全ての終焉 59
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第59話『学園祭編その24』

 

僕の計画の一部を明かした。

 

「本当にできるの?」

「できるできないじゃない。やるしかない。そうじゃないと超さんは……」

「そういえば記憶にもいなかったもんね。う〜ん、でも本人の気持ちを重視したほうが」

 

確かに

 

「この世界はガノードの影響は存在しないから戦争になって滅んだりしない」

「滅んだ!?」

「そうか、明日菜さんはその時いなかったか、そうあれから数十年後に世界は滅んだんだよ」

「ちょっと待って! エヴァちゃんは?」

「エヴァは書き換えて人間にした後、吸血鬼の負担で寿命死」

 

エヴァから言ってきた事を権限の鍵で書き換えた。

吸血鬼だった時の負担が寿命に響き、寿命が普通より小さくなった。

直そうかと思ったけど本人が拒否した。理由は全てしてきた代償として受け入れる、という事。

あの時はそれで泣いてしまったけど、後悔は無い。

 

「そんな事があったの。う〜ん、でも魔法世界の寿命短いんでしょ?」

「ざっと約10年ってガノードが言ってたっけ」

「短いわね。私も向こうの住民として守りたいわ」

「だから超さんの協力がいるんです……もしもの時の僕の代行として」

「なるほど」

「っ!?」

 

僕の言った最後の小声は明日菜さんに聞こえてないみたい。

リイスだけビクンと体が反応してるから聞こえてる。

明日菜は腕を組み自分の記憶でも掘り起こしてるのだろう。

しばらくするとギブアップかのように大声を出す。

 

「ああああ! やっぱり駄目だわ。この世界の超って同じなの?」

「同じ、だと思いますよ?」

「じゃあ、世界樹を封じたほうが早いんじゃない?」

「世界樹の力を封じる事はできません。あれは僕の計画の一部に入ってますし」

 

そう、存在理由の概念として、ね。

絶対に何があっても消えないという世界樹を。

地球と火星の戦争で麻帆良学園領地だけ結界張ってただけで範囲には入れていなかった。

それなのに世界樹は残っていた。完全に機能しないけど。

だから、それを利用して世界樹を軸に……いや今はどうでもいいか。

今は明日菜さんとリイスに笑みを浮かべる。

 

「ネギ、権限の鍵に移したらどうですか?」

「そんな事できるの? あの鍵って」

「それしかないか。権限の鍵で超さんのいた未来を見てから判断しましょうか」

「私も見ていい?」

 

明日菜さんが僕にくっついてきた。

リイスも同じく、二人にくっつかれると胸が当たる。

突っ込んだ所で何の意味も無いため、黙っておくけど。

 

「じゃあ行くか」

 

権限の鍵を手元に出し、超さんの未来に接続した。

この接続は超さんをスキャンし、どこの存在かを検索、出身世界すらも特定できる。

数秒後、検索が終わった。

 

「よし、てい!」

 

僕たちの前にスクリーンを展開させてから未来を見ようとしたら否定されるような効果音が鳴り響く。

 

「っ!?」

「何も写りません」

「何も無いわね。ネギ」

 

うそだろ?

これは普通の存在なら未来を観覧できるはずだぞ?

それなのに写らないってありえない。

まさか、これが決定された運命(さだめ)なのか?

だとすれば、絶対未来に帰らせるわけにはいかないな。

 

「ネギ?」

 

2人が僕を心配そうに見ている。

どうやらそういう表情になっていたみたいだ。

黙っておく事なんてできないからバラす。

 

「リイス、明日菜さん、結論から言いますけど超さんの未来が存在しません」

「え?」

「な、何で?」

「普通ならスクリーンに映ってるはずがなかったでしょ? つまり超さんはこの世界から消えたら消えるんです。存在そのものが」

「ガノードはいないんでしょ? 何でよ!」

 

そう、ガノードはいない。

未来の引き金はガノードが原因だからこの世界では滅ばないはずだ。

それなのに超さんの未来は……という事は別の要素があるって事か?

