全ての終焉 42 |
第42話「学園祭編その7・少し早い世界樹の話と超とネギの接触」
あれから数日後の朝。学園祭まであと少しの日付だった。
「何だこれ?」
僕が起きたら、何でエヴァと刹那さんが両隣で寝ている?
パジャマ姿の刹那さんと黒いネグリジェ姿のエヴァ、
思いっきり近距離だし、吐息はかかる。片方の胸はアレだし、もう片方は言うまでもないが…。
「う、う〜ん」
「ネ、ネギ……そこはダメ、だ」
「どんな夢を見てるんだ? 嫌な予感しますね。極移」
面倒だから向い側の青いソファーに転移した。
ああ、理性消えるかと思った。
特に刹那さんがやばいんだよ。確か71ってああ、さよさんより小さかったんだ。
それでもやばかったよ。女性特有のってどうでもいいな。
そういえば、真やてんのまどうしょはいつ届くんだっけ?
「カモ」
「なんです?」
「あれはいつ届くの?」
「学園祭の前日ですぜ? 前に頼んだのと一緒に来るらしいです」
絶対服従のアレか。
本当に効くとは思っていない。効くようにすれば問題ないが。
何のために必要かはイレギュラーにもよる。
だから購入したに過ぎないから、できれば女の子には使いたくないなぁ。
使ってナニナニしてみたいというのは本音だけど、そういう事で使ったら嫌われるしね。
「届いたら早急に僕のところへ届けてほしい」
「兄貴のところへですかい?」
「特にまどうしょの方はね」
「イエッサー!!」
軍式で言われても困るのだが。
まあいい。
カモは別の意味で僕の大切な
「大切な食糧だからね」
「へっ!?」
「何でもないよ。そんなことより何でここにエヴァんじぇリンさんと刹那さんがいるの?
さらに言うけど明日菜さんと木乃香さんがいないわけ?」
「学園祭の準備ですぜ?」
「ああ、なるほど」
刹那さんとエヴァってなぜサボってるんだ?
まったく理解できないのだが。
「どうでもいいけどおきてもらおうか」
僕は寝ているエヴァと刹那さんの肩を揺らす。
目も開けようともしない、寝ているフリしてる気配もない。
「雷の暴風、15連」
そう呟いたら、いきなり2人が起きて僕の両手を防ぐ。
だが、その程度で僕の魔法は止まらない。
「起きたなら起きたでいいんですが、目を覚ますという意味で撃ちましょうか」
「いらん!」
「いりません!」
「というか死ぬだろ!私が」
「私もです」
明日菜さんの魔法無効化のことを言ってるのか?
「大丈夫ですよ。雷の暴風15発一斉射撃程度で死ぬわけないじゃないですか」
「いや待て! 15発分って千の雷1発分と半分の威力だろ?
さらにいえば、ネギの雷の暴風は学園が消し飛ぶだから……確実に私死ぬだろ!!」
「学園の広さってどれぐらいでしたっけ?」
知らんよ。そんなことはもはやどうでもいい。
どうでもいい話ができるということは既に目が覚めている証拠だね。
「撃ちませんよ」
「はぁ……助かった」
「助かりました」
安堵の息を吐いた2人だが、僕からすれば前と逆の立場なんだよ。
前はほら、僕も弱かったし。
懐かしいと浸っていると、刹那さんが声を掛けてきた。
「ネギ先生」
「なんですか?」
「朝食にしましょうか?」
「木乃香さんは?」
「このちゃんは夕方じゃないと戻ってこないらしいです」
「ええ!? ってあれ? 料理はだれが作るの?」
エヴァのほうへ向くが、寂しそうに俯き
「私は作れん……」
「私が作りましょうか?」
頬を赤く染めた刹那さんがいました。
この時期の刹那さんは和食なら作れたっけ。
「では作ってみましょうか」
「刹那、ネギのポイントを稼ぐ気か?」
「そんなわけないでしょ? このちゃんの料理食べてるネギ先生が私程度の料理を」
「……ところで今日はどうするんですか?」
「準備だろ? それは永遠に変わらんさ」
「ですね」
刹那さんも自由な態度になったなぁ。
「お腹空いたので作ってきますね」
木乃香さんのエプロンを付けて奥へ行く刹那さんであった。
今、僕とエヴァ2人だけになった。
大した意味はないけど。
「ネギ」
「何?」
「料理出来る子のほうがいいのか?」
突然、いまでは絶対ありえないことを聞いてきた。
「いきなりどうしたんですか?」
「いいから答えろ!」
「そうですね。できるならその人の料理食べてみたいです」
「ん〜、そ、そうか」
一体、何が言いたかったんだ?
