祈り |
我々が住む地球を含む世界とは異なる次元に存在する世界、ラクレス。
ラクレスからはアーシアと呼ばれる我々の世界をある程度認識できるが、アーシアの方からはラクレスの事を認識する事はできない。
そんなラクレスの歴史或いは伝説伝承の類を綴ったものが『ラクレス・サーガ』と呼ばれるものである。
今回は、全二部から構成される本編から終盤部分の一節を引用しよう。
時は、一度は統一国家が樹立され、精霊暦からセクレタル暦に移っておよそ千年の歳月が流れた頃のこと。
悠久の時を栄えたラクレスは今、滅びの時を迎えつつあった。
全てが壊れゆく音が、空の下から聞こえてくる。
最早5つの大陸に人は存在せず、此処まで生き残った数少ない人々は空中要塞ラ・マーベルへと逃れ、身を寄せ合っていた。
それにしても、一体誰に想像できようか? たった一人の人物の手によってこの事態がもたらされた…等とは。
今はラ・マーベル第30代首長の称号を持つサルファとて、最初からあんな冷酷無比な人物であった訳ではなかった。少なくともそれは、この空中の島で共に育ってきた自分がよく知っている。魔道剣士と神官といった具合に目指す立場は違えども、二人して国の将来について真剣に語り合った事もあった。共に【句(フェルナ)】と呼ばれる術の修行に励んだ事もあった。
なのに…それなのに、一体何処からどういった具合にボタンを掛け間違って、この立ち位置になってしまったのだろうか? 今の、世界の敵対者とそれに立ち向かう者という立ち位置に…。
きっとこの世界は壊れてしまうのだろう。何故ならばこの世界にいる誰にも、今のサルファを止められはしないのだから。
そうなるとおそらく、もう一つの世界にも影響を及ぼさずにはいられまい。
今は漆黒のような絶望に凍てついた黄金の瞳が、かつては共に育ってきた、そしてこれからも共に歩むはずだった、ラ・マーベルの神官…イクスを射抜く。以前は透き通るような美しい緑色をしていたその瞳は、最早見る影もない。
イクスは後ろにいる人達の前に出て、サルファに立ちはだかる。はっきり言って、勝算なんてものは皆無だと言っていい。サルファが絶望を以て【真のアーシア】としての力を振るっている限り、彼女を止められるものは何一つありはしないのだから。
だからせめて彼女を絶望へと追いやった者の一人としての責任を果たそう。彼女の前に立ちはだかり、後ろにいる民衆達の希望となる事で。
そして、祈りを込めて持てる技を駆使して破滅に抗おう。願わくば、ラクレスの民すべてが…そして誰よりも絶望に身を沈めている彼女が、希望の光によって照らされますように……
説明 | ||
ラクレス・サーガは全二章で完結した筈なのに、「ある筈のない第三章が綴られ始めた」という設定が此処で初めて出てきました(CD-ROMにて無料頒布中・自サイトにてフリーフェアとしてDL可能なWin版preludeのVer1.1以降ならびに夏頃頒布予定のiOS版にこの設定を盛り込んでます)。つまり、あり得ない筈だったサーガの第三章が、即ち『女神の大地』なのです。ゲームのネタバレになるので突っ込んだ事は現段階では書けないのですが、一つ言えるのは「絶望に身を浸した者が希望を見いだしていく」物語である、という事です。他にも様々な要素を盛り込んだ物語ではありますが、今この時において公表するに相応しい要素はやはりこれを置いて他にはないでしょう。 | ||
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