全ての終焉 39 |
第39話『学園祭編その4 後18→16日 南の島とクーフェイ』
〜どこかの部屋〜
部屋割りで決められた場所に到着した。
え? いつ決めたんだって?
それは秘密さ。
極移で部屋に来たため、あやかさんがキョロキョロと見回していた。
「あやかさん、とりあえず事情を説明します」
「事情? ネギ、まさか巻き込む気?」
「それはあやかさん次第です」
難しい表情をしていたのか、あやかさんがごくりと飲み込む。
巻き込むのはいいけどあやかさんの出番って当分後なんだよね
「……僕は魔法使いです。背中に背負ってたのは杖、
ウェールズの魔法学園を卒業して、試験としてここの教師をする事になりました」
「試験ってのはマギステルマギ、偉大なる魔法使いになるためらしいわ」
「偉大なる魔法使い?」
アーニャとエヴァがあやかさんにマギステルマギの意味を教えていた。
「そうなんでしたの」
「でも僕はマギステルマギを目指す気はありません」
「なんとなく納得できるわ」
それって修行の時の事を示してるのかな? 明日菜さん
こらこら、木乃香さんも頷かない。
「どうしてなの?」
「ネギの修行ってエヴァちゃんより鬼じゃない?」
「修行?」
「魔法よ、魔法」
テーブルを囲うように高級そうなソファーが設置されていた。
そこに疲れた表情の明日菜さんが座る。
ほかの人もそれぞれの場所に座っていた。僕は立っているが。
「明日菜さん達はどうして」
「明日菜さんは魔法使いの天敵である魔法無効化能力者です。
木乃香さんは僕のクソ、ゲフンゲフン……父さんの魔力を超えてます。だから狙われるんです」
「木乃香自身が素人だとそれを利用しようとする奴が居る。修学旅行の時発生した」
「修学旅行って……」
僕は混乱してるあやかさんに修学旅行で起きた出来事を語った。
「そういうことでしたの。じゃああのカエルも全て」
「関西ナンチャラと関東なんちゃらがなんちゃらで」
「それじゃあ誰もわからへんって」
「いえ、なんとなくわかるです」
まあ、これが僕だったら意味不明、理解できないというのが脳内に表示されるが。
「エヴァンジェリンさん」
「何だ?」
「ここにクーフェイさんと楓さんを招いていいですか?」
「なぜだ?」
「クーフェイさんと楓さんは強いですから」
本当はあまり関わっていない為、今のうちに干渉しなければ、魔法世界で足らなくなる。
いくら明日菜さん達が強くなろうとも危険なのは変わりない。
だって未来は既に未確定になっているのだから。
「そうですね。楓は忍者みたいですし」
「そういえばそんな感じがするわね」
「まあいいだろう。ここにきてもらっても困るな。このイベントが終わったあとにするか」
イベントって言うなよ、エヴァ。
この世界はゲームか何かか?
「今は楽しもうよ」
「そやな、じゃあネギく〜ん!!」
「……皆さんで好きに遊んでてください!!」
木乃香さんの抱擁をかわして転移魔法でこの場から消え去った。
巻き込まれでもしたらクーフェイさんと会えないじゃないか。
〜???〜
僕は楓さんとクーフェイさんを探していた。
「いた。クーフェイさんだけだけどまあいいや」
皆が遊んでいる場所から離れた場所に、クーフェイさんが水着ではなくいつもの服装で体を動かしていた。
僕の気配に気づいた瞬間、僕の傍まで来て
「てい!」
いきなり攻撃してきた。
つい条件反射で左腕を掴んで海のほうへ投げ飛ばした。
投げとばされたクーフェイさんは崩れた体勢を元に戻して僕を直視するが、
「ネ、ネギ坊主、いきなり何するネ」
「いやこっちの台詞ですって」
「私もちょっと本気でやったけどあっさり投げ飛ばされた。ネギ坊主強いあるな。さすが魔法使い」
「知ってたんですか?」
「たまに真名と仕事するアルね」
ああ、そういえばそんな事ってあれ?
やっぱり何か違う?
