第十四話 別荘と修行 |
アニスサイド
「アンク、少し別荘で鍛えてこようと思うんだ」
「……そうだな。次の儀式にも備えておきたいし。なら、俺も行こう」
「でも、そうなったらはやてが一人になっちゃうな……」
そうだな〜。はやてはもう魔法の事は知ってるし、どうせなら連れて来る?
あ、でもまだ寝てるんだもんな〜、て言うか、俺達が今日起きるの少し早過ぎた。
「ん〜、じゃあザゼルさんでも呼んでさ。はやてが起きたら連れて来るように言う?」
「……俺はあんまり、というか凄くあいつの事は嫌いなんだが……」
「そう?俺は結構面白い悪魔さんだなって思うよ?」
「その前に、お前は少し貞操の危険を覚えろよ……」
「………アンクは俺の初めて……欲しいの?」
ドゴッ!!
「ひゃうっ!?」
「ガガガガガ、ガキが益せた事とととと、言ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「……あぅ……洒落になって無い位に……痛いよ……はぅっ……」
思いきり頭を殴られた……。
あうあう、過去最高の痛さだねコレ……アニスたん、痛さのあまり泣いちゃう……。
「あうあう……酷いよ〜」
「うっ……す、すまん、少し強く殴り過ぎた」
そう言ってアンクはすぐに俺の頭を撫でてくれた。
うん!やっぱりアンクは優しいの!
「えへへ〜、アンクの手は落ち着くから大好き!」
「……ふん……」
あらら照れちゃった照れちゃった。でも、ちゃっかり頭を撫でるのはやめないんですね……。
まぁ、ツンデレなアンクちゃん。
「さて、ザゼルさん呼んじゃおっと。使い魔召喚、ザゼル!……さん……」
一応考慮してさんを付けたよ……いや、何か付けなきゃ悪いかなって思ったんだけど……結構語呂悪くて驚いた。
まぁ、当然の結果か……。
そう思っていた時、急に床が光だし、魔方陣が浮き出る。そしてその中心から、ザゼルさんが現れる。
「………あっ、アニス君じゃありませんか。お久しぶりです。全く、あれ以来一度も呼んでくれなくて、結構寂しかったんですよ?もしかして焦らしですか?アニス君はそっちの趣味があるんですか?それならそうと早く言ってくれれば、私はどっちでも行けますよ?それと、食べても良いですか?」
「……アニス、やっぱ帰ってもらえ……」
「うん……そうだね……」
「あぁ、嘘です!嘘嘘!全く、冗談に決まってるじゃないですか」
ほ、ホントにそうなんだろうか?
少なくとも、目がマジだったんですけど……。
「それより、今日は何で呼び出されたんですか?」
「あ、そうだった。あのねザゼルさん、今日俺とアンクは別荘に行ってちょっと修行してくるから、はやて……この家の主人が起きたら、別荘に連れてきてほしいんだ」
「ふむ、別荘ですか……あれ?でも、ここは人間界ですよね?アニス君は違う世界出身……だったら別荘って、その世界にあるんでしょうか?だったら、私は長距離転移は出来ませんよ?」
「あぁ、違うよ。別荘ってのは、俺が作った魔法空間……みたいなものかな?今見せるよ」
パチン。
俺はザゼルさんにそう言った後、指を鳴らして空間を裂く。
これには魔力が必要ないから楽だな〜。
何か適当にやったらたまたま出来たって感じなんだよね〜。
「さて……ここらへんに〜……うわっ、出てきちゃ駄目!あっ、お前も!あ、コラ!共食い禁止って言っただろ!……おっ、あったあった」
((その中に、一体何が居るんだ(です))
アンクとザゼルは、互いにそう思ったとか思わなかったとか……。
「じゃじゃーん!ダイオラマ魔法球!」
「……ただのミニチュアの塔が入ったガラス球にしか見えないのですが……」
「えっへん!説明しよう!これはダイオラマ魔法球と言い、外見はただのミニチュアが入ったガラス球にしか見えないけど。実はこれ、魔法で作った異空間何だ。これをセットして、中に入ると、こっちの世界が一時間経った時、こっちの中では24時間経過してる事になるんだ」
「へぇ……アニス君は凄い物を作るんですね……それで、その中に入って修行すると」
「うん、そうだよ」
「……それ、女性が入ったら大変な事になりますね」
「あぁ、年齢でしょ?そこは大丈夫!歳を取らないようにしたから!これで女の人でも気兼ねなく使えちゃう!さて、これで説明終わるけど、任せても大丈夫?」
「はい、任せてください。では報酬は……もちろんアニス君の体で……」
スパン!
