第十話 儀式と契約 |
結構な日が過ぎた。
俺ははやてとどんどん仲良くなり、休日には翠屋に行き、なのはと話す。
そんな事をしてる内に、なのはとも仲良くなった。
そして、ふと思ったんだ……。
「儀式って、いつやんの?」
っと……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
少し俺は、だらけ過ぎた様だ。
本来の目的を、少しばかり忘れていた……。
「と、言うわけでアンク。儀式っていつやんの?」
「……はぁ?」
アンクに聞いてみた所、何言ってんだこいつみたいな目で見られた。
いや、聞いてないんかい、神様に……俺もいつやるは聞いてないけどね。
「儀式?」
「あれ、やっぱり聞いてないの?」
「あぁ、初耳だな」
「ありゃりゃ……」
神様ェ……ちゃんと説明しようよ……。
俺は神様から聞いた事を全てアンクに話した。全く、神様もちゃんと話しておいてくれよ〜。
「……大体分かった」
「そう、良かった……それで、儀式っていつやんのかな?」
「それは俺に聞かれても分からん。あいつに直接聞くしかないだろう」
「そうだよね〜」
どうやって神様と話そうか……そう考えていた時、俺の首に掛けていたデバイス。クイーンがいきなり光りだす。
俺はびっくりして、少し短い悲鳴を上げてしまった。
「な、何でクイーンが光りだしたの!?」
「さぁな」
……ま、まさか……ね。
神様が通信してきた……何て事は無いよね?
《あー、あー……テステス……おぉ、元気か!アニスにアンクよ!》
「……予想通りだコノヤロー」
今この場にはやてが居なかった事を感謝するがいいおっさん。
はやてが居たら魔法バレする所だった……まぁ、しても良いんだけどね。
これから起こる事を事前に伝えおけば、心構えがまた違ってくるしね。
「あぁ、俺は元気だ」
「俺も元気だよ!」
《そうかそうか。それより、儀式の事で何か話があると聞こえたのじゃが》
おっさん、神様の癖に地獄耳かよ……すげぇなこのおっさん。
どんだけハイスペックよ……あぁ、神様だからか……。
「うん。それがさ、一体儀式って何をすれば良いの?それと、儀式っていつやるの?」
《まぁ、大方そんな所じゃろうと思ったわい》
「知ってるんだったら早く話してくれても良いだろう!」
《ははは、すまんすまん。それじゃあ、簡単に儀式の内容と、いつやるのかを決めよう》
そんな簡単に言って良いのか……?
それに、いつやるのかも決めれるのかよ……。
《先ず、何をするかじゃが。簡単じゃ、悪魔を倒せば良い》
「悪魔を?」
《そうじゃ。悪魔をじゃ》
「まぁ、悪魔の加護って言うし、やっぱり悪魔を倒したりすんのかなとは思ってたけど」
《それを、数回やるのじゃ》
「数回ねぇ。分かったよ、基本的に悪魔を倒せば良い。それも数回……ルールは?」
《倒しさえすればそれで良い。もちろん、アンクと協力するもよし、斬魄刀をフルに使うもよしじゃ》
「分かった!それで、いつやるの?」
それが一番知りたい事だ。
自分自身、もう儀式何てやらねんじゃね?とか思ってたし……。
《そうじゃな〜。お主はいつやりたい?》
「いや、俺に聞かれても。て言うか決めれるの!?」
《基本、悪魔は融通聞くぞ?》
えぇ!?あちら側結構アバウト!しかもあっちが協力してくれるのかよ!?
うわぁ……何か、悪魔さんごめんなさい……。
「それって、倒しちゃ可愛そうなんじゃ……。悪魔さん達が率先してやってくれるんでしょ?」
《いやまぁ、悪魔のご加護を人間に与えちゃったこちら側の不手際なので気にしないと申してたしのぅ……》
「……悪魔さん……ごめんなさい……」
貴方達は良い人だ!いや、良い悪魔だ!このおっさんより優しい!
