魔法少女リリカルなのは 〜とある兄妹の転生物語〜 一章 闇の書編 #01
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「えっと……………ここか(゜_゜)」

 

風芽丘図書館。A`sでの重要人物である“八神はやて”が通っている図書館で、他の二次創作(自分が読んできた中)で彼女に出会える場所ナンバー1の場所である

 

「はぁ〜………どんな子なんだろう………原作通りなのかなぁ? まさか、全然違ってたりして………それが一番困るなぁ(;一_一)」

 

まぁ、会ってみなけりゃ分からない!! という事で、いざ突撃〜!!!

 

 

 

 

 

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さて、中に入ったは良いけど……………

 

「(どこにいるんだろう……………)」

 

周りの目を気にしつつ、車いすの少女を探しているのだが………なかなかいない。しかも、図書館の中は意外と広く、さがすだけでも一苦労しそうなほどだった(ていうか、結構大きな図書館だね、ここ)………人に聞こうにも、それでは後々面倒が起ると判断し(さらには、何かしら事件を起こすと、お兄ちゃんから何言われるか分かんないし………(;一 一))、自力で探してます

 

「(本当に広いなぁ、ここの図書館。さすが、はやてちゃんが通っているだけはあるってことかな………って、いた?)」

 

車いすに乗っている少女………茶色の髪をショートにし、黄色い髪留めをしている九歳の女の子………そう。自分が何度か映像の中でのみ見てきた少女、闇の書の主、“八神はやて”が、自分の知る印象そのまま、変わらずそこにいた。その彼女は、ある本棚の上を凝視しており、必死に手を伸ばしていた

 

「(うっは、FFやらSSと同じ展開! よっし!!)」

 

威を決し、念願の少女方へと近付いた。これが、この物語の始まりを告げる、最初の一歩だった

 

 

 

 

 

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所変わり、フェイト・テスタロッサが使っていた(今はあの兄妹が使っている)マンションの一室……………

 

「……………暇だ」

 

転生者の兄(姉、になってしまったが……………)は、何もすることがなかった

 

「(ゲームでもやろうと思ったが、正直こっちにはどんなタイトルがあるのか分からないし……………)」

 

転生前は、操作性の強いアクションや、ダンジョンやマップを攻略するロールプレイングなどを中心にやってきたが………こっちの世界にはどんなゲームがあるのか分からない。故にゲームをしようにも興味が無いようなモノばかりなのでやる気は無い。というより、探す気すら起きないのだ

 

だからといって、寝て過ごす、というのは、さすがに気分的に苦しい。何か、気晴らしさえできればいいのだが………それが思いつかないのである

 

「……………さって、本気でどうやって過ごそうかな……………」

 

おそらく、だが………俺も、妹の言う介入という事に付き合う事になりそうだ。なぜか、そのような予感がする………まさか、これが俗に言う“女の勘”という奴だったら、俺はもう女になってしまったのだと感じる………あぁ、もうマジで勘弁してくれ

 

「まぁ、やること無なさそうだし、丁度いいか。っていうか、アニメのキャラを間近で見られるって、よく考えたら凄いよな………まぁ、興味無いけど」

 

そう呟いた。しかし、それが始まるのは半年後。それまで一体何をしていればいいのか………働くのもいいが、金はいくらでも作れるので働いた所で無意味だし、何よりめんどくさい

 

「……………確か、この能力がちゃんと使えるのか、確認してなかったな……………」

 

これらの能力は、今までに何回か日常的に使った(ほとんどが犯罪紛いだ)が、どこまで出来るのか見当がつかない。なら、検証してみなければならない

 

「もうファンタジーに慣れちまったな、はぁ………ま、いっか……………」

 

もうどうにでもなれといった、諦めに近い何かを感じて、このマンションの屋上へと向かってみることにした………おそらく、そこなら誰にも感づかれずに色々出来そうだなとおもったからだ

 

 

 

 

 

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その頃、転生者の妹は……………

 

「へぇ〜、それほんまなん?」

「ほんまほんま♪ それでねぇ〜……………」

 

計画通り、“闇の書の主、八神はやて”と接触し………なんと、いきなり家に上がりこんでいた。無論、この妹が無理やり押しかけたのではなく、彼女が本を取ってくれたお礼にお茶をいご馳走したいと言ってきたので、(内心は喜んで)躊躇いつつも、お呼ばれされた。という事らしい

 

「(原作通りの、優しくて、かわゆくて、人見知りしないイイ子だなぁ〜(^−^)やばい、鼻血が………(*_*))」

「ん? どないしたんですか? “ビビ”さん」

 

まさしく想像、いや想像以上の可愛いさに、変態女子たる妹のご機嫌は上々だった。因みに、“ビビ”とは彼女が名乗った名前である

 

「ん? なんでもないよ〜♪」

 

可愛い子の何気ない一言が、今の彼女には最高の美酒の如きモノだった。故に、上機嫌な満面の笑顔を少女の方へと向ける

 

しかしその笑顔は、“同姓に対してのみ”、ある効果を引き出すのだった……………

 

「///////」

「(おお!!?(*>_<*))」

 

はやての頬が紅潮し、それを見たビビは確信の笑みを浮かべた

 

これこそ、彼女の歪みに歪みきった願望を叶える悪魔の能力………“魅了の笑み”。その笑みを見た相手は、その笑みを浮かべた相手に一目惚れしてしまうという呪いを与える能力だ。しかし、“同姓限定”の能力である

 

「(これで我が念願の“百合ハーレム”への道を開いた!! 後は、なのはちゃんにフェイトちゃん………そして、アリサちゃんにすずかちゃんも………グッフッフッフ(///>人<///))」

 

まるでオヤジのような変態であった。そんな変態女子を無視して、はやてはというと……………

 

「(はぅわぁ………い、今の笑った顔、か、可愛い………あかん、なんや胸が、ドキドキしてきてもうた………あ、あかん、女の子同士で、そないなの、あかんてぇ〜……………/////

)」

 

どっぷりと悪魔の誘惑にハマっていたのである………コレが、後々に自分の命運を決めてしまう事態になるとは、この時はまだ、まったくもって全然予想していなかったはやてであった……………

 

「あ、そだそだ。忘れてたっと♪」

[ガサガサッ]

「?」

 

そういいながら、彼女は持ってきたカバンの中から何かを取り出した。それは、一枚の手紙。しかも、その差出人は……………

 

「あ、“グレアムおじさん”からの………あれ? なんでおじさんの手紙をもっとるん?」

 

その刹那、身の毛が逆立つような感覚が、ビビを襲った

 

「(う……………やっぱ反応してきたか、クソ猫姉妹!!!)」

 

“グレアム”の名が出た途端、今まで警戒していただけの気配が一気に殺気に変わったので、原作知識と二次創作知識をフル動員させてこの気配が誰なのかを特定した

 

「(とりあえず、今は襲ってこないと思うかもだけど、一応、荷物を既にこっちに届けるように言っておいてよかった〜………戻ろうとしてたら確実に狙われるし(;一_一) 今暫くは、様子見だけしててくれれば良いんだけど……………)」

 

意外な冷静的分析を済ませ、次の行動に移すことにした

 

そして物語は、大きく歪み始める……………

 

 

 

 

 

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そしてその頃、兄の方は………なにやら、妙な女の子と出会っていた

 

「遅いわよ。まったく、男って皆揃いも揃って愚図で鈍間ばかり。少しはお兄様を見習ってほしいわね」

 

見知らぬ少女が立っていた。口ぶりからして、どうやら自分を待っていたようだ

 

「いきなり会って初めの台詞がそれか?」

 

自分の能力がどのようなモノか検証しに、誰もいないはずの屋上に上がったのはいいが………そこには先客がいて………

 

「さて………アンタ、私を知らないなんて言わせないわよ。説明するの面倒だから」

 

どうやら顔見知りのようだが………しかし、俺はこんな女のことなんて何も知らない………が、すぐに思い出した

 

「あぁ、あのクソ神にへ」

[ズガンッ!!!!]

 

ばり付いてた女の一人か、と続こうとした瞬間、俺の横に刀剣が突き刺さった

 

「……………お兄様に向かって、クソですって?」

 

どうやら、この女の子の逆鱗に触れたようで………果てしなく深い地獄をのような目が、俺を見ていた……………

 

「……………いや、何でもない」

 

命の危険性があったため、すぐさま訂正の言葉を贈った。こういう時は先に折れた方が楽なのだ

 

「ふん、今後は変な事を言わないことね。全く、手間をかけさせないで欲しいわ」

[シュンッ!!]

「ッ!?」

 

少女の言葉が終わると同時に、俺の横にあった刀剣が消え、少女の手元に戻っていた。どうやら、これも魔法だなと直感した………本当に便利だな、魔法

 

「いいこと? 一度しか言わないから、よく聞きなさい」

「あぁ? なんだよ」

「今から、アンタに色々と教えてあげるわ。“女としての仕草”を、ね」

 

…………………………は?

 

「あんな妹から学べるモノなんて何も無いわ。皆無よ。あんなのを女の手本にするなんて在ってはいけないわ」

「いや、ハナからあんなモンを見本になんかするつもりないし……………」

 

とりあえず反論してみた。が、返ってきたのは独り言のように聞こえる言葉だけだった

 

「まったくもぅ、いくら公平なくじ引きで決めたとはいえ、やっぱり嫌よこんなの。お兄様と過ごす時間が減ってくじゃない。くぅ〜、なんでこんな元ブ男現捻くれ女の面倒を見なきゃならないのよ………こういうのは“アサ”とか“メイリン”の仕事でしょう? それなのに、なんで私が……………」

 

なんかブツブツと訳の分からない事を言ってるが………彼女の周囲の空気が張り詰めていてヤバいと感じて、突っ込むのはやめようと思った

 

「まぁ、時間があったら、ついでに能力に関して教えて上げてもいいわ。私のお兄様との貴重な時間を割いているのだから、感謝しなさい」

 

……………なぁ、そんなに嫌なら別にやらなくても良いんじゃねぇのか? ってか、そんなのいらないし

 

「まぁまぁ、そういうわけにもいかんのでな………クックックッ」

 

ふと………いつぞやのように、背後から声が聞こえてきた………そう、あの時のように、人を食ったかのような、あのニヒル笑みを浮かべながら、他人を馬鹿にするかのような口調の声を……………

 

「……………クソ、神……………」

「やぁ、元気にしてるかい?」

[ブンッ!!!]

 

とりあえず、顔面に一発入れようと殴る事にしたが、上手く上体を逸らし回避された

 

「おいおい、神様に向かっていきなり殴りかかるたぁ、信仰心と言うモノが無いのかい?」

「しらばくれやがって……………」

 

とにかく、今はコイツに言いたい事がある

 

「俺をなんでこんな体にした!!!!」

「さぁ? ただ、気分でやった訳ではないから。ちゃんと意味がある行為として、やったまでだ………感謝しろよ、クックックッ」

[ブンッ!!!!]

「おっと」

 

コロスッ!!! このクソ野郎を殺してやるッ!!!

 

「おいおい、俺を攻撃するの別に構わんが………後ろに気をつけろ?」

 

はぁ? 後ろ?

