全ての終焉 46 |
第46話『学園祭編その11 3日後の世界』
「ネギ、ネギ起きて!!」
「う〜ん」
誰かに体を揺すられていた。
誰だと思い確認するために目を開けると、明日菜さんがいた。
でも表情がおかしい。どうしたんだ?
「どうかしたんですか?」
「私自身はなんともないわ。そうじゃなくてコレ見て!」
明日菜さんが焦った様な表情で新聞を見せ付けてきた。
新聞に何か書いてあるのか、と記事の内容を見る。
え? 日付が三日経過していた。
「え? 学園祭が終わってる!!」
「何で」
「ネギ、何の結界を張ったんだ?」
「エヴァちゃんおかえり」
「え? 結界って完全遮断結界というその部屋自体が存在しませんよ、という奴だけど?」
「それが原因っぽいな」
エヴァが腕を組んで焦っていた。
それもそうだろう、時間がかなり経過していたのだから。
あれ? 時間高速化とかした記憶ないんだけどなぁ。
まあいっか、それより現在だな。
「これからどうするんですか?」
「超さんからもらったカシオペアで戻りましょうか」
僕の場合はいくらでも方法があるから関係ない。
でも、明日菜さん達にはソレがない。
「カシオペア、か」
「えっと初日の夕方でいいですね」
「そんなもんやろうな」
「え? まだ3,4時ぐらいだった気が」
「どうせする事ないですよ?」
「まったくだ」
エヴァもリイスを受け入れている感じがするね。
僕はカシオペアを起動させようとするが、シーンと沈黙した。
発動する動きもない。
「何も起きませんね」
「何も起きないじゃない」
「故障なん?」
やっぱ学園祭中じゃないからかな?
権限の鍵を使えば簡単に出来るだろうが、めんどい。
う=ん……3日後だとすれば、この時間は魔法がバレたという要素が。
「ここから出ましょうか」
「多分、外は騒がしいぞ」
「そういえばエヴァちゃん、外に出たんやろ?」
「いや、影のゲートで私の家に向かっただけだ」
周りの様子がおかしかった。
嫌な気配を感じたエヴァ達はあまりここから出る訳には行かなかった。
だが、エヴァは違う方法で出る事が可能なため、エヴァに任せたそうだ。
さすがにバレる前提で浮遊術を使うわけにはいかない。
「で? 何で新聞だけ?」
「私が見たいと思っただけだ」
「はっきり言うな〜」
「それだけ年を取ってるって訳ね」
「お前らなぁ」
エヴァが突っ込むと、明日菜さんが笑っていた。
まったく、凄く仲が良くなってるし。
これも弟子にした影響か?
「外に出てみましょうか」
「行くの?」
「準備しようにもできませんし」
「準備って何をするんだ?」
「お腹すきましたし、学園の外に転移しますか」
「私の家に転移すればいい。あそこには茶々丸がいるはず」
そういえばそうだ。
この時間の茶々丸さんは何をしてるんだ?
「それじゃあそれでいいわ」
「結界解除、極移」
ここにいる全員をエヴァの家へ転移させた。
〜エヴァの家〜
外だとまずいから直接家の中へ転移させてもらった。
茶々丸さんが無表情でソファーに座っていた。
「茶々丸」
「……マスター」
「どうした?」
「マスター、よく聞いてください。世界に魔法の存在がバレました」
「「「え?」」」
明日菜さん達が淡々としゃべる茶々丸さんの思いがけない言葉に驚く。
やっぱり超さんの計画が発動してしまったのか。
「そうですか……」
「ちょっと待って! いつばれたのよ」
「昨日です。超が学園祭最終日の昼頃、世界樹を利用して世界に魔法を認識させる願いを叶えたのです」
「どうやってやったん?」
「全てをお話する権限が掛けられてますので、言えるのは六体の巨大なカメを特定の位置に配置、
4000メートルの空で儀式という2つのヒントしか言えません」
「ふむ。超の科学と世界樹の力なら可能だな」
まさか、この話を今聞くことになるとは。
だいたい、タカミチじゃなくて茶々丸さんから聞くってのは斬新だな。
説明もかなり省略しすぎてるし。
エヴァがいきなり回りを見始める。
「どうかしたんですか?」
「誰かが来た。気配が5人だ」
「どうするの?」
「突撃しますか?」
刹那さんが戦闘モードに切り替わる。
でも、タカミチの気配はするが、他の4人は誰だ?