この世界、かなり歪んでいる、ね。
「いまさらか、あの、お願いがあるんですが」
「何アルか?」
「いい修行場を知ってるんです。そこで僕と真剣勝負しませんか?」
「真剣勝負?」
クーフェイさんの表情が変わった。
僕の言葉に考える動作を取っている。
「OKあるよ」
「そうですか、ありがとうございます。場所はここに書いてありますので」
エヴァの家の中にある別荘の入り方まで記した紙を渡す。
それを受け取ったクーフェイはウンウンと頷いた。
後は、楓さんだけどどこにいるんだろうか?
「あの、楓さんはどこにいるか知ってますか?」
「それだったら先ほど明日菜達が楓を」
「そうですか、じゃあいいです。僕はこの辺で失礼しますね」
「楽しみにしてるネ」
これでクーフェイさんをこちらに引き込める。
今回は弟子とかいらないからどうなるかわかんないけど。
満面の笑顔で返した僕は先ほど転移した部屋へ戻った。
戻ってみるとアーニャ達があやかさんに魔法を教えていた。
あれ? あやかさんには真実を話してそのままにしようかと思ったんだけど。
どうやらネギは委員長をしばらく放置する気だったらしい。
その予定を狂わしたアーニャたちにため息を吐いて声をかける。
「何をしてるんですか?」
「見てわからない?」
「わかんないから聞いてるんだけど」
「初心の魔法を教えてるだけよ、委員長の魔力って高いのね」
確かに高いのは知ってる。
でも今は発現しないと思っていた。
ところがあやかさんを見ると持っている杖から炎が出ていた。
そこから感じる魔力は風の暴風を打てるほどだった。
「ネギ、委員長は魔法使いになれる素質を持つぞ」
満足そうな表情をしたエヴァは今度こそは、と目と同じ設定集を渡してくる。
その時の僕は呆れて顔を引き攣らせているだろう。
「あやかさん」
「はい!」
「あやかさんはこんな、魔法使いになりたいですか?」
「え?」
あやかさんに設定集を渡すと、読み始めた。
最初はうんうんと頷いていたが、後になると赤くなっていった。
そのアニメって確か恥ずかしい格好多かった気がする。
それは些細な事として、あやかさんが読み終わった。
「こ、これを私に!?」
「委員長に似合ってると思うが、それでネギのハートを堕とせ」
「ネギ先生のハート?」
悪魔のささやきをはじめるエヴァ。
そんなに見てみたいの?
「やりますわ!!」
「ちょっと待ってえや」
「本気?」
「それはだめでしょ」
あやかさんの別の意味でのやる気に3人が突っ込んできた。
何をそんなに慌てているんだろうか?
「どうしてですの?」
「ねえ、エヴァちゃん、鍛えるの誰が」
「私とネギがやるに決まってるだろ? 何を言ってるんだ?」
いや、僕もやるの?
権限の鍵で潜在能力開放状態にさせればいい、か。
「純粋に南の島を楽しみませんか?」
「夕映、それはどうでもええやん」
「え? どうでもいいこと?」
「委員長が仲間になれば何時でも来れるやん」
木乃香さんの態度に夕映さん達が呆然とする。
無理も無いか。あやかさんの反応はというと。
「ネギ先生の事をわかってよかったですわ」
目をキラキラさせて背景が天使が降臨していた。
どんだけ嬉しいんだ?
「もう! ネギもいちゃいちゃしてないでさっさと海を!」
「アーニャちゃん……」
「それじゃ行こうか。アーニャ」
「ちょっとネギ!?」
僕は慌てるアーニャの手を引いて走った。
さっそく浜辺に着いた僕はアーニャを海の方へ放り投げた。
ドッボーンという水が舞い上がる音がする。
するとアーニャが海から出てきてさっそく文句が飛んできた。
「いきなり何するのよ!」
「ごめんなさい。ほぼわざと」
「思いっきりわざとじゃない!」
「仕方ないなぁ」
妙なことを思いついた僕はアーニャと共に海の中に入り、空気を作り出す。
アーニャはえ? え? と戸惑っている模様。
「ねえ、アーニャ」
「な、何?」
「ごめんね」
「え?」
逃げられないようにアーニャの左肩を持つ。
抵抗されようとする前に左手で権限の鍵をアーニャの腹の中に入れる。
「ひゃっ!?」
驚きの声を上げるが気にせず続行する。
権限の鍵が白く輝き出す。
「これ、何!? な、な」
「アーニャの潜在能力も、ね」
「うっ……何か凄く」
と、その時。
「そこで何してるのよ!!」
明日菜さんが僕を狙うのではなくアーニャの方へハリセンを投げてきた。
権限の鍵入れたまんまだぞ! クッ、仕方が無いか。
権限の鍵を消した後、アーニャを極移で夕映さんの隣に転移する。
ハリセンは先ほど居た人物の地面に突き刺さった。
「あ……ヤバ」
「明日菜さん、せっかくアーニャの潜在能力開放の邪魔をしてくれましたね」
「もしかして、怒ってる?」
「我が聖地より、偽りの世界を展開せよ 幻想世界・天蓋」
「そ、それって!?」
僕は幻想世界を構築しようとしたがシーンとなった。
明日菜さんもえ? と間抜けの声を出していた。
「あれ? 幻想世界ができない……」
どういうことだ?