「お前は自重を知れ!」
「っツ〜……何ですか?焼きもちですか?」
スパンスパン!!
「……次言ったら、お前の顔に火炎弾を放ってやる……」
「……すいませんでした……」
アンクが計三発、ザゼルさんの頭を殴ったお……。
しかも最後は顔に手をやり、脅すと言う暴挙……ザゼルさん、ごめんなさい……。
「そ、それじゃあ、俺とアンクは行くね?よろしく」
俺はそう言って、別荘の中に入る。アンクも続いて入る……さて、久々だな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ザザー!ザザー!
「……いやぁ、着いた着いた……さて、アンクが来るまで、軽く動いとくか」
最初に入った人の次に入った人がここに来るのに、何分かのタイムラグがある。
だから、数分は少し体を動かせる。
あ、因みに、本家のダイオラマと到着地点変えてるよ。
だから、いきなり目の前が海なんだ。
「さて……ラウザルク!」
ドゴォッ!!
雷が俺に降り注ぎ、俺の体は光だす。
……うし、身体強化は終わりっと……、俺のラウザルクの効果時間は一時間程度。本編のガッシュは30秒くらいだっけ?
そう考えると、すげぇ長いな。まぁ、これ使ってると他の呪文が使えないのが難点だね。
まぁ、それでも斬魄刀と合わせれば、結構良い線まで行く。
「瞬歩!」
シュン!ザッ!
「……うん、まだ大丈夫そうだね。まだまだなまってはいないね」
これでも結構久々なんだど、瞬歩使うの。
しかもラウザルクを使いながらだから、制御難しいな……やっぱ定期的に使わないと駄目だね。
「ラウザルク解除っと……さて次は〜っと……」
次にやる事を考えていたら、すぐ後ろで着地音が聞こえた。
振り返るとそこには、アンクが居た。
「やぁアンク、遅かったね」
「俺が入ったのは今さっきだ、それで遅いと言われても困る」
「だよねー。それじゃ、体を温めたいし、軽い戦闘やろうよ?」
「分かった。それじゃあ完全グリード化は後か……」
そう言いながらも、翼を生やし、右腕をグリード化させる。仕事はえぇっすアンクさん。
俺も、自分の身体能力だけでアンクと戦う。
「それじゃ……」
「……行くぞ!」
ドンっ!!
俺とアンクは同時に飛び出し、ぶつかり合う。
先ずアンクは右手で殴ってきたが、俺はそれを簡単に払い、蹴りを喰らわす。
だけどアンクは空いている左手で受け流し、再び右で殴ってくる。
「甘いよ!」
俺はスタントマン顔負けの避け方をし、そのままアンクの足を蹴る。
「ちぃっ!!ハァッ!」
「くっ!」
アンクは蹴りを食らいながらも攻撃をしてくる。
俺は意表を突かれたが、それを難なく受け止める。
「ったく、ただの身体能力だけで、この俺と互角……いや、少し上位か……」
「えへへ、アンクに褒められちった」
「隙あり!」
「キャッ!」
俺は足を払われ、尻餅を付く……痛い。下砂だけど、案外痛い……。
「も〜、酷いじゃ〜ん」
「油断したお前が悪い」
「ぶー……あぁ、スパッツが汚れちゃったよ……これ寝間着のなのに……」
結構砂着いちゃったな〜。
まぁ、洗えばいいか。取れる取れる、大丈夫大丈夫。
「じゃあ脱いで普通のズボン履いてこいよ!」
「ですよねー。んじゃ、ちょっと変えてくるわ」
俺はアンクにそう言い、館の中に飛んでいく。
まぁ、この中には一応着替えも詰め込んでるし、住めるようにはしてる。
ただ今館の中の俺の部屋の中です……ややこしいな……。
「さてさて……何を穿いたら良いやら」
俺の目の前には、所狭しとスパッツが仕舞ってある。
アンクに見せたら全部燃やされそうだ……見せないでおこう。
「おっ、これは……」
半ズボン、それに半袖タイプのパーカーもある。
……うん、そうだね、今日は思い切って涼しい格好しよう。上は今長袖タイプのパーカーだからね。
じゃあ、半袖も脱いじゃお、ネギま本編でネギやコタローがしてた格好に俺は着替える。
まぁ、ちょっととあるの土御門みたいになってるのは……気にしない……。
「アンク〜、お待たせ〜」
「おぉ、そんなに待ってない。それと、もう来たぞ?」
「ん?……あぁ、はやてちゃんか。それで、今何処に?」
「……そこ……」
アンクが指を差した方向を俺は向く、そこには……。
「アニスくーん!ウチ、飛んでる〜!」
何故かザゼルさんに背負われて空を飛んでるはやての姿が……どうしてこうなったし……。
まぁ、そこは置いといて。
「ザゼルさーん!!はやてちゃんをこっちに〜!!」
「あ、分かりました〜!」
何とか俺の声が聞こえたようだ。ザゼルさんは言葉を返してくれると、すぐにこちらに飛んできて、はやてを下ろしてくれる。
因みに、車いすはどうしたの?