「私の家に来るとはいい度胸だ。蹴散らすぞ」
「ちょっと待って! これってヤバイんじゃあ」
「大丈夫ですよ? 本気で蹴散らしてもいいです。なんなら消してもいいですよ。
過去に戻って未来を変えればなかったことになりますから」
「そうなんだ」
本当は無駄な分岐(パラレルワールド)ができるだけなんだけどね。
ガノードがいないせいで本当に知らない展開ばっかだな。
大きな出来事は半分ほど同じなくせに。
「外に出るぞ。茶々丸はここにいろ」
「そうですね。わかりました」
僕達は玄関のドア前に立つ。
向こうにいる5人の気配はまだ動きを見せない。
普通は忠告してくるはずなんだが……。
なら突っ込むか?
「……先手必勝といきますが大丈夫ですか?」
「ええで」
「大丈夫よ」
笑顔で返してくる明日菜さんだが、本当にそうだろうか?
まっいいか。どんな結果であれ、明日菜さん達を守るだけだ。
「もしもの時は」
「それはしたくない」
「やな〜」
「ネギ、動きを封じる程度で行きます」
「じゃあ消すのは無しって事か。……つまらない」
「「「「……」」」」
何で皆は沈黙するんだ?
最近、ストレスが溜まり過ぎて素が表に出そうだ。
「ではいくぞ」
エヴァの家から飛び出した。
飛び出した途端、魔法の射手がこちらに撃ってきたので、僕が吸収する。
相手は驚愕の表情だった。
「ネギ先生と生徒達。おとなしく来ていただけますか?」
「いい度胸だな。刀を持つ女、グラザン男」
名前で言ってあげなよ、エヴァ
「もうしわけありませんが、自力で通してもらいます」
「やれやれ聞き分けのない子ねえ。刹那」
「フン! 私が居ることを忘れているのか?」
エヴァが魔力を開放すると、タカミチ達が驚愕する。
「そんな、封印が」
「救援を呼んだほうがいい」
「エヴァンジェリン、来てくれる気はないかい?」
「あるわけないだろ。過去に戻るんだからな」
エヴァはやる気満々でエクスキューショナーソードを展開する。
僕も準備しようとした瞬間、権限の鍵が世界樹を求めていた。
何で? ああ、そういう事か。
さっそく世界樹の方へ走るが、呼び止められた。
「ネギ、どこいくのよ」
「世界樹前」
「そこへいけばどうにかなるんやな」
「というか極移で転移すればいいのでは?」
「どちらにしろ、こいつらが邪魔だ」
エヴァの言うとおりだ。
ここにいる人物が、とても邪魔だ。
タカミチ達を敵とみなし動きを止める以外にはない。
「魔法の射手 連弾・雷の360矢 集束 雷の槍」
この中で強いタカミチに投げた。
タカミチは両手をポケットの中に入れ、居合い拳で弾こうとするが、僕は追加する。
「雷の暴風」
「星光破壊」
って木乃香さんがなぜに?と木乃香さんを見るとニコッと笑顔で返された。
さすがにタカミチだけじゃあきついと思った4人が防ごうとする。ってか2人は誰?
5人がこちらの魔法を止めていたが、苦しそうだ。
「高畑先生!」
「僕達も手伝います」
「助かるよ」
何とか弾き飛ばそうと一生懸命頑張っていた。
防げるのは木乃香さんの魔法が無詠唱だからなぁ。僕の魔法も手加減してるからだろう。
「ネギ君の魔法とウチの魔法が」
「手加減しすぎたか。じゃあこれで」
僕が雷の暴風に魔力を送ると、威力が強くなり、魔法がタカミチたちを包み込む。
悲鳴を上げて遠くに飛ばされると爆発した。
10メートルは爆発の範囲に入っている。
「高畑先生が」
「タカミチがあの程度で死ぬわけない」
「これでも手加減したんですから死んではないですね。もう少し魔力を高めればお亡くなりになりますが」
「お前はどんだけだ」
「ネギは木乃香さんの10倍以上ですから」
「何か納得しました」
刹那さん、何か馴染んで来ましたね。
「動きを封じますか。大地の牢獄」
金色の魔法陣がタカミチたちを囲み、地中に飲み込まれていった。
ボコボコボコボコと音を立てながら激しい勢いで飲み込んでいく。
数秒で約1キロは地中に飲み込まれたはずだ。
「これで脅威は消え去りました」
「こんなことして大丈夫なの?」
「未来ですよ? だから好き放題に」
「あははは」
「移動しますよ」
こんなことすると無駄な分岐世界ができるが、どうでもいい。
こうして、僕達は目的地まで移動した。
〜世界樹〜
近くまで来たらよくわかったが、世界中の色が変わっている。
枝部分が白く光っている。まるでこれは共鳴している?
