IS-W <インフィニット・ストラトス> 死を告げる天使は何を望む
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「確認する。シェルターシールドは張っているな?」

『き…貴様!!何を!?』

「シェルターは完璧なんだな!?」

『もちろんです。あなたたちの無力さを思い知りなさい』

「………了解した」

 

そう言って一人の少年が駆るゼロの名を持った天使から巨大な山吹色のビームが空から地上へと発射した。地上は爆風と土煙を立ち上がる。

続いて、2発目も発射。しかしすでにボロボロだった天使の体は左腕がもげてしまった。

だが地上に張られているシェルターシールドの強度は半減されている。それは超強力なビームがコンマ二桁まで狂いもなく同じところを狙っているからだ。

 

『やめろ〜!!ここには○○○○・○○○○○○がいるんだぞ!!』

 

通信で何かが入ってくるがそれでも少年の心は変わらない。

最後の攻撃を行うために発射体制に入る…地上からの攻撃を受けながら。

 

(さよなら○○○○…俺もすぐにいく)

(○○○)

 

心の中で天使を駆る少年とシェルターに囚われの少女は繋がっていた。そして二人の覚悟も…

 

 

そしてついに、天使は最後の攻撃を行い、それにより体は崩壊して少年とともにこの世界から消えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここは…どこだ?)

 

彼が目を覚ました時、その光景は先ほどの戦場ではなかった。

 

(家…それも、旧文明のような感じだ)

 

周りを見渡してみると、たんすや畳などがあり、視線の高さ的に少年はベットではなく布団で寝かせられていると判断した。

 

「よかった。気が付いたんだな」

 

その時、襖が開き、ある一人の少年が現れた。年齢は今寝ている少年と同じぐらいだろう。

 

 

「…お前は…」

「俺の名前は織斑 一夏」

 

と少年たちは会話を交わした。一夏はただただ普通の会話だと思っているがもう一人の少年はそうは思っていなかった。目を窓に向けてみると明らかに今まで見ていた光景とは違っているからだ。

 

(ここはどこだ…。少なくともこの景色は見たことがない…まさか)

「…織斑 一夏。今の年号と日時を教えてくれ」

 

と少年は起き上がりながら聞いた。そして少年は耳を疑いたくなるような衝撃の真実を聞く。

 

「いまは…西暦20XX年の3月1日だ」

(せ…西暦だと。俺はタイムスリップしたと言うのか…)

 

なぜなら彼が生きた時代はAC(アフターコロニー)196年。西暦なんてとっくに終わってしまっているからだ。少年は普段顔には出さないタイプだが今回はあまりにも飛び過ぎたことで驚きを隠せなかった。

 

「だ…大丈夫か!?お前は俺が入試の帰りに家の前で倒れてたんだ。今日はそれから4日経ってる」

 

少年の様子がおかしいと気づいた一夏はさらにそう言った。それを聞いた少年は今はとにかく情報がほしいと判断した。

 

「すまない織斑 一夏。新聞や雑誌、なんでもいい今の世界情勢がわかるものを持ってきてくれ。頼む」

「わかった今日の夕刊をポストから取ってくるよ。ついでになんか食べ物も用意する」

 

と言って一夏は出て行った。少年は時計を見た。時間は現在午後4時、夕日が沈みかかっている。少年は目をつぶって考えていた。最後の戦いの事だ。少年は本来あそこで死ぬつもりだった。もし生きていたらそのまま彼女のもとへ行くつもりだったがあれで生きれるとは思ってもいなかった。なので向こうの世界に未練はない。だが…

 

(…あいつはどうなったか…いや、やめておくか。もう俺には関係のない話だ)

 

帰る方法はわからない、むしろタイムスリップなんてできるかどうかも分からない。少年はここでひっそり生きようと考えていたが…

 

(せめて、奴には礼をした方がいいだろう)

 

と考えた。少年の過去を知っているものがこの場にいて、なおかつ少年の考えが読めるのなら驚くところだろう。他人の事を考える少年の事を。だがこの1年で少年は劇的に変化した。

その時だった。外からものすごい爆音が聞こえたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑 一夏は絶体絶命のピンチだった。家から出て、夕刊を取ろうとしたらいきなり空からミサイルが降ってきたからだ。幸い、何とか避けることができたがそれによって塀は壊れ瓦礫が体に当たり怪我をした。

 

「な…なんなんだ…」

 

上を見るとそこにいたのは顔を隠しているが…

 

(IS…・)

 