俺なんかの為に儀式してくれるなんて……。
「そ、それじゃあ……明日の夜、はやてが寝静まったころにでもお願いしようかな?」
《うむ、分かった。言っておくぞ。それと、死にたがりを抑えてる様じゃが、少し晴らしておかないと、いつか重くのしかかって来るぞ?それでは!》
そう言って、神様の声は聞こえなくなり、クイーンから発せられる光は消えた。
さて……どうしようかな〜。
「アンクアンク〜。悪魔さんに菓子折り持ってった方が良いかな?」
「俺に聞くな。て言うか、悪魔に菓子折り持って行く奴なんて初めて見るわ」
「いや、だってあっちの不手際とか言われても……実感湧かないんだもん……それに、さ。この死にたがりを治す為に儀式するのに……もしかしたら……消えないかもしれないって言われちゃったんだ」
そう、それは一番最初。神様に初めて会った時に言われた言葉。
別に、これが治らなくても、今の俺はちゃんと抑えられている……でも、いつかはそれが出ちゃう事があるだろう……。
今は、アンクもそうだけど、はやてが居る……なのはも居る。
だから、これを克服したい……。
「あの……アンク……俺に力を貸してくれないかな?あ、嫌だったら良いんだよ?強要はしないよ、これは俺個人の問題なんだしさ……うん……アンクは関係……ない事だし……」
「……はぁ……」
ギュッ……。
「ふわぁ……」
不意に、俺はアンクに抱きしめられる……。
い、いきなり何だよ〜、変な声出ちゃったじゃん!
「そんな今にも泣き出しそうな顔で言われても、説得力ねぇんだよ。バーカ」
「ふわぁ!やっ!ちょっ!耳元で喋んな!」
「……やらせろよ、俺にも……」
「ふぇ……?」
「手伝ってやる。それで文句無いだろ?」
「………アンクぅ〜……ありがと〜……」
やっぱアンクは優しいな!
良かった、嫌だって言われたら泣いちゃう所だったよ……ふぅ、助かった。
「あ、でも……あまり悪魔さんを痛めつけないでね?」
「はいはい、分かった分かった」
「うん!オッケー!」
よし!これで大丈夫だ!
あ、でも……悪魔さんの方が強いって事もあるかも……まぁ、斬魄刀を使って頑張ろう!
その時、この部屋のドアが開かれる。
「アニス君、アンクさん、ご飯やで〜って……失礼しました……」
バタン……。
何故かはやては顔を真っ赤にしながらこの部屋を出て行った……。
そして、それを見た瞬間アンクは俺から離れると、すぐさまはやてを追いかけに行った……。
あれ?俺なんかした?……まぁ、分からないや。
「もう、アンク……」
やんちゃになっちゃって……アニスたん嬉しい!
あのアンクが、ここまで感情豊かになるなんて……素晴らしい!!
「はぁ……アンクぅ……」
……あぁ、やっぱ……もの凄く依存しちゃってるんだな俺……。
……いやいや!危ない方向じゃないよ!?俺とアンクは同じ男!いくら俺が女の子みたいな顔でも、アンクは嫌でしょうに!お、俺は……まぁ……来るものは拒まず?いや、でも……アンク限定かも……でも!俺はゲイじゃないし……普通に女の子が好きだし……。
「……結論、どっちでも良いや」
もう、この際どうでも良くなっちゃった。
だから、ご飯食べに行こ〜っと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そしてあっちゅう間に次の日、はやてが寝静まった頃。
「さて、アンク行こうか」
「そうだな……所で……」
「ん?どうしたの?」
「……何処でその儀式はやるんだ?」
……時が止まった……。
あぁ、場所、決めてなかったっけ……どうしよう……。
そう思った時、昨日みたいにまたクイーンが光だし、いきなり喋りだした。
《場所について知りたいのじゃな?》
「あんた見てるだろ。絶対上から見てるだろ……」
《何の事じゃ?》
うわ、こいつ嘘下手だ……。
八橋やるからもう少し嘘磨いてこいコノヤロー。つうか、もしかしてこのおっさんに入浴シーンを見られてたり……。
《それで、場所じゃったな。この家の外に出れば、すぐにでも始められるぞい?》
「マジかよ……でも、音とかヤバくない?もし結界を貼るんだとしても、管理局にばれちゃうよ?」
《そこは抜かりない。ちゃんと魔力を感知されない様に貼ってある。それに、斬魄刀や他の魔法を使ってもばれないようになってるぞい》
「おぉ、流石神様だな。至れり尽くせり乙」
《それじゃあ、健闘を祈る。ではの》
そして、クイーンの発光は止んだ……さて、それじゃ行きますか!