幻想世界を作り出せないって事は魔力が、だろうな。
とにかく僕は明日菜さんの手を握りこちらに来る木乃香さん達のほうへ投げた。
バランスを調整して木乃香達の前で止まった。涙目で見てきたが。
「あ、ネギ君どうかしたん?」
「こ、木乃香さん」
「それよりどうするんだ?」
「「え!?」」
僕と木乃香さんが横に振り向くが、悪魔的な表情のエヴァが居ました。
イライラしているようです。
「純粋に楽しみましょうか」
「あはは、そうね」
「そうですわよ。せっかく誘ったのですから」
「しょーがないなぁ。ほなネギ君!」
「待て! 木乃香」
その後、まき絵さん達が乱入してきて揉みくちゃにされていた。
どんな風に? そんなの決まっている。口にしたくない。
うっかり雷の暴風で吹き飛ばしてしまおう! とか思ったことは無い。
まあ、そんなこんなで南の島も終わったとさ。
学園祭まで残り16日という日にエヴァの別荘に集まっていた。
楓さんは来なかったが、クーフェイさんがきてくれた。
え、昨日? 昨日は適当に過ごしたよ。
「今何人居るんだ?」
「少ないんじゃない? ほらクーフェイちゃんだけだし」
「明日菜とウチとネギ君と茶々丸はんとエヴァちゃんとクーフェイちゃんやね」
「うむ、少ないな。千雨は?」
「何か用事があるんだとか」
「そ、そうか」
何でそんなに落ち込むんだ?
まさか、アレをさっさとさせたいのか?
呆れた僕は頭を抑えた。
「千雨ちゃんの用事って?」
「色々とあると思います」
「そうね」
明日菜さんも千雨さんの趣味を思い出して納得したような表情。
ネットアイドルも大変だなぁ。
「ネギ坊主、さっさと勝負するネ」
「あ、はい」
お互い距離をとって構える。
こういうときは静かのほうがいいんだよね。
「いくあるよ」
「はい」
さて、いきますか。と僕は表情を変える。
その表情を見た明日菜さん達はビクっと震え上がった。
これからする僕の行動を理解したのだろう。
「魔法の射手 雷の352矢 集束 雷の1矢」
「受け止めるネ」
クーフェイさんが無謀のように受け止めようとする。
そこで突っ込みが入る。
「いや、受けたらやばいだろ」
迫ってきていた魔法の矢を受け止めたクーフェイさんだが。
僕は罠に嵌ったと判断してさらに魔法を使う。
「少し強めの雷の暴風 てい!」
僕の腕に絡みついた雷の暴風を発射した。
発射したとたん、勢いが馬鹿みたいに早くなりクーフェイさんの真後ろに向かった。
それに気づいたクーフェイさんは今抑えている魔法の矢を真後ろにある雷の暴風に流した。
「どうあるか?」
「これで魔法の射手と雷の暴風が融合する」
「え?」
後ろを見ると魔法の射手と雷の暴風が集束していく。
さらなる魔法の射手に変わり、クーフェイさんに向かっていく。
「流すアル」
先ほどと同じように僕の方へ流そうとするが、あまりの質量を流すことが出来なかった。
しかし、クーフェイさんが後ろを向いてるため隙だらけ。
そんな状況を僕が見逃す筈も無い。
「これで終わりです。光速の1矢」
「ちょっ!?」
光状になった矢がクーフェイさんの背中にぶち当たりバタンと前に倒れた。
これで僕の勝ちだ、というよりも最初から負けなど存在しなかったが気にしない。
木乃香さんたちの方へ見ると、呆れたような表情だった。
明日菜さんがこちらに来て
「これって絶対負けるんじゃない?」
「明日菜さんなら魔法無効化で」
「ネギに魔法無効化能力働かないじゃない」
「それよりクーフェイちゃんは大丈夫なん?」
僕の光速の矢を直撃したから気絶中。
起きる気配も糞もない。
「木乃香さんが行って来てください」
「ウチが? わ、わかったで」
溜息を漏らして仕方がなく行くんだ的な表情で向かう。
木乃香さんの手をクーフェイさんの頭に乗せ治癒魔法をかけていた。
「うう……アレ、ワタシ何を」
「ネギ君に負けたんやって」
「ネギ坊主、強いあるな」
そう言って立ち上がったクーフェイさんは準備運動で体の調子を見る。
ここは木乃香さんに任せよう。
「エヴァンジェリンさん」
「ん?」
「闇の魔法はどうですか?」
「あ、ああ……まだ完成していない。太陰道も後一歩だな」
へえ、後一歩なんだぁ〜って「も」って何?
