かくて荒鷲は舞い降りる |
ボリビア事件から程なくして、地球連邦ゴップ首相はその演説で事件を篠ノ之束の犯行と断定。
改めて世界にその脅威を訴えると共に、公となった連邦宇宙開発を段階的にに公開していくことを宣言。
世界は再び登場した篠ノ之束の脅威に対抗するためにより強い権限をIS委員会とティターンズに与えることを国連で可決し、世界で一致団結して対篠ノ之束包囲網が構築される。
だが、そんな世界を嘲笑うようにIS学園のクラス対抗戦開催中に突如として無人ISが乱入。
施設に多大な被害を出しながら、何とか撃破する事が出来たが、立て続けに起こる無人ISによるテロは各国に益々篠ノ之束に対する危機感を募らせていく。
そして現在IS学園は物々しい雰囲気に包まれていた。
あちらこちらにライフルを持った歩哨が立ち、全員が黒い軍服を身に纏い、胸に翼を広げた猛禽に流星と下にティーンズの文字が刻まれた金色のバッジを光らせ、目を鋭くしてあたりを警戒している。
その様子を面白くなさそうに織斑千冬は職員室の窓から眺めていた。
どうしてこうなったかと言うと、それもこれもすべてはあのISの存在からだ。
一夏と鈴のクラス対抗戦の途中で乱入した無人ISを一夏が倒し、それを学園が回収したところまではよかった。
だが、時期が悪く、世界中がISテロにぴりぴりしていた時にこれだ。
本来治外法権であるはずのIS学園は、国連で承認された権限と世論を持って学園に介入。
無理やりIS委員会直轄の対ISテロ組織という名の、実際は連邦の犬であるティターンズを送り込んだ。
奴等はこの学園に乗り込むなり行き成り私と一夏さらに関係ないはずの篠ノ之箒まで拘束し、解析中の無人ISを持ち去った。
何日も拘束され、根掘り葉掘りティターンズの尋問官に聞かれ、そのつど何度同じ内容を話したことか。
これでは、あの「白騎士事件」後の状況と一緒じゃないか、私はよくとも一夏や箒は辛いことを思い出させられ、苦しんでいるはずだ。
だが、囚われの身であった私には如何することも出来ず、ISも没収されこうしてまた外に出て教育者としての仕事場に戻っても未だに返還されていない。
ISを失った私はいい。
だが、私より後に出てきた一夏と箒は明らかに様子が違っていた。
お互いに俯いていて、声をかけても何も話さず、そのまま寮の部屋に引きこもりその様子を心配して鈴やオルコットが何度も部屋を訪ねるも反応は無かったそうだ。
クソッ!!
私は思わず毒づいてしまう。
どうしてこうなってしまったんだ、あの時、一夏を守ると約束した筈なのに。
それなのにどうして!?
唇をかみ締めながら、私は窓の外にからみえる海に浮かぶ無骨な軍艦を睨み、その場を後にした。
IS学園の沖合いに浮かぶ数隻のイージス艦に守られるようにして中央に浮かぶ白亜の巨艦。
ティターンズの力と権力の象徴にして移動基地である拠点型空母クィーンズランス。
武装は殆ど施されていないながらも、船の中には長期間の航行の為に様々な設備や施設を備え、保養施設を兼ねた都市としての機能も併せ持っている。
その、巨大な船の一室で、ティターンズ実戦部隊指揮官バスク・オム大佐はティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマン大将に会っていた。
「本日はかような所までお越し頂き誠に恐縮です。クィーンズランスを預けて貰う以外にもまさか閣下ご自身が来られるとは思いもしませんでした」
「ふむ、貴官もよくやっているようだな。地中海での亡国機業(ファントム・タクス)殲滅作戦の成果。こちらでも聞いているぞ」
お互い向かい合うようにソファーに腰掛け、手元のソーサーには口を付けず、お互いに話を続ける。
「今回来たのは貴官の労を労う以外にもあってな」
「政治、ですか?」
「まあ、そんなところよ。世間の目がいまここに集中しているからこそ、私がここに来たというもの。私のめで直接見たいとも思っていたからな」
意味深な瞳を覗かせつつ、ジャミトフは部屋の窓の外のIS学園を見ながら言う。
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第十九話投稿 | ||
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