで俺達を転生させるんだ。ソレをして、アンタになんの得がある」
そう、今疑問に思っている事を、この神に告げた
「いや、ただの気まぐれさ」
「は?」
「神と言うのは傲慢で自分勝手なのさ。だから、ただの気まぐれで人を生かしたり、殺したりもする。君達が実際に思っている神と、本物の神とは違うのだよ」
絶句した。確かに、コイツのこの格好を見て、「この人神様です」なんて、言っても誰も信用しないだろう。実際にあの妹だって………ってか、まだうんうん唸ってなんか考えているし………アイツだって、コイツが神様って知った時は、そうは見えないって言ってたし………つか、ただの気まぐれで人を助けるとか、どうかしている
「そういうものさ。神なんて生き物は、な………っていうより、神様をコイツ呼ばわりにするとは、なかなか図太い根性してるねぇ、気に入ったよw」
「……………はぁ、もういいや」
盛大な溜息を付いてしまう。もう抗いようが無いという事を自覚し、諦めて転生することにした
「まぁ………お前達は別だがな」
「?」
「出来た〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
と、いきなり妹の野郎が高らかな声を上げて飛び上がり、さっきまで何かを書いていた紙をこのクソ神の顔へと突き出した
「これ、出来ますか?」
「……………」
一時の沈黙が流れ………ふむふむと首を上下に振って内容を吟味してから数秒後、口を開いた
「ふむ………オッケイ、全部組み込んでやろう」
「ほんとですか!!?」
「おい、一体どんな事を考えたんだ?」
「色々ッ!」
「……………はぁ」
もう知らん、どうにでもなれ……………
「じゃぁ、楽しんでいきな………せいぜい、楽しませてくれよ」
[パチンッ]
そう言った瞬間、男は指を鳴らして
「「ッッッ!!!!!!???」」
俺たちの意識は、落ちて行った……………
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「……………行ったか」
「良かったん? これで」
自分に縋りつく女性の一人が訊ねてきた
「あぁ。後は、彼らがどんな物語を紡いでくれるか、だ」
さっきから続けているニヒルな笑みを崩さず、自分の愛おしき女性の質問に答えた
「にしても、面白い能力を考えるもんだ。面白すぎて、つい全てを叶えてしまったよw」
ハッハッハッハッ、と笑って、男は答えた
「……………さて、ここからは彼らの物語だ。その読者には、楽しんでってもらいたいものだよ。まぁ、俺達が最もだけど、な。クックックックッ」
男の笑いに、女性達は皆妖絶な微笑を浮かべた
「さぁ、始めようか……………“とある兄妹の転生物語”を」
男は、虚空を仰ぎながら、静かに言った……………
説明 | ||
―――――そして、とある兄妹の新たな人生が、始まった……………――――― ある日、交通事故で死んでしまった兄妹(ごくごく不真面目で普通な兄と、10才なのに重度のオタクな妹)。二人は、死後の世界(?)のような場所で、えらく態度がデカい神様と出会い、なにがなんやら大混乱? そんな中、神様の一言が、後の彼らの命運を示す言葉だった…………… |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
3244 | 3151 | 1 |
タグ | ||
魔法少女リリカルなのは オリジナルキャラ 兄妹 転生 神様 プロローグ | ||
リィーンさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |