SPECIAL EDITION MAGICAL GIRL LIRICAL NANOHA STRIKER’S “GREEED OF GREED”  予言とチートとハッキング
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〜第1級暫定危険世界バイザム・惑星ムディ〜

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

第1級暫定危険世界・・・。

 

そこは、宇宙の形が97管理外世界と酷似していながらも、危険な生物や異常とも言える酸素濃度の低さ(地球が10であるとするならば、この世界の殆どの星は1にも満たない)などから、文化レベルは0ながらも暫定的に危険指定とされている。

 

正直、指定された側としては良い迷惑だ。

 

その内の星の中の一つ、惑星『ムディ』のとある洞窟の奥にアンクはいた。

 

服は死ぬ寸前まで着ていた制服ではなく、赤と黒を基調とした洋服とマントを羽織っていた。その背中には、タジャドルのオーラングサークルを模した紋章が織り込まれていた。

 

そしてそのアンクの様子は、何かを考え込むような感じで、自分のコアメダル以外を上に弾いては元に戻し、また弾くという動作を繰り返しながらも、視線は明後日の方向を向いていた。

 

 

(おかしい。どうして左腕が復活しない?それに羽根も・・・)

 

 

考え事とは、未だに復活しない左腕のことであった。

 

あの研究所を制圧した後、アンクは怪人化と人間化を繰り返した。しかし、何度やっても結果は同じで、左腕だけは復活してくれなかった。

 

おまけに怪人化すると、左翼も出現しなくなるのだ。しかも不思議なことに、生身の状態では左翼は出現するのだ。だが、右翼に比べると、明らかにエネルギー濃度が薄く、不安定なのだ。

 

アンクは初め、コアの不足による不完全復活が原因と考えた。だが、それならば怪人化をすることは愚か、翼を出すことすら不可能なはずだ。故にこれは却下された。

 

となると、考えられる事は一つ。

 

 

「俺と同じ存在・・・、アンクがもう一人いるというのか・・・?」

 

 

アンクはそう呟いて、首を横に振る。

 

馬鹿馬鹿しい。

 

しかし、少し考え直すとすぐにその思いは吹き飛んだ。

 

左翼の機能不全、左腕の未復活。

 

もし自分と同じ存在・・・、もしくは自分に近い存在が居るとしたら?

 

そいつが怪人態の左腕を持っていれば、全ての説明がつく。

 

そう考えた後のアンクの行動は早かった。

 

すぐさま研究所から盗み出してきた機材を組み上げて作った手製のパソコンを使い、管理局にクラックを掛ける。

 

もし、怪人態の腕を持っている奴がいれば、糞共l《管理局》が放っておくわけが無い。きっと言葉巧みに勧誘をするに違いない。

 

そして、それは見事に的中した。

 

 

「居た・・・・・・・・」

 

 

アンクは唇の端を吊り上げ、不気味に笑う。そこには、アンクの左腕を構える青年が映し出されていた。

 

 

「俺の左腕を勝手に使いやがって・・・。糞餓鬼がァ・・・」

 

 

アンクは憎々しげに青年を罵りながらも、経歴に目を通していく。

 

名前は『高町アキラ』。どうやら、かつての古巣である6課の人間らしい(おまけくっ付けて、高町なのはの弟らしい)。しかし、アンクには納得のいかない事があった。

 

 

「・・・?12歳より以前の経歴が記録されていない・・・?」

 

 

アンクは、瞬時におかしいと悟った。

 

管理局の情報管理を一手に担う無限書庫。そして情報をかき集めるだけ集める情集一課(正式名称:情報収集一課)。この二つがたった12年間の情報を集められないはずがないと思ったからだ。

 

アンクは生前、情集一課にも在籍していたことがある。だから、彼らがいかに優秀か、アンクは知っていた。

 

そしてアンクは色々な仮定をつくり、頭の中で検証をしていった。そしてある一つの答えにたどり着いた。

 

 

「・・・・・・そうか。こいつが“転生者”か」

 

 

アンクは納得がいったような表情で電源を落とした。

 

それは、復活する際に死神から言われていたこと。

 

 

〜回想〜

 

 

『君の使命は、ある種族・・・、いや、転生者と呼ばれる者達を減らして欲しいのじゃ』

 

 

『転生者・・・。文字通り、どっかの世界から姿形を変えてやってきた奴らか』

 

 

『君は飲み込みが早くて助かるわぃ。その転生者が君の世界の歴史を壊してしまっておるのじゃ』

 

 

『たとえば?』

 

 

『君の世界に、プレシア・テスタロッサ、クイント・ナカジマ、アリシア・テスタロッサ、ゼスト・グランガイツ、レジアス・ゲイジ、ティーダ・ランスター、クライド・ハラオウン、夜天の書の管制プログラム・・・リィンフォースと呼ばれる者達はおらんかの?』

 

 

『ティーダ・ランスターとゼスト・グランガイツは知らないが、ほかは聞いたことあるな。リィンフォースは、あのちっこいユニゾンデバイスか?』

 

 

『いや、ユニゾンデバイスではあるが、小さくはなかったはずじゃ。風貌で言えば、目つきが悪い銀髪の女じゃ』

 

 

『・・・・・・・・・あぁ、あいつか』

 

 

アンクは八神はやてとともに居た目つきの悪い女・・・アインと呼ばれていた女を思い浮かべた。

 

 

『多分そいつじゃ。そやつらは本来、闇の書事件からの十年間で、全員死ぬはずじゃった』

 

 

『なに!?』

 

 

アンクは珍しく驚愕していた。

 

 

『じゃが、転生者共はその歴史を変えてしまったのじゃ。最早、IFだの、もしも〜だけで片付けられる状況ではなくなってしもうた』

 

 

『なるほど・・・。奴らが良かれ良かれと思ってやった事が、世界にとっては害悪以外の何者でもなかったということか』

 

 

『そして、その反動は全て君に向かったというわけじゃ』

 

 

『・・・成る程。奴らが、人が悲しむのは見たくないとか甘っちょろい事を言って行った事が、間接的に俺を泣かせてたということか。何とも矛盾してやがるぜ』

 

 

『全くじゃ』

 

 

『あ。ついでに一つ。転生者はどうやって判別するんだ?』

 

 

アンクは忘れてたかのごとく質問した。

 

 

『転生者は、君の世界の技術や異能力だけでは片付けられないような力を持っていたり、経歴が一部、空白になっているようなやつらがそうじゃ』

 

 

〜現在〜

 

 

「・・・とか言ってたな。死神のやつは」

 

 

そう言ってアンクは座標を入力する。座標は勿論、機動6課の上空だ。

 

 

「さぁて・・・・・・、楽しい楽しい皆殺《フクシュウ》の始まりだ・・・」

 

 

カァアアアアアアアア

 

 

そしてアンクは転送ボタンを押す。転送ゲートが起動し、停止する頃にはアンクの姿は消えていた。

 

 

6課side

 

 

〜少し前・6課訓練場〜

 

 

「オォオオオオオオオ!!!」

 

 

青髪の少女が、栗髪のツインテールの女に殴りかかる。

 

 

『PROTECTION』

 

 

しかし女は慌てず、前方に桃色の魔法陣を展開し、その拳を受け止める。

 

 

『ACCEL SHOOTER』

 

 

彼女の持つ機械的な杖がそう発するとともに、桃色の魔力弾・・・アクセルシューターが準備され、彼女の周りに浮く。

 

 

「アクセルシューター・・・シュート!!」

 

 

彼女がそう発すると同時に、青髪の少女に向けてアクセルシューターが発射される。

 

 

バシュ!!

 

 

「わわわっ!?あいたっ!!」

 

 

パシンッ

 

 

少女はそれをギリギリで避けるも、1発のみ当たってしまった。

 

 

ピピーッ!!

 

 

『そこまで!!勝者:高町なのは!!』

 

 

それを待っていたかのように、ホイッスルのような音が鳴り響き、審判である茶髪のセミロングの女から、栗髪のツインテール・・・高町なのはに勝利が告げられた。

 

 

「いたたぁ・・・。負けちゃったか〜」

 

 

『Please do not be discouraged.bady.(気を落とさないでください。相棒)』

 

 

「うん。ありがとう、マッハキャリバー」

 

 

『You are welcome.(どういたしまして)』

 

 

少女・・・スバル・ナカジマの言葉に答えるかのように、マッハキャリバーは点滅した。

 

 

「お疲れ様スバル。中々いい訓練だったよ」

 

 

「あっ!!なのはさんお疲れ様でした!!」

 

 

なのはが近づいてくると、スバルはさっと立ち上がり、頭を下げる。

 

 

「ところで、さっきの攻撃だけど、中々良かったよ。ISも中々使いこなせてたし、もう私が教えることは殆ど無いかな」

 

 

『The master who is sympathy. Will it be that the judgment that is momentary for an unexpected situation if I add it is slightly slow?(同感ですマスター。付け足すとすれば予想外の事態に対して瞬間的な判断が僅かばかり遅い事でしょうか?)』

 

 

「あっ、それは自分でも感じました。まだ瞬間的な判断が出来てないなぁ〜って」

 

 

「なら大丈夫かな。自覚があるなら、時間を掛ければ何とかなるはずだから」

 

 

そう言ってなのはは、スバルに微笑みかけながら自身の相棒・・・レイジングハートを元に戻す。

 

 

「とりあえず後が閊えてるから、一回でようか?」

 

 

「はい!!」

 

 

そう言って、スバルとなのはは訓練場を出て行った。

 

 

〜6課・食堂〜

 

 

「しっかし、スバルの奴も強くなったよな〜」

 

 

そう言って、赤毛の三つ編み少女・・・ヴィータはスパゲティを放り込む。

 

 

「そうだね。でも、ティアナやエリオ、キャロだって負けちゃ居ないよ?」

 

 

「そうだな。我らもうかうかしていると、その内追い抜かれそうだ」

 

 

そう言って、ピンク髪のポニーテール・・・シグナムは食後の紅茶を飲み干す。ちなみに先程会話に入っていたのは、金髪のロングストレート・・・フェイト・T・ハラオウンである。

 

 

ドォオオオオオオオン!!

 

 

「「「!?」」」

 

 

皆が談笑に耽っていると、突然、隊舎の前が爆発した。その音は凄まじく、隊舎のガラスに亀裂を入れた。

 

 

「シグナムさん!!ヴィータさん!!フェイトさん!!」

 

 

「「「アキラ!!」」」

 

 

シグナム達に近づいてくる少年。それこそが、アンクが狙っている者・・・高町アキラであった。

 

 

「何があったんですか!?」

 

 

アキラは息を切らしながら、現状を聞き出した。

 

 

「分からん。だが、外で何か起きたことは事実だ!」

 

 

「とりあえず外に出よう!!」

 

 

「お前らは先に行ってろ!!あたしはなのは達に伝えてくる!!」

 

 

そう言って、ヴィータは訓練場のほうへと駆けていった。

 

同時に、残ったフェイト達も隊舎の外へと駆けていった。

 

 

〜6課・隊舎外〜

 

 

「うっ!凄い熱気だな・・・」

 

 

アキラは口を手でふさぎ、フェイトとシグナムは既にバリアジャケットをセットしていた。

 

 

「おいおいおい・・・。すげぇことになってんな、こりゃ」

 

 

そう言って隊舎からまた1人と出てくる。

 

 

「宗助さん!!」

 

 

突然現われた少年に、アキラは喜びを露わにする。

 

少年の名は大島宗助。

 

キャラクター説明でも説明したが、彼は八竜の力を全て使うことが出来る。

 

 

「おぅ。久し振り。一体何がどうなってやがるんだ?」

 

 

「それが僕にもさっぱり」

 

 

フワァアアアアアア

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

そんな会話をしていると、突然、空から紅い羽根が大量に舞い落ちてきた。

 

 

「これは・・・羽根?」

 

 

「やっと見つけたぞ・・・。俺の片割れ・・・」

 

 

シグナムが羽根を拾い上げていったと同時に、空から誰かの声が発せられた。6課一同は、一瞬でそれぞれのデバイスを起動させてそいつに向けて構えた。

 

 

6課side out

 

 

〜6課隊舎・上空〜

 

 

カァアアアアアア

 

 

「・・・・・・・・さて、久し振りだな。俺の古巣」

 

 

そういうアンクの眼下には、真新しい6課の隊舎が建っていた。

 

 

「さぁ、GEAM STARTだ」

 

 

アンクはそういうと、自らを怪人化させて、右手から巨大な炎塊を出現させ、6課の前に投げはなった。

 

 

ドォオオオオオオオオン!!

 

 

「ハッ!!中々にいい具合で燃えるなぁ!!!」

 

 

アンクは高笑いしながら、騒ぎを聞きつけて出てきた局員達を一人ずつ見定めていく。そしてついに、他の局員とともに出てきたアキラを見つけた。

 

 

「ッ!!見つけた・・・、やっと見つけたぁ!!!」

 

 

アンクは歓喜と狂気に奮えながらも、残った右翼を広げて、ゆっくりと降下していった。

 

 

「やっと見つけたぞ・・・。俺の片割れ・・・」

 

 

「「「!?」」」

 

 

アンクがそう話しかけると同時に、その場に居た局員達が一斉にデバイスや拳を構えた。

 

 

「おいおい。何を構えてるんだよ?俺は平和的に交渉しに来ただけだぜ?」

 

 

アンクの表情は怪人態のために分からないが、きっと他の連中を見下したような表情で笑っていることだろう。

 

 

「交渉だぁ?どの口が言ってやがる化物が」

 

 

そういう宗助の腕には、三日月を半分にしたような炎の刃が装着されていた。その後ろには、体の各所が鋭そうな蛇・・・いや、火竜の一匹である『砕羽』がこちらを見つめていた。

 

 

「ハッ!!俺を化物って言う割には、てめぇらの方が化物揃いの様のようだがなぁ?特にこの部隊に居る青髪の女とかも化物というか、寧ろ無機物に近いと思うが?」

 

 

「!!てめぇ!!今誰を化物呼ばわりしやがった!?」

 

 

後から来たヴィータがアンクに向かって怒鳴りつける。

 

 

「これはこれは。犯罪者までおそろいとはなぁ・・・。っと!!」

 

 

アンクは今度はヴィータを罵倒しようとしたが、後ろから飛んできた火球を避ける。

 

 

「もういい。てめぇは一言も喋るな・・・・・・」

 

 

飛んできた先には、アンクの左腕と左翼を展開させたアキラが居た。

 

 

「ククク・・・、いいなぁ。その怒りという欲望・・・」

 

 

「ふざけんな!!!」

 

 

アキラは左手でアンクに殴りかかる。しかし、それはあっさり避けられ、逆に腹に膝蹴りを入れられる。

 

ヒュッ

 

ズドッ

 

 

「ガハッ!?」

 

 

アキラは鳩尾に蹴りを入れられた衝撃でうずくまってしまう。

 

 

「ハッハァ!!・・・何だよぉ・・・、大口叩いておいてその程度かオラァ!!!」

 

 

ドガァ

 

 

「ゲホッ!?」

 

 

「くたばれ餓鬼が」

 

 

バキッ

 

 

ドガァン

 

 

アンクはアキラを蹴り上げ、さらに背中に踵落しを決める。ほぼ零距離からの踵落しを喰らったアキラは気絶。同時に地面に体がのめりこんだ。

 

 

「キヒヒ・・・、じゃあ、俺の腕と翼を返してもらおうか」

 

 

そう言ってアンクは左手を近づけるが、それをすぐに引っ込め距離をとった。すると、そのアンクの予想は当たっていたのか、アキラは炎が揺らめくように消えてしまった。

 

 

「なにっ!?偽者だと!?」

 

 

「本物はこっちだよ化物」

 

 

アンクは驚愕するも、声のした方を見る。そこには気絶したアキラを抱えたフェイトと、一つ目の火竜がこちらに向けて火球を構えていた。

 

 

「放て虚空!!」

 

 

ズドォオオオオオオ!!

 

 

「!?ヅァアアアアアアアアアアアア!?!」

 

 

アンクは咄嗟に翼で防ごうとするも、間に合わず直撃を貰ってしまった。

 

そしてそのまま、10メートルほど吹き飛ばされてしまった。

 

 

「ヘッ!!ざまぁみろってんだ!!」

 

 

「アキラ!!しっかりして!!」

 

 

宗助はアンクが倒れた方向に向けてFOOKをし、駆けつけたスバルは気絶したアキラを気遣っていた。

 

 

「おいおい・・・。いてぇじゃねぇかよ」

 

 

「!?」

 

 

「う、嘘・・・」

 

 

スバルや他のメンバーが驚愕する中、アンクはゆっくりと出てくる。その身には、先程とは比にならないような火球を携えていた。

 

 

「ば、馬鹿な・・・。俺は全力で打ったはずだ!!なのに「五行比和」・・・五行比和だと?」

 

 

宗助は明らかに動揺しながら、アンクに向けて叫ぶが、アンクはそれを聞きなれない言葉を被せた。

 

 

「即ち、火に火は聞かねぇってことだぁ!!!」

 

 

ブン!!

 

 

アンクは叫ぶと同時に宗助に向けて火球を放った。

 

 

「!!『伍式・円』!!」

 

 

宗助は瞬時に結界の能力を持つ火竜『円』を召喚し、結界で防ごうとした。

 

 

バリィイイイィン!!

 

 

「なっ!?グァアアアアアアア!!?」

 

 

「宗助さん!!」

 

 

「大島!!」

 

 

しかし、結界はあっさりと破られ、宗助は吹き飛ばされて隊舎の壁に激突した。

 

 

「オマエェエエエエエエエエエエエエエエ!!」

 

 

それを間近で見ていたスバルは、瞳の色が黄色に変わり、戦闘機人モードへと変化してアンクに殴りかかる。

 

 

「ふん」

 

 

ガシッ

 

 

それを見てもアンクは避ける事をせず、右手のみで受け止めて防いだのだ。

 

 

「なっ!?」

 

 

「ふん!!」

 

 

アンクは気合を入れると、右手一本でスバルの腕を後手に捻り上げる。

 

 

「ッヅゥ!!」

 

 

その痛みに耐え切れず、スバルは苦痛に満ちた声を漏らす。

 

 

「チィ!!スバ「おっと、動くなよ餓鬼共。この娘の命が惜しけりゃな」てめぇ!!卑怯だぞ!!」

 

 

ヴィータが助けに入ろうとするも、アンクにスバルを盾に出されて、動こうにも動けなかった。

 

 

「はっ!!好きなだけ言え!!素直に俺のメダルをよこせば、こいつが死ぬことは無いんだぜ?」

 

 

そう言って、アンクはスバルの腕にさらに負荷を掛ける。

 

 

「さぁ、俺の残りのコアを渡せ。それでこの娘の命だけは助けてやる」

 

 

ギリギリ

 

 

「ッヅァアアア!?」

 

 

「スバルさん!!分かった!!お前のメダルを返す!!」

 

 

「アキラ!?お前何を!!」

 

 

「大丈夫です」

 

 

そう言って、アキラは自らの左手から内包してあるコアメダルを全て取り出す。すると、アキラの腕が人間のものに戻る。

 

 

『・・・本当にいいのか?アキラ』

 

 

シグナムがアキラに念話で話しかける。

 

 

『良いんですよシグナムさん。このままじゃスバルさんがヤバイです。コアを渡してでも、やつからスバルさんを取り戻さないと。それに、俺の本当の力はこれじゃないのは、周知の事実でしょう?』

 

 

念話でそう言って、アキラは一歩前に出る。

 

 

「ふん。さぁ、1、2の3で同時に交換だ」

 

 

「分かった」

 

 

アキラはコアメダルを構えて、右手で投げようとする。だが、アンクはその瞬間、別の場所が気になった。

 

 

(左手を後ろに隠してる・・・?まさか、何かを隠してる!?)

 

 

そう考えたアンクは、右手にセルメダルを握り締める。

 

 

「「1、2の3!!」」

 

 

そういった瞬間、アキラはコアメダルを投擲し、同時に左手に持っていたオレンジ色の缶・・・『クジャク・カンドロイド』を起動させて放り投げる。

 

すると、クジャク・カンドロイドは文字通り、孔雀のような姿に変形し、メダルをアンクとは反対方向に弾き返そうとする。

 

 

「させるか!!」

 

 

「きゃぁっ!!」

 

 

ガキン!!

 

 

アンクはスバルを横に放り投げ、右手に握っていたセルメダルを親指で弾いてクジャク・カンに当てる。そのメダルは弾かれた事によって、弾丸なみの速度を生み出し、クジャク・カンを破壊した。

 

そして、5枚のメダルは全てアンクの足元に落ちた。それをアンクは拾い上げる。

 

 

「ククク・・・。残念だったなぁ。小僧。約束どおり、メダルは返してもらったぜ?」

 

 

そう言って、アンクはメダルを胸に当てて全て吸収させた。

 

 

「ハァアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ゴォオオオオオオ!!

 

 

すると、アンクの右側の顔、左手、左翼にセルメダルが集中し、それがなくなると、紫の表皮が丸見えだった顔は、金の羽根を思わせるような形へと変わり、左手と左翼も右側のものと同じく左右対称の姿となった。

 

 

「あ・・・ははは・・・ははははははははははっ!!!あははははははははは!!!」

 

 

ゴォオオオオオオオオオオオ!!!!

 

 

「ぐぅ!!」

 

 

アンクは歓喜のあまり高笑いをする。それに応えるかのように、アンクの体から余剰エネルギーが波動として体から漏れ出す。その波動に、6課メンバーは膝を付いたり、体を抱え込んだりしてしまう。

 

 

「はぁ〜あ・・・。さぁ、ここからは俺の独壇場だぁ・・・覚悟はァアアアアアア!??」

 

 

ドゴォオオン!!

 

 

アンクは6課メンバーに近づこうとするが、何者かと衝突して吹き飛ばされる。

 

 

「っづつ・・・。お前・・・!!ゾウ・ヤミーか!!何でここに居やがる!?」

 

 

「グゥウウ・・・・」

 

 

アンクと激突したのは、重量系メダルの力を使って、足止め用に生成した象の姿をしたゾウ・ヤミーだった。アンクはそいつに怒鳴りつけるも、ゾウ・ヤミーは呻くばかりで立ち上がろうとしない。挙句の果てには、セルメダルに戻ってしまった。

 

 

ガキンガキン!!

 

 

「何!?バインドだと!?」

 

 

突然アンクに桃、黄、白色のバインドが掛けられる。そして、その掛けた相手がゆっくりと空から降りてきた。

 

 

「よくも私の部下と弟を痛めつけてくれたね・・・」

 

 

「許さない・・・。貴様だけは絶対に・・・!!」

 

 

「貴様を公務執行妨害及び管理局員への暴行の容疑で逮捕する。覚悟しろ化物」

 

 

「やっとのお出ましか。フェイト・T・ハラオウン、高町なのは、そして・・・レイ・メイスティーマ!!!」

 

 

アンクは叫ぶと、バインドをセルメダルに還元させ、レイに向けて炎を放つ。

 

 

「レアスキル・攻撃無力化」

 

 

しかしレイは全く動じずに、そう唱えると、炎がまるで消しゴムで消されたかのように消える。

 

 

「チィ!!ハァアアアアア!!!」

 

 

アンクは遠距離からの攻撃を諦め、レイに殴りかかる。

 

 

「ガディアス。ミカエル」

 

 

『『set up』』

 

 