権限の鍵と、いや僕の魔力か!
「ネギ! 何か部隊みたいな格好した人達が!」
「え?」
「あれは……魔法騎士団!?」
「こんな学園ごときで魔法世界の舞台が来るわけないだろ!?」
明日菜さんの言葉に振り向くと、どっかで見たような魔法騎士団が僕達を囲んだ。
ある程度の魔法を防ぐ鎧を着けた人数が100を越えている。
そんなことより、世界樹が薄らと光っている。明日菜さん達は気づいてないが。
「ネギ・スプリングフィールドとその他連中。大人しく投降するがいい。
今ならオコジョの刑だけで済むぞ」
赤い鎧を来たリーダー的な男声の変な警告が来た。
誰かが操っているのか?と感知魔法を展開しても反応無し。
「僕達が何をしたというんだ!!」
「確かにそうだな」
「そうよ! 私達が何をしたって!?」
「君達は、いやこの学園は私達の存在をばらした罪だ」
超さんの計画が発動し、魔法世界の存在を知られ、報告を聞いた魔法教会だっけ?
訳の分からん協会か組織が知らんが、そいつらがここにって事だろう。
さっきから超さんの気配を感じないし、どうなってるかわからんが。
「私達は何も―」
「もういいです。あなた達がたとえ魔法騎士団だろうが関係ありません」
僕は懐から学園長からもらった年齢詐称薬を取り出す。
これを飲めば元の時間に戻るなど造作もない。
なぜこの時間まで寝てしまったのか未だに分からん。
「リイス、世界樹の核部から魔力を吸い出して僕に送って」
「わかりました」
「ネギ先生、私達は何を?」
「ウチらも手伝うで!」
「大丈夫ですよ」
学園長から貰った魔法詐称薬を1粒取り出し、鍵で時間制限を改竄し、それを飲み込んだ。
魔法騎士団はこちらを警戒していたが、関係ない。
ボンとギャグ的な効果音が鳴り、僕の体が18歳の状態になる。
18歳の体になったことを確認した僕は魔力放出する。
「はあああああああああああああああっ!?」
スパークを走らせながら僕の周りに魔力を覆わせた。
本来なら周囲が突風で吹き飛ばされ、地震がなり、星が揺れるほどの出力のはずだが、
8割ぐらいは抑えている影響で何も起きないが、実質2割しか開放してない。
まるで、どこぞの○○ヤ○3状態のようだ。
魔法騎士団も明日菜さん達も驚愕の表情を浮かべていた。
「ふう、口調どうしようか。幻術だから僕でいいか。さて覚悟はいいですか?
手を出してきたのはあなた達の方ですからね。フフフ……」
「ネギ先生、物凄く怖いです」
「我々に反抗するなら実力行使もやむを得ないが、6対150に勝てるとでも」
「フハハハハ! 私は闇の福音、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだと知っての事か!」
「闇の福音だと!? だが、我々には勝てぬぞ。選ばれぬ弱者達よ」
その一言でムカッと来た僕は騎士団の方へ突っ込み、呪文を唱える。
「魔法の射手 連弾・雷の500矢 集束 プラズマブラスター」
雷の矢で集束していた塊を騎士団の方へ発射した。
相手は魔法障壁で防ごうとしたが、障壁を軽く突破。
相手の上半身を貫通し、次々と下半身だけを残して過ぎ去っていった。
50人ぐらいは上半身が消えている光景を見て怯える。
「ひい!?」
「お、おい!」
「嘘だろ!? あんなガキごときに」
そいつらの横には下半身だけの物体だった。
完全に絶命している。
下半身だけの物体が前に倒れる。
つまり、ネギは明日菜達の前で人の命を奪ったのだ。
「君たちも下半身だけになりたい?」
「ひい!?」
「もうやってられるか! 逃げろ!」
「うあああああああああああ!?」
残りの騎士団が転移で逃げていった。
逃げていったのか、情けない。
明日菜さん達の方へ見ると、表情が青ざめていた。
エヴァは平気そうだが、顔を引き攣らせていた。
「ネギ、どうして」
「ああするしかないですよ?」
「でも!」
「納得いかないですか? だったら……僕は」
「っ!? 何を」
僕は明日菜さんの前に立ち、おでこに手を当てる。
魔法無効化を一時停止させた後、おでこに魔法陣を展開した。
「ネギ、魔力を送り終えました」
リイスの言葉で僕はおでこに当てた手を離し、カシオペアを前に突き出した。
「明日菜さん」
「な、何?」