まあわかってるけど、この時期にこれはないでしょ?
「兄貴」
僕の領域から飛び跳ねてきた下等生物が僕の肩に乗る。
「どうしたの?」
「オコジョネットしてていいッスか?」
「別にいいよ」
「ありがとうっす!」
そして、元の場所へ戻るカモ。
それにしてもオコジョネットって前にあったっけ?
あまりにも印象がない。
「はぁ」
料理はまだか、と念じているとエプロン姿の刹那さんが来た。
「できたんですけど」
「ならもってこい」
「手伝ってほしいんですが」
「わかりました」
エヴァは全くやる気がなさそうだし僕が行くことにした。
刹那さんはなぜかニヤッと笑みを浮かべ、拳を作っていた。
全部運び終わった後、いただきます。と言ってから食事にする。
3人で食事を取った後、学園に向かった。
〜教室〜
お化け屋敷、幽霊屋敷どっちでもいいや。
前よりも早くできていた。
これも徹夜したせいかもしれない。
「ネ、ネギ」
「アーニャ、大丈夫?」
「生きてるわ。徹夜で寝てないわ」
「僕はじっくりと寝ましたが」
「ネギも手伝ってっていうとあやかがうるさいわ」
アーニャは寝不足の上、色々とコキ使われているそうな。
皆も同じだから誰も反論もないが。
「ネギく〜ん」
木乃香さんが抱きついてきた。
徹夜した割には元気である。
「ここ、教室よ?」
「そんなん知らんわ」
いや、知らんと言われてもな。
すると、木乃香さんの背後に表情はニコッとしてても目が怖いあやかさんがいた。
「ちょっとお待ちなさい。このかさん」
「あやかさん落ち着いてくれますか?」
「はい!」
僕に呼ばれた瞬間、態度が180度反転した。
う〜ん、僕に呼ばれたことが嬉しいの?
まあ、未来ではそれ以上だったから言うまでもないか。
それはいい、現状を聞こう。
「準備はどれぐらい進んだんですか?」
「後数日で完成ですわ」
「後数日って3、4日後しかないじゃん!」
「え〜? まだそんなにかかるの!?」
裕奈さんとまき絵さんがそれを聞いてだるい気分になっていた。
聞いていた朝倉さんたちもしんどそうな表情に変わる。
「間に合うからどうでもいいけど、これはしんどいわ」
「ハルナは余裕そうね」
明日菜さんが眠そうに疑問を漏らす。
「ハルナは修羅場というなんちゃらなんちゃらで慣れてます」
「なんちゃらって何よ。でもそうね。慣れてるのはすごいわ」
「でしょ!」
ハルナさんに感心してる明日菜さんだが、ハルナさんは漫画を描いてるだけですよ?