 

[シュッ!!!]

「ッ!!!?」

「キサマ、お兄様に対して、なんて事をしているのかしら………?」

「っ……………」

 

自身の顔の真横に、なにか冷たい鉄の感触が当たった………どうやら、背後にいた女が、俺の首元に剣を置いているのだというのは分かった

 

「ま、長生きしたけりゃ、俺に逆らわん事だな………まぁ、逆らったところで、俺に叶うわけ無いしな」

 

……………あぁ、ウゼェ………コイツ、マジウザい

 

「それよりもお兄様!! なぜこの世界に降りて来なさったのです!!? このような下郎の相手、お兄様には無意味と想いますわ!!! 時間の無駄ですわ!」

 

勝手に他人の事を下郎なんて言うな、このガキが……………

 

「下郎で充分よ!! キサマなんか!!!」

 

って、なんかまた心を読まれた………もう、どうでもいいわ。勝手になんとでも呼べ

 

「なに、愛しき妻であり義妹でもあるお前を心配して、様子を見に来たのだ。アイツ等には、ちゃんと言ってきたからな。それに今日一日は、お前の可愛い姿を見ながら過ごそうと思って………まぁ、そういう理由だ」

「お、お兄様ぁ〜〜〜?//////」

 

何こいつら、ウザい。ウザ過ぎる………もう俺、帰りたいんだが……………

 

「さぁってと! さっき“ヤーヤ”が言った通り、お前に女としての仕草を覚えてもらおう!!」

「ふざけるな。帰る」

「なら、女の姿で男として過ごすのか? 変人に思われるぞ」

「じゃぁ元に、男に戻せ」

「嫌だね♪ 戻す気など、毛頭無いもんねぇ〜<(`^´)>」

 

クソッ………ウザいいい、ウザいぞコイツ………ッ!! 威張っていうようなセリフかそれはッ!!!

 

「ちなみに、性別を変換させる魔法や薬物を使っても男にならんようになってるから、何やっても無駄だ☆ZE」

 

……………一生女として生きろって言いてぇのか、アンタは

 

「そうだ。だから諦めろw」

「えぇ。お兄様の言うとおり、諦めなさい。キサマに選択しなどありませんわ」

「ま、神様に逆らおうとは、思わぬ事だな。クックックッ」

 

クソッ………いつかコイツの顔面を殴ってやる………!!!

 

「さ、グズグズしている暇はありませんわ。さっそく始めるわよ」

「……………はぁ」

 

盛大な溜息と共に、俺の完全女化計画が始められた……………

 

「……………さて、と♪」

 

その時、このクソ神がなんか誰かと話していたようだったが、俺は気にする余裕なんて無かった

 

 

 

 

 

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所変わり、八神はやての住居の屏の上………彼女の事を監視している猫………リーゼ姉妹がいる場所

 

「(これは、どういう事なの!? なぜあの小娘、お父様の名を!?)」

 

その猫………リーゼ姉妹のうちの一人、リーゼアリアは、困惑していた。いきなり現れた10才くらいの少女が自分達の父の名を出し、父から介護ヘルパーを頼まれてここに来ましたと言い放った少女の登場に、大いに混乱していた

 

「(まさか、“闇の書”を狙った組織の差し金?)」

 

そう答えたのは、リーゼ姉妹の一人、リーゼロッテ。彼女は、何の素性も分からない少女を、もしかしたら“闇の書”を狙う別組織の人間ではないのかと仮定し………早々に何か対策を立てるか、或いは強引にでも排除しようと思った

 

だが、その少女は一向に彼女から………はやてから、離れる様子が全くなかった。なので、排除しようという考えは除外し、結局対策を建てようと、したのである

 

「(……………暫くは、様子見かしら………お父様に報告しなければ!)」

 

そうしてリーゼ姉妹は、この未知の存在によって今後、想定外な事態に翻弄されていくのであった……………

 

 

 

 

 

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そして、場所は戻ってマンションの屋上………そこには、女の仕草に付いて色々と学び終えていたグレイが、地面に座りながら、教師を努めた女神を睨みつけていた

 

「……………ふむ、合格ね」

「はぁ、やっとか……………」

 

あれから十時間、ずっと女としての仕草を叩きこまされて………なんとか、全過程の合格を貰った(飯は神様が作ったと言っていたモノ(“たこ焼き”)が出た)

 

「飲み込みが早くて助かったわ。おかげで、明日もやる羽目にならずに済んでよかった」

 

と、そうは行っているが、俺の心境はかなり複雑だった………何しろ、つい最近まで男として暮らしていたのが、いきなり女として生きる羽目になった事に対して憤っている。だが、何故か女としての所作を覚えるのが、すんなりといった事に対し、呆れていた……………

 

「いやいや、君はなかなかな逸材だよ。まさかこんなに早く女姓として素晴らしい人になったのだからなぁ♪」

「……………誰の所為でこんな事をする羽目になったと思ってんだ………ッ!!」

「おー、コワいコワい。クックックック」

 

怒気を含んだ声で脅そうとしても、このクソ野郎はこういった反応しかしてこなかった。もう諦めてはいるが、やっぱりどうしても、コイツの言動は人の精神を逆撫でするので、どうしても腹が立ってしまう

 

「人間、諦めが肝心だっていうし、そうちょっかいださんほうがいいぞぉ? そうすりゃぁ、楽になるかもしれんしな。まぁ、楽にさせるつもりは全然無いけどな」

 

あぁ、だろうな………だから一刻も早く、俺の目の前から消えろ

 

「さて、素晴らしい教導だったぞ、ヤーヤ。帰ったらうんと可愛がってやるから、楽しみにしておけ」

「はい!!!」

 

元気に返事をしながら、恍惚な満面の笑みを浮かべている。なるほど、ベタ惚れしているようだった………よりにもよって、こんな性根が腐った男に心酔しているのは、俺でもどうかと思う

 

「さて、今日はお疲れだったな。そんなお前に御褒美を用意させたから、明日の朝を楽しみにするんだな。じゃねぇ♪」

「ありがたく受取りなさい………では、また」

[ッ……………]

「な………消えた?」

 

まるで霧のように、あの二人の姿が無くなった。そして、屋上には俺一人だけになった……………

 

「ったく、結局能力の確認なんて出来なかったし……………」

 

本来の目的が達成できなくて不機嫌だったが、まぁ今後の事を考えれば身になる事になったなと思いこむことにした。そうでもしないと、怒りのあまりに奇行に走りそうだったから……………

 

「さてと、もう遅いし、寝るか……………」

 

だが、この時はまだ気づいていなかった。今後、あの神やあの変態的な妹に、翻弄され続けるなどとは………つくづく、不遇な兄であった……………

 

 

 

 

 

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そうして、転生してから二度目の朝を迎えた

 

「……………ん、ふあぁ〜………あれ? 私、何時の間に寝たのかしら……………うっ」

 

起きてすぐに、自分がいった言葉の羅列に吐き気と嫌悪感を、感じてしまった

 

「(不味い、完全に女になりかけてしまっている……………)」

 

せめて一人でいるときは男でいたいと思い、顔を洗って気分を変えようと、直ぐにベッドから降りた

 

「はぁ。冷蔵庫の中、何か入ってたっけ?」

『生卵が四つ、キャベツが一玉、そして未開封のベーコンが一つ、あと、棚に厚めのトーストが四枚あります』

「なら、簡単にサンドイッチでも作るか……………」

 

そう言って、俺はキッチンに向かった……………

 

 

 

 

 

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そうして、簡単に卵を焼き、ベーコンを炒めて、野菜を適当な大きさにして、サンドイッチを作った。そして、それをいくつか口の中に放り込みながら、今日の予定を考え始めた

 

「さて………今日こそは、能力の検証をするか」

『それでしたら、良い場所がございます。食後の片付けの後に、物置部屋の方に参りましょう』

「あぁ、そうするわ」

 

……………ん? なんか引っかかるが、まだ寝ぼけて頭が回らんのか?………飯の前にシャワーでも浴びるか

 

 

 

 

 

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そして、シャワーを浴びた後………勝手に入り込んでいるクソ野郎に対して、一言声を飛ばした

 

「さて、説明してもらおうか? クソ神」

「おぉ、ずいぶんごゆっくりだったな。どうだ、ソイツの調子は」

 

そこには、勝手にリビングの椅子に座りながら、さっき俺が作ったサンドイッチの残りを食いながら、勝手にくつろいでいる、あのクソ神がいた………コイツ、マジで自分勝手な奴すぎるだろう

 

「にしても、中々美味いじゃないか。ま、俺の嫁たちが作る料理の方が断然美味いがな」

「んなもん聞いてねぇ。つかテメェ、俺になんて事をしたんだ………ッ!!!!」

 

それは、シャワーを浴びている最中に気付いた事だった……………

 

 

 

 

 

〜〜〜数分前〜〜〜

 

目を覚まそうと思ってシャワーを浴びている時、ふと右腕に妙なモノがあった………右腕の甲に、血のように赤い宝石のようなモノが“埋め込まれて”いた

 

「……………ナンダコレ?」

『目が覚めましたか? 主』

 

しかもその宝石は、光りながら明滅し、声を発した……………

 

「………………………………………」

 

絶句した。いきなり腕に変なモノが付いており、しかもそれが声を出していたんだから………誰でも言葉を失うはずだ。そんな気色の悪いものを取ろうと、引っ張ってみたが……………

 

「なんで取れんの?」

 

それは腕の甲にしっかりと喰い込まれており、引き剥がす事が出来なかった。無理に取ろうとすると痛みが走り、どうしようも出来なかった

 

『私を引き剥がそうとなさっているのだと思いますが………申し訳ありません。主と私は神経や血管の一部が繋がっており、それらが脳に直結している為、無理に引き剥がしたら脳死してしまう可能性があります』

 

なんだそれは? 余計に訳の分からない説明に、いまいち理解がいかなかった

 

『ちなみに、私のデータと、こうなってしまった経緯を含め、主の脳に直接送りいたします』

 

そう言った直後、急な目眩と吐き気、頭痛が起きた。しかし、それは直ぐに止んだ。その後には、コイツの事と、なんでコイツが俺の腕に嵌まっているのかが直ぐに分かった……………

 

「あんのクソ神ィィィィィィィィィィッ!!!!!!」

 

そして真っ先に、アイツに対して叫んだ

 

 

〜〜〜回想終了〜〜〜

 

 

 

 

 

「なんでこんな事しやがった!!! ちゃんとした理由言わねぇとブッ飛ばすぞ!!!」

「まぁまぁ、落ち着きたまえ。というか、怒ってばっかだなお前。カルシウムちゃんと取ってるか?」

 

誰の所為だ誰の………!!!!