IS、正式名称『インフィニット・ストラトス』を装備した女性6人だった。

ISとは10年前、宇宙空間での活動を想定し、篠ノ乃 束によって開発されたマルチフォーム・スーツで現行の兵器をありとあらゆる面で凌駕する性能から国家の命運を左右する存在として本来の開発目的から外れ、名目上パワードスーツスポーツとして扱われているものだ。だが…

 

「織斑 一夏…『世界で唯一ISを使える男』よ…この世界の秩序のため、ここで死んでもらう!!」

 

そう、ISは女性しか使えないのだ。そしてそのため男女のパワーバランスが崩れ、現在は女尊男卑の世界となってしまった。そんなバランスを帰れるかもしれない存在が一夏である。なので本来はその存在を保護すべきなんだがまだそれがわかって4日で警備が配備できていなかった。しかも向こうが使うISは見たことがない。一般的に出回っている『((打鉄|うちがね))』や『ラファール・リヴァイヴ』でもない。黒いISだ。

 

一夏はボロボロの体で立ち上がろうとするが先ほどの攻撃で体が思うように動いてくれない。その間にISを装備した女性たちは量子変換で呼び出したマシンガンを構える。

だがその瞬間、一人のマシンガンが爆発した。

 

「きゃあああああああああああああああああああああ」

 

女は爆発の衝撃で少し後ろに飛ばされた。

一夏は何が起こったのか分からなかった。そしていきなり体を持ち上げられた。そう、先ほどの少年が隠し持っていた銃でマシンガンの銃口を打ち抜いたからだ。それでマシンガンの弾丸に引火して爆発したのだ。そして抱えたまま走り始めた。

ここで少年の格好が最後に来ていた服装と同じ深緑のタンクトップにジーパンだとわかった。

 

「お…お前」

「一応、世話になったからな…あの空に浮かんだ奴はなんだ?」

「ISを知らないのか!?」

(IS…どうやらここは俺の知っている西暦ではないようだな)

 

少年はそれを悟ると後ろからマシンガンが飛んでくる。先ほどの5人だ。その後ろには少年にやられた奴がついてきている。ものすごいスピードで…

少年は逃げきれないと判断し、足を止め、一夏を下した。

 

(…武器は拳銃のみ。弾は6発、頭を狙わないと生き残れん)

 

そう思って銃を構えるが、

 

「無理だ!!ISにそんな拳銃は効かない!!」

 

と一夏は言った。少年はその反応から本当だと悟り、どうするか考えていた。その時緑色の丸い宝石が付いた青と白のブレスレットが自分の左手にあることに気が付いた。

 

「…なんだ、これは」

 

そして少年がそれを触ると…

 

『ACCESS』

 

と言う声が頭の中に聞こえ、そして体に粒子が纏わりつく。そして少年の姿はさっきまで少年が使っていた鋼鉄の天使になっていたのだった。全身装甲で覆われいるそれは白青のツートン色で天使を髣髴とさせる4枚の白い翼、甲冑的な意匠を取り入れた本体部と、スマートなデザイン、そして両手には大型のライフルがあった。

 

『起動に成功しました』

 

と少年の耳から女の声の機械音が聞こえた。少年は何かを悟ったのか自分に起こったことに驚かず、そのまま翼を広げ空へと…敵の方へ飛んで行った。その時羽が舞ってまるで本当に天使が飛び立ったように思えた。

その様子を一夏はただただ見ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

「ターゲット…ロックオン」

 

少年はそう言い、右手のライフルの銃口を先ほどの銃を破壊した奴に向ける。

 

「何故奴もISが使える!?使えるのは織斑 一夏だけではないのか!?」

 

先ほど少年にやられた女は焦りを見せ、急いで量子変換で武装を呼び出そうとするがその前に少年の銃口から山吹色のビームが発射された。その大きさは彼女らISを装備している人間一人分を飲み込むことができる大きさだった。そして弾速も速く、避けることができなかった。

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

悲鳴をあげ、飲み込まれた女はビームが無くなるとそのまま地面に落下し始め、地面の道路にクレーターを作った。そしてISが強制解除された。頭からは血が流れていた。

 

「なんだあの威力は!!絶対防御を発動したにも関わらず突破されているだと!!オーギス3、オーギス4を回収して離脱しろ」

 

隊長らしい奴がそう言って部下はそのまま降下していった。

少年は自分を取り囲むような形で展開されている敵をみた。隊長以外の残り4人で囲まれているこの状況でも少年は冷静に分析をしていた。

 

(敵は囲んで一気に集中砲火…だが…)

 

少年は先ほどの両手のライフルを水平にし、そして発射と同時に自身が回り始めた。当然ビームも銃口と一緒に回転し始め、その円線上にいたISパイロットたち4人は…

 

「そ!!そんな!!」

「「「あああああああああああああああああああああああああああああああああ」」」

 

