IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・ |
「エクシア、目標を駆逐する!」
そういえば俺っていままで、
技能 会長>俺
機体性能 会長>俺
で戦ってたんだよな……あそこまでガンバった俺に拍手だな。
いや、かなり手加減されてたけども。
「はあぁぁぁっ!」
さっきまでの0ガンダムとは世代の違いを見せてやるよ!
体感で分かってるが、見える景色の流れるスピードが明らかに違う。
そのまま会長向けてさらに加速。
はっ、驚いてるな。ただ外見が変わっただけじゃない!
GNソードの刀身を展開。
ランスのガトリングを避けながら、ソードの範囲内に入って、機体を一度左に振ってから右に振りつつソードを振る。
加速と機体重量を乗せた一撃だ。スピードも十分。
ガギィッ!!
重い音を立てて会長はランスでソードを防いだ。
これなら、押し切れる!
「うおおおっ!! ――でもって、おまけっ!」
押し切りながら、右腰からGNショートブレイドを抜き放ち、会長の機体の非固定部位《アンロック・ユニット》である右側のアクア・クリスタルに突き立てる。
水のヴェールで守られていたが、それはGNフィールドのようなもの。実体剣のショートブレイドなら!
思惑通り、水のヴェールを突き破りショートブレイドはアクア・クリスタルに突き刺さる。
引き抜くことはせず、アクア・クリスタルが爆散する前に、ランスを押し切って距離を取った。
そのすぐ後にショートブレイドが突き刺さったアクア・クリスタルは爆散、ショートブレイドは地面に落下して突き刺さる。
「どうです?」
「っ……ふふ、やるわね。おねーさん、そろそろ本気になろうかしら?」
「やっぱり手加減されてましたか……来てください。俺はあなたの全力と戦いたい」
「それなら、行くわよ?」
茶化したような言い方だが、接近してきている会長の機体の動きは今までと違う。
全体的に速く、鋭くなっている。
「望むところ!!」
GNロングブレイドを左手で左腰から抜く。
そしてソードをライフルモードにして会長向けて撃つ。
さっきまではもう『少しで当たるかも』という感じだったが、いまは『当たらない』までになってしまっていた。
慣れてないから当たらねぇ!
その間に接近してきた会長は、ランスでの突きを連発してくる。
左手のロングブレイドでいなしてはいるが、いかんせん技量が違う。
何度も何度もギリギリに迫ってきて俺のS・Eを削っていく。
ソードをソードモードに戻して突きをはなっても、残った左側の水のヴェールでその矛先をずらされて決定打にはならない。
――ティエリア、何とかできないか!?
――やれやれ、今回やっと登場か。
――あ? なんか言ったか?
――別に何も。コレはなんとも出来ないな、君の技量次第だ。
ちっ、これ以上機体には頼れない!
そんな間にも、
「ちょっ、激しすぎますよ!」
「あはっ、どうしたの?」
「このっ!」
会長のランスでの猛攻。
マジで本気だろ、コレは!
それなら、と振り下ろした右のソードを振り上げて――
ガキッ!
会長の左手にはいつ展開したのか、蛇腹剣《ラスティー・ネイル》が。
それでソードは押さえられた。
左手だけで何とかするしかねぇか!
――ティエリア、オーバーブーストいけるか?
――それならトランザムの方が良いと思うが?
――それは危ないだろ? いまはオーバーブーストでいい。
――了解、いつでもいける。合図を。
――オーライ。
「なら、これで! オーバーブースト!」
『GNドライヴ、セーフティーアンロック。オーバーブーストモード』
背中にあるコーン状スラスター周りの3つのツメのようなロックが解除され、GNドライヴの出力が最大まで上がる。
それに同調するように胸の円形クリスタルも強く輝きだした。
トランザムは出力が大幅上昇する関係上、威力も大幅に上がって……絶対防御を貫通させる威力になる可能性がある。だから使えない。
「おおおぉぉっ!」
ジジジジィィ――!