 

「まぁ、それは俺からのプレゼントだよ。なにしろ、この世界には“デバイス”という魔法を使う際の端末があってな。それがなかなか便利なんだよ♪ 通信から魔法を使う際の制御など、あと、人工知能が組み込んであるから、スケジュール管理やら、なにやらと………ケータイ電話なんかよりもメチャメチャ高機能な代物なんだぜ。今後の事に色々と役に立つから、まぁ貰って損は無いぞ」

 

……………なんだそれ? デバイス? 魔法を使う際の端末? また訳の分からない事が………ってあれ? なんでだろう? コイツのいっていることが理解出来る

 

「まぁ、色々使える設定は入れておいたから。じゃ、バイバ〜イw」

[フッ……………]

 

またも、風が吹いたかのように、彼の姿が消えた………本当に、嵐のごとく現れて去っていった

 

「神様は何でもアリってか? ったく、だったら俺を男に戻して欲しいわ……………」

 

だが、そう言ったところで、アイツが聞く訳がない。なので、もう諦めるしか無かった

 

「……………おい」

『何でしょうか、主』

「シャワー浴びた後、何するって言ってたっけ?」

『朝食の続き………ですが、もう無くなってしまったので、片付けをしたほうが良いかと思います』

 

なら、さっさと終わらすか

 

 

 

 

 

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海鳴大学病院

 

 

さてさて、お姉様がなんか振りまわされているような気がするけどそんなの知らないぜ!! 的な勢いで、私は今、はやてちゃんと病院にいます、そう、あの海鳴大学病院です!! この街、意外と大きいんだね……………

 

とりあえず、はやてちゃんの主治医である石田先生との信頼関係を築こうと思い、はやてちゃんに付いてきました。まぁ、介護ヘルパー名乗ってるしね。それにこの方が、後々の事が起きたときに、色々と動きやすいと思うし(^_^)

 

「そんじゃ、ちょっと先生とお話するから、先に廊下の方で待っててね♪」

「はいはーい♪……………」

 

声は明るかったけど、どこか渋々とした表情で出ていくはやてちゃん………クッ、早く戻らねば!! はやてちゃんが淋しがって死んでしまう!!!

 

「私兎ちゃうわ!!」と、はやてちゃんのツッコミが飛びそうな気がしたのは、気のせいだと思う

 

「あの、ビビさん?」

「あ、ごめんなさい。それで、お話というのは?」

 

まぁ、予想は出来てるけどね……………

 

「えと、はやてちゃんの親戚の、グレアムおじさんの使いで来た方、ですよね」

「はい」

「それなら、はやてちゃんの容体の事は……………」

「……………はい、グレアム様から、お伺いしております」

 

一応、グレアムの使いできたヘルパーってことになってるから、不本意だけど、様付けして応える事にした………身の毛がよだつほど、気分が悪くなりそう

 

「ごめんなさい。今の医療技術では、あの子の足は治らないのです………精神的なモノだと、私は判断しています。その線が、最も高いと診断しています」

「私も、そう思います」

 

本当は、闇の書によるリンカ―コアの浸食だけどね………その辺の事情も知っているからこそ、言える嘘もあるし

 

「出来る事なら、はやてちゃんと」

「分かっております。あの子の事は、任せてください」

「では、よろしくお願いします」

「はい」

 

そう言って主治医の石田先生に軽くお辞儀をして、部屋の外で待っているはやてちゃんと一緒に帰りました。そして、帰る道中……………

 

「さてさて、はやてちゃん、今日のお昼ご飯は何にしよっか♪」

「せやなぁ………ちょっとあつなってきたから、うんと冷やしたざるそばがええかな」

「お、いいねぇ! じゃぁ、スーパーに寄って行こ♪」

「うん♪」

 

くぅ………かわゆい………(*>_<*) さぁ、この調子ではやてちゃんとの仲を深め、そして、そして………グッフッフッフッフッ!!!

 

と、あらぬ妄想を抱く、変態な妹であった……………

 

 

 

 

 

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ある兄妹(いまや、兄のみだが)が使っているマンションの一室

 

「……………なんで、物置部屋になんでこんなファンタジーなモノがあるんだ?」

 

物置部屋(にする予定だった部屋)に行ってみれば、なにやら変な機械が置いてあった

 

『時空転送装置です。この転送装置は、時空管理局が管理、観測、または発見している世界以外の世界へも行く事が出来ます。更には、この転移装置での移動は、現在管理局が使用している探知魔法、並びに索敵魔法に感知されない仕組みになっております』

 

……………まぁ、便利な移動手段ってわけか。それくらいの認識で充分だな

 

『この装置を使い、管理局が観測しきれない世界に参りましょう。そうすれば、例え大規模魔法を起こしても、管理局に見つからずに済みます。ですが、節度は守ってください』

 

つまり、有る程度はやりたい放題出来る世界に行けるって訳か

 

『ちなみに、ある程度戦闘出来るような世界もありますが、いかがなさいますか?』

 

戦闘、かぁ………確かに、後の事を考えれば、ある程度戦闘経験を積んだ方がいいのかもしれない。この世界では、どうも戦闘行為があるみたいだし………それも、かなり過激なものだし………それなら、そこに行くのがいいのかもしれない

 

「なら、そこで頼む」

『了解しました。それでは、転送ゲート、オープン』

[ヴォォォォォォン……………!]

 

なにやら、機械の駆動音が聞こえたと思ったら、機械の中心が光りだし、薄暗い部屋が明るく照らされた

 

『その光に入ってください。そうすれば、異世界に瞬時に転送します』

 

……………まるでSFだな、こりゃ……………

 

「うし、じゃ行くか」

 

そんな、軽い気持ちで入った………それが、間違いだった……………

 

 

 

 

 

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未確認世界

 

 

そうして、光の中に入った直後、目の前に広がったのは………青空だった

 

「さて、他の異世界とは、一体どんな世界なん………あぁ?」

 

……………なんか、浮いてね? 俺………つか、落下してないかッ!!!?

 

「なんで空中に放り出されるんだよッ!!?」

『申し訳ありません。座標設定に不具合が生じたようです』

「ッ、しっかりしろよ………っていうか、このままだと落下して体がバラバラになるぞッ!!!?」

『ならば、飛行魔法の使用を提案します』

「は? 飛行魔法?」

『はい。全身に魔力を流し込み、空間に自分を固定するようなイメージを持っていただければ、簡単に飛べます。姿勢制御や、重力干渉については、私が行います。なので、主には先ほど言ったイメージを強く思い浮かべてください』

 

全身に魔力を流し込んで、空間に固定するような感じ………? 魔力って、精神力みたいなもんか? わけがわからんが………まぁ、なんとなく、そんなイメージを強く抱いてみた

 

[ふわッ……………]

 

すると、落下が止まり、その場で体が浮かんだ………なんか、凄いな

 

『お見事です、主』

 

見事、と言われても、なんか漠然としか分からんのだが………しかし、なんだ、そらに浮かぶっていうの、なんかあまり気持ちのいいもんじゃないな。なんというか、落ち着かない……………

 

「まぁ、別にいいか。じゃぁ、どっかその辺に降りt「ギャオォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」……………は?」

 

………………………何? 今の………?

 

『ドラゴンです。あの種は低くめのEランク程度ですが、火炎放射が使える種ですので、注意してください』

 

いや、そんなの聞いてないし。っていうか、俺が聴きたいのは………なんであんなのがいるんだ………?

 

『ちなみに、この世界には、ありとあらゆる神獣、魔獣、霊獣、聖獣、幻獣、妖獣、果てには魔人、獣人、架空の怪物といったモンスター達が住む世界です。簡単に言えば、“幻想種の住まう世界”。今後は“幻世”と呼称することを提案します』

「……………なんでそんな世界に連れてきた?」

『戦闘経験を積むには、モンスターなどと戦えば良いと判断しました。ちなみに、うじゃうじゃいますので、注意してください。油断していれば、すぐに襲い掛かってくる事もあります』

 

……………なんだそれは………まぁ、相手がいるのは、良い事かもしれんな………よくは分からんが

 

「まぁ、ゲームみたいに、まずは経験値を積めってことか」

『ですが、ステータスマックス状態に、初期から最強装備といった状態からですが』

「そんなら、楽できそうだな………その前に、どんなことができるのかを知っておきたいんだがな……………」

 

戦うにも、最強でも無手でやるのは自殺行為だ。まずは、武器を使っての戦いに慣れないとな………ってか、武器は?

 

『思い描いてください。あなたの特殊技能、“兵装錬成”は、あなたのイメージした武装を瞬時に作り出す能力でありますので』

 

そういや、そうだったな。あの妹にしちゃぁ、随分とおかしいモンを考えたもんだな。さて、イメージ、か……………

 

「イメージしたモノを作り出す、か………それじゃぁ、こんなのとかも出来るのか?」

 

なんとなく、自分の頭の中にある武器というモノを思い出しながら、それを今の自分が持っている、というイメージしてみた。すると……………

 

[ジャキンッ!!]

「あ、出来た」

 

突如光が手にあふれたと思ったら、イメージ通りの武器が現れていた。その手に現れたのは、モンスターハンターというゲームをやっていた頃に俺がよく使っていた武器………龍属性の太刀“龍刀【劫火】”という名の刀だった

 

「マジでそのものだな………まさか、能力も同じなのか?」

『そうですね………この太刀は、龍の因子を持つモノ全てに絶大な切れ味を発揮する龍殺しの刀です。主が知っている通りの力と切れ味を持っています』

 

本当に、イメージしたものが現実になるみたいだった。なんか、ますますファンタジーっぽい事になってんな………ん? 待てよ……………

 

「なら、こんな事も出来るのか?」

 

出現した龍刀【劫火】を左手に持ち替え、またも俺は右腕を突きだし、イメージする……………

 

[ジャキンッ!!]

「やっぱり」

 

次に出したのは、さっきのと同じゲームの中に出てくる片手剣という武器の一つである、“独龍剣【藍鬼】”。確か、さっきの龍刀【劫火】を作った時に、余ったアイテムを使ってたら作れた記憶がある。付いてくる盾は左腕に既に装備されている

 

『お見事です、主。すでにその力を使いこなせましたか』

「いや、まだよくわかってないところが多い。それに、これらがホントに使えるのか試さねェと、使いこなしたとは言い切れんだろう」

 

……………しかし、なぜかえらく自分が饒舌に色々と話している気がする………いったいなぜだろう?