先ほどの打ち抜かれた奴のようにISの絶対防御を貫いて一撃でそれも一瞬で4人を倒した。

 

(ば…バカな…あの動き、そしてあの反応に戦法…明らかに実践慣れしている)

 

隊長の女は近接用日本刀型ブレードを取り出す。このブレードは『打鉄(うちがね)』と同じものになっている。

 

「お前は何者なんだ…」

 

女は少年だった天使に向かってつぶやいた。天使はライフルをその左右の主翼にしまうと副翼の懸架アームのラック内に格納されるものを右手で取り出した。それは…

 

「ビームのサーベルだと!!」

 

棒を取り出し、構えると緑のビームが先から出てきたのだ。

ビームサーベル…この世界ではそれはあまりにも珍しすぎる代物である。女は恐怖を感じた。これだけ強力な武装を積んで何故エネルギー切れをおこさない…

 

「お前は…」

 

全身装甲で顔も覆われて表情を読み取ることができないが一ついえることは…

この少年は危険すぎる。今ここで自分の命と引き替えにしてでも倒さなければ…この男は女尊男卑な現在を壊す。そして…いずれ我々の計画さえも…

しかし、目の前にいる天使は明らかに格が違う。

 

「お前は何者なんだぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

女は一気に接近してブレードで面の要領で天使を斬ろうとするが、その剣さえもサーベルでいなし、そのままサーベルで切り払い、右足のブースターを破壊。続いて左足のブースターも刺して破壊した。

 

「クソッ!!」

「…撤退しろ」

 

女はあの天使が通信してきたことに驚いた。

 

「俺はお前を殺そうと思っていない。だが、まだ続けるのなら……お前を殺す!」

 

怒気、覇気とも言うものが込められた声。さらにいつの間にか左手には先ほどのライフルが握られている。

女は本当に死の恐怖を感じた。

 

(殺される。ISの絶対防御さえも貫いてコイツは本当に私を…・殺す)

 

気づいたら女は泣いていた。

 

「ひ…〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

言葉にできない声を上げ、そして恐怖から逃げるように女は夕日の方向に逃げて行った。

 

「任務……完了」

 

少年はそうつぶやくと武装をすべてしまい、一夏のところへ翼を羽ばたかせた。翼を動かすたびに羽が舞うその様子はしつこく言うがまさしく天使だった。

 

 

 

 

 

「ん?」

 

少年の目…装甲で緑のレンズだがその目…ハイパーセンサーでは一夏の横に先ほどの刀を持ったISを装備した黒く長い髪の女が立っていた。黒髪の女のISは少年にはさっきのとは違う形としか判断できなかったがその女が使っているISは日本の倉持技研が開発した第2世代量産型『((打鉄|うちがね))』であった。武者鎧のような形態をしていて機体カラーは銀灰色の性能が安定しているものだ。

 

(…・任務追加了解…内容、敵機の撃退)

 

再びビームサーベルを出し、一気に接近した。狙うは相手のブレードを持つ手。だが黒髪の女は持っていた刀でビームサーベルを受け止める。

 

(…できる)

 

そしてマシンキャノンを放とうとした時だった。

 

「待ってくれ、その人は俺の姉だ。敵じゃない!!」

 

と一夏は言った。少年は一夏を見てその後すぐに目の前の女に顔を向けた。いまだにサーベルと刀で押し合いをしている状態でだ。

 

「そうだ。私の名は織斑 千冬。こいつの姉だ。剣を納めてもらえないか」

「……了解した」

 

少年は剣を納めた。

 

「私もISを解除する。お前も解除してもらおう」

 

千冬はそう言いながらISを解除した。なので少年の方も解除して二人で見つめていた。

 

「あのさ…助けてくれて…ありがとな」

「……気にするな。借りを返しただけだ」

 

少年はそう言ってすぐ千冬の方に顔を向けた。

 

「お前にはいろいろ聞かなければならないことが多い。私と付いてきてもらう」

 

少年は少し考え、そして

 

「いいだろう。俺も確認がしたいと思っていた」

「待ってくれ!!最後に名前を教えてくれ」

 

一夏はそう言った。少年は再び顔を一夏に向け、こう言った。

 

「……ヒイロ。……ヒイロ・ユイだ」

 

ここにのちに関わるものすべてを守ろうとする男と正義感等のものは全く持ち合わせておらず、あくまで感情のままに、信じたもののために戦うゼロの名を持った天使とのコンビの出会いだった。

 

 

 

 

説明
第01話 出会い
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タグ
再構築 ヒイロ・ユイ ガンダムW インフィニット・ストラトス 

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