第七話 意外な所で過去との決着
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「ほな、買い物行こうか!」

 

 

唐突に、はやてが言い出す。

 

 

「買い物?」

 

 

「そや、ここに住むんやったら、ある大抵の物は必要になるやろ?」

 

 

確かにそうだ……。

俺らは荷物を整理する前に逃げて来たから、持ち物はデバイスと、魔法で空間にしまってある魔具位の物だろう。

それに、今着てる服も、ここ日本ではかなり浮いている。

 

 

「あ、でもアニス君……命狙われとるんやったな……」

 

 

「あ、それなんだけどさ。それはただアンクが大げさに言ってるだけで、実際は家でして来ただけなんだ、それで、ボディーガード達が捕まえに来る、とかそんなだからさ、気にしないで」

 

 

「そ、そやったんか?もぉ、アンクさんあんま大げさに話すからついつい信じてもうたわ」

 

 

「あはは、ごめんね。それで、買い物何だけど。行くよ、僕も逃げて来たから、必需品持って来てなくて」

 

 

「やろうなぁ。ほな!ご飯食べたら行こうか!アンクさんも、それでえぇな?」

 

 

「あぁ、俺は別に構わない」

 

 

あ、でもお金無いんだっけ……あったとしても、あっちのお金だから使えないんだけどね。

さて、どうしたものか……。

 

 

「あ、アニス君今、お金の事心配したやろ?」

 

 

「なっ!?読まれた!?読心術か!?すげぇ!はやてすげぇ!おっさんの次にすげぇ!」

 

 

ドゴッ!

 

 

「むきゅっ!」

 

 

「キャラ崩れてるぞ、いい加減その癖直せ」

 

 

「……あ……あぁ〜……し、身長が縮む……」

 

 

「あ、あはは……アンクさん、あんまりアニス君を殴らんとって、暴力は禁止やで?」

 

 

「……あ、今0,5m縮んだ……」

 

 

アンクに頭を殴られたせいで身長が少し縮んだ……解せぬ!

それにしても、良い拳骨だった、まさかこの年で拳骨されるとわ……いや、普通か。

 

 

「お金の事は気にせんでえぇ、ウチの親戚の人が、結構な金額のお金を送ってくれるんや。でも、こんな体やから、そんなにお金使わんねん。せやから貯まる一方でな、ウチ一人やと使い切れんのや」

 

 

親戚……ギル・グレアムか……。

あいつ、俺嫌いなんだよね〜、多くの犠牲より小さい犠牲ってのは良いけど……ただの復讐心に駆られてる奴のは、どんなに言葉を並べても復讐にしかならない。

しかも、はやては関係無いだろ。はやても被害者だろ……。

 

 

「ん〜……でも……」

 

 

「気にせんでえぇって。無一文なんやろ?せやったら頼ってぇな」

 

 

「……取り敢えず、返す手立てがないので体で払います……」

 

 

バキッ!

 

 

「ガキが益せたこと言ってんじゃねぇ!」

 

 

またもやアンクの拳骨……。

だから背が縮むから止めろと……また縮んだじゃねーか……。

 

 

「じ、冗談だよぉ〜……一々殴らなくても……」

 

 

「あっははは……さ、朝ご飯にしよか」

 

 

そう言って、はやては車いすで移動してキッチンに向かう。

やっぱり、車いすだと不便だろうな〜……。

 

 

「はやてちゃん、手伝うよ」

 

 

「あ、ありがとうな、アニス君」

 

 

「ほら、アンクも手伝って」

 

 

「はぁ……」

 

 

そんなこんなで、居候始めました……。

はい……体で払う云々は、一応バイトして稼ごうと思ったんだけど……このナリと年齢じゃあ無理だわ……翠屋は……客寄せパンダになりゃ行けんじゃね?

男の娘がウェイトレス!とかさ。

へ?女装っ気?無いですけど何か?

 

 

「あ、アンクお皿出して」

 

 

「この戸棚で良いのか?」

 

 

「あ、大丈夫ですよ」

 

 

「アンク、箸出して」

 

 

「この引き出しに入ってるか?」

 

 

「はい、合ってますよ」

 

 

「アンk「お前も何か手伝え!」えへへ〜、バレちった」

 

 

まぁ、当たり前だよね〜。

それにしても、やっぱはやては料理上手いな〜。

 

 

「さて、盛り付け盛り付け」

 

 

「あ、それ俺がやるよ」

 

 

「そか?ならお願いするわ」

 

 

盛るぜぇ〜、超盛るぜぇ〜!