俺とアンクは靴を履き、玄関のドアを開けた……。
「……ほぅ」
先ず言葉を漏らしたのはアンク。
短い言葉ながらも、普段アンクが上げない声なので……十分アンクが驚いてるのが分かる。
「……あ、あれは……」
少し周りを見渡すと、少し遠めの所に、人影が見える。
たぶん、あれが悪魔さんなのだろう……。
俺はバリアジャケットを展開して、アンクは翼を展開して空を飛ぶ。
少し移動してから、悪魔さんも気づいたのだろう、俺達の所まで飛んで近づいてきた。
あぁ……何でそんなに優しいんですか?
「こんにちは」
「あ、こんにちは……」
「……ふん」
「今回はこちらの不手際で、悪魔の加護を授けてしまい申し訳ありませんでした。貴方様の事情は良く把握しています、差支えが無ければ、このまますぐにでも第一回の儀式を執り行いたいと思います」
うわぁ……めっちゃやり難い……凄く低姿勢何だけどこの悪魔さん……。
今、俺の中の悪魔のイメージが崩れ去り、目の前の悪魔さんのイメージが築き上げられた。
「あ、あの……もし悪魔さん達が、僕に倒されちゃったら……消えちゃうの?」
「いえ、確かに消えますが。それは地獄に戻るのと同義なので、大丈夫ですよ。貴方はお優しい方なのですね……」
「あ、ありがとうございます……」
えへへ〜、褒められちゃった……。
「それでは、始めましょう。私の名はザゼルと申します」
「あ、アニス・クロイツベルです。それで、こっちはアンクって言います!」
「分かりました。それでは、儀式を始めましょうかアニス君」
おぉ!一発で俺が男だって分かった!
すげぇ、悪魔さんすげぇ!
「手加減は一切不要です。2対1でもよし、いきなり全力で掛かってくるもよし。さぁ、掛かって来なさい!」
「分かりました!行きます!」
俺は先ず、デバイスの剣でザゼルさんと対峙する。
ザゼルさんは武器も何も持たず、自らの肉体で俺の剣を防いだ。そして、そのまま流れるように蹴りを加えられ、吹き飛ばされる。
「くっ!」
「まだまだですよ!」
「っ!?速い!」
「はぁ!!」
ドカッ!!
「かふっ!……ちぃっ!」
ブン!
追撃を加えられたけど、そのまま反撃に転じ、フック寄りのパンチを繰り出すが、簡単に避けられてしまう。
「ハァッ!」
ドンドンドン!
アンクが後ろで火炎弾を出して援護してくれる。
だけど、ザゼルさんはそれを全て素手で払い落す。
「そんな物!」
お返しとばかりに、ザゼルさんは大きな火の弾を作りだし、アンクに飛ばす。
アンクは旋回してそれを避けるが、ザゼルさんがその隙に一瞬で回り込み、アンクを殴り飛ばす。
「くっ……アニス!こいつ強いぞ!斬魄刀を使え!」
「分かってるよ!……こい!」
俺は一振りの斬魄刀を取り出す、そして、始解のキーワードを唱える。
「射殺せ、神槍!」
ビュン!
もの凄い速度で斬魄刀の刀身が、ザゼルさん目掛けて伸びる。
だけど、それをザゼルさんは紙一重で避け、こっちに突っ込んでくる。
「やっば!」
「まだまだですね!」
「ちぃっ!ラシルド!!」
障壁じゃ間に合わないので、ここはラシルドを使うことにする。
でも……強度が心配だなこれ……。
ドン!
「くっ!少し、固いですね……でも!」
ピシ、ピシピシ……バカン!!
「砕けないほどじゃない!!」
くっ!やっぱり突破された……何てね。
「月牙……」
「なっ!?」
俺はラシルドを視覚にし、瞬時に神槍から斬月に変え、魔力を込めて月牙の構えを取っていた。
いっけぇ!