「魔法の世界がどんなに危険か考えてください。自分がどんな残酷な世界に突っ込もうとしてるのかを」
「……わかった」
「ネギ君、そんな事言わんでも」
「リイスや刹那さんとエヴァンジェリンさんは知ってるからいいですが、木乃香さんも人の事いえませんよ?」
「あ……そやったね。でもなウチ決めてるんよ? 何があろうとウチはネギ君のそばにいるって!」
木乃香さんが真っ直ぐ過ぎる。
いくらなんでもこれはないって位に、ね。
「それより早くしないとさっきより多い気配がこっちに近づいてるぞ」
「嘘やん!?」
「おそらく私達を捕まえようとしてるのでは。ネギ先生、早くココから」
その通りだが、刹那さん? 僕の腕に刹那さんの腕が絡みつく。
「おお! せっちゃんも」
「いえ、これはただこのちゃんがやってたのでつい……」
「ふ〜ん、じゃあウチも!」
「こんなことしてる場合じゃないでしょ!?」
何か遠慮気味な明日菜さんが言う。
勢いがいつもよりないのは僕のせいだろうか。
「僕の体に掴まって下さい」
「え、ええ」
「はい」
「うん」
「はい」
全員が触れているのを確認した僕はカシオペアに魔力を注ぎ込む。
まだ無反応だったが、目を閉じて術式を展開する。
「無限に連鎖する世界よ、無限に分岐する運命よ、平和の道へ導け。運命の時空」
周囲の空間が歪んだが、しばらくすると閃光が走って時間が巻き戻るのを感じた。
運命の時空は別世界で時空を正すために使われた魔法らしい。
カシオペアにある針がクルクル回りだした。
起動はするんだな、と考えていたが、場所が保健室に戻り、当日の夕方に戻ったみたいだ。
時間はちょっと違うが。
目を瞑って僕の体を触る皆に報告する。
「もう着いたから離れていいよ」
「それは別や」
「おい!」
「ネギ、元の姿に戻ってるのね」
いつもの勢いがない明日菜さんが僕の状態に気づいた。
そう、元の日付に戻ると姿も戻るように設定した。
「あの時間に居る間だけ」
「そうなんだ」
そう答えると僕から逸らすかのように俯いた。
態度が明日菜さんらしくないってこんなにしたのは僕、か。
こんな表情にさせたくなかったのに、僕は何を考えて?
ああそうか、僕はただ明日菜さんを……。
なら本人の好きにさせようか。それでどうなるか知らないが、僕が護ればいいだけだ。
決心した僕は笑みを浮かべながら明日菜さんに声を掛ける。
「明日菜さん」
「な、何?」
「明日菜さんは明日菜さんの道を行けばいいと思います。それが例え僕と反対の意見を持っても」
「ネギ……」
明日菜さんは今にも泣きそうな表情だったが、僕の言葉に目を瞑ってブツブツ言っていた。
色々と妙な単語とか聞こえたが、この際無視だ。
そんな様子を見ていた木乃香さんが明日菜さんの隣に行き、耳打ちしていた。
すると、明日菜さんの顔が赤くなった。
「木乃香!」
「だってウチはそうやもん。明日菜、ネギ君の言うとおり明日菜は明日菜の道を行けばええやん」
「……そうね。ありがとう! 木乃香」
「親友やん」
「私も割り切ってますし」
「刹那さん」
早い立ち直りです、明日菜さん
この時点で人を下半身にした光景を見せて立ち直れるとは……。
う〜ん、少し早いけどあの5つの武器を常に持っておく必要があるかな?
「じゃあ僕はちょっと行きたい所があるから行きます」
「どこへ行くんだ?」
「それは内緒です」
「ウチもそろそろ行くな」
「夕方といってもまだ4時ぐらいだし?」
「なら私も行くとするか」
皆はそれぞれ保健室から出て行った。
といっても、リイスだけが残っていたが。
「リイス? 何でここに居るの?」
「私はネギと」
「はぁ。分かったけど邪魔だけはしないでね」
「わかってますが、どこへ行くんですか?」
「千雨さんの所です」
「なるほど〜。わかりました!」
笑顔で元気よく返事をするリイス。
思いっきり邪魔をするぞっと言う気配が丸見えだよ。
邪魔したら邪魔したらで、後で考えよう。
そう決めた僕は次の目的地である裏でしか知らないイベント会場へ向かった。
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次回は学園祭中の千雨と???のイベントです。
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