とは、流石にいかないよね……限度って物があるし。

 

 

「さて、運びますか」

 

 

お盆におかずやご飯を乗っけて運ぶ。

後は色々と用意をして、席に着く。

 

 

「ほな、いただきます」

 

 

「「……いただきます」」

 

 

あれだ、いつも家ではトリコ風の挨拶をしていたから。

俺とアンクは少し戸惑ってしまったんや……。

 

 

「……もぐもぐ……」

 

 

「あ、あの……どや?」

 

 

「……うん、美味しいよはやてちゃん」

 

 

「そっかー、安心したで」

 

 

うん、マジで旨い……あぁ、何年振りだろうか……日本食を食べるのは……。

アニス感動……うめぇうめぇ……味噌汁うめぇ……。

 

 

「またそうやって汁物ばかり……野菜食え野菜」

 

 

「うるさい、年がら年中アイス食ってる奴に言われたくないよ」

 

 

実を言うと、俺は汁物系の物が好きなのである。

味噌汁、スープ、ラーメンやうどんやそば……まぁ、汁入ってりゃ何でも行ける。

 

 

「ホンマに二人は仲良しさんやなぁ〜」

 

 

「まぁな。こいつとはもう九年の付き合いになる」

 

 

「へぇ、産まれた時から一緒何か〜」

 

 

「そうなるな」

 

 

「アンクったらこう見えてすっごいお節介焼き何だよ?この前何て、俺がちょっと擦りむいただけ何に、いそいそと消毒液と絆創膏片手に走って来たんだよ」

 

 

「あはは、アンクさんもアニス君が大好きなんやね」

 

 

「ふん……」

 

 

あ、顔背けた……もぅ、照れちゃって。

この九年間で見つけたアンクの癖。それは照れたり嬉しい事があったりすると、こうやって顔を背けるのだ。

 

 

「あらら、嫌われてもうた」

 

 

「違うよはやてちゃん。顔を背ける仕草をする時は、決まって照れてる時だから」

 

 

「アニス〜!」

 

 

「うわっ、こわっ!めちゃくちゃ怖い!いや、くちゃくちゃだ!くちゃくちゃ怖い!あはははー!」

 

 

「ったく……」

 

 

「冗談だよ冗談。怒らないでよ〜アンク〜」

 

 

「ふん……」

 

 

まぁ、これは怒ってると言うより、少し呆れてる感じかな?

でもいつもの事なので、気にしなーい。

 

 

「ごちそう様」

 

 

「あれ?アニス君もうえぇの?」

 

 

「うん、もうお腹一杯」

 

 

「ったく、そうやって汁物ばかり飲むから入らないんだよ。今度からちゃんとした物を食え」

 

 

「いや、汁物もあるけど、食が小さいから仕方ないじゃん」

 

 

それに、この体結構燃費良いしね。

あんましカロリー使わないし、良いね、低燃費……今はやりの低燃費……略してTNP。

 

 

「だから背が伸びないんだ」

 

 

「まぁ、背についてはどーでも良いけどね」

 

 

だって、大きくなっちゃったらアンクに抱っこしてもらえなくなるもん!

人間は、いつまで経っても甘えたいものなんだよ……。

それに、神様に頼んで背はあまり伸びないようにしてもらってるし。

 

 

「でも男の子なんやから、やっぱり背ぇは大切やで?」

 

 

「まぁ、そうだけどさ〜」

 

 

「八神の言うとおりだな」

 

 

うるせーアンク……。

 

 

「んじゃ、ちょっと腹ごなしに動いてくる〜」

 

 

「あんま激しく動いたら腹痛くすんぞ」

 

 

「分かってるよ。あ、はやてちゃん、庭借りても良いかな?」

 

 

「何をするのか分からへんけど、まぁえぇよ」

 

 

もう何かいつもののが体に染み込んでるんだね。

訓練とかしてたし、仕方ないか……。

そう思いながら、俺は庭に出る。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハッ!フッ!」

 

 

一応軽くシャドーをしてるお。

とは言っても……決まった型とかは持ってないんだけどね。

強いて言うなら、自分の魔力を爆発させて相手に流すとか、ぶつけるくらいしか出来ない。

あれ、ソウルイーターの魂威みたいな感じかな?

 

 

「ふぅ……良い汗掻いた〜」

 

 

パチパチ!