「!? そんなっ!」
会長の初驚き声ゲット。
理由は右の蛇腹剣にソードが食い込み始めたこと。
俺はオーバーブーストで上昇した出力の多くをソードに回して、刀身に纏わせるGN粒子の量を増大させ、切れ味を一気に上げて蛇腹剣を切った。
そのまま押さえの無くなったソードを振り上げる。
会長は下がって回避しようとしてるが、
がしっ。
「これなら逃がさない!」
意識が蛇腹剣のほうに向いた隙にロングブレイドを手放し、会長の右腕を掴んで下がらせない。
俺の蛇腹剣を切り裂いて振り上げたソードは、会長の左脇腹の装甲を捕えて一部を破砕させた。
でも正直、このオーバーブーストで上昇した出力の大半を回したソードの威力は剣を切るほどだ。高すぎる。
そのためらいで絶対防御を多量に使わせるチャンスを無くした……傷つけるよりかは良いんだが。
「きゃあっ!」
手首だけでランスを向けられたので、手を放して一度距離を取る。
「以外とカワイイ声出すんですね」
「……お、おねーさんをからかっちゃだめでしょ。それに、今のでやろうと思えばあなたは勝てたはず」
「一応は本心ですけどね……そうだったんですか? でもまあ、俺はそろそろS・Eが限界」
一応ごまかしの言葉を言っておく。一応はごまかされてくれるだろう。
「そういうことにしておくわ…こっちもさっきので限界ね。次の一撃で終わるわよ」
あちらは分からないが、先ほどの攻防でこっちのS・Eはすでに一〇〇を下回ってしまっている。
「なら、これで決めましょう」
「いいわよ。私もそう思ってたし」
ソードの剣先を会長に向ける。
会長もランスをこちらに向けて構える。
一瞬の間――
同時に最大加速で動き出す。
GNドライヴの出力の多くをソードに集中させて、加速していく。
ギャギャギャッ!
ソードとランスとが点でぶつかり合い、互いの切っ先を逸らした。
俺のソードは会長の先ほど装甲を壊した左わき腹に。
会長のランスは俺の右わき腹へ。
ズザッ!―――
『そこまで! 模擬戦終了!! 結果は―――
―――引き分けだ』
結果告げる織斑先生の声。
俺は視界の隅のシールドエネルギー残量を確認する。
――S・E残量0―――
あーあ……ははっ、なんとか機体性能で同等まで持ち込めたか……。
俺と会長は抱き合うような格好で静止したままだ。
自分の腹を見てみると、そこにあるランスの穂先は欠けていた。
さっきの衝突で、威力が勝る俺のソードがやったんだろう。
……それでギリギリ、リーチが減少して引き分けたと思うが。
「あーらら、引き分けちゃった」
会長は俺から離れながらそう言う。
俺は頭の装甲を解除しながら応えた。
「ですね。勝ちたかったですけど」
「そう簡単にこの座は譲れないわよ? 次やるときは、最初から全力で行かせてもらうからね」
「マジですか……」
というか会長、あれでまだ抑えてた感じがするし。
トランザムを使うことも考えておかないと負けるかもな。
「さて、これでお終い。早く降りましょう」
「あ、はい。了解です」
地面に足を付いたのと同時に、マイスターズを解除する。
汗が滲んだ体に、風が心地いい。
「拓神くん」
「はい?」
会長のほうを向くと、俺にむけて手を差し出していた。
「握手。久々に面白い戦いができたわ」
「いえ、俺はまだ機体に頼ってますから」
そう言いながら、おれは会長と握手する。
力をもらってまだ二日目。いくら高い身体のスペックとISの才能をもらっていても、慣れるには時間がなさすぎだったな。
「でも……また、戦ってもらえますか?」
「もちろん。次は勝つわ」
「それはこっちの台詞です」
握手したまま、お互いに顔を見合わせて――笑った。
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第5話『決着』 | ||
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