 

「それはともかくとして、超を未来に帰らせるわけにはいかなくなったわけね」

「さすがにあなたが未来に帰ろうと時間跳躍すると死にますよって言えるはずも無いです」

「世界樹の魔力、権限の鍵に移すか。なら、複製版を数百ほど世界樹に埋め込むとしよう」

 

権限の鍵を出すわけにはいかない。

感知されて引き抜かれてしまえば僕の手元に戻り無駄になってしまう。

リイスの言う完全に扱えるようになれば関係ないらしいが、今の僕ではどうしようもない。

どうするか、それは吸収、充填できる複製版を世界樹全体にばら撒けばいい。

物凄く小さく、感知もされにくいほどのソレを。

そんなことを考えていると明日菜さんが僕にある事を言ってきた。

 

「そういえば今日の夕方?夜?どっちか忘れたけど超のお別れ会やってなかったっけ?」

「ああ、メール貰って明日菜さんと刹那さんと一緒に呼び出されたアレか」

「うん。メール届いてないの?」

「ちょっと待ってください」

 

そう、僕の過去ではそういう出来事があったんだ。

平行世界では違った展開というか僕からメールを出し、なんちゃらが起きた。

その時、楓さんも居たけど、まったく違うね。

ポケットから携帯を取り出し、着信メールを調べると超さんからのメールがあった。

 

「これか」

「うん。何々『ネギ先生、夜に大切な事を話したいから人気が無い所で待っててください。居場所を特定次第、すぐ出向きます 超』これって以前と似たようなメールよね?」

「そうですね。僕一人と指定無いから木乃香さん達を連れて行きましょうか」

「きっと驚くわね。ここに残すならお別れ会はしなくていいわね」

「そうですね」

 

超さんの計画が失敗した事から起こる出来事。

成功すれば帰らなかったという事であり、その日でしか帰ることができない。

次は遠い年月を待つ事になるから帰ったのだろう……なわけないかな?

どっちにしろ、帰らせるわけにはいかない。権限の鍵で接続した結果があれでは超さんまた終わる。

また会おうというあの約束も無意味だったし、どうしようもない。

明日菜さんも同じ事を考えていたのか、顔を俯いた。

 

「ネギ、ばら撒くなら夜中にしたほうがいいですよ」

「そのつもり」

「簡単に言えば、超をここに生存させるでいいのね?」

 

僕が頷くと明日菜さんはわかったという返事をしてから修行するため走り出した。

リイスと二人っきりになった。

 

「リイスはどうするの? できるなら夕映さん達の方に」

「わかってますよ。ただ」

「ん?」

「今のネギがさん付けすると違和感が半端ないんですけど」

「バレ、バラしたら戻しますよ? この口調も疲れてきてますし」

 

リイスは可笑しそうに表情を変えながらこの場から転移した。、

理由も無く何も言わずに消えるのはひどい。

さて、千雨さんの修行を見ますか、と意気込み本人のいる場所へ向かった。

 

 

向かった先には千雨さんがビブリオルーランルージュの姿で魔力を高めていた。

その姿がまっすぐ前に手を伸ばし目を瞑っている。

昔の僕並みにあるな、本人は気づいていないけど。

今現在でどんなものかお手並み拝見といきましょうか。

僕は右手に雷の暴風を昔の修学旅行並みに下げて、思いっきり前に突き出す。

風の突き抜ける音と共に発射した。

 

「なっ!? 契約に従い、我に従え、炎の覇王。来たれ、浄化の炎、燃え盛る大剣。ほとばしれよ、ソドムを焼きし火と硫黄。罪ありし者を、死の塵に 燃える天空!!」

 

いつの間に習ったのだろう瞬動で後方に下がり唱えてからステッキから燃える天空が発射。

お互いの砲撃が衝突した。

威力は従来より少し高いため、雷の暴風が押され気味になり、燃える天空が僕の方へ進んでいく。

まだ全力っぽくないな、本人は余裕そうに勢いを込める。

燃える天空の勢いが強くなり、雷の暴風が小さくなった。

 

「全力を出してもらおう。あっちの世界並みにしよう」

 

闇の魔法でよく充填していた魔力並みに勢いを込めると、一瞬にして千雨さんの前まで追い上げてしまった。

 

「くっ! 全力で行きます。はあぁぁ!」

 

気合を込めて魔力を全放出すると燃える天空が一気に威力を増し、僕の雷の暴風が切り裂かれ僕に直撃した。

僕にぶつかった影響で周りが煙で見えなくなったけど、風を吹かせて煙を消した。

千雨さんは僕の状態を見て落ち込んだ。

正確には地面に手と膝を付き、ガクンと頭を落とす、だ。

 

「これでも無傷ですか……」

「うん。でも威力は凄く上がってますよ?」

「本当ですか?」

「はい」

「あ、ありがとうございます」

 

そう言った千雨さんは僕が笑顔で見ると顔を赤くして、顔を横に逸らした。

 

「それはそうと燃える天空使えるようになったんですね」

「え、ええ。先生が教えてくれましたから」

「あっちじゃないんだ」

「それはやめてもらいました」

 

淡々と言うけど、顔を引き攣らせてますよ?