するとレイの体はあの時と全く同じ神々しい姿へと変わり、左手にはアンクがジンであった時の相棒であるガディアスが握られていた。

 

レイはガディアスでアンクの拳を次々に捌き、反対の手に持っているデビルブレイクでアンクを切り裂いた。

 

 

「ガハァ!?」

 

 

ジャララ

 

 

アンクのきられた箇所からセルメダルが零れ落ちた。そしてそれを見た瞬間、アンクの怒りが急速に収まっていった。

 

 

「チィ!!おぼえておけ小僧共!!てめぇらは必ず!!俺が地獄に叩き落してやる!!!」

 

 

ゴスッ

 

ドガァアアアアアアアン

 

 

「ぬっ!?」

 

 

アンクは地面に拳を叩きつけ、そこに炎を注入する。すると突然、地面が爆発した。レイを含む6課メンバーは、突然の爆発に目を瞑り、それが収まって目を開いた時には、すでにアンクは転移した後だった。

 

 

「ちぃ・・・、逃がした、か・・・」

 

 

「あんまり歩かないほうがいいよ宗助」

 

 

宗助はフラフラの体でレイに近寄る。レイは一応は忠告していくも、宗助は首を振る。レイは、宗助が話を聞くような奴ではないと知っているので、半ば諦め状態である。

 

 

「みんな!!遅くなってごめん!!怪我は無い!?」

 

 

「大丈夫です。でも、アキラさんの腕が・・・」

 

 

そう言ってスバルは、元に戻ってしまったアキラの腕をチラリと見る。

 

 

「気にしないでスバルさん。僕としては、化け物の腕から開放されて清々してるところだから」

 

 

そう言って、アキラは無事を表すように手をブラブラとふる。

 

一方、レイと宗助は二人きりで話し合っていた。

 

 

「・・・レイ。奴に会ったことは?」

 

 

「今のところは覚えないよ。宗助は?」

 

 

「あんな化物にあったら、忘れたくても忘れられるかっての」

 

 

そりゃそうか、とレイも同意するかのように呟く。

 

その後、聖王教会に出向していたはやてとティアナは、正面の庭が大変なことになっているのに若干唖然としたが、レイに事情を聞いて皆がたいした怪我が無いことを知ると安堵すると共に、自分達の居場所である6課を襲撃したアンクに対して激しい怒りをおぼえた。

 

 

〜アンクのアジト〜

 

 

「ガハァ!!ウッ・・・グゥウウ!!!?」

 

 

アンクは何とかアジトに戻るも、撤退する前に喰らったデビルブレイクの攻撃が尾を引いて痛んでいるため、戻ったと同時に床に倒れこんでしまった。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ふぅ」

 

 

数刻後。

 

アンクはどうにか激痛を乗り越え、何とか人間態に戻る。同時に拳を地面に叩きつける。何度も何度もたたきつけた。

 

 

「クソッ!!やっと奴を倒せるかと思ったのに!!クソッ!!クッソォオオオ!!!」

 

 

アンクは嗚咽を出しながら、何度も拳を地面に叩きつける。叩きつけている手からセルメダルが零れ落ちるが、その程度知ったことではない。

 

彼は悔しかった。

 

死ぬほどの痛みを味わって、やっと手にした力だった。だが、奴には届かなかった。

 

所詮、落ちこぼれはどんな力を手にしても天才には敵わない。

 

誰かがそんな事をいっていたような気がする。まったくもってその通りだ。

 

自分を落ちこぼれや凡才だといっている奴は、自分の才能に気がついていないだけだ。

 

誰かがそんな風にも言っていた気がする。確かにそれも一理あるだろう。

 

だが、彼はどうなのであろう?

