全ての終焉 43 |
今までの中で一番長い?話です。
この話は今後(ネギ個人)の重要要素を含んでいますが、全体的にgdgdかな。
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第43話『学園祭編その8 数日前〜学園祭前日 真・やてんのまどうしょ』
〜エヴァの別荘〜
魔法を知ってる関係者ほぼ全員をココに導いた。
念のため、小太郎も連れてきた。
理由はアーニャの成長だ。
「何で俺がココにおんねん」
存在理由を呟く小太郎。
いつの間にかその場にいたっていう状況不明な状態。
「僕が連れてきたから」
「ったく、嫌な奴や」
「あ、あなたはなんてことを言ってくるんですの!」
あやかさんが小太郎の態度にムカッときたらしい。
2人の口喧嘩が始まった。
まったく、これじゃあ進む気もしないから始めることにしよう。
「そろそろ本題に入りましょうか」
「本題?」
「茶々丸さんを人間にする計画を」
「ええ!?」
「人間になるん!?」
なりますよ〜。
別の意味で最強にしたいと思う。あくまで別の意味だが。
「さよさんを人間にしたのは僕ですよ? その程度の事、造作もないです」
「そ、そうなんですか!?」
「普通は人間に戻すとかできないのですが」
「確かにそうね」
皆が感心したようなホメ言葉を言うが、小太郎が妙なことを言い出した。
「フン! さすが俺のライバルや!」
「誰がライバルなの?」
「小太郎君、いつ僕のライバルになったの?」
「何やて!?」
否定されたことに頭が来た小太郎がほえた。
まるで犬のようだ。
だから、僕は親切に答えを返した。
「だって実力も天と地の差がある」
できる限り心に傷が付かないつもりで言ったのに、涙目になった小太郎は僕に指を刺し
「俺はな、もっと強くなるんや! 見てろ! もっと強くなってネギを見返したるわ!!」
負け犬のような言い方をして地面に座り込む。
拗ねるなよ、と哀れな小太郎を慰めようとしたが、明日菜さんが僕とエヴァを見て
「そういえばエヴァちゃんとネギ君ってどっちが強い?」
「ウチも気になったえ」
「エヴァンジェリンさんは吸血鬼の真祖です」
「ネギ先生は人間ですわよ? どうやって」
あやかさんは心配してくれてるけど、僕も半分人間じゃないような気がする。
何せ、1000年以上生きてるもので。
エヴァは望んでこうなったわけではないが、魔法使いとしてトップレベル。
「私の方が上だろうな」
「マスターは本当にそう思っているのですか?」
「当然だ。生きてる年が違う。魔力が私を上回っていても無駄さ」
年相応の態度を示すエヴァ。
かっこよく決めたつもりだろうが、全然決めてないよ?
だって……
「エヴァちゃんが言っても説得力ないやん。小さいし」
「な、何だと!?」
この2人、何で仲が悪いんだろうか。
そう思考をめぐらせていると、あやかさんが割り込んで
「ネギ先生の前で止めてくださいません?」
「ふん!」
「そやな」
そっけない態度で喧嘩を止めた。
あやかさんが止めなかったらここは戦場化としていたかもしれない。
「どんどん話の方向ズレてるんだけど?」
「あ、そうだ」
「ハルナ、どうしたですか?」
「いいこと思いついちゃった」
「いいことだと!?」
「ここにいる全員で、もちろん戦える人のみのトーナメント戦を」
「「「「トーナメント?」」」」」
ハルナさんの提案で皆が驚く。
そういえば前の時も言ってたなぁ。その時の優勝は誰と初めピー、だったかな?
「そ。優勝した人には何でも言うことを聞くって事で」
「な、何でも!?」
「それってネギ先生と一日デートでもよろしいですの?」
「何でもだからね」
あ〜あ、ハルナさんのペースに乗せられている。
トーナメントなんてやってる暇はないっての、
「フフフ……そんなことをやってる暇があったら修行してくださいよ」
「わ、わかりました」
いい加減の態度に怒りを覚えた僕は無理やり笑みを浮かべ、注意すると慌てて頷いた。
明日菜さん達もなぜか震えていた。
まあ、それはどうでもいっか。
座りながらも震えている夕映さんとのどかさんに尋ねる。
「ところでのどかさん、夕映さん」
「何でしょうか?」
「この前言ってた考えている魔法って何ですか?」
「あ、それですか。それは融合魔法です」
「ゆ、融合!?」
融合魔法って2人同時に打ち込むアレの事?
成功したら威力が10倍以上になり、失敗すれば2人分の威力しか発揮できない。
夕映さんとのどかさんが、ねえ。
「完成しかけなのです」
「ただタイミングが合わないんです。呪文は同レベルで魔力も同じにしないといけなくて難しいです」
「のどか、白き雷同士の方が効率がいいのです」
「そうだね。夕映」
呪文を同じレベル、魔力も同じに調整か、難しいかもしれないが頑張って。
お二人さんの努力はきっと実るよ、多分。
前は使った場面が一度もないから、さっぱりだ。
「エヴァンジェリンさん」
「何だ?」
「茶々丸さんの人間化はアレですよ?
人間とガイノイドタイプのロボット切り替え可能にするつもりです」
「それなら超を誤魔化せるな」
「正確には超さんと制作者ですが」
エヴァが納得したような表情でなるほど、と頷く。
「そうならば、なぜ戻れないとか言うんだ?」
「あれですか? あれは今すぐって話です。別に今すぐじゃなかったら今言ったことが出来ます」
短時間だと時間かかる。
権限の鍵を使えば早くできるかもしれないが、生命体の体を作る場合かなりきつい。
本来の姿でなら今すぐでも出来るが、今の僕の魔力は滅茶苦茶低い。
「茶々丸はどうしたいんだ?」
「わ、私は」
「茶々丸さんが人になったらネギ先生の感触が味わえます」
こらこら、変な事言わないで。
「ネ、ネギ先生の感触って何?」
「千雨ちゃんもしたやん」
「あ、ああ! そ、そうかも」
千雨さんがあのときのことを思い出して赤くなっていた。
それを羨ましそうに見る茶々丸さん。
「ネギ、茶々丸ちゃんの体はどれぐらいでできるの?」
「色々調整とかするから学園祭最終日の夜まで絶対かかります」
今気づいたけど明日菜さんって茶々丸さんを呼ぶ時、ちゃん付けでしたっけ?
何気に木乃香さんもちゃん付けです。
「最終日の夜ですか」
「たったそれだけで作れる事の方が異常よね」
「ねえねえネギ」
「どうしたのアーニャ?」
「茶々丸さんのスリーサイズってどうするわけ?後、作るって事は触りまくるんでしょ?」
アーニャが人を変態と思うような視線で見てきた。
僕はそんな事しないよ、と真剣な表情でアーニャを見る。
「茶々丸さんの姿そのままを人にするだけだからスリーサイズとか変わらないよ。
さわりまくるって触らないって」
「どうやって感触とか確認するの?」
「それは茶々丸さん本人が、だよ」
「へ、へえ〜」
僕の意志が伝わったようだ。
本人が確認しなきゃ意味ないよ。
僕が触った所で感覚なんて分かるわけないし。
第一、権限の鍵を同化させたら人じゃなくなる。
「マスター」
「ん?」
「いいのですか?」
「何がだ?」
「私が人になっても」
「いいんじゃないか? お前もネギの事アレだろ?」
「……はい」
「だったら気にする事はない」
「ありがとうございます。マスター」
おお、エヴァが素直だ、というか本当に性格変わりまくってるね。
人間になった時のエヴァのようだ。
2人の状況を見て和んでいると、あやかさんが僕の肩に手を置いた。
「ネギ先生、私も強くなりたいですわ」
「あやかさんって運動神経大丈夫ですか?」
「何言ってるのよネギ、委員長は合気柔術とか色々学んでるわよ」
「明日菜さん、あやかさんの事ご存知ですよね」
「な、何言ってるのよ! わ、私は別に……」
「明日菜さん……」
照れて目を背けた明日菜さんを優しい表情で見るあやかさん。
やっぱり2人は親友のようだ。
「あやかさんはエヴァンジェリンさんに魔法を」
「なぜ私なんだ?」
「ネギ先生が教えてくださいませんの?」
つぶらな瞳で見つめてくる。
いや、僕だとアレだしなぁ。
「エヴァンジェリンさんのほうが教えるのが上手ですから」
「フハハ、いいだろう。雪広あやか、私の弟子にしてやろう」
「ネギ先生に、2人きりで習いたかったですわ」
がっかりといった感じで肩を落とす。
教えてやりたいのは山々だけど、あやかさんの場合はちょっと色々と問題が。
それに前のことを思い出してしまうから御免。
え、前のことって何か? 勝手に想像しててください。
「それが本音やな」
「でも2人きりだからって雰囲気は怖かったけどね」
「魔法の射手ばっかで雰囲気も何もなかったんやけど」
言いたい放題だな。この2人は。
何が言いたいんだろうか、僕にはさっぱりだ。
「結局さ、私がここにいるのって何?」
「空気じゃないですか?」
「ゆえっちも厳しいねぇ」
「それほどでも」
「褒めてないけど」
あ、そうだ。わざわざ魔法世界でする事はないよね。
ここで短縮できないかな、と空気化としていた朝倉さんに聞いてみた。
「朝倉さん」
「何? ネギ先生」
「仮契約しますか?」
「「「「「ええ!?」」」」」
明日菜さん達が驚きの声を上げる。
このパターンはもういいよ。
言われた本人は何でもないかのように言い出す。
「およ? いいの?」
「別に良いです―」
「良くないわよ!」
「ネギなんてこと言い出すのよ! このエロネギ!」
アーニャが僕の頭を軽く小突く。
痛くはないけど、周りの雰囲気が怖いな。
こんな状況じゃとてもできない?
「反対がいるんだけど?」
「はぁ、しばらく後でいいですか?」
「その方が良いね」
「ですね」
中止になった事で周りの雰囲気が元に戻る。
先ほどのが嘘のようだ。
どのみち、魔法世界でする事になるよ。
「そろそろ帰りましょうか。茶々丸さんのことも決定しましたし」
「そうね。帰って食事にしたい」
「ここばっかだと無駄に年を増やすだけやし」
「小太郎君はさっきから何をしてるの?」
見てみると、空気同士ゲフンゲフン、刹那さんと小太郎君が戦っていた。
剣相手の組み手みたいなもの。
小太郎君の、このアホの相手で剣なんて……いたな。
粘るだけの役だったあのラカンさん戦か。
ラカンさんの無数の剣が小太郎君に飛んできてたな。
防ぐ事も叶わず避けるだけ。
「すごいなあ、ねえちゃん。けどこれはかわせるか!!」
「どうぞ」
なにやら戦闘していた。
馬鹿でかい黒い獣が刹那さんを襲うが、
「神鳴流奥義 斬魔剣 弐の太刀」
あっさりと黒い獣が消滅した。
数秒しか持たなかったって弱いよ。
何であの2人が戦っているのかわからんが、放置しよう。
「せっちゃん、ウチら帰るから」
「え? 待ってください! このちゃん」
瞬動で小太郎君の手前まで来て、小太郎君の手首を持ち、思いっきり海エリアへ投げ飛ばした。
うわあああとか叫んでるが遠くまで飛び、聞こえなくなった。
「せっちゃん、何かひどいなぁ」
「うっ、ですがこのちゃんが帰るというなら私も」
「違うやろ? ネギ君が、やろ?」
刹那さんの気持ちがわかったかのように笑みを浮かべる木乃香さん。
その台詞で赤くなった刹那さんは俯いた。
「あ、忘れてました。茶々丸さん」
「何でしょうか?」
「茶々丸さんのデータをくれませんか?」
「私のデータですか?」
「それがあれば、楽に出来ますから」
一応知ってるけど、うろ覚えだから一致してるかどうかもわからない。
違っていたらやり直しになる。
そうなると夏休みになってしまうから、そこだけは避けなければいけない。
「データは携帯電話のアドレスに送信で良いです」
「ネギ先生のメールアドレス、知らないのですが」
「え〜とですね、negisamasamaピーピーピーです」
「negisamasamaピーピーピーですね。登録しました」
「ピーピーピーって何ですか?」
夕映さんが突然聞いてきました。
ほら伏字って大事だと思いますって言おうとしたらアーニャが愚痴を言い出す。
「それにしても相変わらず変なアドレスね」
「アーニャのだって変」
「お互い似たもの同士じゃない?」
明日菜さんが呆れて言い切った。
一応、明日菜さんと木乃香さんはアーニャのアドレス知ってるから。
「アーニャちゃんのはArnyaPrincessにゃんにゃんやん」
「このちゃん、にゃんにゃんって?」
「気にしたら負けや」
「い、いえ言い方がかわいいです」
「あ、そ、そやな!」
恥ずかしそうに俯く木乃香さん。
自分で言った言葉を思い出して恥ずかしくなったんですね。
木乃香さんと刹那さんの会話を聞いていたら、後ろから千雨さんが声をかけてくる。
「ネギ先生」
「千雨さん?」
「私にもアドレス教えてくれますか?」
千雨さんを見ると携帯電話を片手に持っていた。
「何して?」
「危険な状況になったときとか」
「カードで十分じゃないの?」
「メールじゃないとできないから」
「何をできないのかな? ラブ臭が!」
ハルナさんが千雨さんの体をまさぐろうとしたが、無理やり押しのけられた。
確かに触られたら嫌だよなぁ。
「いきなり何を!?」
「千雨ちゃんって案外……」
「胸の大きさ82cmは伊達じゃないわね」
「人のバスト大声で叫ぶな!!」
叫んだ後、僕の方をチラッと見るが、すぐ逸らした。
別に知ってるから気にならなかったが。
「何かええな〜」
千雨さんの胸を見て羨ましがる木乃香さん
視線に反応した千雨さんは慌てて自分の胸を隠す。
それでもジーッと見つめる木乃香さん
胸の話になった瞬間、黒い雰囲気を漂うエヴァが呟く。
「さっさと帰るなら帰れ」
「そ、そやったな」
「エヴァンジェリンさん。小太郎君たちのことお願いします」
「ネギ先生?」
部屋が同じメンバーだけを囲んで、転移魔法を発動させた。
あやかさん達はエヴァに任せた。
部屋に戻り、適当にすごした。
あやかさん達はエヴァに鍛えられ続けました。
そして、学園祭前日になった。
明日菜さん達は先に学園へ行ったらしい。
起こしてくれても良いのにっと悲しくなったが、僕の肩に変な生き物が乗った。
「兄貴! 例のブツが来ましたぜ」
「何だカモか、ん? とうとう着たのか」
「これですぜ」
50センチのダンボールがテーブルに置かれていた。
どうやって持ってきたんだ? この生き物は。
気にする意味はないか。
僕はごくりとつばを飲み込み、ダンボールをあけた。
「これが真・やてんのまどうしょ、か」
「絶対服従もあるぜ!」
「うむ。それは後でね」
「イエッサー!」
カモは放って置く。
ダンボールから取り出した本は新品みたいに加工されていた。
表面の色が水色という目に優しい色だ。
「ん〜どうせなら緑で良いのに……気分を変えようか。これがやてんのまどうしょか」
わくわくしながら最初のページを開くと、光を発した。
僕は慌てて本をテーブルに投げた。
徐々に開いたページから光があふれ出した。
すると、光がやんでいくと、銀色の髪をした女の子がいた。
身長は160センチぐらいかな? 目が赤いけど中心は黒い。
胸も明日菜さん並みかな? でも、
「どっかで見た事あるなぁ……って何だこの魔力と威圧感は!」
いきなり目の前にいる女の子から圧倒的な魔力と威圧感が僕を襲う。
バグキャラのラカンさんや異世界や平行世界で経験しているから、いつも通り気合で吹き飛ばした。
「元の僕の魔力ほどじゃないが、それに近いほどの魔力が襲ってきた」
その影響かどうか知らんが、カモはその辺で気絶中だ。
でも良かった。明日菜さん達が学園に行った後で。
目の前にいる銀色の少女が口を開く。
「私の魔力に耐えた? ……私はグリモワール。全ての魔道書を知る存在」
「グリモワール、か」
「あなたが私を呼んだのですか? ならば私の真実の名前を教えます」
「真実の名前? グリモワールじゃないの?」
「はい。私の名前はリイン―」
名前を言い出す前に口を塞いだ。
モゴモゴと口を動かしてるが気にしない。
もういいだろうと判断し、手を離した。
「いきなり何をするのですか?」
「だって妙な事言い出すし」
リイから続く言葉なんてあれしかないでしょうが。
それにしてもおかしいな。
「君に僕からの名前を付けよう」
「そ、そうですか?」
「君の名前はリイス」
「リイス……ですか?」
「そ。リイス、異世界で言い伝えられた女神の名前」
「そうですか。ありがとうございます。ではこれからリイスが名前です」
女神という言葉で嬉しそうに喜んでくれてるが、実は適当。
それにしてもリイ■■ォ■スか……。
でもグリモワールってアレだよな。
「ねえねえ」
「何でしょうか?」
「やてんのまどうしょから出てきたリイスって何?」
「創られたときに植えつけられた守護人格です」
「守護人格?」
「はい。このまどうしょは選ばれし者じゃなければ脳が逝かれて死にます」
「先ほどのアレ、か。でもどうして?」
「このまどうしょは普通のアレと違い、ある存在と同じ能力を持ちます。
だから資格があるかどうか私の魔力を耐えた者に使う権限をっていう形です。」
「それって……」
普通のアレって特殊の魔導書っぽい意味らしい。
僕が知ってる同じ名称のアレの意味ではない。
「はい。これは別の経由で権限の鍵とほぼ同じ事が可能な魔導書なのです」
「権限の鍵、これか」
僕は権限の鍵を出現させると、リイスが驚いた表情になる。
なぜ驚くのだろう。
僕が持っていたのが意外だったのか?
そう思っていると、リイスの表情が笑顔に変わる。
「あなたが、選ばれし真格者の欠片なのですね」
「真格者の欠片?」
「はい。欠片というのはまだ真格者ではないという事です」
「そうですか」
真格者?
そういえばガノードも真格者という言葉を使っていたな。
『私は、俺は、我は全てを手に入れる! 真の主となり、真格者となり―』
どういう意味なんだ? 今の僕には理解できない。
理解しててもどうなるわけでもないが。
「僕が真格者とやらの候補?ですか」
「そのようなモノです。もしそうならあなたは……」
「え?」
「い、いえ何でもないです」
う〜ん、小さすぎて聞こえなかった。
なんでもないのならそれでも良いけど、ん? そういえばその名称ってアレか?
「リイスの能力って何なの?」
「わ、私のですか? 私の能力は全ての魔導書、術式に載せられた力を使うことが出来ます」
「全てってどういうこと?」
「こう言えば分かりますか? 全ての世界の、です」
「う〜ん短いけど、理解はした」
つまり、この世界だけでなくあらゆる平行世界や異世界の魔導書を知っている。
ネクロノミコン、ソロモン、ラジエルの書など知ってるのか。
ん? って事はネクロノミコン……
「じゃあ、DEMONも呼べるわけ?」
こっちの思ってることが正しければ、こいつも権限の鍵と変わらない。
だいたいそんなもんを呼び出したら世界に負担かかるし呼ばないよ。
だが、本当に予想通りの答えが来た。
「可能です。呼びましょうか? ただし大きさが太陽系銀河第5惑星である木星の10倍ですが……」
「呼ばなくていい!!」
「そうですか。その判断は賢明だと私も思います」
ホッと安心しているリイスさん。
この娘は何に対して安心なんだろう。
安心なのは確かだろう、んなものを呼んだ瞬間、地球が無くなる。
「他はないの?」
「私と一時融合することでパワーアップします」
「一時融合?」
僕の言葉に一瞬戸惑っていたが頷く。
こうしてみるとリイスが高校生ぐらいの女の子と変わらないな。
「ご主人様はまだ違いますから一時だけしかできません」
「時間制限があるってこと?」
リイスは返事として頷いたが、ちょっと待て!
今、この子はなんて言ったの? ご主人様!?
「何でご主人様なの?」
「私を起動させました。だからです」
「いや、それ止めてもらえませんか?」
「嫌です。ご主人様はご主人様です」
恥ずかしそうにしながらもはっきりと言葉にする。
それに嬉しそうだ。
「これが最後だけど、いつ作られたの?」
「私が作られたのは今から約130億年前です」
「ブッ!」
あまりの年数に噴いてしまった。
130億年前からの魔導書つーことは何か?
アレとはまったく関係ないのかな?
「平行世界にあるアレとは関係あるの?」
すると、リイスの眼が銀色に輝いた。
眼からは莫大な何かを感じたが、それも数秒もすれば消えた。
その間の表情は無表情で怖かったよ。
「アレと私は別物ですが、私を作った人が未来を見て製作したものらしいです。
だからと言って守護者が後4人もいないですよ? 間違わないでくださいね」
「アレをベースに作ったのか、ふ〜ん……僕の疑問は解けました」
「そうですか」
疑問は解けたけど、異常すぎるね。
だいたいDEMONが宇宙クラスって段階で狂ってる気がする。
ああ、だから権限の鍵は求めたのか、リイスの力を。
生まれた経由を詳しくじっくりと聞いた後、一息着こうとしたら玄関からドアが開く音がした。
「え?」
「ご主人様、誰かが侵入したようですが?」
「ここに住んでる同居人なんですが」
「そうですか」
いや待て、同居人って事は明日菜さん達が帰ってきたの?
帰ってくるのが早いよ、前はこんな早く帰った事ない。
並行世界だって同じだしどうなってるんだ!
この状況を解決させるためにはリイスをいなくさせればいい。
つまり、リイスを元の状態に戻せばOKというわけで、すぐに戻るようにと命令する。
「あの、すぐ本に戻ってくれる?」
「……もう遅いようです」
「え?」
玄関の方を見ると、木乃香さん達が呆然としていた。
アーニャは肩を震わせ、明日菜はリイスを誰だ!と睨むように直視してました。
いい雰囲気じゃない、手遅れだった。
「ねえ、その人は誰?」
「ど、どうして明日菜さん達がここに? 学校はどうしたんですか?」
「そんなのとっくに終わったわよ」
「ネギ君、昨日のうちに終わらしたやん。今日は確認だけや」
「しかし、兄貴もスミにおけないッスねぇ」
どこから湧き出したのか、木乃香さんの肩に乗る。
生き物に反応した木乃香さんはカモに何かをあげていた。
「オレッチ、気絶する振りして木乃香壌ちゃんのカードで念話してねえッスよ?」
「というわけよ! それに驚いた木乃香が私達に知らせて戻ってきたって訳」
カモのやつ、いつどこでどうやって連絡したんだ、と思いながら周りを見ると
木乃香さんの仮契約カードはカモが気絶していた場所にあった。
これはもう積みだな、おとなしく白状する。
「……わかりました。正直に話しますから明日菜さんもアーニャも焼かないでください」
「や、やいてないわよ!?」
「別にそんなつもりじゃ……」
アーニャは図星で叫び、明日菜さんがもじもじしながら小さく呟く。
ああ、この明日菜さん本当にかわいすぎる。
悶々と考えていたが、リイスが僕の腕に絡みつき
「私はご主人様の物です」
「「「え?」」」
爆弾発言をしやがりました。
皆の視線が全部、僕に来るわけで。
困った状況になり、リイスを睨むが、その本人は見れば分かるほど顔が赤くなっていた。
赤くなるぐらいなら言わなきゃ良いのにっと思ったが
「物ってどういう事なん?」
僕ではなくリイスに切り替え、人差し指をリイスに向けた。
「そのままの意味ですが?」
「物ってこいつはまだ10歳なのよ!」
「関係ありません。私はご主人様の―」
「リイスは魔導書の精霊みたいなモノです」
嘘っぱちを吐く。
だって誰が信じると思う?
守護人格の存在する魔導書がこの世にあるなど。
だったら精霊が憑依してる方が不思議でも何でもない。
「精霊!?」
「そんな魔導書あったかな〜」
「証拠見せますよ。リイス」
「わかりました」
リイスは頷いて眼を閉じると、光がリイスの体を包みこんだ瞬間、黒い本になった。
あれ? 色変わってるじゃないですかリイスさん
「ええ!? 本当だ!」
「すごいなぁ」
「わ、私は信じてたわよ!」
「絶対嘘や」
「明日菜の嘘はわかりやすいわ!」
「くっ……はぁ〜」
はじめは驚いたものの、後からはもう驚かないでいた。
ったく、喜んでいいのやら呆れていいのやらさっぱりだ。
まぁ、魔導書が人になるなんて普通有り得ないからね。
とりあえずこの魔導書の存在を明日菜さん達に話すと、溜息を吐いていた。
「ラ、ライバルができるやなんて」
「ライバルって本でしょ?」
「甘いで、アーニャちゃん。茶々丸ちゃんやさよちゃんを思い出してみい?」
木乃香さんの誘導的、計画的な言葉に考え込むアーニャ。
答えが出たのか、アーニャはこう呟いた。
「それもそうよね。ネギ」
「何?」
「……リイスと仮契約とかするわけ?」
その言葉、いや仮契約という事場に反応した本が人の姿に変わる。
「したいです!」
「え?」
「だから仮契約したいです!」
「いや、リイスは守護人格でしょ?」
「私の、初めてのご主人様ですから」
両方の人差し指を合わせ、頬を赤くしながら呟くリイス
今なんて言ったの?
初めてって事は今まで誰も使いこなした事はないという意味。
何となく木乃香さん達を見た瞬間、
「「「えええええええええええ!?」」」
部屋全体にかなりの大声が響きました。
僕は逆に疑問を持つ。
「初めてって今まで起動されたことないの?」
「ありません。私を起動させたとしても私の魔力で消えます」
「「「え?」」」
最初のアレで起動させた者は消えてしまうらしい。
ああ良かった。ガノードみたいな化け物と戦っといて。
俯いて語るリイスの言葉で3人が驚愕の表情になる。
「そんなルールが存在したんだね。でもどうして僕は?」
「ご主人様は……言っていいんですか?」
リイスは明日菜さん達をチラっと目を向けた後、僕を見つめる。
何が言いたいってまさか、
「もしかして僕の事知ってるの?」
「ごめんなさい。ページを開いた際、光りましたよね?
あの光は記憶を見てしまうんです。対象の記憶を見たらって事です」
申し訳なさそうな表情だった。
なるほど、僕が未来から来たことも皆知ってるわけだ。そして目的も。
そう思うと物凄く恥ずかしくなった。
だが、僕とリイスの会話を聞いていた3人が会話に入ってくる。
「ネギ君の記憶って事はウチらの事どう思ってるんかわかるんやな〜」
「いや木乃香、意味わかんないから」
「それはどうでもいいの。ネギ」
「何? アーニャ」
「仮契約しないの?」
何でアーニャは僕とリイスを仮契約させたいの?
いや違うか、アーニャを見ると「はっきりさせなさいよ!」という表情をしていた。
「どうして?」
「リイスちゃんって魔力高いやん」
「兄貴、しちゃいましょうぜ!」
なぜか木乃香さんはリイスの存在を受け入れてます。
さっきまで空気の存在だったカモが会話にログインしてきた。
「ご主人様……」
「まず呼び名を変えて。そうじゃないと仮契約はしない」
「ネギ君には夢ないん?」
「ないよ」
木乃香さんはつまらなさそうに溜息を吐く。
さすがに人前でご主人様とか呼ばれたくないです。
「それにしてもリイス、木乃香が呼ぶようにリイスちゃんって言うけど」
「何ですか?」
「変わった服装よね」
「私も思ったわ」
明日菜さん達が変わってる服装って言うけど確かにそうだな。
この世界から見ると、ね。
リイスの服装は黒い半袖というか肩までしかなく、表裏には妙な紋章が描かれている。
下の方は黒い色のスカートで短い。
下着が見えるような見えないような男を焦らす長さだ。
でもさ、服装がまるっきりアレと同じなんだな。
「ネギ君」
「何ですか?」
「リイスちゃんの服そそる?」
「こ、木乃香!?」
「い、いいえ」
僕は慌てて頭を横に振り誤魔化したが、甘えてこられたら理性が持つかどうか。
「仮契約は僕のことを名前で呼んでくれないとしませんよ?」
「っ!? ……ネギ様、ネギさん、ネギ様、ネネネネ、ネギ」
「リイスちゃんって背も高いから呼び捨てでも違和感ないやん」
自分のことのように嬉しそうにはにかむ木乃香さん。
褒め言葉を聞いたリイスは赤くなって俯く。
「私も呼び捨てだしいいんじゃない?」
「私、明日菜と同じってちょっとショックかも」
「何でよ!」
「馬鹿がうつったら嫌でしょ?」
「誰が馬鹿よ!」
ギャーギャーと騒ぎ出すアーニャと明日菜の争いに巻き込まれないよう離れる。
言い合いだから別に損害はないが。
「リイス」
「何ですか? ご、ネギ」
「仮契約は明日にしましょうか」
「あ、はい」
「ええな〜」
羨ましそうにリイスを見る木乃香さん。
何をそんなに羨ましそうってああ、キスか。
だからってどうしろというんだ?
「あ、ウチからすればいいんや。ネギく〜ん」
「え? んっ!」
「んんっ…んくっ…ん」
いきなり木乃香さんが僕のほっぺに手を添えて唇を合わせた。
目を瞑っていると、木乃香さんの舌が入ってきて僕の舌と絡み合う。
あー!って驚く声を聞いた途端、木乃香さんが離れた。
「久しぶりやからつい」
「ついじゃないわよ! 抜け駆けするなんて」
「ごめんごめん」
「自分が決めたアレも守れないなんて」
木乃香さんが決めたアレ? まあ気にしない方が良いな。
こういう事を聞いたら変な事が起きるって相場が決まっている。
「まあまあアーニャちゃん、悔しかったらすればいいじゃん」
「明日菜もね」
アーニャと明日菜さんの仲が良すぎる。
これなら僕の試作魔法を教えることが出来るかも知れない。
今後の展開も考えようとしたが、僕のお腹から音が鳴った。
皆に聞かれた僕はお腹を撫でる。
「お腹減りました。昼食にしましょうか」
「そういえばそんな時間やな」
「私、和食が良いわ」
「日本に来たからそうね」
やっぱり仲良いな。隣同士でソファーに座ってる。
この2人がしゃべる所も多くなった気がする。
「ネギ君は何がええ?」
「洋食で」
「ほなネギ君とウチは洋食やから明日菜とアーニャちゃんのを先に済まそか」
エプロンを着た木乃香さんは台所へ向かった。
さっきから静かなリイスは目を瞑っていた。
考え事でもあるのだろうから、そっとしておこう。
僕も考えようか。とりあえずまとめ。
やてんのまどうしょ、アレを元に作ったらしいが、権限の鍵と同質らしい。
守護人格、グリモワール。本当の名前がリイン■■■■。
なぜその名前なのか、は意味があるんだろうけど今は放置。
って考えることが全然ないな、と自分の世界から現実へ戻った。
昼食を取り、木乃香さん達に魔法の修行をさせました。
リイスを紹介した時のエヴァの反応が凄かった。別の意味で。
のどかさん達も何故か落ち込んでいた。なぜ?
その後、エヴァがリイスに挑んだり、リイスの魔法で僕以外がボロボロだった。
「リイスとか言ったな? どれぐらい強いんだ?」
「少なくともあなたには余裕です」
「言ってくれるな。いいだろう勝負だ」
「いくぞ! 闇の吹雪」
「では私も、呪文複製、詠唱短縮 闇の吹雪」
「ぐっ! リク・ラク ラ・ラック ライラック 闇の精霊4662柱 魔法の射手!! 連弾・闇の4662矢」
「多いですね。契約者術式展開、星光破壊」
「木乃香の星光破壊だと!?」
いやいや待て。と突っ込みどころ満載の魔法を使いまくった。
契約者術式って契約者、つまり僕の魔法かよ!
それからのエヴァとの戦闘中、レムリアなど魔法系というか魔術?を使っていたとさ。
本当に全ての世界の使えるんだね。
そして、とうとう学園祭の当日が始まることになる。
続く。 第44話『学園祭編その9 学園祭当日』へ
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次回から原作10巻に入ります。
ただ、無くなっているイベントや内容は同じでも変わっているイベントが存在します。
リイスの見た目は闇の書の意志のリインフォースと似てます。
似てるだけで身長(?)も性格が違うオリジナルキャラで、物語で重要な鍵を持つ(?)かも知れない。
リイスの詳しい事は後ほど分かると思います。
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第43話 | ||
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