それだけじゃないの? そこの所を聞いてみたが、
「当然だ。新たな闇の魔法を思いついたのでな。完成すればナギ以上になる」
ヒントもない返答が返ってきた。
新たな闇の魔法、だと!?
それが完成すれば戦力が上がるんだな、と見てよさそうだったので聞かない。
それはともかく、クーフェイさんがこちらに来た。
「ネギ坊主、強いあるな」
「ま、まあ。かなり修行をしたもので」
「その年であんな力を持つなんて凄いアル」
っていうか、ガノードのせいでここまで強くなる必要があっただけなんだけど。
ガノードはフェイトより何億倍も上の領域だし。
権限の鍵を除いても異常な素質を持っていた。
闇の魔法であいつの力を吸収しようともできなかった。
原因は知らない。
ただ、あいつが言っていた『ドウシン』という能力が原因だろう。
あいつを倒した後の存在の欠片を解析した結果、ドウシンの能力がわかった。
ぶっちゃけ反則そのものだった。
「ドウシンという能力を持つ奴のほうが強いですよ」
「ドウシンって何なん?」
「どこからでもエネルギーを吸収し、自分のものにする最悪な能力です」
「どこが最悪なんだ? 闇の魔法でも相手の砲撃が」
「違いますよ。ドウシンは活動している全ての『モノ』から吸収するんです。
その上で相手から絶対に吸い取られることが無いという耐性を持ちます」
これ、ガノードの能力なんだがいいのかなぁ。
僕には不要になった能力だけど、明日菜さんか木乃香さんならできる能力だね。
後、千雨さん達も含む。
詳しい話を説明した後、明日菜さん達の反応を伺う。
「私もできるって事?」
「ウチもできるんやったらウチもほしい」
「そうしたらネギの隣に立てるわけね」
「おい、習うのはいいが、私の修行も忘れるなよ」
「わかってるわよ」
「はいな!」
学ぶ気満々らしい。
ドウシンは次元の狭間だろうが関係なくそこら辺にある空間もエネルギーに変換できる。
エネルギーとは気や魔力などの意味。
これは言ってないが別に教える必要も無い。
今後、そんな戦闘が起きるわけも無いし。
「ネギ君は使えへんの?」
「無理ですよ」
「どうして?」
「無理というより闇の魔法のほうが楽だからです」
へえ〜と感心してる明日菜さん達がいる。
クーフェイさんは向こうでさっそく修行をしてるわけで。
この別荘を気に入ってくれたっぽい。
「エヴァンジェリンさん」
「何だ?」
「明日菜さんと木乃香さんはどうですか? 実力的に」
今は僕の弟子ではないから実力がわかりにくいんだよな。
僕相手に本気出してるかも微妙だし、そこはほら、乙女の何からしい。
でも本気出してくれないと計算できない。
エヴァは僕の心を読み取ったかのように頷いて答えた。
「明日菜は刹那と私の修行やってるから相当だな。木乃香か、アレはどういったものだろうか」
「どういう事?」
そういうと、苦い表情になった。
「星光破壊が徐々に強くなってる。私が吸血鬼じゃなかったら死んでるほどな」
「そこまでの実力になってたんですか」
「だが、純粋な戦力ではネギの半分もないがな、もちろん私よりもだいぶ下だが」
エヴァより下。僕より半分も無い。
それってエヴァより弱くてもエヴァには対抗できるほどって事なんじゃあ。
魔法無効化と星光破壊って魔法使いには最悪の組み合わせだしな。
こちらには魔法が効かない上、向こうには障壁すら展開しても無駄って言うし。
「あれで未完成なんですよね」
「追尾式の魔導書を見ていたみたいだが」
「完成するんですかね」
「もう少しやで」
いきなり背後から声がした。
誰の声か非常にわかりやすいが、それどころか抱き疲れても居るからわかる。
