全ての終焉 44 |
第44話『学園祭編その9 学園祭当日』
〜ネギの部屋〜
自分のベットから起き上がった僕は赤いソファーに移動して座る。
夜遅くまで魔法の修行に付き合った。
限界まで修行することにより、時間が短縮できる。
「明日菜さんは新聞配達か?」
二段ベットの2段目を見ると明日菜さんがいなかった。
木乃香さんは下で寝ている。
アーニャもパジャマで幸せそうに寝ていた。
「明日菜さんはどこへ行ったのでしょうか」
「明日菜さんは新聞配達です」
「うわあ!」
「キャ!」
いきなり声が聞こえたものだからつい声を出して背後を見る。
黒い服とスカートをはいたリイスが立っていた。
「いきなり気配もなしに後ろに立たれると驚くんだけど」
「すみません。ご主、ネギ」
「ご主人様って言いかけた事はどうでもいいけど気配を消すのはやめて」
「わかりました」
こうでも言わないとやってられない。
リイスを手に入れて数日経つが……まだ二日目だけど。
まだリイスの事、知らないからなぁ。
「ネギ、おはよう」
「アーニャたん、おきてたんだ」
「たんって呼ばないで。気持ち悪いわ」
「うわ、ひどいなぁ」
「ネギく〜ん」
いつもどおりの絡み合いが始まった。
木乃香さんが背後から抱きついてきた。
高確率で朝はこんな展開だから突っ込む気にもなれない。
「ちょっと木乃香!」
「アーニャちゃんもやればええやん、安らぐえ」
「……ん? この気配は明日菜が帰ってきたみたい」
アーニャの言うとおり、明日菜さんが帰ってきた。
でも機嫌がいいみたいだ。
何かあったのだろうか?
嬉しそうな表情で僕の隣に来る。
「ねえ、ネギ!」
「な、何ですか?」
「今日、学園祭よね」
「そうやな」
「そうね」
「そうですね」
「あんた達には聞いてないわよ!」
3人が妙な感じになっていた。
妙な感じってのは僕がそう感じたのだが。
今日から三日間は学園祭、か。
前は刹那さんと行動してたっけ?
「明日菜、学園祭だからってネギ君をデートに誘う気じゃないわよね?」
「違うわ。私は初めてであろうネギを案内しようって」
「二人っきりやろ?」
「そ、そうね」
「デートやな」
「違うわよ!」
「どうみてもデートですね」
「何かせこいわね。ネギと行くならデートじゃない?」
僕が前の出来事を思い出していたら、そんな会話が聞こえてきた。
リイスの言うとおりデート、だな。
「ところで兄貴」
「何?」
「時間がやばいぜ?」
「え?」
携帯電話の電源を入れて見る。
デジタル表示で8時になっていた。
うむ、明日菜さん達といると時間経過早いね。
「急ごうか」
その一言で嫌な予感がした僕は極移で学園に転移した。
景色が一瞬で変わり、学園祭用の門の上に転移完了。
下を見るとワイワイと騒ぐ人々がいる。
「時間軸ズレまくってるけど別にいっか。それに一人で行動するのもこれはこれで」
前は色々とスケジュールやらで忙しかったが、今回は何もない。
という事は、僕の好きにして良い事。
「自由っていいね。……ここにいたら意味ない、か。下に降りよう」
誰にも気づかれないように人気がない場所へ降下した。
木が一杯並んでいるのを見た僕はそこに、ある対策の結界を張る。
「使うに越したことはないけど」
「何をだ?」
「え?」
突然、声が下方向を見ると、白色のゴスロリ姿のエヴァがいた。
あれ? 茶々丸さんがいない。
「茶々丸さんは?」
「茶道部だ」
「ああ、なるほど」
そういえば、以前に誘われたのって茶道部の事か。
すっかり忘れてたよ、いや存在ごと忘れていたといってもいい。
「ネギ」
「何?」
「え、えっとだな」
「?」
エヴァを見ると何かもじもじとして悩んでいる素振りを見せる。
この場には僕とエヴァ以外いないわけで。
別にもじもじするような要素はないはずだが。
悩みを吹っ切ったのか、僕と向き合い
「ネギ、私とデーtじゃない! 私に付き添ってやっても良いぞ!」
「う〜ん、暇だから別に……」
「そ、そうか。ならいこうか」
嬉しそうにはしゃぐエヴァは僕の腕に絡み、人が集まる方に歩く。
でも誰かに見つかるとヤバイ気がしてならんのよ、特に木乃香さんに見つかると、ね。
〜学園祭〜
人が多い。
一体、この場に人は何人いるんだろうか。
何十万は確定だよね。前の来場人数は何百万だっけ?
もう覚えてないよ、そんな昔の事。
「ネギ、これからどうする?」
「エヴァンジェリンさん、予定決まってなかったんですか?」
「何があるか把握はしてたが、よく考えれば私は初めてだから」
ああ、なるほど。
そういえば、こういう事ってこの時間のエヴァは初めてだっけ?