 

「何かあったんですか?」

「あまりにしつこくて説得するのも大変でした」

「覚えていても損じゃないですよ?」

「実現できるんですか?」

 

僕は千雨さんの姿をじっと見る。

魔力は昔の僕並みにある、先ほどの魔法も合格ライン。

別の意味で凄いレベルアップしていく。接近戦は多分ヤバイんだろうな。

 

「ところで接近戦はどうするんですか?」

「唱えながらステッキで防ぎつつ瞬動等で後退し、魔法行使です」

「唱えながら?」

 

それ、普通の魔法使いじゃないよ?

本人は気づいていないかもしれないけど、そういえば瞬動等って何?

 

「あの、後退方法ってほかもあるんですか?」

「電子世界にいる精霊に詠唱代役してもらいながらとか、後防御魔法で、とか色々です」

 

その時の事を思い出しながら僕に説明していた。

いやな事でもあったのか? また顔を引き攣ってるけど聞かない方がいいか。

 

「電子精霊ってそんな事もできるんですか?」

「どうやらアーティファクトの能力みたいです。まだあるみたいですけど、条件がわかりません」

「そうですか。う〜ん刹那さんに教える約束してるから教えに行ってきますね。千雨さんは続きを」

「わかりました。強くなってるとわかりましたから集中します」

 

僕に背を向けて、先ほどと同じ姿勢になり魔力を放出する。

邪魔したら悪いので静かに刹那さんの方へ向かった。

 

 

刹那さんの居場所なんだけど、滝が流れていた。

何でここ?と思いながら歩いていると声が聞こえた。

明日菜さんは一緒じゃないな。

奥のほうかと聞こえる方へ到着すると、刹那さんが威勢のいい声と共に流れてくる水を切っていた。

 

「うっ! また失敗か、何で失敗するんだ? この剣術を使いこなせばこのちゃんやネギ先生の手助けができる」

 

あ、違った。よく見ると水の向こうにある岩をしていたみたいだ。

斬魔剣 弐の太刀……障壁を無視できる一つの技。

確かに魔法使いからすれば強敵。

 

「刹那さん」

「ネ、ネギ先生!?」

 

驚いてるな。

刹那さんに近づき、愛刀の夕凪を見る。

 

「う〜ん、ちょっと貸してくれますか?」

「はい」

 

夕凪を受け取り、滝に向ける。

 

「斬魔剣、弐の太刀」

 

刹那さんが苦戦していた技をあっさり発動し、気を纏った斬撃が滝の向こうにある岩が切れた。

そのまま斬撃は通り抜けた。

 

「久しぶりに使ったけど、こんなものか。やっぱり今の状態だと気の制御できないな」

「え?」

 

さらに向こうの巨大な岩があったんだけど、粉々に消し飛んだ。

あれ、気が安定しないな。途中で気が上昇し、いや爆発したか。

咸卦法以上にあまり気を利用しない神鳴流でさえこれか。

ポカーンと放心している刹那さんの肩を叩く。

 

「刹那さん」

「……はっ! ネ、ネギ先生、今のは何ですか?」

「貫通型だから魔法障壁を無視して敵を切り裂き、奥の敵を追撃する斬魔剣・二の太刀だったんですけど……込めた気の量を間違えたらしいです」

「それはもはや斬魔剣・弐の太刀とは言わないのでは?」

「そうですね。でも、名前を変える意味は無いですよ」

 

まったくそのとおりだ。

この技の名前を変えないのは使う機会がほとんど無いからだ。

異世界の時だって使ったのは魔法波や別世界の技、後は自分の技量のみですし、剣を使う事なんてなかった。

うん、今は関係ないな。

考えを戻して、刹那さんに夕凪を返す。

 