「うわぁ……ここがアニス君の別荘なん?南国見たいやわ〜。そしてアニス君!」
「ど、どうしたの?」
「生足サイコーや!!それに、上が半袖のパーカーのみって……もう痴女にしか見えへんで?」
はやてが顔を赤くしながら言う。
いや、痴女って……俺は男だから、そこは間違えないでね……そこ、アンクも顔を赤くしない。後ザゼルさん、舌なめずりをしない。
「な、なぁ……アニス君……ハァハァ……胸揉ませてくれへん?ハァハァ」
「嫌だよ!?何で揉まれないといけないの!?というか車いすはどうしたの!?」
「あ、車いすなら、ここに」
ザゼルさんは懐に手を突っ込むと、いきなり車いすがニュッと出てくるってっえぇぇぇぇぇぇぇ!?
何で!?何で何で!?何で懐に車いすが入ってんの!?おかしいよ!?
「はい、八神さん」
「あ、ありがとうございますザゼルさん。それよりも!いきなりザゼルさんがウチが起きた時に現れたんはびっくりしたで!お願いだから、ウチに一声かけてからにしてな?」
「あははは、ごめんねはやてちゃん。はやてちゃんまだ寝てたから、仕方なかったんだよ」
「まぁ、今日は許したるわ。こんな綺麗な所に来れたしな!」
「そう言ってくれると、作ったかいがあったよ。まぁ、修行用に作っただけなんだけどね」
「へぇ、アニス君は凄いんやな〜。それで、今日は修行する為に入ったん?」
「そうだよ」
「じゃあ、ウチは必要ないんじゃ……」
「いや、黙って入ったらはやてちゃん心配するだろうから。どうせなら連れて来た方が良いかなって」
「……アニス君……」
はやては何故か熱視線を俺に向けてくる。
いや、俺普通に善意で言っただけなんだけど……そんな熱い視線を俺に向けないで……。
「さ、さて。それじゃあアンク、再開しようっか。あ、ザゼルさんははやてちゃんに着いてて?」
「分かりました」
俺ははやてをザゼルさんに任せて、アンクと一緒にはやてと少し離れる。
巻き込んじゃったらあれだしね。
「……それじゃあアンク、本気で来て。俺も本気で行くから……」
「分かった……ハァァァァァ!!」
アンクは魔力を込めて、完全体のグリードのなる。アンクは自分の体を見て、こう言う。
「完全体のなるのは何年振りだ、最近じゃ、普通に翼と右腕だけで戦ってきたからな」
「あはは、ごめんね。アンクも定期的にその姿になれれば良いんだけど、そうもいかないしね。ごめんね」
「気にしてないから安心しろ。さて、サッサと構えろ」
「まぁ、待ってよ。斬魄刀出すから。……来い」
俺は、まだ始解をしてない斬魄刀を取り出す、え?今日は何の斬魄刀何だって?
まぁ、始解してからのお楽しみ。まぁ、もうするんだけどね。
「舞え、袖白雪!」
「ほぅ、それか……」
本当は氷輪丸を使いたかったんだけど、それじゃつまらないし、氷雪系だったらランク落ちてる奴が何本かあるから、今回はお休み。
だから袖白雪を使う事にした。うむ、相変わらず美しいなおい。
「それじゃ……」
「第二ラウンド……」
「「開始!!」」
俺とアンクはまた同時に駆け出し、ぶつかり合う……。
模擬戦……開始します。
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