「ギャラクシーウォーっていうアトラクションに行きません?」
「ここにいるよりはいいな」
僕とエヴァはそこへ向かった。
向かった先に到着すると、刹那さんと明日菜さんがいました。
こちらを目撃した2人は表情を変えて走ってきた。
まずいと思った僕はエヴァから離れる。
「やっと見つけたわよ!」
「エヴァンジェリンさんと行動してたんですか」
「ちっ」
「あれ? 木乃香さんはどこへ?」
「このちゃんは学園祭の出し物へ」
ああ、占い研究部とか言ってたアレか。
「それよりネギ先生」
「何ですか?」
「私と一緒に回りませんか?」
「「ちょっと待て!!」」
2人が刹那さんに突っ込む。
突っ込まれた本人は首をかしげて
「どうかしたんですか?」
「桜咲刹那」
「刹那さん」
「え? え?」
2人の態度に混乱する刹那さん
そんな態度じゃあ何が言いたいのかわからん気がする。
でも、
「喧嘩するほど仲がいいってこの事か」
「確かにそうですね」
「ゆ、夕映さんいつの間に」
「今」
変なジュースの缶を右手に持った夕映さんが僕の背後にいた。
あれ? のどかさんはどこだ?
周りを見回すが、見当たらなかった。
「のどかさんは?」
「ああ、のどかはどっかの場所にいます」
「そうですか」
のどかさんの居場所を答えた時、夕映さんの表情が歪んで見えたのは気のせい?
それを言ったら、後で妙なことが起きそうだ。突っ込まないでおこう。
「ネギ先生、あれは何をしてるですか?」
指をさした方向には刹那さんと明日菜さんとエヴァンジェリンさんが言い争いをしていた。
人がいるのにも関わらず争うとは。
「さあ?」
「でもネギ先生の名前が聞こえます」
「……止めるか」
「その方が良いです」
騒いでる3人の前に立つ。
じゃじゃ馬どもが集まってきやがる。
これはまずいと思った僕は3人に冷たい視線と言葉をあげる。
「これ以上、喧嘩? 問題を起こすなら……仮契約解除しますよ?」
「そ、それは止めて」
「そ、そうですよ!」
「わ、わかったから止めろ!」
大慌てで先ほどの空気が消え、僕に命乞いする。
僕もそんなに、多分鬼じゃない。
「仕方ないですね。次、人が多い所で今と同じだったら解除しますよ」
「「「はい」」」
僕の雰囲気に飲まれた3人はあっさりと沈黙した。
明日菜さんや刹那さんならともかくエヴァが僕の言う事を聞くとは、ね。
「夕映じゃない」
「今頃気づいたのですか?」
「だって、ねえ」
「ネギ、ギャラクシーウォーに行くんじゃなかったのか?」
エヴァが会場の方へ指差す。
人が行列で1時間待ちとなっていた。
あれ? すんなり入れると思ったのに。
建物も前の2倍はあるぞ。これはかなりのボリュームが味わえるのか。
「行列だけどどうするの?」
「う〜ん……魔法の射手 雷の55矢」
僕は人目を気にせず、魔法を使った。
目撃者は明日菜さん達だけだから構わないよね?
雷の矢が全ての客にヒットし、倒れた。
「……ネ、ネギ?」
「どうかしたんですか? 皆さん」
皆さんが呆然と僕を見ていた。
向こうの方では「おい! 大丈夫か?」や「すぐに救急車へ」と大騒ぎ。
すると、緊急を対応する人がゾロゾロ来て、倒れた人達を運んでいた。
周りがうるさい。
「大騒ぎになってるです」
「静かな場所へ行きましょうか」
「騒がしくしたのはネギだが」
「人前で魔法を使っていいのですか?」
「どうでもいいです」
「そですか……」
はっきりした態度で夕映さんに接すると、溜息を吐いてた。
なぜ?
こうして、僕達は静かな場所へ向かう事になった。
〜観覧車〜
目の前に見えるのは巨大な観覧車だった。
物凄く遅い速度で回っている。
あれだと45分ぐらいはかかる、か。
「ねえ、ネギ」
「何?」
「アレに乗るの?」
「狭い空間で何人乗れるんでしょうか。ここにいる全員は乗れないのは確定として」
ちなみに人数は5人程度だと思う。
目に魔力を通して観覧車の中を見ると、カップルばかりだった。
ああ、デートスポットの定番だったな。
「やめましょうか」
「そうですね」
「争いが起こるかもしれないですし」
「争い?」
首を傾げる明日菜さんだが、それはこのメンバーを見れば当然だ。
学園祭を純粋に楽しむ……う〜ん、とあごに手を添えながら考えていると夕映さんが
「木乃香を呼ぶです」
「何で?」
「何でだ?」
エヴァと明日菜さんがすぐに否定した。
あんたら親友じゃなかったのか?
「だって木乃香よ?」
「ああ、あの木乃香だ」
「何か問題でも?」
「大いに問題あるわ! だいたい明日菜、お前はタカミチが好きという設定じゃなかったか?」
「い、今は変わってるでしょうが!!」
エヴァ、設定という言葉はどうかと思うぞ?