 

 

拍手が聞こえたので、俺は家の窓の方を向く。

そこにははやてが顔を出して拍手をしていた。

 

 

「ありゃ、見てたの」

 

 

「まぁ、居間の前でやられてれば、見えてまうで」

 

 

「確かに」

 

 

「はい、タオル」

 

 

「ありがとう」

 

 

俺ははやてからタオルを受け取って、汗を拭う。

うむ、我ながら惚れ惚れするのぅ……この髪の毛……。

 

 

「それにしても、アニス君髪の毛結構長いな〜。切らんの?」

 

 

「いや、短くしようと何度も試みたけど。その度にお母さんに止められるんだ。勿体ないって」

 

 

「あはは、ウチもよう分かるわ。アニス君の髪、綺麗やもん」

 

 

「ありがとう。結構大変なんだよ?手入れとかさ」

 

 

「せやろな〜。流石にウチもそこまで伸ばした事無いから、実際は分からへんけど」

 

 

「因みにアンクも今の髪型が良いって言って止めてくるんだ」

 

 

「ほんま、アンクさんはアニス君の事好きなんやな〜。でも……流石に犯罪やで……」

 

 

「あはは、犯罪って。そもそも俺は男だし、アンクにしてみても、対象外でしょ」

 

 

「そやね」

 

 

俺とはやては話しながら笑う。

今日出会ったばかりなのに、何でこんなに話が弾むんだろうか?

 

 

「さて、運動が済んだなら、買い物行くで?」

 

 

「うん、分かった」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「すんまんなぁ、押してもろうて」

 

 

「ガキが何遠慮してんだ、少しは大人にも頼れ」

 

 

「あはは、ウチも言われてもうた」

 

 

「あれは嫌な事件だったね……」

 

 

まさか車いすを押そうと思ったら、車いすと少ししか身長が変わらなくて、押せなかったとか……。

車いすの長さは、大体90〜100pが一般……まぁ、はやてのも一般の車いすなんだけど……。

まさか俺、100p位しかないとか……。

まぁ、身長何て無くても良いし、戦闘に有利だから良いんだけどね!

 

 

「まさか車いすも押せないほど小さいとは、俺も思わなかったぞ……」

 

 

「うん、俺も……」

 

 

あっちの世界では背を測るだのの概念があまり無い。

故に、俺は今の今まで自分の身長を知らなかった……。

 

 

「ウチでも130p程度やねんけど……」

 

 

「30pの差とか……アンク……マジデカイ」

 

 

アンクは大体170強ってところかな?

70pさか……まぁ、嫌いじゃないわ!!

 

 

「さて、先ずは服買おか」

 

 

「いきなり高く付きそうな物を選んだね……」

 

 

「大丈夫や、安く手に入る場所があんねん」

 

 

「へぇ〜、どんな店なの?」

 

 

「しま〇ら」

 

 

……あのやっすくて、大きい服も取り扱ってる店か……。

あそこ、結構良い感じの服とか売ってるから好きだわ。

某水原薫さんって人も大好きなしま〇ら……。

 

 

「あ、ここやここ」

 

 

そこにはマジでしま〇らと書いてある店があった……。

だが、平日だから、そこまで人が居ない。

つか、はやては常連だから大丈夫だろうけど、俺とアンクは何て言われるだろうか……。

今の時間は学校の時間だし……って、アンクより俺じゃん。

アンクは大人だし、良いのか。

 

 

「ほな入ろうか」

 

 

そう言って、はやてはアンクと一緒に店の中に入って行く。

あ、置いてかないでよぉ〜!

俺はすぐさま二人を追いかけるために走りだす。そして、店の中にin。

 

 

「うわぁ〜、凄いいっぱい売ってるんだね」

 

 

「せやろ〜?」

 

 

「あ、ワイシャツ発見。おっ!スパッツもある!寝間着確保!!」

 

 

「ちょい待ち!」

 

 

「ん?どうしたのはやてちゃん」

 

 

「それが寝間着何か!?ボケやろ!それは関西出身のウチの対してのボケやろ!!」

 

 

「いや、ボケじゃないし、ふざけてもいないよ?これが俺の寝間着」

 

 

「……ホンマに?」

 

 

「諦めろ八神、こいつはここに来る前もそうだった……」

 

 

あぁ、アンクが遠い目をしてる……何か辛い事でもあったんだね。

それにしても……ここのし〇むらは凄いね……。

何かコスプレの服も扱ってるよ……。

あ、今某腋巫女の巫女装束があった……。すげぇなここ……。

 

 

「……アニス……まさかあれ着たいとか思ってないだろうな?」

 

 