 

「ギャオォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」

「ッ、さっきの奴か」

 

思考にふけっていたら、あの時聞こえた耳障りな鳴き声………ドラゴン、だっけか? おそらく、さっきの奴の鳴き声が聞こえてきた………しかも、なんか近づいてきてる感じがする

 

「ちょうどいいや、試しにそのドラゴンってのを殺してみるか」

 

先ほど出現させた太刀を背中に刺し、すぐさま鞘から抜き放った。そして、右手に太刀を持ち、片手剣は左手に持ち、太刀と片手剣の二刀流という体制になった

 

『戦闘サポートを行いますが、いかがなさいますか?』

「あぁ………頼む。戦闘とか、よくわからんからな」

『はい、戦闘モードに切り替えます。“アクティベイトコンバットモード”、作動』

 

コイツが埋め込まれている右腕に、力がみなぎる。それと連動して、体中に力が入る

 

『身体強化、完了。ブレインリンクシステム、正常。全システム、オールグリーン………行けます』

「あぁ………さて、いっちょやるか」

 

そして俺は、こっちに向かっているドラゴンに向かって、突撃していった

 

 

 

 

 

-6ページ-

 

 

 

 

 

それから、転生というのをしてから、一週間が過ぎた……………

 

《というわけだから、介入する時にちゃんと話をさっき言った通りに合わせてねぇ〜。じゃ(^^ゞ》

 

ふざけんなあのクソ妹が……………

 

あれからというもの、俺とあの妹は、こうした念話で連絡を取り合う事にした。因みに、言ってきたのはあっちの方だ。しかし、それだけならいいのだが………アイツがうるさいくらいに、色々と仕切り始めやがった。その内容はというと……………

 

・俺の事はアイツの姉だと紹介した事

・アイツは自分の事を“ビビ・スティン”と名乗ったから、それに合わせた名前を考えておく事………つまり、スティンという姓でなんか考えておいてくれという事だ

・未だに猫姉妹からのちょっかいが無いから、一応俺も警戒しておいてとの事

 

以上、この三点。これを命令された………なんであいつが俺に対して命令してくるのかが気に食わないのだが、暇を持て余している為にいう事を聞くことにしたのだ

 

『しかし、どうなさいますか? 名前』

 

そうだな………確かに、後に人前に出るんだから、名前を名乗らなければならん。しかし、あっちが勝手に変な名前を名乗ったせいで、それに合わせなければならなくなった………ったく、面倒を造りやがって……………

 

「……………適当に“グレイ”、“グレイ・スティン”でいいか。男っぽいが、まぁいいだろう」

 

半ば投げやり気味に考えた名前だが………まぁ、語呂がいいと感じるので、これにすることにした

 

「……………そういや。お前、名前はなんていうんだ?」

 

今まで一度も気にしていなかったが、そういやこの………デバイス、だっけ? それの名前を聞いてなかったことに気付いた。確か、記憶が正しければ、このデバイスってのには、個別の名称があったような気がする

 

『いえ、私には名前なんてありません』

「あぁ? 名前が無いのか」

『はい。私は、開発コード、intelligent device, type 9612753807-R241という名称がございます。ですが、いかなる名称で呼んでいただけても構いません』

 

なんだ? そのやけになげぇ名称………しかし、そんなのじゃ面倒だしなぁ。なんか、言いやすい名前を考えてやるか

 

「……………しかし、何が良いだろうか……………?」

 

さっきのは自分に関する事だから、適当にしたが、他の奴の事となると、少し真剣になって考えてみるか………だが、いいのがあまり浮かばない………………いや、待てよ。そういやぁ、前に暇つぶしで読んだ本の中に、なんかあった気が………それにするか

 

「なら………“タマモノマエ”、なんてどうだ?」

 

あの時読んだ本………確か、日本の逸話とかを集めた本で、そんなのがあった。日本三大悪妖怪の一人、“玉藻御前”。平安時代末期に鳥羽上皇に仕えた架空の絶世の美女。“白面金毛九尾の狐”が化けた女性で、天下一の美女であり、国一番の賢女だと言われていた女性の名である………らしい。インテリジェントデバイスってんなら、賢いんだろうし、コイツは女の声で話してくるから、なんかこれがしっくりくる気がする

 

『“タマモノマエ”………かしこまりました、それを、固有名称として登録しておきます』

 

……………なんか、機械的だな………いや、機械だったか。つい自分の手から声が出てるもんだから、なんか機械とは思えないんだよなぁ………こうやって質疑応答がしっかりと出来ているんだし……………

 

『主、そろそろ時間です』

「ん、そっか。ありがと」

 

そういえば、昼飯を造っている途中だったのを忘れていた。さて、鍋の中に入れてあるものは、できてるはず……………

 

[グツグツグツグツッ……………]

「………良い感じだな」

 

えっと………確か、今日のメニューは……………

 

・キュクロプスと呼ばれる一つ目の魔人の目玉を煮て出汁をとったモノに、幻世で採ってきた大根や白菜みたいな野菜と昆布みたいな海草、ヤタガラスという怪鳥の肉をブチ込んだ味噌汁(味噌は市販のモノ)

・(昨日の夕食の残りだが)ミノタウロスの肉を挽いたハンバーグ

・竜種の舌をスライスして、肉食植物(大きなラフレシアに牙みたいなのが付いた)の花弁を焼いてスモーク状にしたスモークベーコン

・金色に光る牛の乳を絞り取った牛乳で作ったチーズ

・そしてただの白いご飯(ただし、前述のキュクロプスと呼ばれる一つ目の魔人の目玉を煮てとった出汁で炊いた)

 

「(昼間っからなんか豪華だな………ま、材料費が浮くから別にいいがな。それに、腹も結構減ってるし……………)」

 

素材は幻世で採って来るモノで、こっちで買うのは精々米や麺、パンなどの主食の材料に、調味料だけである。それ以外はすべて幻世の生物を捕獲、狩猟して採って来るのである

 

……………そう、あんな場所に行かなければ、こんな訳の分からないモノを食す事は無かっただろうが………あの時から、あの場所からとってきたモノしか、食べる気がしなくなってしまったのである……………

 

 

 

 

 

〜〜〜四日前〜〜〜

 

 

幻世で能力の検証(という名のモンスター虐殺)を行っている最中、突如としてそれは起きた

 

[グゥ]

「……………腹減ったな」

 

いきなり、腹の音が鳴った。色々動いてたから、腹が減ってしまったのだろう。しかし、今日行おうとしていた検証分の事が終わっておらず、もう少し続けていたいと思っていたが………さすがに腹が減っている中で行う事も無いと思い、一度戻ろうとした………そしたら

 

『それでしたら、そちらのモンスターの残骸を食べたらどうです?』

 

と、このデバイスが突如こんなことを言いだしたのだ。その言葉に一瞬、何を言ってるんだコイツは、と思った

 

『これらのモンスターには、毒物が検出されていません。なので、問題無く食べられます』

「いや、そういう問題じゃないんだが……………」

『家に戻っても、冷蔵庫の中、及び棚の中には何もありませんが』

 

そういや、今日買いに行こうとしたんだったな。すっかり忘れてた。つか、モンスターを食うって……………

 

『塩とコショウを、異空間内に収納して持ってきておりますので、魔法で焼いて食すのが良いかと思います』

 

用意周到だな、おい。始めからこうなる事を予想してやがったな、コイツ

 

「まぁしょうがない。なんか抵抗あるが、まぁ手ごろで良いかもな」

 

んで、近くにいたデカいモンスター(蛇というか、トカゲっぽいモンスター)から肉を剥ぎ取り、能力で細い鉄の棒を造ってそれにブッ刺し、塩コショウを撒いて火炎魔法を使ってその肉を焼いていった

 

うん、見事に焼けた巨大な肉が出来た。もう少し小さくしてもよかったかもな

 

「さて、それじゃ頂くか」

 

そうして、その焼いた巨大肉を齧るように食った

 

「……………あ。美味いな、これ」

 

ただの塩コショウで焼いただけだが、かなり美味だった。噛んだ瞬間直ぐに噛み切れてしまい、口の中ですっと溶けるように無くなって行った。そこらの高級焼き肉屋の肉なんかよりもずっと美味かった……………

 

それから、色々とこの世界を歩き回り、食えるモノを探していった(ちょうどいい暇つぶしだと思ったから行っていた)。そうしていくうちに、俺の食事の基本材料は、幻世から調達してくるようになっていた

 

今もなお、冷蔵庫の中には幻世で採ってきた肉や野菜が、ぎっしりと詰まっている

 

 

〜〜〜回想終了〜〜〜

 

 

 

 

 

「しかし、ちょっときつい様な気がするな……………」

『何がですか? どこか、味の問題でもありましたか?』

「いや、飯についてじゃねぇ………俺の能力についてだ。今まで色々とやってきて思ったが………正直おかしいと思うほど、なんかすごい力を持っているみたいだからな」

『えぇ、主に与えられた力は、相当なモノです。おそらく、この世界の基準でいえば、最上位………いいえ、世界の頂点にも達せられるほどの力を持っています』

「だろうな。で、その力を、お前だけで制御するといっても、無理が出るはずだろう?」

 

まぁ、つまりだ。コイツはあのクソ神が造ったデバイスで、おそらくそこらの………主人公が持っているデバイス………“レイジング・ハート”っつう名前だったな。それなんかよりも、断然高スペックと考えてもおかしくない。だがしかし、コイツだけでも、事足りないと感じ始めてきた

 

いくらハイスペックマシンだとしても、限界はあるだろうし……………

 

『私以外にも、他にデバイスを持っていた方がよい、と?』

「あぁ、そんなところだ。あと、あのクソ妹の分もなんとかしねぇとな………こんなもん持ってることを知られると、なんかうるさそうだし………そんなん言われる前に、なんかしとけばいいだろう……………」

『なるほど』

 

となると、デバイスとやらの基礎知識が要るな………

 

「おい、デバイスに関する情報を提示してくれ」

『……………』

 

? なんだ? 急に黙りやがった………故障か?

 

『申し訳ございません。デバイスに関する情報は、登録されておりません』

「は?」

『私に登録されている情報は、貴方の身体データと、貴方に関する情報、生活でのサポート。そして、あの転送装置の制御プログラムと、戦闘サポートプログラムなどがメインで、他には色々とありますが、デバイスに関してのデータは、残念ながらインプットされておりません』

 

あのクソ神め………色々積め込んであるからって言っておきながら、抜けてんじゃねぇかよ……………

 

『どうなさいますか?』

「こうなったら、情報を仕入れるしかないだろう? どこに行けばある」

『時空管理局のデータバンクに………一番情報量が多いのは、“無限書庫”と呼ばれるデータベースです。ですが、デバイスに関してでしたら、普通に本局のデータバンクをハッキングすれば入手可能です。それに、無間書庫からデータを取ろうと思ったら、直接その場に行かなければなりませんので、手間がかかります』

 

ふぅん。なんか大層な名前だな、無間書庫って………まぁいいや。そんな場所になら、おそらく詳細なデータが載ってるだろうな。それに、他にも色んな情報がありそうだし、ちょうどいいか

 

「それなら、無間書庫って場所に行くぞ。ついでに、デバイス以外の情報も仕入れよう」

『はい、かしこまりました。我が主』

 

そういうわけで………まぁ、時空管理局っていう組織の本局へと、足を踏み入れることにした

 

 

 

 

 

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時空管理局本局、廊下

 

 

さて、あの転送装置で気付かれず転送して(ついでに、管理局の一般局員の制服を着て偽装している)来れたのはいいが……………

 

「(どこにあんだよ、無限書庫って場所は……………)」

 

標識や道案内でも掲示してんのかと思いきや、全然そんな配慮はしてなく………正直言うと、迷っていた

 

《迷子、でしょうか?》

《かもな………はぁ、最悪だ》

《人に聞いた方がよいのでは?》

《そう………だな。そうするか》

 

となると、なんかそれらしい嘘を言った方がいいよな………ここの人間を装っているのに、なんでそんなことを知らないのかと思われたら、終わりだしな。それに、そこに行く名分も必要だろうし………あと、デバイスだ。さすがに、こんな人体に組み込まれているデバイスは違法の代物らしいと聞いていたので、対策はしておいた方がいいな

 

《でしたら、このような言葉はどうでしょうか?》

《……………あぁ、それでいこう。さて、んじゃ適当に誰かから………? なんだ、ガキがいるな。なんでこんなところに? つか、犬耳と尻尾が生えた女がいるし。いるんだな、そういうの》