明日菜さんの好みが変わるのはいい事だが、赤くなりながら言う所が可愛く見える。
こう考えてると僕自身、変わってるって実感できる。
「まあいい。とにかく木乃香はキャンセルだ。出し物に集中しておればいい」
「だれが集中しておればいいん? エヴァちゃん」
「「「「「え?」」」」」
話題になっていた本人の声と共に空から浮遊術で飛んできた。
いきなり来たのだから驚く。
そんな気持ちも知らずに浮いていた体を降下する。
「こ、木乃香? あんたアレは?」
「ああ、アレな! おじいちゃんに頼んだらいいじゃろう、木乃香がんばるがよい、と言ってくれたんや〜」
嬉しそうにはにかむ木乃香さんを見た僕達はその光景を想像し、
「親馬鹿なのですか}
「あのじじい、親馬鹿すぎるだろ。しかも余計だ!」
「相変わらずね」
「あの人は……」
上から夕映さん、エヴァ、明日菜さん、刹那さんががっくりと肩を落とす。
その気持ち凄く分かる。
その気があれば、きっと法律も改正できるに違いない。
何の法律を改正って?
まあ、今は気にしないでおこうか。現実で起こされたらシャレにならん。
今思い浮かんだ事は記憶の奥底に閉まった。
木乃香さんと合流?してから、純粋に学園祭を楽しむ事にした。
〜学園祭・???〜
次に来た場所、いや偶然?カップリング相性占い場に着いた。
本当の目的はその奥の場所なのだが。
木乃香さんが嬉しそうに指を差す。
「あそこ行こ? ネギ君」
「カップリング相性占い?」
「ほお? そういう占いがあるのか」
「それじゃあってあれ? リイスさんは?」
夕映さんがキョロキョロとしていたが、明日菜さんの背後からいきなり出現して
「どうかされましたか?」
「うおっ! いきなり現れるの止めてくれない? リイスちゃん」
現れたリイスの服装が、明日菜さんたちと同じ服だったりする。
リイスの制服姿って似合ってるんだけど、別の意味で危ないな。
似合いすぎるが、とてもじゃないけど高校生が中学の制服を着ているかのようだ。
「ちっ! また面倒な奴が」
まだあの事を根に持ってるのだろうか? エヴァ
「じゃあじゃあ、ネギ君と順番交代で占いしてみいへん? それで誰が一番相性が良いか勝負や」
「勝負という事は一番だったら何なんだ?」
「一番やったらネギ君と何でもできるってのはどや?」
「な、何でもってこのちゃん?」
「せっちゃん、つまりな……ゴニョゴニョ」
「っ!?」
木乃香さんが刹那さんの耳元で何かを呟いた。
いきなり、刹那さんの顔がボッと赤くなった。
それを見ていた全員も顔が赤い。
言ってる事を想像出来たのか。
フン、どうせ僕には理解できないし、蚊帳の外ですよ。
僕が一人でボーっとしてる間も勝手に話が進行していく。
「一番は誰が行くのよ」
「ジャンケンで決めようじゃないか」
「それしかないわね」
「魔法勝負だったら、私は負けます」
「それなら私の圧勝でしたのに残念です」
「リ、リイスちゃん」
「夕映ちゃんが一番不利だしね」
「あ、ありがとうございます。明日菜さん」
「いえいえ」
だが、次の夕映さんの言葉で思考を停止する。
「のどか、のどかより上の関係になってみせます。そのまま遅れるといいです」
な、何? 夕映さんが、黒夕映さんが出てきた。
こんな状態は初めてなんだけど、どうすればいいのかな。
よく考えれば、夕映さんは既にのどかさんへ自分の気持ちを打ち明けてるかも知れない。
変わった夕映さんを見てみると、ジャンケンをしている5人の姿があった。
「よし勝ったぁぁ!!」
「明日菜が一番でええんやな」
「一番最初は死亡フラグです」
演技でもないぞ、リイス
その言葉にポカーンとしていた明日菜さんが混乱しながらも皆に問いかける。
もちろん、当たり前のように僕は蚊帳の外だが。
「え? 皆は一番を狙ってたんじゃあ」
「そんなわけがないだろう。狙うとしたら3番だったのだから」
「なぜに3番?」
「その方がいいって占いや定番の言葉やろ?」
「それならエース的な意味で4番が」
「ゆえっちが4番選んだのって」
「はい。その意味です」
「あの〜、順番的に意味ない気がしますが」
「「「「……」」」」
「え、えと私変な事言いました?」
「……はぁ。ならまずは私と、ね」
明日菜さんが恥ずかしそうに僕の手を握る。
うわあ、明日菜さんが緊張してる。
木乃香さん達の妙な視線を感じるけど、気にしてはいけない。
「い、いくわよ。ネギ」
「訳が分かりませんがわかりました。逝きましょう」
こうして、どんな意味で始まったのか謎の『カップリング相性占いで誰が一番か決定戦』が始まったらしい。
まったく、無い事ばかりのイベントが起こるなぁ、と僕は思いました。
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このイベントに意味はちょっとだけあります。
後の展開でこのイベントの反映した何かが起こる! ……かも知れない。
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