「そんなわけないでしょアンク。第一、俺に女装っ気は無いし、サイズがないでしょうに」

 

 

「あ、100pの超絶ロリ使用って書いてる奴がある……」

 

 

「はやてちゃん、それをすぐこっちに持ってくるんだ……」

 

 

「言ってる事がさっきと違うじゃねぇか!!」

 

 

「あはは、冗談だよ冗談。ほら、はやてちゃんも冗談で言ったんだしさ」

 

 

「いや、ホントにあるねんけど……」

 

 

「なん……だと……」

 

 

どうやら俺の知ってるしまむ〇は……死んだようだ……。

何でこんなこんな物を売り出そうとしたし……。

 

 

「あ、あれは……」

 

 

少し遠めの所に、キチッとした服が、一式飾られてある。

 

 

「ほぉ……懐かしいな」

 

 

アンクは俺の視線に気づき、その服の所まで行き、それを見る。

そう、その服とは……オーズ本編でアンクがいつも着ていた服があったのだ。

 

 

「……懐かしい、ね」

 

 

「何だアニス、悪いか?俺が懐かしいと思っちゃ」

 

 

「べっつに〜」

 

 

少しムフフとなっただけやねん……。

まぁ、気にせんといて……。

 

 

「アンクさん、その服がええんか?」

 

 

「……………」

 

 

アンクはその服をじっと見る……昔を懐かしがっているのか……その目は今を見ていない。

過去を見ている……そう言う目だ……。

そして、アンクは一回視線を逸らし、フッと、自嘲気味に笑い。

 

 

「いや、他のを探す」

 

 

そう言って、アンクは他の所に行ってしまう……。

……過去と、決着付けたのかな?

 

 

アンクサイド

 

 

「はぁ……」

 

 

こんな所で、まさか……昔の事を思い出すとは……。

映司……比奈……伊達や後藤……今思うと……あれはあれで、結構面白い奴らだったと、そう思えてくる。

特に、映司……。

 

 

(楽して助かる命が無いのは、何処も一緒だな……)

 

 

(人の命より、メダルを優先させるな!)

 

 

(ありがとう……アンク……)

 

 

「っ!……あぁ、そうか……」

 

 

俺は、まだ捨てきれなかったんだな……。

あいつに、掴む腕は俺じゃないと言っておきながら、俺はあいつの腕を、まだ掴んでいたいらしい……。

 

 

「アンクー!」

 

 

「……………」

 

 

ふと物思いに耽っていると、いつもの声が聞こえた……。

俺は後ろを振り返り、そいつを見る。

 

 

「もう、どうしたのさ?」

 

 

「何がだ?」

 

 

俺のパートナー、アニスが、そこに居た……。

 

 

「捨てきれないんでしょ?」

 

 

「……まぁな」

 

 

「……俺じゃ、頼りないかな?」

 

 

「………………」

 

 

「別に、俺の為に、その思いを捨ててくれとは言わないよ。そんなのは、ただのエゴだ。確かに、俺は映司みたいに、強くは無いよ……精神面で、アンクには凄い迷惑を掛ける……戦闘も、アンクのお荷物になっちゃうけど……その……俺も頼ってよ?」

 

 

「……………」

 

 

「アンクは俺を守ってくれるって言った……俺、すっごい嬉しかったんだ。あのアンクが、俺の事を思って言ってくれたんだって……」

 

 

……思い出したくもない事を……。

だが、確かに俺は言った……その事実は揺るぎない。

 

 

「だから……こう言う事位しか言えないけど……俺にも頼ってよ?俺ばっかり、アンクに守ってもらってばっかじゃ、嫌なんだ」

 

 

その言葉一つ一つ、俺は聞き漏らさずに聞く。

 

 

「だから……頼ってよ。俺が迷惑かけちゃう分、俺にも迷惑掛けてよ。ね?だから……うわっ……」

 

 

全く……俺より小さくて、頼り甲斐が無くて、馬鹿ばっかする奴だけど……。

言葉だけは一人前な奴だ。

 

 

「アン……ク……?」

 

 

「バーカ、誰がお前に迷惑掛けるかってんだ。もう少し、大きくなってから言え」

 

 

俺はそう言いながら、ワシャワシャとアニスの頭を撫でる。

 

 

「身長は関係ないでしょっ!」

 

 

「大ありだ。そんな小さい奴に、頼ってくれって言われても、困るだけだ」

 

 

「酷くね!?」

 

 

「……気にすんなよ」

 

 

「え……?」

 

 