それでもすごいけどね。
僕だって最初は1時間程度しか全力で戦えなかった。
何回もしているうちに慣れてしまい、何十年でも全力で戦えるようになった。
今はだいぶ力が落ちてるからたぶん、半年ぐらいだろう。
「皆さん、今日で終わらせますわよ!」
「は〜い!」
「そして学園祭を楽しむんだ!」
「そうよ!」
「うん!」
一致団結になった。
滅茶苦茶違う動機の人が多数。
っていうか、別に明日が学園祭じゃないですよ? 前はその通りだったけど。
「あわわ……すごい熱気です」
さよさんはこのクラスのテンションに。
僕と視線が合うと頬を赤くして横に逸らした。
何で?と疑問を持つと、ずーっとその辺に座っていたエヴァがこちらに来た。
「ネギ、相坂さよは幽霊に戻ることあるのか?」
「ないですよ」
だからエヴァのアレを入れたんじゃないか。
力だけぶちこんだから元に戻る要素が来ても大丈夫だ。
記憶まで預ける必要はない。
「そうか」
「ネギ先生」
ノコギリらしき道具を抱える茶々丸さんに話しかけられた。
今持ってる刃物が大きいっというか危ないです。
「な、何?」
「マスターにも聞きたいのですが」
「何だ? 茶々丸」
恥ずかしそうにもじもじしていた。
言うのを躊躇う行動を取っていたが、もじもじを止めた。
「実は、短い時間でもいいので私を人間にできますか?」
ああ、そういうことか。
権限の鍵で変換すればできるかも知れない。
ただ、問題がひとつだけあった。
「あることはあります」
「茶々丸さんを人にすることが出来るん?」
「問題があります」
「何でしょうか?」
「実行した場合、二度と元に戻れない可能性が高い」
「そ、そんなにですか?」
「というか、人にできること自体が有り得ないんだが?」
ここ、教室だからその後の説明は後にしよう。
「茶々丸さん、詳しい話はえと、今日の夜ぐらいで良いですか?」
「あ、わかりました」
茶々丸さんが僕の意図がわかり、頷く。
夜に指定したのには訳がある。
それは、だな。
その時、電話の着信音が鳴った。
「誰だろうって学園長?」
ポケットから携帯電話を取り出し、電話に出る。
「もしもし」
『ネギ君かね?』
「僕以外にこの電話に出るわけないじゃないですか」
『そうじゃったな』
「何の用ですか?」
『木乃香との進展はあったかのぅ?』
「ないですよ」
なんて事を聞いてきやがる!
10歳の姿の僕とこれ以上の進展なんて無いって。
『年齢詐称薬で一気に進展してくれても良いのじゃぞ?』
「それは別の意味で問題なんですが?」
『う〜ん、ライバルが増えた事で進むのも難しくなった訳じゃな?』
「意味が分かりません」
『これは大変じゃな。まあよい……木乃香には既成事実を作るという事を教えよう』
聞こえてくるのは奇妙な笑いだった。
向こうの声があまりにも不気味だったので話を変える。
「それで何の用ですか? 無ければ切りますが?」
『今すぐ世界樹の前まで来てくれないかのぅ?』
「世界樹?」
『そうじゃ』
時期的に早くなってる。
一体どうなってることやら。
いやでも、別の話かもしれないと自分に言い聞かせる。
「わかりました。僕一人で?」
『できれば刹那君と一緒にじゃ』
「わかりました。刹那さんとその他と行きます」
『その他って』
もう意味はないと思い、電話を切った。
教室でかけてくるとは思いもしなかったな。
「今すぐ、か」
一応、イレギュラーのことも考え、実力のある組み合わせを考える。
木乃香さんはココの準備に参加してもらわないと。
のどかさんや夕映さん、あやかさんも同じく。
明日菜さんも体力あるから重い物に困ると思うからココに放置。
千雨さんやアーニャは問題外、と空いてるのはエヴァ、か。
「エヴァンジェリンさん、刹那さん、これから用事があるので着いてきてもらえませんか?」
「え?」
「何?」
僕は2人にお願いした。
僕の表情を見て、2人は溜息を吐いた。
なぜに?
