戦姫絶唱シンフォギア 〜騎狼の絶咆〜 プロローグ
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((序曲|プロローグ)) 始まりの宴

 

 

 

「がやがやと五月蝿いところだな……」

 

 

今、俺がいるのは大型コンサートホールの袖裏。

ここまで客の声が届くとは……どれだけ大声なのだ。

 

 

「仕方ないんじゃない? あたしらが出るってだけでも人が集まるんだしさ」

 

「自意識過剰と言うべきか、よく理解していると言うべきか……」

 

 

赤髪の活発女の五月蝿い声を聞きながら、思ったことをそのまま述べる。

嘘など言っていない。自信というのはそのどちらにも捉えられるからだ。

 

 

「ま、なんかあったときは頼むよ、オオカミさん」

 

「フン……お前らの警護は俺の任務だ。言われずとも((絶対に|・・・))守り通してやる」

 

「おー、凄い自信。自意識過剰と言うべきか、よく理解していると言うべきか≠チてね」

 

「お前な……」

 

 

一本とられたな。

慣れないやりとりに心苦しさを覚えつつも、真っ赤なスーツに身を包んだ男に歩み寄る。

徒手格闘だけであれば俺とタメをはれる強者だ。

 

 

「なにか用か、((依頼主様|マイ・クライアント))」

 

「様子を見に来た。その調子だと問題はなさそうだな」

 

「俺はこの状況を望んでなどいないがな。騒がしいのは苦手だ」

 

「またまた〜。こんなお年頃の女の子を会話出来るだけ良いと思いなさいよ」

 

「…………弦十郎、こいつ殴り飛ばしていいか」

 

「ライブの後でな」

 

「((了解した|Rog))。では奏、ライブの後でまたここで会おう」

 

「行かないよ!? 殴られるとわかってて行くわけないじゃん!」

 

「ならば俺から会いに行くだけだ。覚悟しておけ」

 

 

奏の額を左手で小突き、恨めしそうな目を向けられているのを無視する。

今や話題の人気ツインボーカルユニット「ツヴァイウィング」の奏だが、正直……俺は苦手だ。歌が嫌いというわけではない。あいつ自信が嫌いなわけでもない。やかましいのが嫌いなだけだ。

……((片翼の双対者|ツヴァイ・ウィング))、か。その名の通りもう1人がいるのだが、あいつは……なんというか、苦手だ。

今まさにそいつのところへ向かっているわけだが。

 

 

「…………なんですか、私に」

 

「片方が無闇に前向きであれば、方や残りは後向き。人間とはつくづく理解できんな」

 

「嫌味を言いに来たのなら、帰ってください……。今は、1人で考えたいから」

 

「存分に悩むといい。人間はそうして進化を遂げた生き物だ。俺のようにならぬためにもな」

 

「……貴方のようにって、どういうことですか」

 

「……………………お前は、俺に似通っているところが見受けられた。それだけだ」

 

 

片翼―――もとい風鳴・翼。

防人として生き続けてきた理念は俺に似ている。生きてきた時が違うからこそ言えるが、近い将来……こいつは俺のように、『考え』を無くしてしまう可能性がある。

 

 

「似てないっ。……私は、貴方のように強くないし、それに……」

 

「短絡的でもない、か?」

 

「そうじゃ……ないけど」

 

「いいさ、悪評は慣れている。俺は無慈悲な王……そう呼ばれたこともあった」

 

 

あれから…………あの大戦から、二百余年。

もうあいつらは、完全に消え去ったはずだ。俺だけが時間移動しているのなら……話は別だが。

 

 

「まあ、せいぜい後悔だけはしないようにな。悔いた人のやることは理解できん。怒りや絶望、憎しみの顔は……醜いものだ」

 

 

近くにあったコンテナの影で寄りかかり、持ち弾の確認だけしておく。

タフォリオ ラプター1丁にライフル弾18発。Desert Eagle 14inh Mk-XIX2丁と((予備弾倉|スペア・マグ))4つ。ベネリ M3を1丁、スラッグ弾40発しかない。

合計丁度100発だ。はたしてこれで…………勝てるのだろうか。嫌な気配を出すあいつらに……。

市販品の通常弾ではないにしろ、アレに致命打を与えることはできない……。

 

 

「始まったようだぞ」

 

「む…………。いつのまに」

 

「お前が銃をいじっている時だ」

 

「武器の確認と言え。依頼である以上、俺はできうる限りを尽くさねばならないからな」

 

「戦力は期待している。頼んだぞ」

 

「任せろなどと悠長なことは言わんが……………善処はしよう」

 

「……ああ。俺は持ち場に戻る。帰りはエスコートしてやってくれ。頼んだぞ」

 

「((頼まれよう|Rog))」

 

 

Client is My God'es.

直訳してしまえば……依頼主様は絶対の存在である、だ。

命令されたら従う他に無い。

俺は、あの2人を((連れて帰って|エスコートして))こいと言われた。

 

 

 

 

 

―――何があろうと帰ってやるよ。2人揃って、また歌わせてやる。

世界規模の厄災……((雑音|ノイズ))≠ェ来ようと、俺が守るさ。俺が死んでも、恨むなよ弦十郎。

 

 

 

 

 

 

―――さあ、((絶戦|ライブ))の始まりだ―――

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戦姫絶唱シンフォギア シンフォギア 銀狼 

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