 

もはや、そんな存在と出会っても驚く事が無くなってしまった。そんなものよりも驚くような存在(ドラゴンやら巨人やら)を見た後では、そんなの程度では驚かなくなっていた

 

そして、彼は己の声の調子を整え、カモフラージュ用のただのカードを作り、それっぽい大義名分をしっかりと頭に叩き込んだ後、その三人の所へと向かっていった

 

 

 

 

 

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グレイの近くにある休憩室。そこには、黒と蒼の中間の色の髪をした少年と、金色の長髪を白っぽいピンクのリボンでツインテールにしている少女、それにオレンジ色の犬耳にふさふさの尻尾を生やした女の人の三人がいた

 

「これで、嘱託魔導師の試験を受けられる。これさえ合格すれば、裁判では確実に無罪になるよ。まぁ、余程の事がない限りだけどね」

「うん。ありがとう、“クロノ”」

「いや、当然の事をしているまでさ」

 

執務官をしている彼にとっては、やらなければならない仕事だ。本来なら、礼など要らないのだが、彼女の性格を考えれば、まぁ素直に受け取っておこう

 

「はぁ。やっぱ管理局って、色々メンドくさいねぇ……………」

「“アルフ”」

「ううぅ。分かってるよ、“フェイト”ぉ……………」

 

はぁ〜、とため息と連動して、耳と尻尾が垂れ下がり、それを見たご主人様は、クスリと小さく笑った。そんな穏やかな雰囲気を見ていた少年に、誰かから声を掛けられた

 

「あの、すみません」

「「「?」」」

 

一人の女性局員が話しかけてきた。身長は男でもそうそういない180センチを軽く超え、手足は細く長く、スタイルは抜群と言ってもいい。さらりと長い黒髪をストレートに下ろし、彼の母親にすら匹敵するほどの美しく整った顔立ちをしている。おそらく、どこかのモデルと言ってもおかしくない程の美人であった

 

「えっと………“無限書庫”に行きたいのですが、その、どこにあるのか、分からなくて………教えていただきたいのですが……………」

「……………」

 

なんと間抜けな局員なんだろうと、少年は思った

 

「一応、場所のデータは本局にいる局員なら手持ちのデバイスに登録されているはずなのですが……………」

「すみません。つい先日、本局の方に異動となったので………まだ、データを受け取っていないんです……………」

 

はぁ。まったく、この人の上は何をしているんだ………しょうがない

 

「とりあえず、マップデータを渡すから、デバイスを」

「は、はい」

 

そう言って、彼女はカード型のデバイスを出し、僕も自分のデバイス、S2Uを出して、データを送った

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

と言って敬礼し、同じ敬礼で返して、彼女は歩いて行った……………

 

「綺麗な人だったね」

「まぁ、フェイト程じゃないよ。フェイトだって、成長したらアレくらい綺麗になるって」

「ありがと、アルフ」

 

……………腑に落ちないな………無限書庫に何の用があるんだ? あそこは今はほとんど使われていないはず。それに、異動してきたと言ってたが………こんな時期に異動なんて、珍し過ぎる……………

 

「(確認、してみるか)」

[ピッ、ピピピッ]

「? どうしたの、クロノ」

 

僕の予想、外れてくれるといいんだがな……………

 

 

 

 

 

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無限書庫

 

さってと………ふぅ、メンドくさい場所にあるもんだな

 

『それでは、デバイスに関するデータ、または関連する事項のデータを摘出します』

「おう、任せた」

『了解。摘出を開始します』

 

そう言った直後、俺の周りに大量の本が現れ、浮遊し始めた。まさか、メモリーが本の形をしてるとはねぇ……………

 

『どこまでのデータを取りますか?』

「全部。ってか、入りきるか?」

『問題はありません。やろうと思えば、ここに蓄積されているデータ全てを収めることができます。しかし、一時間ほどかかるので、今回はデバイス関連のデータのみを収めることにします』

 

なら、無駄に容量がでかいってわけか………まぁ、それなら問題ないな。ふぅ、さっさとこんなコソ泥みたいな事終わらせたい………と、そう呑気な事を思っていた

 

「何をしている」

「……………」

 

しかし、作業をしている自分の背後から、誰かの声がした………しかし、どうも声の調子からして、アイツではない………幼く、子供のような声だった

 

《……………おい、なんかバレたみたいだぞ? ちゃんと隠れられるようにしてんだろうなぁ》

《サーチャー、及びデータ摘出に関しての偽装は問題ありません》

 

なら、なんで怪しまれる? と思ったが、今自分の背後にいるコイツが、さっき会ってここの場所を教えてくれたガキだった。まさか、感づいたのか?

 

「さっきは聴かなかったが、君の配属先と、なんの理由でここにいるのか、答えてもらおうか」

 

なんとまぁ、感の鋭いガキだった………しかし、一応こういう感じの質問を受けた時に対しての嘘も考えておいていたので、助かったには助かったかもな

 

「情報統括課です。上司から、このデータをここに送るようにと言われてここに。重要なデータですので、直接ここに運べと言われました」

 

そう言ってこのガキにデータを見せた。こんな事もあろうかと、ダミーのデータを造っておいたのだった。ちなみに、配属先の事は、事前に調べておいたのを言ったのである。これぐらい用意しておけば、ある程度は騙せると思った………が、なんか嫌な予感がしてくる

 

「……………申し訳ないが、昨日本局の情報統括課に異動になった局員はいないと、人事部の方が言ってきたが」

 

……………予感的中。まさか、そこまで調べるとは思ってもみなかった………しかも人事部の連中と繋がりがあるとは………してやられた……………

 

「悪いが、拘束させてもらう。素直に従えば、弁解の余地はある」

 

……………はぁ。まぁ、そう簡単に捕まりたくはないしな。下手すりゃこれは犯罪だし、悪けりゃ重罪で檻の中に叩き込まれるのがオチだ

 

《主。データの摘出、完了しました》

 

そんな時に、ちょうどデータが取れたというコイツの声を聴いた。なんとまぁ、いいタイミングだった

 

《そうか。作戦E‐DPで逃げる、捕まる前におさらばするぞ》

《了解。転送装置起動、E‐DPプランで撤退します》

 

そう言って、こんな状況となった時用に考えていた逃走手段を使って逃げることにした。ある場所にある物を配置して、すぐさま転送を行った

 

[バシュンッ!!]

 

「!!? 逃げた!? エイミィ!!」

《転送反応………確認!! まだ本局内にいるよ!》

「直ぐに武装局員の配置の申請を!!」

《すでに申請済みだよ! 直ぐに配置させる!》

 

 

 

 

 

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そして、本局内に確認された反応のあった場所………そこには、〔じゃぁな〕と書いてある張り紙が貼ってある熊の人形が置いてあった

 

「(してやられた。まさか、同じ反応を出すダミーを、本体の転送と同時にここに置いていくなんて……………)エイミィ、本体の方は?」

《ごめん、見失っちゃった………そこ以外で探ろうとしても、どこにも見当たらないの………もしかしたら、まだ本局内にいるかも》

「ッ………(不味いな。本局に侵入者が現れたなんて事、今まで一度もなかったのに………それにいったい、無間書庫で何をしていたんだ?)とにかく、本局内をくまなく捜索するよう手配しておいてくれ」

《了解、すぐに伝えるね》

 

色々と考える事はあるが、今はあの女性を探すことにしようと………思った時

 

「……………ッ!? あ、あれ………?」

 

急に、頭痛がしたと思ったら………先ほど、自分が会っていた女性の事が、“思い出せなくなっていた”

 

「(な………なんでだ? なんで、いきなり………?)」

 

なんとも理解不能な事態に、クロノはただ困惑した……………

 

この後、本局内を徹底的に捜索していったが、結局侵入者を見つけることができなかった。すでに外部に逃走したものと思われ、すぐに指名手配に掛けようとした。が、本局のどのカメラ、機材にも痕跡が残っておらず、唯一侵入者と出会った三人は、“よく覚えていない”というあやふやな反応を示したので、手配さえもされなかった。後にこれは、“本局不法侵入事件”として特捜部が建てられたが、証拠不十分として僅か数日で解体。この事件は、管理局の汚点となると判断し、闇の中に葬られた……………

 

 

 

 

 

-7ページ-

 

 

 

 

 

そして、時間はあっという間に過ぎ去って………6月3日、八神家……………

 

 

さてさてさて、読者の皆さま、お待たせしました。いよいよです、いよいよですよ………いよいよ、ヴォルケンズが現れる前日になりました!!!

 

え? 展開早くねって? っていうか、これでも遅い方だと思いますよ。いままで、お兄ちゃんが色々やってきた場面だらけで、私とはやてちゃんとの絡みが少ない気がするのよッ!! なので、ここから先は私のターン!!! ここからは、私とはやてちゃんとヴォルケンズの、蒐集活動が始まるまでの温かな私生活をお送りする番なんだからッ!!!!

 

あ、ちなみに今は、はやてちゃんと一緒にお夕食を作っています(*^_^*)

 

「ビビさ〜ん。そっちの材料、切ってくれへん?」

「はいは〜い♪」

 

はぅぅ〜………はやてちゃんの関西弁は、なんだか和むなぁ〜………さてさて、お夕食の準備完了! ではでは……………

 

「「いただきます♪」」

 

はやてちゃんと二人で食べるご飯。はう〜、し・あ・わ・せ〜(*^^*)

 

「そう言えば、明日だよね、はやてちゃんのお誕生日」

「あぁ、せやったなぁ………明日から、うちは9才や」

 

うん、9才なんだよね………本編みた時もだけど、私よりも大人びてて、ビックリしちゃったよ

 

「そういえば、ビビさんは、いつ誕生日なん?」

「私は8月16日。今年で11才だよ」

 

そう言ったら……………

 

「うそ!? ってことは、今は10才っちゅうことですか?」

 

うそって、私どんな風に見られてたんだろう……………(;一_一)

 

「全然、大人っぽくて、美人さんで、そうは見えへんかったわ……………//////」

 

う、うれしい事言っちゃって!!! ヤバい、ハグしたい!!