戦力的にはちょっと不満だけど、さすがにそこまでのイレギュラーが来るとは思えないし。
「別にいいぞ」
「わかりました」
「場所は世界樹の方ですがエヴァンジェリンさんは僕の影に隠れててください」
そうじゃないと色々問題がある。
封印が解けてるのがバレるとかエヴァを悪と決め付けてる魔法使いの連中がうざい。
だから僕の影に隠れた方が都合いい。
「わかった」
「ではいきましょう」
僕と刹那さんとエヴァが教室を出た。
出る時に超さんがこちらを見てたけどスルーした。
明日菜さん達の視線もあったが、何かを察して何も言わなかった。
〜世界樹前〜
ココに来るのは何度目だ?
道中、仲の良さそうな友達みたいに話していた。
前より仲が良いみたいだから良かったと思う。
それはいい、そろそろ世界樹に到着だ。だから
「エヴァンジェリンさん、僕の影に」
「ああ」
「そうですね。封印が解けたなんてわかったら大変ですから」
エヴァは僕の唇を奪ってから影の中に潜った。
その光景を見た刹那さんが僕の影を見て悔しがっていた。
「せ、刹那さん」
「な、何ですか?」
「いきましょうか」
「え、ちょ!?」
刹那さんの手を握って走る。
走っている途中、学ランを着た小太郎が僕の前に立っていた。
何でいるんだ?と疑問を持ちながらも話しかける。
「どうしてここに?」
「学園長から呼ばれたんや」
「何でこいつを呼ぶかなぁ。そんなに人手足りないのか」
「何か文句でもあるんか?」
「ないよ。早く行こう」
「せやな」
「仲が良いですね」
刹那さんの空気を読まない発言に僕と小太郎が立ち止まる。
「ど、どうしました?」
「・・・・・・いえ、いきましょうか。時間の無駄です」
「はい」
僕達はいつも行く方向ではなく人がいる方へ向かった。
到着してみると、見知った顔がチラホラ。
よく見ると制服が違う生徒までいる。
ってあ、愛衣さんが僕を見て目をキラキラ輝かせた。
「そういえば」
「どうかしましたか?」
「いえ」
そういえば、今度会ったら仮契約って話だったね。
いや、すっかり忘れていたけど、前に初めて出会った場所はココだったんだ。
学園長もこちらに気づいたのか、手を振っていた。
僕は学園長の方へ近づき周りのことを聞く。
「この人たちは?」
「この学園にいる魔法先生および生徒じゃよ」
「へえ、そうなんですか」
「そうじゃ」
威張ってるけど、その割には人が少ない。
「これだけじゃないぞ? 他にもいるが時間の都合じゃ」
「そうですか」
建前だけでも聞かないとイレギュラーが来るかも。
面倒だけど前と同じ質問する。
「僕達をココに呼んだ訳を教えてください」
「うむよかろう」
学園長は僕の質問に頷き、周りを見てちょっと考える素振りを見せる。
数秒後、真剣な表情で皆に言い始める。
「皆をここに集まってくれたのは他でもない。問題が起きる。
解決するために協力してもらいたい」
あれ? この話って前日じゃなかったの?
さよさんを人間にさせたあの日から数日経つけど、まだ2、3日ある。
「ネギ君、世界樹伝説を知ってるかの?」
「あ、はい」
これはもう確定。
う〜ん、すると後でもう一幕面倒ごとが起きるな。
「確か……学祭最終日に世界樹に願うと叶うっちゅーあれやろ?」
「私も聞いた事あります」
小太郎は噂やろ、と笑ってて刹那さんは世界樹を見つめていた。
だが、小太郎の表情は次の言葉で崩れる。
「それが事実なんじゃ」
「「え?」」
「マジでかなってしまうんじゃよ。22年に一度だけ」
だいたい大筋を知ってる僕は頭の中で整理しておこうと思う。
まず一つ目、世界樹の願いを叶えるという概念を書き換えれば、超さんの願いはつぶせる。
でもそれが正しいのか?って聞かれればそうでもない。
ガノードが干渉した結果で世界が滅茶苦茶になった。
魔法世界という異界を知った現実世界の人達はガノードの残していた技術を使い、魔法世界を襲う。
それと同時にたくさんの人が無くなった。
襲った理由は僕にも分からないが、おそらくガノードが認識させたに違いない。
証拠は存在しないがそう思うしかない。まあ、終わったことだからしょーがないが。
その影響で、後からいるはずの超さんが存在していない。
えと、技術は何かって?