「天衝!」
シュン!!
黒い月牙がザゼルさんに向かって行く。
ザゼルさんは防御の構えを取るが、月牙の勢いがあり過ぎて、吹っ飛んでしまう。
ドン!
「ぐっ……はっ……」
「バインド!!」
ガチン!!
これ以上俺は戦いたくなかったので、ザゼルさんをバインドで動けないようにする。
あぁ、体が痛い……でも、初めてだな、お父さんやアンク以外の人と戦うの。人じゃ無いけど……。
「はい、降参してくれるよね?」
俺は斬月の切っ先を向けて、魔力を込めながら言う。
ザゼルさんは観念した顔になり、苦笑する。
「えぇ、私の負けで良いです。いやぁ、お強い!こんなに強い人と戦うのは久しぶりでした!あぁ、出来るならもう少し戦いたかったですけど……それでは、これで第一回の儀式が終了しました」
ふぅ、これで第一儀式終了か……でも、ザゼルさん顔に似合わず戦闘狂なんですね……。
シグナムとやらしたらいつまでも戦ってそう……。
「それでは、最後に契約に移りたいと思います」
「へ?契約?」
「あれ?聞いてないんですか?アニス君が私に勝ったら、貴方の使い魔になって一生を守護するよう命じられたのですが?」
「……えぇぇぇ!?」
「何だと!?」
あ、アンクも流石に驚くよね。
て言うか俺聞いてないよ!あの馬鹿神様!また重要な事だけ言い忘れてやがったな!
「ち、ちなみに……俺が負けた場合って……どうなってたんですか?」
「アニス君が負けたら、私が貴方を食べてました、性的な意味で♪」
「……ふぇ!?」
「おい!アニスに何言ってんだ!」
た、たたたた……食べられるって……しかも性的な意味で!?
うわわわわわ!か、勝てて良かった……。
「あれ?もしかしてザゼルさんって……女性?」
「えぇ、性別的にはそれであってます。でも、私はまだ女性と言われるような年齢ではありません。まぁ、人間の年齢で言うなら、裕に100歳は超えてますけど」
「そ、そうなんですか……」
さ、流石悪魔さん……規格外すぎるぜ……。
「それでは、契約に移りたいと思います」
「あ、はい……」
「それでは、頂きます♪」
「へっ?」
ザゼルさんはそう言うと、俺の所に近づいてきて、首筋に口を添える。
最初は軽い甘噛みから入ってきた。
「ふぁっ!」
「ぶーーーっ!!」
そして次に、そのまま一気に首筋を咬み。
チュー、チュー……ゴクン。
俺の血を吸って行った。
しかも、痛み何て一切感じない……あるのはただ、快楽のみ、だから俺は。
「ひやぁぁぁぁぁ!!」
終始喘いでました。
あぁ、顔から火が出るほど恥ずかしい……死にたいな……。
「……っく……はぁ、ご馳走様でした。これで契約は終了しました。それでは、私を呼びたい時は、使い魔召喚と唱え、最後に私の名前を呼んでください、そうしたら私が出てきますので。では」
「あ、おいまて!!」
アンクがザゼルさんに掴みかかろうとしたが、時すでに遅し。
ザゼルさんは既に何処かに消えてしまった……。
「おい、アニス!大丈夫か!」
「ハァ……ハァ……アン……ク……」
「どうした!?何処か痛むのか!?」
「ハァ……ハァ……違うの……か……体が……ハァ……ハァ……熱くって……ドキドキが止まらないのぉ…………きゅう……」
そして、俺は意識を失った……。
次の日、あの後俺はどうしたのかアンクに聞いたら。
そのまま目を回して気を失ったらしい。たぶん、ザゼルさんが吸血した時に、痛みが生じないように、最初の甘噛みで媚薬効果のある何かを注入してたらしい。
それも、次の日に、ザゼルさんを呼んで聞きました。
いやぁ……俺、もう一生媚薬何て体に混入されたくない……そう思った俺なのでした……。
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変態な悪魔wwww | ||
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