 

「てっきり、介護ヘルパーなんてやってるから、高校生くらいやと……………」

 

まぁ、そうだよね。普通だと、10才って小学五年生なんだよね………え? なんで小5の女の子が深夜アニメのリリなのとか、色々な事知っているのかって? A○-Xとかキッ○ステーシ●ンとか、○ニマ●クスとか見てたからかな………それに、私のお母さんがアニメ大好きな人だったから、その影響で、ね☆

 

つまり、私の性格は、お母さんゆずりの遺伝なのだ!!! 威張ることじゃないと思うけどね……………

 

「10才で、もう仕事しとるんや」

「といっても、まだ学生みたいな感じで、今回は実地演習みたいな感じかな。あはは。それに、グレアムさんからも、年の近い子の方が行ってくれれば、早く仲良くなって、良いかもって思ったみたいで」

「……………そうなんや、グレアムおじさんが……………」

 

フッ。やりたくないけど、アンタの株を少し上げてやるよ。っていうか、グレアムの名前出す度に、背後というか、窓の外から殺気をバンバン感じる………うん、誰からなのかはわかってるよ? あの猫姉妹なのは分かってるし

 

「後で、ありがとうの手紙、出さなあかんな」

「そうだね〜」

 

まぁ、グレアムにはあんま良い感情は浮かばなかったけど………この際はしょうがない。今露骨に嫌な空気を出すわけにはいかないもんね

 

「はむ♪ ん〜〜〜♪ やっぱはやてちゃんの作る料理はおいひ〜〜〜?」

「ふふ、ありがとな♪」

 

そうして、夕食を終えた私とはやてちゃんは片付けをしていて……………

 

[プルルルルルルルルルルッ]

「あ、電話や。誰やろ?」

「私が出るね。」

 

はて? 確かこのタイミングの電話って……………

 

[ガチャッ]

「はい、八神です………あ、石田先生。どうも御無沙汰しています」

 

あぁ、確かあったね。あの時は留守電だったかな? まぁ、どうでもいいよね。んで、会話の内容は本編同様、明日の誕生日の事になり、明日にはやてちゃんと一緒に夕飯を食べに行こうという事になったんだけど………まぁ、次の展開が、ね………とりあえず、断るのはおかしいと思い、そのまま了承して電話を切った

 

「石田先生、なんて?」

「明日のはやてちゃんのお誕生日、なにかお祝いがしたいんだって」

「ほ、ほんま? もう、そんなんいらんのに………気持ちだけでも、十分やって」

「でもほら、せっかくお祝いしてもらえるんだから、誕生日の日くらい、甘えちゃえばいいじゃん♪」

「う〜ん………そんなら、お言葉に甘えるわ」

「うん♪」

 

さて、んじゃ私はお風呂の準備をしなきゃ♪ この時ほど、至福の時はないね………なにしろ、はやてちゃんをお風呂に入れるとき、お姫様だっこをするのだから!!! うん、はやてちゃんの肌、ぷにぷにしてて最高ですッ!!!

 

 

 

 

 

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同時刻、あの兄が使っているマンションの一室

 

「……………ふぅ、こんなモンかな」

 

奪ったデータを元に、デバイスとやらを作ってみた

 

『これ………一般に出回っているそこらのデバイスなんかより、ずっと高性能なのですが……………』

「そうなのか? どの程度まで作ればいいのか、よく分からんまま適当にしただけだが………さて、どうしようか……………」

 

実は、この時作ったのは、自分用のもう一つのデバイスの他に、六つほど余計に造ったのだった。色々と試行錯誤のついでとしてだったのだが、作りすぎたかもしれない

 

『暫く保存させておき、時が来たら用途に合わせて改造して使っていく。というのは?』

 

そうだな………つか、改めて思うが、この“兵装錬成”っていう能力。それなりの知識と兵器という概念を持たせれば色んなモン造れるって、本当に便利だ。これのおかげで、兼ねも作れるんだからなぁ………ちなみに、デバイスもこの能力で造った。って、今はんな事はいいか

 

「まぁ、あとはコイツを……………」

 

そう言って取りだしたのは、自作のデバイスの一つ………有人格のアームドデバイスのコアだ。コイツは自分用に造った代物であり、今から俺の“左腕の甲に埋め込む”モノだ

 

「ちょっとコワいが………頼むぞ、タマモ」

『かしこまりました。では、麻酔をして感覚神経を一時的に停止させます。少し体調が崩れるかもしれませんが、耐えてください』

「分かった」

 

そう言って俺は、デバイスの埋め込み作業を開始した

 

 

 

 

 

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八神家、はやての私室

 

「うんしょっと」

「いつもありがとな」

「いいのいいの。それに、はやてちゃん軽いから♪」

 

寝る前に、車いすからはやてちゃんを抱き上げて、ベッドの上に寝かせる作業。最初は嫌がってたけど、今はなんの遠慮も無くなっている………はう〜、はやてちゃんを抱き上げる瞬間、すんごい幸せ〜………え? なんで年近いのにはやてちゃんを持ちあげられるのかって? そりゃ勿論あのチート能力で身体強化してるからだよ

 

「さてさて♪」

「? ビビちゃん?」

 

私もそのままはやてちゃんの隣にベッドイン♪ こうしておけば、すぐに守護騎士と出会えるしね♪ ちなみに、はやてちゃんが私をちゃん付けで呼ぶのは、さっきので年が近いってのが分って、さん付けで呼ぶのはどうなん? って事になり、ちゃん付けで呼び合う事にしました♪ これがまた良い響きで………最高ですッ!!! \(*>o<*)/

 

「今日ははやてちゃんと一緒に寝ようと思ってね。いいでしょ?」

 

実はたまにこういう事をしているので、はやてちゃんも何も言わずに受け入れてくれます。いやぁ、はやてちゃんもまんざらじゃないみたいで………ちなみに、一緒に寝てる時何回か寝ぼけて胸を揉まれた事があって、その度に[ピー]が[ピー]でもう[ピー]てしまって………幸せです

 

「そうなん? でも、今夜はあんま眠くあらへんわ。なんや、明日が楽しみで」

「そう? なら、眠くなるまでちょっと雑談でもする?」

「あ、ええなぁ。せやったらなぁ」

 

というわけで、はやてちゃんが最近読んでいる本の話をする事になりました。はやてちゃんの話は、どんなモノでもスンごく面白くて、楽しい事ばかりです♪ それに……………

 

こういうのって、良いね……………

 

 

 

 

 

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pm11:58

 

「それでな………って、あぁ、もう12時……………」

「けっこう話したねぇ……………」

 

さて、そろそろかな………この時間に、確か……………

 

[……………コォォォォォォッ……………!]

「?」

「(キタ!!!)」

 

突如、本棚の方から怪しい光が出てきた

 

[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!]

「な、なんや……………?」

「はやてちゃん……………!」

 

私はすぐに震えるはやてちゃんを抱き締め、不安から守ろうとした。でも、彼女の震えは止まらず、怪しい光の元………A`sの中心であるロスト・ロギア、“闇の書”が宙に浮かび、起動を始めた

 

『Ich entferne eine Versiegelung.』

 

ベルカ式のデバイス特有のドイツ語の電子音が発せられ、闇の書は独りでに開き、何も書かれていないページがパラパラと開き始める

 

「あ、ああ……………」

 

異常な光景に恐怖しているのか、はやてちゃんの震えは止まる事は無かった

 

「大丈夫、大丈夫だから……………」

 

少しでも彼女の不安をなくそうと、私は彼女を強く抱きしめる。そして、ページが全て捲られ

 

[バタンッ!!!]

 

閉じられた………(コワ。なにこれ、あのバタンって音、チョーコワかったんだけど)………そして、闇の書はゆっくりとはやてちゃんの前に降りてきて、更に光りだした

 

『Anfang.』

 

光と同時に電子音の声が鳴り、その後に現れたのは……………

 

「「……………!!!?」」

 

……………黒い服を着た、3人の女性と、犬耳を生やした一人の男性だった……………

 

「“闇の書”の起動を確認しました」

「我らは、闇の書の蒐集を行い、主を守る、守護騎士魔でございます」

「夜天の主の元に集いし雲」

「“ヴォルケンリッター”。なんなりとご命令を」

「「……………」」

 

……………さん、はい

 

「(ヴォルケンズキタァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!!\(゜∀゜)/)」

 

 

 

 

 

-10ページ-

 

 

 

 

 

……………え、えっと〜〜〜おはこんばんにちわ、読者の皆さま。え〜っと、とりあえず、ヴォルケンズは来てくれたんですが……………不覚でした(―_―;) いきなり何を言ってるんだ? と思うのも無理な事です。私だってわかんないんですから……………

 

「あ、っと……………(~_~;)」

「? ??」

「「「「……………」」」」

 

はい。考えてませんでした、ヴォルケンズが現れて直ぐの事態を………いやいや、私とした事が………原作だと、はやてちゃんが気絶しちゃって伸びるんだけど、今回は私がいた事により気絶せずにすんじゃいました。それにより、当初予定していた病院に運ぶというシナリオがぱぁです。やっちゃった☆ZE………やばい、空気が重い……………

 

「あぁ………皆さまは、いったい、どちらさん、なんでしょうか………?」

 

とりあえず、聴いてみた。知ってるけど

 

「先ほど申した通り、闇の書の主を守る騎士、ヴォルケンリッターです」

 

や、あの、まぁ、それはさっき言ったような………じゃなくて、その……………

 

「(なんて言えばいいんだろ?)」

 

混乱の極みであった。そりゃそうだよね、備えてはいたけど、やっぱりテンパっちゃうよね(;一_一)

 

「ど、どうしよう、はやてちゃん……………」

 

結局、はやてちゃんに縋るしかなかった………うう、なんだか情けないよぉ〜……………

 

「そ、そやな………とりあえず、ここで立ち話もあれやから、リビングの方に、移動しよ」

 

そうだね。それが一番だね、うん

 

「ほんなら、あの、ヴぉるけんりったーのみなさん。ここは狭いですから、広い所に移動しましょ」

「いえ、問題ありません。こちらでも充分です」

「そ、そうなん?」

 

あぁ………仕方ないかな………とりあえず、なんとかしよう

 

「あの………ここだと、ちょっと話がしにくいから、だからリビングに、ね?」

「せ、せやな。とにかく、ここやと、色々落ち着けへんから、移動しような、うん!」

 

と言う事で、私たちはリビングに向かいました………さて、こっからが勝負だね……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

んで、リビングに来ました

 

「あ、はやてちゃん。私、お茶淹れてくるね」

「あ、私も手伝うよ。あの、ヴぉるけんりったーの皆さんは、そこのソファでまっとってください」

 

そう言って、キッチンに行ってはやてちゃんと対策会議を開こうと思ったけど……………

 

「いえ、結構です。主にお手間を掛ける訳には参りませんので」

 

うう、シグナムさん………お願いだから、その、忠誠を誓うような体制、止めてくんないかな………それに、シャマルさんもヴィータちゃんも………つか、ザッフィーの人間モード、久々に見た気がする……………

 

「そんな訳にはいかん! お客さんが来たら、お茶を淹れておもてなしせな!」

「いえ、我々は客では無く……………」

「それでもです! とにかく、少しまっとってください」

 

……………ちょっと意外な面が見れた気がする………って、んな事言ってる場合じゃないよね。とにかく、はやてちゃんと一緒にキッチンへゴー!!