ワームホールで核を送り出し、魔法世界に打ち込む技術や宇宙戦争用兵器など。
もしも、現実世界の人達が魔法を知ってたら、僕の未来のようにはならなかったかも知れない。
魔法世界も消えなかったかも知れない、と考えていた途中に僕の体が揺れた。
「ネギ先生!」
「め、愛衣さん?」
「はい!」
どうやら愛衣さんが僕の体を揺らしていたらしい。
刹那さんと高音さんとエヴァが話していたってエヴァ!?
「何でエヴァンジェリンさんが外にいるんですか!?」
「話は終わったぞ?」
「え?」
周りを見回すと、僕とエヴァと刹那さん、高音さんと愛衣さんだけだった。
あれ〜? 誰もいないです……
つまり何か?
僕が考えに浸っている間、学園長の話が終わり解散したという事?
「ネギ先生、話し聞いてなかったんですね?」
「いや聞いてましたよ!? 告白阻止ですよね!」
「そ、そうですわ」
「皆さんが撤退した後、いきなりエヴァンジェリンさんが出てきてびっくりですわ」
「そうですね」
愛衣さんは僕に笑みを浮かべ、高音さんの隣に立つ。
でもさ、違和感あるな。
「高音さん、愛衣さん、エヴァンジェリンさんが怖くないんですか?」
「ネ、ネギ?」
「怖くありませんわ。こんなに話しやすい方とは思いませんでした。闇の福音などの名称で怖かったのがアホらしいです」
「というわけなんです。ネギ先生」
腕を組んで頷く高音さんと笑顔で答える愛衣さん。
「エヴァンジェリンさんは悪と言う魔法使いですよ?」
「大丈夫です!」
「なぜ?」
首を傾げる僕にクスッと笑い、愛衣さんが僕とエヴァを交差に見てお気楽に言ってきた。
「ネギ先生がいればエヴァンジェリンさんは何もしないんじゃないかなぁって」
「だが、ネギを傷つけたりしたらそいつを八つ裂きにしてやる」
「そうですね!」
エヴァの言葉に刹那さんが同意する。
そうですね!ってあのね。
「木乃香さんも、ですよね?」
「え? そ、そうですけど」
そう言うと、僕から目を逸らした。
どういう事か、は事情を知ってるっぽいエヴァに聞く。
「どういう事ですか?」
「木乃香が刹那と対決したら……」
「どうなったんですか?」
「接近式星光破壊を何発も食らい、距離を離れ瞬動で背後に回り込み、攻撃という所で
何かの杖を持って10メートル離れ、本場の星光破壊を食らったのだ」
「杖?」
接近式って木乃香さん、あなたは何を目指してるんですか?