 

彼は生前、ありとあらゆる事を試した。

 

ミッド中にある戦闘に関する記述や古文書、果ては禁忌とされたミッドと他の魔法を混合させて実力をあげようともした。

 

しかし、それらのどれ一つとして実らなかった。

 

一つの事を極めようともした。

 

だが、所詮は落ちこぼれ。極めるどころか、初歩中の初歩を習得するのがやっとといった状況だった。

 

それは復活した後も続けた。

 

いつか実る。必ず実る。俺には必ず力が宿るんだ。

 

彼はそう信じ続けた。そしてついに彼は手に入れた。

 

グリードという力を。自らの身を犠牲にしてでも、ようやく手に入れた力だった。

 

それはあっさりと破られた。

 

レイという名の少年《テンサイ》によって。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

暫くしてアンクは泣き止んだ。しかしその目は虚ろで、何処を見ているのかすら分からなかった。

 

アンクは徐に懐に手を伸ばし、オーズドライバーを装着する。すると、そこからベルトが伸びて、両サイドにメダルケースとオースキャナーが装着された。

 

そして、腕から10枚程メダルを取り出して、宙に投げる。同時に、スキャナーを手にとって、なんと投げたメダルをそのまま読み込ませた。

 

 

『クワガタ!ライオン!シャチ!ゴリラ!コンドル!タカ!カマキリ!プテラ!コブラ!ワニ!』

 

 

するとメダルからオーラングサークル型のエネルギーが現われ、順にアンクの体に取り込まれていく。

 

そして、それが全て吸収されると、アンクは歪な笑いを見せた。

 

 

「・・・すっかり忘れてたぜ」

 

 

そう言って地面に座りこんだアンクの顔は、清清しい程に邪悪に満ちた顔をしていた。

 

 

「所詮この世は弱肉強食。強い奴が生きて、雑魚は食われるのみ。それは人間界でも変わりは無いんだったなぁ・・・・」

 

 

「そして、落ちこぼれは死ぬほどの努力をしても、天才には勝てない。だったら、確実《・・》に死ねるほどの努力を積み重ねればいいだけだって事をなぁ・・・・・・ククク」

 

 

そして、アンクは再びメダルの力を体に取り込み始めた。

 

 

〜機動6課・会議室〜

 

 

そこには、オリキャラを含めた全てのメンバーが揃っていた。その中には、かつて大魔導士と呼ばれたプレシア・テスタロッサやその娘、アリシア・テスタロッサ、そしてJS事件の首謀者であるジェイル・スカリエッティやその娘達であるナンバーズも殆どが揃っていた。だがその顔は、緊張のせいかこわばっていた。

 

それを視界に納めつつも、はやては話を切り出した。

 

 

「さて、早速やけど、先日起こった研究所襲撃事件と今回起こった6課襲撃事件はうちら機動6課が担当することになったんや」

 

 

その一言に、殆どのメンバーはざわめいたり、目つきをキツクしたりした。それを踏まえてはやては話を進めていく。

 

 

「それにはキチンとした理由があるんや。カリム」

 

 

『えぇ』

 

 

すると、はやての隣にモニターが出現した。そこには、長髪でお淑やかそうな女性『カリム・グラシア』が映し出されていた。

 

 

「実は、つい先日新たな予言が出たのです。」

 

 

その言葉に再びざわめきが起こった。

 

カリムのレアスキル『プロフェーティン・シュリフテン』。通称『予言者の著書』は、二つの月が合わさる時にしか発動せず、大体10年に1度しか発動しないといわれている。そしてJS事件の時に既に発動しているので、本来はつぎに発動するのは後9年近く待たなくてはならない。

 

それが、JS事件が終息して1年しか経っていないのに発動したというのだ。寧ろざわめかない方がおかしい。

 

カリムもそれを承知しているので、皆が納まるまで待ち、収まった所で予言の内容を切り出した。

 

 

「・・・では、今回の予言の内容を話します」

 

 

そしてカリムは予言を読み上げ始めた。

 

その予言は、周りを凍りつかせるのには、充分な言葉だった。

 

 

「――――――王は法と秩序に守られし世界を恐怖と絶望に陥れるであろう」

 

 

...NEXT EXPECT

説明
再び戦闘回。

でも、期待はしないでくれぃ。

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伏線回収不能 原作キャラ死亡 恵まれない主人公 転生者は敵 主人公はアンクもどき カリム=敵 アンチ管理局救われない終わり 

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