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

それからというと………私とはやてちゃんを含めた六人分のお茶をいれるため、キッチンの所に行って一息つき、なんとか落ち着いてきた………さて、と

 

「どうしよう、はやてちゃん……………」

 

うん、困ったね………だって、予定外な事が起きてテンパっちゃって、妙案が全く浮かばない………落ち着いたには落ち着いたけど、ねぇ……………

 

「と、とりあえず、まずは事情を聴かなあかんな。あと、どこから来たんかも……………」

 

ううん………私は全部知ってはいるんだけど………さすがにそれを言うのはアウトだろうし。それにはやてちゃんは全く知らない。なら、そうするしかないね……………

 

「じゃ、じゃぁ………それで行こっか」

「りょ、了解や」

 

んで、私たちはハーブティーを持って、ヴォルケンズの元へ………うう、何とかなってほしい限りです(-“-)

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そして、30分くらい後。ヴォルケンズから、色々な事を聴いちゃいました。闇の書に関する事や、自分達の事。魔法の事も………まぁ、この辺りなら私は知ってるけど

 

「そっか………この子が、闇の書ってもんなんやね」

「はい」

「物心着いた時には、棚に有ったんよ」

 

つか、物心ついた時にはって、その頃からこんな厳つい本があったって事? いやいや、そんな本があったら怪し見るって……………

 

「綺麗な本やから、大事にはしてたんよ」

 

まぁ、確かにきれいな本だよね………鎖でグルグル巻きにされてたけどね

 

「覚醒の前と眠っている時に、闇の書の声を聞きませんでしたか?」

「う〜〜〜ん………私、魔法使いとちゃうから、漠然とやったけど……………」

 

だよね。うん、普通はそうだよね………もし漠然とじゃなかったら、どこぞの厨二患者だよってことになりかねなかったし

 

「それで、どうするの? はやてちゃん」

「う〜ん………とりあえず、分かった事が一つある。闇の書の主として、守護騎士達皆の衣食住、キッチリ面倒みなあかんゆう事や。幸い住むとこはあるし、料理は得意や。後は、皆のお洋服買わなあかんで、サイズ測らせてな」

「「「「……………」」」」[ぽか〜ん]

 

唖然としてらっしゃる………ま、無理もないよね。今までの主の中では、一番変わったタイプの子なんだと思うし………まぁ、だからあんな幸せな事が起きるんだよね……………

 

「でも、はやてちゃん。今日はもう遅いから、とりあえず寝よ。はら、もう一時近いし」

「あぁ、せやね。ほなら、二階に空き部屋があるから、そこ使ってな。また明日に、サイズやら何やらせんとな」

「「「「は、はい……………」」」」

 

……………さぁ、盛り上がってきたねぇ!!! って、私の説明が抜けちゃった………ま、また明日にでも話しますかな……………

 

 

 

 

 

-11ページ-

 

 

 

 

 

翌日

 

少し遅い起床の後、まずはヴォルケンズのサイズを測って服を買って(ザッフィーは狼モードになっちゃって不要だったけど、首輪とか犬用皿に水入れに………完璧にペットです、ありがとうございます)、新しい家具とか買って、人数分の食事も買って………はぁ、お金が減って行く………まぁ、グレアムのお金なんだし、別にいっかw

 

そんで、あとは石田先生に説得を………さて、なんて言おうかな? 予定通り、はやてちゃんの遠い親戚っていう事で行くかな………っていうか、色々慌ただしいです(-“-)

 

「なんやぁ、楽しいなぁ」

「だねぇ♪」

 

そう。慌ただしいけど、なんだかそれが楽しいです♪ 好きな人と一緒にいるのもだけど、色々とあって日々が充実しています♪

 

「あの、スティン殿……………」

「ほえ?」

「少し、お話があるのですが……………」

 

O☆HA☆NA☆SIじゃ、ないよね………まぁ、多分この力を感づいたのかもね………うし、ここは予定通りにいくとしよう

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

とりあえず、はやてちゃんに聞かれないように二階の空き部屋(シグナムとシャマルの部屋になった)にきました……………

 

「で、お話というのは………私の事ですか?」

「はい、その通りです」

 

や………やっぱり(^_^;)

 

「まず言いたい事は一つだけ。私ははやてちゃんの味方、これだけは絶対に約束できる」

 

これだけじゃぁ、納得できないかもだけど

 

「それは、主の貴女への態度と雰囲気で察しましたが……………」

 

あれ? 意外と物分かりが良い……………

 

「私たちが危惧しているのは、貴女のその膨大な魔力反応と、未知の力を感じることです………貴女は、いったい何者なのですか?」

 

なるほど。主の近くにいる存在の事は知っておきたい。ってわけね………じゃあ、ちょっと色付けて話すかな(^’^)

 

「じゃぁ、まず建前から……………私は、時空管理局本局にいる“ギル・グレアム”提督のご命令で、現闇の書の主、八神はやてと接触し、行動を共にするよう命じられたモノです」

「な、管理局だとッ!!?」

[チャキッ!!]

 

ちょっ、ちょっと待って!!! だからそれは止めて!!! ま、まだ話の途中だからッ!!!

 

「建前は、ね」

「建前?」

 

そう、落ち着いて。落ち着くのよ私………そう、1,3,5,7,11,13,17,19………うん、素数を数えれば、落ち着くんだから………うし、オッケィ!!

 

「私は、それを建前にして行動するようにと、ある人物から言われてね………私自身は、管理局とはなんの関わりを持っていないわ」

「……………その人物は、何故闇の書の主を狙う」

「クライアントの言葉は………彼女を救ってほしい。闇の書という呪いから………一人ぼっちの寂しさから………と」

 

本当は、私の願望なだけなんだけどね

 

「……………そのクライアントとは、何者だ?」

 

……………じゃあ、まず一言………ごめんなさい!!

 

「神様です♪」

「……………はい?」

 

予想通りの反応。だよね、そうだよね、そういう反応しちゃうよね………あぁ、そんな人を可哀相な目で見ないでシグナムさんッ!!!………って、今は真面目になろう

 

「私はある日、神様から神託を受けて、その指示に従い、“八神はやて”を救済せよと神に申し使わされました。あの子は幼い時にご両親を亡くし、それでも優しい少女として育った事に、神様は心震わせ、私に彼女の救済を命じました。私はあの子の事が心配だったので、その案に乗り、こうしているわけです。その時に、私は人外の力を授かり、異常なほどの魔力を保有しているわけです……………」

 

……………すっごい大嘘だね、うん………信じてくれるかなぁ? ってか、信じて貰わなきゃ話にならないし……………

 

「……………信じがたいな。そんなおとぎ話のような事など……………」

 

やっぱり(T_T)

 

「だが、貴女の目を見る限り、主を守りたい、という気持ちに、偽りはないようですね」

 

へ?

 

「……………分かりました、私は貴女を信じます。他の守護騎士には、私から適当に伝えておきます」

 

あれれ? シグナムさんって、こんなにモノ分かりが良い人だっけ? まぁ、並行世界の可能性という事にしておこうっと。にしても、違和感が………まぁ、上手くいったんだから、別にいっか

 

「だが、もし主を裏切るような事があれば……………」

[チャキッ]

 

そう言った瞬間に雰囲気が一変………愛剣であるレヴァンティンの刀身を、私の喉に突き立てた。って、コワ!!! いきなりコワいですよ、シグナムさん!! ………まぁ、今すぐ引かせるけどね。ある方法を使って、ね………グッフッフッフッ(*^_^*)

 

「大丈夫よ、神と名誉に誓って。それに、私はそんな事を絶対にしないわ……………」

「なぜそう言いきれる」

「だって、私ははやてちゃんの事、大好きだから♪」(ニコッ)

「っ!!!?///」

 

フハハハハハハハハハハハハッ!!!! 決まった!! 私の“必殺女落としマジ惚れさせちゃうの笑み(魅了の笑み)”!! これで私のハーレムにまた一人、候補が生まれたわよ!!! この調子でヴィータちゃんもシャマルさんも落としてやるわッ!!! グッフッフッフッフッフッ!!!!

 

こんなアホな考えをしている妹はさて置き、そんなアホなことの影響を受けた相手はと言うと……………

 

「そ、そうか。失礼した、スティン殿(な、何を動揺している。私とした事が、女の笑みに、動揺するなど………えぇい落ち着け、落ち着くんだッ!!!)」

 

今まで見たことも無い、魅惑的な笑みを見て、激しく動揺する烈火の将だった……………

 

「あ、それと………私の事は、ビビって呼んで。ちなみに、殿とか、そう言うのも付けないように、ビビってね♪」

「あ、あぁ、承知した、ビビどn「ビビ!」ッ………ビ、ビビ……………っ」

「うんうん♪ これからもよろしくね、シグナム♪」

「あ、あぁ。こちらこそ、よろしく頼む………ビビ」

 

あぁ………シグナムに、名前を呼ばれちゃった♪ あんという響きなのかしら……………

 

 

 

 

 

-12ページ-

 

 

 

 

 

「おいおいおいおいおいっ!!! いやマジウケるんですけどぉッ!!! 俺ってそんなに慈悲深い設定なんッ!!? いやいや、滑稽通り越して大☆爆☆笑なんですけどぉッ!!!? クッハッハッハッハッハッハッハッ!!!! なな、お兄ちゃんとしてはどう思う? なぁなぁ?」

「テメェ、少し黙ってろ………つか言葉の中に星マークとかいれんな、キメェ……………」

 

場所はあの兄が使っているマンションの一室。昨日からやっているデバイスの埋め込み作業中、いきなり出てきた神と一緒にあの妹が何をしているのかを一緒に見ようと言いだし、それで見ていたが………ハッキリ言うと、彼は全く見ておらず、作業に集中していた。他に思っていた事と言えば……………

 

「(面倒事が起きるまで、後半年近く、か……………)」

 

自分の心配だけであった

 

「おいおい、こんな面白いモノを見ないのか? 勿体ないぞ、おい」

「どうせ下らん事だろう、見る価値がない」

「枯れてるねぇ。ま、別にそれでも構わんがね」

 

……………この神、そう言えば結構俺の所にくるな………何考えてんだ?

 

「いやいや、人を転生させたのって、今回が初めてなんでねぇ、ちと色々不安なんだよ。ちゃんと能力が使えるのか? とかね」

 

……………このクソ神、マジで殺していいか? いや、いいよな、別に。こんな奴が一人いなくなった方が、世の為じゃねぇのか?