「さてと、刹那さん」

「何でしょうか?」

「一瞬にして四肢を不能にさせる方法を教えましょう。ただし、あくまで力を安定させないと切断してしまいます。簡単に言えば人間だるまですね」

「嫌な状態ですね」

 

だるまという言葉に青ざめる刹那さん

大丈夫だろうか、と手を震えさせていた。

鬼や魔物達を切ってるだろうに。

 

「使い方は刹那さん次第です。四肢、正確には頭もできますので、その方法も教えましょう」

「わ、わかりました。がんばります」

「……とりあえず刹那さん」

「何ですか?」

「僕と一戦しましょうか」

 

そう言いつつ魔力のオーラを全身に包み込む。

魔力の量が半端じゃなく反発しあっているため、スパークが走っている。

そんな僕を見た刹那さんはゴクリと飲み込み、背中から白い翼を出し、夕凪を構える。

 

「刹那さんからどうぞ」

「で、では参ります!!」

 

言葉と共に殺気を飛ばし、気を全身に覆わせてから、こちらに向かってきた。

今までの僕を見れば本気じゃないと勝てないと判断したみたい。

ならそれに答えようじゃないか。

 

 

 

5分が経過した。

 

 

「ネ、ネギ先生……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

「刹那さんの気が無くなりかけだ」

 

刹那さんは夕凪を地面に突き刺し、杖代わりに体を支える。

よっぽど疲れたのか、息を荒らしていた。

どうやってこんな結果になったって?

フェイントをかけながらの小技を繰り出し、ダメージを与えていたけど、僕が肝心の技をかわすという繰り返しをしていたからだ。

 

「小技や攻撃の向きによるフェイント等で繋げるのはいいです。でも肝心の技を使う時、その、隙ができてしまうからかわせちゃうんですよ」

「そ、そうなんですか? はぁ、はぁ……はぁ〜」

「蹴り等を使ったほうがいいです」

「そ、それは神鳴流の剣士としての誇りが」

 

そうなんだろうな。

手は使うけど、蹴りなんて見た事無いよ。

月詠さんは最後のほうで蹴りを使ってましたし……あの過去の話ですが。

 

「僕も蹴りを使いますよ? でも、最近は使ってませんけど」

「できるだけ剣士として強くなりたいです」

「反応速度を鍛えるべきですね。攻撃力、耐久度も鍛えたほうがいいかな? なら決まりか。移動しましょうか」

「ええ?」

「極移」

 

アワアワとしている刹那さんを無視、魔法陣を展開してから目標の場所へ転移した。

 

 

 

目の前に建物がある場所に到着した。

 

「エヴァンジェリンさん」

「何だ。ネギ」

 

建物の中から黒いゴスロリ姿のエヴァが出てきた。

相変わらず似合いすぎてると思う心を隠し、用件を伝える。

するとエヴァは刹那さんを鋭い目つきで見る。

 

「なるほど、反応速度を鍛える、か。それと同時に攻撃力も耐久度も鍛え、強くさせる。重りを付けるか」

「え?」

 

エヴァの意外な言葉に顔を引き攣らせていた。

これってまた影響されている?

だが、エヴァの言葉はまだ終わっていない。

 

「毎日20キロぐらいの強化服を着せたほうが早い。いや重力のかかっている部屋で修行させたほうが、しかし重力魔法を常に、それ以前に……ブツブツ」

「え、えと」

 

自分の世界に行ってしまったようだ。

重力魔法って使える人もしかしたら僕だけ?

そう思ったけど、一人だけ思い浮かんだ。その人物に向けて念話を繋げる。

 

(リイス!)

(な、何ですか?)

(重力魔法できるよね?)

(できますけどそれがどうかしたんですか?)

(今すぐ来てほしい。リイスが必要なんだ!)

(……わ、わかりました。夕映さん達はどうするんですか?)