前の木乃香さんとは全然違うなぁ。
「修学旅行にあった杖を持っていた」
「ああ、一本足らないと思ってたら木乃香さんが持ってたんですか」
「何の杖なんですか?」
愛衣さんが話しに入ってきた。
「強制転移の杖、危険と判断した場合、強制転移で逃げることが出来ます。
制限外すと、自分の意思で位置、時間、場所を指定できます」
「「え?」」
「じ、時間!?」
「ええ!?」
上からエヴァと刹那さんと高音さん、愛衣さんが驚く。
時間は元から数分しか設定できないから驚く意味が分からない。
本当の効果を聞いたエヴァたちの表情を見て笑ってしまったが、すぐに止めた。
「そういえば何時でしょうか」
「今はお昼ぐらいです」
愛衣さんが赤色の携帯電話を取り出し、僕に時間を伝えてくれた。
お昼、ね。
お腹も減ったし教室へ戻って誰かに分けてもらおう。というわけで二人に伝える。
「二人とも行きましょう」
「ああ」
「はい」
行こうとしたら愛衣さんが僕の手を握ってきた。
エヴァと刹那さんが睨んでるから止めてほしいな。
「ネギ先生、仮契約……」
「今は忙しいので後にしてもらえませんか?」
「……そ、そうですね」
「では失礼します」
2人がいなくなった事を確認すると、僕達も教室へ戻ることにした。
教室へ戻る道を辿っていると、黒ずくめの人とぶつかった。
慌てて走ってくるから、こういう目にあるんだ。
違うことを考えたが、どっかで見たことあるなぁ、この展開。
「アウ」
後ろに倒れた反動で黒ずくめのフードが外れた。
その姿に驚く2人。僕はやっぱりか、と溜息を吐く。
「ネ、ネギ先生」
「助けてほしいアル」
「超、何があった」
「実は!? 来たアル」
確かに数人の気配がこちらに向かってくる。
前は黒肌野郎にって事だったから二度はゴメンだ。
「仕方が無いですね。刹那さん、エヴァンジェリンさん、道遠回りでもいいですか?」
「そうですね。この気配は刀子先生のもありますし」
ええええ!? 前の人と違うじゃん。
黒肌野郎じゃないの? 名前は確かガンドルなんたらだ!
「ちっ! なら私が」
「エヴァンジェリンさん!!」
刹那さんがエヴァに向かって叫ぶ。
どういう意味だ?と刹那さんに視線を向けるが、僕を見て察したみたい。
察したというか納得したというべきか、何に対して納得したのか僕には理解できなかった。
「ふう、極移」
これでもう何度目だ?と思いながらも場所を想像して転移する。
〜エヴァの家前〜
とりあえず、絶対に来ないであろう場所に指定した。
さすがにエヴァの家まで来ないでしょう。
超さんが僕の手を両手で包み込み、頭を下げた。
「ネギ先生、ありがとアル。それにしてもすごいネ」
「いえ、あんなの普通です」
「普通じゃないです」
「普通じゃないな」
「ひどいです」
その様子を見て笑う超さん。
「助けてくれたお礼としてこれをあげるネ」
渡してきたのは時計だった。
時計といっても腕時計ではない。
懐中時計型航時機カシオペアだ。
まさか、今の時点で手に入るとは思いもしなかった。
「あ、ありがとうございます」
「コレぐらい安いね」
「ところでどうして追われていたのですか? もしかして魔法?」
「ギク!?」
ビクンと体が動いた。
図星と考えた刹那さんは溜息を吐いた。
「超さん、どうして追われたか教えてもらえませんか?」
「私はある事情で魔法の存在を知ってるよ」
超さんは次々と事情を話していく。
今、研究している科学を魔法も利用して魔法科学という技術を作っているんだそうな。
え〜え、そんなこと初めて知ったよ。
それで、世界樹の噂が本当かどうかスパイロボットで調べていると世界樹での学園長の話を聞く。
本当だと確定して戻ろうとした時、魔法先生に見つかり追われていたらしい。
前も同じことで2度警告を食らった。
今度で同じ行動した場合、記憶を消去するという事らしかった。
「……そうでしたか」
「別にどうでもいいが、教室に戻るぞ」
「珍しいね。エヴァンジェリンが自ら教室へ行くなんて」
「茶々丸を置いてきてるだけだ」
「なるほど、ね」
そう言って、僕達は教室へ向かった。
お化け屋敷か幽霊屋敷か知らんが、学園祭用の出し物を夜7時ぐらいに完成させた。
完成した後、魔法を知らない人達は完全に寝込んだ。
理由は簡単だった。
準備をしてる全員に行動高速化の魔法を使いました。
高速化させた影響で体に負担が重くなり、眠ってしまったって事。
そして、茶々丸さんの用を果たすために。
準備で疲れた体を休ませるために、無関係者である小太郎も巻き込みエヴァの別荘へ乗り込んだ。
第43話『学園祭編その8 数日前〜学園祭前日でまたもやイレギュラー!』へ
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