 

「ちなみに、俺はそう簡単には死なんから、殺そうとしたって無理だぞw」

 

……………この態度、マジでムカつく………だが、逆らったって無意味な為、あえて反抗はしない。っていうか、無視だ無視。そうしたほうがいい

 

「さてさて、おもろいモン見れたし、帰るか」

[フッ……………]

 

またも、今までと同様、風が吹いたかのように姿を消した

 

「さて、続けるか……………」

 

そして彼は、昨日からずっと行っているデバイスの埋め込み作業を再開した………あとは、デバイスの回路と自身の神経を接続するだけになっていた

 

 

 

 

 

-13ページ-

 

 

 

 

 

そして、ヴォルケンリッターが八神家に現れた日から、数日が経ったある日………八神家

 

グッフッフッフッフッ(*^_^*) やっとヴォルケンズが登場し、面白い事になってきちゃって、もう笑いが止まらないってばよ!!! まずはシグナムを落とした(と、思い込んでいる)ことで、ヴォルケンズ全員から信頼を得る事が容易に行う事が出来た………だが

 

「ねぇねぇ、何してるの?」

「うっせ、お前には関係ねぇよ」

 

ただ一人、ヴィータちゃんだけが、未だに信頼を貰っておりません………くぅ、結構頑固ちゃんだなぁ。それに、私と絶対に顔を合わせる事もないし………チッ、顔を合わせなければ、あの行為が出来ないジャマイカッ!!! そう毒づいていた

 

そうしながらも、時間はゆっくりと、穏やかに流れていった……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そして、ヴォルケンズが来てから、早一か月が過ぎました

 

「「「“ぷーる”?」」」

「そや。この前、新装開店した温水プールがあるんよ。前、石田先生から無料チケット貰ってな。私の足の治療にも、って。だから、皆で行こうと思て」

 

温水プールかぁ、いいねぇ。水着姿のはやてちゃんやシグナム、ヴィータちゃん、シャマルさんを拝めるのね………………ヤッバイ!!! 鼻血がでる!!! 出ちゃうよ〜〜〜〜〜〜!!!!!!(*>_<*)

 

「賛成!! 私は大賛成!! 他の皆もそうだよね!?」

 

興奮状態の妹の言葉はよそにして、守護騎士達はというと

 

「私も賛成です。ね、シグナム」

 

シャマルも賛成し

 

「はい、私も賛成です」

 

シグナムも同意し

 

「はやてが行くなら私も行く!」

 

ヴィータも行きたいと願った

 

「うし、ほなら明日行こか! って、あ……………」

「? どうしたの?」

 

はやてが、申し訳なさそうに、有る一人………否、一匹の方を見た

 

「ここのプール、ペット連れてくるの禁止になっとる……………」

「「「「あ……………」」」」

「……………」

 

もはや、完全にペット扱いにされてしまっている守護獣であった………まぁ、人間形態になればいいのだろうが、人間になったらあの犬耳と尻尾がどうにもならない。と言うわけで、ザフィーラはお留守番になりました

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

というわけで、来ちゃいました!! 遠見市リゾートプール!! この日のために、全員水着を購入したのは言うまでもないッ!!!

 

「ほなら、着替えていこか」

「は〜い♪」

 

ムフフな水着に着替える為に………女子更衣室へGO!!!(*^_^*) あぁ、皆の水着姿、たんのしみ〜♪

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そして場所は、女子更衣室……………

 

「うわぁ、やっぱビビちゃんって、スタイルええなぁ」

「そうかなぁ? 確かに、胸だけは大きいけどねw」

「ええなぁ、うらやましいなぁ……………」

 

……………まさか、来るのか!!?

 

「う〜〜〜ん………えい!」

[もみゅ]

「ひゃんっ!? も、もう、はやてちゃん!」

「う〜ん、やっぱビビちゃんの胸は揉み心地えぇなぁ……………」

 

うう!! そんな事言わないでよ!! ぬ、濡れちゃうよ〜〜〜ッ!!!!(*>_<*)

 

「は、はやてちゃん、その………周りの人が……………」

 

シャマルが、心配そうにそう告げた。そう。この行動を見て、周りの人が凝視してきたのである。だがそんな事ももろともせずに

 

「ふえ? 別にええやん、女の子同士なんやから」

 

そう言って、未だに私の胸を揉みまくるはやてちゃん…………………………も、もう………限、界……………ッ!!!

 

「うりゃッ!!!」

[もみゅ]

「うひゃぁ!!?」

 

揉まれたら 揉み返してやれ 揉み魔へと……………

 

「ビ、ビビちゃん!!?」

「散々揉まれたんだからこれぐらいいいでしょう!! ほれほれほれほれ〜〜〜♪」

[もみもみもみもみ]

「く、くすぐったいて、ビビちゃん!!」

 

変態と揉み魔、二人による揉み行為に周りの人は赤面するばかりであった。無論、ヴォルケンズも例外ではなく、顔を真っ赤にしてその行為を止めるように促していた。ただ一人、ヴィータだけは、湯気が出そうなほど顔を真っ赤にして、俯きながら黙々と着替えていたとか……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

えぇ、女子更衣室で甘美な事件を起こしてしまいましたが………まぁ、いいやw(いや良くないか)。そして今は、プール場に来ています!

 

「うひゃぁ、ひっろいなぁ〜!」

「すごぉ〜い、こんな広いプール始めて見た」

 

結構大きなプールでした。それに、新装開店という事もあってお客さんの数もかなりのモノです

 

「これが、プールと言うモノ、ですか」

「なんだか面白そうな所ですね♪」

「おぉ〜……………!」

 

シグナムは興味深めな目で見て、シャマルはまるで子供みたいにはしゃぎ、ヴィータはこれでもかと言うほど驚いていた。

 

ちなみに、皆の水着はと言うと………………はやてちゃんは、蒼いラインが入った白いワンピース。シグナムは紫色のビキニ、シャマルは緑と白のパレオ、ヴィータは赤いセパレート。そんで私はというと………どこぞの白い井の黒い子みたいなことはしないよ。黒色の競泳水着です!! スク水じゃないよw

 

……………ってか、周りの男(ゲス)共の視線が気持ち悪い………あぁ、死ねばいいのに………いやでも、皆素敵です(*>_<*)

 

「それじゃぁ、まずは………ヴィータちゃん!! 勝負よ!! どっちが早く泳げるかってね!!」

「あぁん? なんで私がそんな事を」

 

うう、断られたよ………でも、これぐらい予想済みよ!! なぜならこの後……………

 

「なんだヴィータ。負ける姿を主に見せたくないからと言って、勝負を棄権するのか」

[プチッ]

 

ナイスシグナム!! やっぱベルカの騎士に逃走する権利はないみたいだね

 

「いいだろう!! 勝負だビビ!!」

「いいよぉ!! 負けないからね!!」

 

そうして、私対ヴィータちゃんの競泳大会が行われることになりました

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そして、丁度二つ空いていた25メートルレーンのプールまで来ました

 

「ほなら! ビビ選手対、ヴィータ選手の競泳勝負を行いたいと思います!! まずは、第一レーン、ビビ〜・スティ〜ン!」

「いえ〜い!」

「第二レーン!! ヴィータ〜!」

「は、はやて………は、恥ずかしいよ///」

 

少し赤くなっているヴィータをよそに、話は段々と進んでいった………はやてちゃん、ノリノリだね

 

「それでは、位置について!!」

「「ッ……………」」

 

両者に、緊張が走り………そして

 

「よ〜い、ドン!!」

[バシャァァァッ!!!]

 

勝負が、始まった………ッ!!

 

「(……………クッ!)」

「(チッ……………!)」

 

まさに、まったくの互角の勝負を繰り広げていた。お互い、強化などはしておらず、純粋な肉体能力だけで競っていた。種目はクロール。25メートルプールをターンし、50メートルをどちらが早いかを競うというモノだ………そしてちょうど今、ターンポイントにさしかかり、折り返しとなった

 

「「((負ける、ものか!!!))」」

 

互いに、負けじと本気になってきた………そして……………

 

「しゃぁ〜!!」「ッしゃぁ〜!!」

 

二人は、まったく同時にゴールをした。勝負の行方は、シグナムの判定に任された……………

 

「シグナム、どっち?」

「……………僅差で、ヴィータが勝っていました」

 

判定で、ヴィータの勝利宣言が来た

 

「やったァァァァァァァァァァッ!!!」

「あぁ、負けちゃった………………」

 

ガッツポーズを取って、大いに喜ぶヴィータと、肩を落とし、しょんぼりとうなだれるビビ………さすがに肉体強化をしなければ、ベルカの騎士には勝てないという事らしい

 

「ふん、ベルカの騎士に勝負を挑んだのが間違いだったな」

「あ〜あ。本当に強いねぇ、ヴィータちゃんは」(ニコッ)

「うっ!!!?/// と、当然、だ!! う、うん。当然の、結果だ………///」

 

……………フッ、フハハハハハハッ!!!! そう簡単に私が負けると思ったかッ!! 今の勝負、わざと負けたのさッ!! そう、このシチュエーションッ!!! これを狙っていたのよ!!! グッフッフッフッフッフッ!!! 最後は私の勝ちよッ!!!

 

……………本気でアホな妹であった………鉄槌の騎士、ここに変態に魅了され、堕ちる運命に辿る……………

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

そして、ビビ対ヴィータの対決を終えた後……………

 

「ふぅ、ちかれた〜(+_+)」

 

敗者(ある意味勝者)のビビは、近くにあるベンチに腰掛け、休んでいた。ヘタに力の加減をしたので、疲れたのだ。と、そこへ

 

「お疲れ様。はい、冷たいジュースよ」

「あ、ありがとう、シャマルさん」

 

シャマルが来て、敗者のねぎらいに来たのだ

 

「おしかったねぇ、もう少しで勝てたのに」

「今度やったら負けないんだから!!」

 

本気でやれば勝てるのだから、とは言えなかった

 

「ふふっ、本当、皆変わったわ………これも、はやてちゃんとビビちゃんのおかげね」

「ふえ?」

「シグナムにヴィータよ。あの子たち、昔はあんなに笑ったりはしなかったもの」

 

そう言いながら、砂浜のあるプールではやてと遊ぶシグナムとヴィータを見ていた。その表情は、穏やかだった

 

「本当に、嘘みたいな日々よ、あの子が、私達の主になってからは……………」

 

……………先代や、先々代。そしてそれよりも前の………今までの主は、ただ力のみしか求めておらず………ずっと、闇の書を完成させる為に蒐集を行ってきた。ずっと、戦い続けてきたのだ。それだけしか、無かったのだ……………

 

だが、今は違う。戦いなど無縁の世界で………戦いを望まず、強大な力も求めず………自分達を家族として受け入れてくれた主は、自分達に戦いをして欲しくないと願った……………

 

「夢みたい………本当に、夢のようだわ……………」

「……………」

 

……………そっか。そうだよね、ずっと、苦しい思いをしてきたんだもんね………原作見た時もだったけど、この子たちはホントに可哀想だよ。今まで、戦闘の為の道具として、扱われてきたんだから……………

 

「……………大丈夫よ」

「? ビビちゃん?」

 

そう言って、私はシャマルさんの前に立った

 

「私が、助けてあげる。はやてちゃんも、シグナムもヴィータちゃんもザフィーラも、シャマルさんも………皆、助けてあげるから」(ニコッ)

「ッ!!!? あ、ありがとう、ビビちゃん//////」

 

そう真面目な事言っておきながら、発動させたのは“魅了の笑み”。そう、そして、その時の彼女の心中は………狂嬉に狂っていた

 

ヒャッホ〜〜〜〜〜〜〜〜イッッ!!!!!!ヽ(^∀^)丿 シャマルさんも、惚れてくれたぁッ!!! フッ、今日は大漁ぜよッ!!!! グッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ!!!!!!

 

変態魂絶賛全開中。そうして、湖の騎士も墜ちたのであった………

 

 

そうして、彼女達は目いっぱい遊び倒し、満足して(特にビビが)帰りましたとさ……………

 

 

 

 

 

 

説明
―――――そして、とある兄妹は、各々行動を起こす………兄は、いづれ来る事態に備えて準備を………妹は、その世界にいる愛しの人たちと接触を……………―――――

とある兄妹が転生した翌日、兄と妹は、それぞれ為したい事のために、行動を開始する。妹は、好きな少女と、その守護騎士達と接触する………兄は、いづれ己も行動しなければならないと感じ、その準備を始める。しかし、そんな兄の身には、不幸が降りかかり、妹は、己の歪んだ願望を叶えるために動く
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