「何しにきた。さっさと星光破壊を完成させたらどうだ?」
「そうしたいんやけどな……ん〜、ネギ君、星光破壊使ってみてくれへん」
「はい?」
木乃香さんが僕にお願いしてきた。
それが星光破壊を撃ってみてくれって言うことだ。
どうしてか聞いてみたら「ネギ君の見たら閃くかも知れへん」と真剣な表情をしていた。
ならば、それに答えるべきだろう。
「わかりました。詠唱教えてもらえませんか?」
「うん、えとな……」
木乃香さんから星光破壊の術式を教えてもらった後、一定の距離を取った。
僕の魔力で撃った場合、どうなるか予想済みだから魔力はまったく使わない事にする。
一人で修行してたっぽい明日菜さんもいつの間にこっちを見ていた。
「よし、光の粒子よ、我に仇名す存在に、罰を与えん 星光破壊」
魔力の塊を持つ右手を前に差し出した。
すると、それが発射され2キロぐらい向こうの森まで飛んでいく。
それに気づいたところで大爆発を起こす。
振動と爆発音がここまで伝わり地面が揺れていた。
「ネ、ネギ君が使うと凄い」
「ああ、わ、私の別荘が……」
威力に納得している木乃香さんと頭を抱えるエヴァがいた。
エヴァの視線の先を見ると、向こう、あっち寄りの約10キロのクレーターができていた。
おまけに、底が見えないが、奥をよく見ると空間が割れてる。
ちなみにエヴァの別荘、森エリアはエヴァが言うには改良したから20キロぐらいあるみたい。
「マスター、あの程度なら一度出れば修復できます」
「確かにそうだが、この破壊は」
「外からならどんな破壊でも修正できるとおっしゃっていたじゃないですか」
「時間かかるから面倒だ」
「封印の解けたマスターならすぐです」
上からシュパ! と現れた茶々丸さんがエヴァを説得していた。
説得って言うのか? なんていったらいいかわからないけど遊んでいるようにも見える。
というかだな、茶々丸さんはいつから忍者になったの?
イレギュラー続きであるこの状況に僕の疑問など些細なことかもしれないな。
「木乃香さん、こんなものでいいですか?」
「う、うん。約10キロの空間が破壊されたんやなぁ」
「さてと、クーフェイさん」
「何アルか?」
いつもの服を着たクーフェイさんが高速でこちらに来た。
「そろそろ時間っぽいです」
「もうちょっとだけ修行したいアル」
「こちらにも事情があるみたいですし」
あ、ちなみにクーフェイさんが修行してた場所は正反対ですよ。
そうじゃなかったら今頃亡くなってます。
ま、そうなっても権限の鍵で蘇生させればいいけど。
「木乃香さん、明日菜さん、部屋に戻ろ?」
「う〜ん、刹那さんがいないと無理ね」
「せっちゃん、また忘れられとる」
「こ、木乃香……」
とか言いつつも、明日菜さんは哀れみな表情で合掌をする。
それから、クーフェイさんや僕達はエヴァの別荘から出て、各部屋に戻った。
戻る時、エヴァが『ゆ、夕食でも食べていかないか?』と誘ってきたので誘いに乗る。
夕食を一緒にする。と言った時のエヴァの表情が頬を赤くして嬉しそうな態度で可愛かった。
食事中、エヴァが間接キスを狙ってきたりして騒動になったのは些細な事だった。
何か疲れたような感覚になっていた僕はベットに寝転がり今日のことを考えた。
「何で幻想世界できなかったんだろう。まさか元の状態じゃないとできないのか?」
頭の中で浮かんだ可能性を考えてきたが、睡魔に襲われ、そのまま暗闇の世界へ旅立った。
第40話『学園祭編その5 15日前 サブタイトル未定』へ
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