「お前は今のままで良いんだよ。俺に迷惑掛けるとか、掛けれとか……そんなのはどうでも良い。俺はお前さえ居れば、それで良い……それが俺の生きて行く理由になる……」

 

 

「……アンク……」

 

 

全く、調子狂うな……。

いつもこの調子だ、こいつは……何か突拍子もない事やるくせに……何でこう言う時だけこう何だか……。

 

 

「えへへ、アンクに頼られちゃった」

 

 

「?俺は頼った覚えは無いが?」

 

 

「だって、アンクは俺が生きてるだけで、生きる理由になるんでしょ?だったら、俺がずっと生きてなきゃ。ほら、俺を頼ってる!えへへ……嬉しいな」

 

 

「………ふん」

 

 

ドガッ!

 

 

「った……!」

 

 

アニスの頭に置いていた手を、手刀に変えて振り下ろす。

 

 

「お前を守るのが俺だって事、忘れんじゃねぇ」

 

 

「……だ、だからって……チョップしなくても……」

 

 

「ふん……それじゃ、俺は服を選びに戻る」

 

 

まぁ、精々頑張って守るとするか。

小さい小さい……大事な欲望(アニス)を……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

アニスサイド

 

 

「いやぁ、いっぱい買ったなぁ!」

 

 

あれから俺達は、日常品やら何やらを買い。

さっきまで今日の夕飯の材料を買っていた。

 

 

「はやてちゃん、何作るの?」

 

 

「ん〜、今日は家族が出来たお祝いって事で、色々や!」

 

 

「そっか、色々か。楽しみだなぁ〜」

 

 

「あぁ、そうだな」

 

 

「………………」

 

 

「どうしたアニス。鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしてるぞ?」

 

 

「……アンクがそんな事を言うようになったとは……俺聞いてない……」

 

 

一体どうしたんだアンク……お前が楽しみって言うの……初めて聞いたぞ……。

いや、実際は言ってないが、同意をしたのは初めてだ……。

 

 

「何だ?俺が夕飯を楽しみにしちゃいけないのか?」

 

 

「えへへ、いや、嬉しくて。やっとアンクが素直になったんだなって」

 

 

「俺は素直だが?」

 

 

「どーだか」

 

 

「はいはい、そこの二人。イチャイチャ禁止やで禁止」

 

 

「イチャイチャ何てしてねぇ!」

 

 

「アンク……酷い……」

 

 

「お前も乗ってんじゃねぇ!」

 

 

ドスッ!

 

 

「あふん!!」

 

 

アンク は チョップ を し た。

 

アニス に 100 の ダメージ を 喰らわせた。

 

 

……今何か頭の中にモニターらしきものが……気のせいだろうか……。

じゃっかんドラクエ風だった気が……。

 

 

「変な声出すな!」

 

 

「……やっぱアニス君……女の子やないんか?どやったらそんな高い声出んねん……」

 

 

俺もそれは知らない……もしかして俺、変声期にスルーされたりすんのかな?

まぁ、こんなナリで若本みたいな声とか、小杉さんみたいな声は嫌だし……それはそれで良いのかなぁ……。

 

 

「良いもん!はやてちゃんとイチャイチャするし!!」

 

 

「へっ?ウチ!?」

 

 

「oh……まさか、はやてちゃんに嫌がられるとは……」

 

 

まぁ、当たり前だろうね。会ってたかだか数十時間。まだ一日すら経ってないと言う……。

でも少しショックだね……原作キャラにはなるべく嫌われたくないお……。

 

 

「いや、嫌と言うか……そこでウチに振られた事に驚いただけや」

 

 

「何だ、そうだったのか。なら安心したよ」

 

 

「……やっぱ、アニス君は可愛ぇなぁ……頭撫でたる」

 

 

「えへへ〜、何か知らんが褒められた」

 

 

「……はぁ、男が可愛いとか言われて喜ぶなよ……」

 

 

あら、俺はカッコよさより可愛さを追求してます故。

だってこんなナリの奴がどう足掻こうと、可愛いに変換されるに決まってんじゃん。

まぁ、そんな容姿を選んだのは、紛れもない自分自身何だけどね。

 

 

「ほな、さっさと帰って料理作ろうか!」

 

 

「賛成!」

 

 

「まぁ、もう少しで陽が暮れそうだしな」

 

 

そう言って、アンクははやての車いすを押し始める。

くそぅ……先ず一番の問題は……どうやってはやての車いすを押すかだ……。

これは……手ごわい相手になりそうだ!

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文才が欲しい今日この頃……
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