(二人には、いえハルナさんも含み、自分を鍛える修行をって伝えて)

(はい)

 

プツンと念話が閉じる。向こうから切るとこんな感じか。

 

「お待たせしました」

 

リイスがエヴァの隣に転移してきた。

いきなり現れた事で驚いたエヴァは2メートルぐらい離れる。

 

「いきなり現れるな!」

「ごめんなさい」

「まあいい。そういえばリイスは重力魔法が使えるな」

「使えますよ? 範囲は色々できます」

 

リイスの返答でエヴァの目がキランという効果音と共に不敵の笑みになる。

リイスはそれに応じて微妙な笑みを浮かべた。

その笑みに意外な一面を見たなぁという感情が伝わってきた。うん無理もない。

 

「なら、ある部屋に重力魔法……そうだな人間の体重が2倍になる程度で維持してくれ」

「維持ですか? 永続魔法使えますから大丈夫ですよ?」

「ほう? なら我が建物の中で修行に適した部屋に行くぞ」

「わかりました」

「では行くぞ。刹那」

「エヴァンジェリンさんが私に修行? はい!」

 

嬉しそうにピクニック気分でエヴァは建物の中へ入っていった。

リイスと刹那さんはエヴァの後に続く。

3人が中に入ったから僕一人がポツンと残された。

 

「これで刹那さんが強くなる。多分エヴァも参加するんだろう。まさか漫画の影響で重力による修行とは、エヴァの事だ。リイスに頼んで、時間の流れを変えてもらっているに違いない。そうじゃないと短時間では効果ないぞ」

 

僕は建物の入り口付近に座った。

 

「はぁ〜、皆は修行中……僕はぼっち、ここから出る時間まで寝るか」

 

この状況を考えていると寂しくなるため、僕は目を閉じた。

そして、僕は夢の中へと流された。

 

 

 

 

 

「ネギ!」

 

明日菜さんの声で目を覚ました僕は体を起こし、周りを見る。

全員が集まっていた。

皆、修行の成果で魔力が大きくなっている事がわかる。

 

「やっと時間ですか?」

「寝ていたの?」

「やることが無かったので」

「ネギ、ずいぶんと余裕やな! 修行してないと、そのうち追いつかれるで」

 

小太郎の言葉は普通ならそうなんだけど、魔力の量の段階でありえない。

修行しようとしても例え数十キロの場所でも狭すぎる。

最低限、100キロ以上はないとできたものじゃない。前なんか何かの施設で修行したら十重の結界ごと消滅したし、永久機関による防衛フィールド等とか言ってたくせに簡単に無くなったな。

さて、ここからでようか。その前に結果を聞きたい。

 

「みんなの結果を聞きたいです」

「じゃあウチからや! 上級呪文全習得したで!」

 

全員が沈黙した。

全習得ってフェイトの使ってた冥府の石柱も?

うむ、ありえんという空気の流れになった。

 

「……木乃香さんはバグですね。じゃあ別の人」

「え!? ネギ君、ウチ凄く頑張ってんで」

「まき絵さん、亜子さん、あやかさんは?」

「私が答えますわ」

「さすが委員長!」

「ま、まき絵さん、それは関係ありませんわ。コホン! まき絵さんは」

 

長ったるい説明になった。

簡単にまとめると3人は初期の僕状態になったらしい。

覚えている数の意味で言えばね、まき絵さんは風、あやかさんは光、炎、亜子さんは治癒、補助

アーティファクトと同じだよ、亜子さん。

その後、小太郎達にも聞いた。

全員が強化に成功したみたいだ。運動神経も上がったとか何とか。

エヴァと刹那さんの細かい部分が聞きたかった。

 

「刹那さんの修行は?」

「重力4倍で終わった。情けないやつだ」

「エヴァンジェリンさんも6倍で終わったじゃないですか!」

 

エヴァと刹那さんの間に火花が走った。

重力修行で競い合っているような気がする。

僕は木乃香さんに目を向けると、木乃香さんは僕を見て溜息を吐き、2人の間に入る。

 

「エヴァちゃん、せっちゃん、駄目や!」

「フン!」

「こ、このちゃん」

「ネギ君、これからどうするん?」

 

皆の視線が僕に集中する。

とりあえず、ここから出て自由に行動してもらうか。

ライブの事もあるし、夜は超さんの事があるし。

後、あやかさんにはやってもらう事がある。以前と一緒で。

 

「ここから出ましょうか。いても仕方ないですから。あやかさん、あの件お願いします」

「はい。わかりましたわ。そうと決まれば行きましょう」

 

時間は大丈夫だな。

僕達はこの別荘から出て行ったが、一つだけ疑問をもらす。

 

「結局、オリジナル技等教えてないな」

 

 

 

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第59話
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